2020年9月27日日曜日

昭和歌謡と恋愛模様

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

あなたは歌謡曲がお好きですか。
カラオケで思い切り歌うのはお得意ですか。
昨今は新型コロナウィルスの影響で、一時期はカラオケも自粛の対象となり、なかなかカラオケで発散できないとお嘆きでいらした方も多いかと思います。

「歌は世につれ、世は歌につれ」
と申しますが、これはカラオケに行くとよくわかります。
気持ちよさそうに得意な歌を歌っている方の年代が、歌に反映されていることが多いですね。

特に、若い頃に流行した歌はいつまでも忘れられないものだと、往年のカラオケファンから聞いたことがあります。
それらには恋愛を伴った歌が多く、若い頃の苦い思い出、またはとても楽しかった思い出などがしっかりと歌と共に心の深部に刻まれているからでありましょう。

昭和の時代に大流行した歌は世相を反映したものが多いです。
演歌だけでなく、GSの歌、アイドルの歌、フォークソングなど音楽のジャンルはもっと細分化されますが、とてもメロディアスでなじみやすい歌が多いですね。
歌いやすい、覚えやすい、口ずさみやすい。
歌詞が生活に密着しているのか、人々の琴線に触れて心の深部に共鳴するからでしょうか。

中には歌いながら踊れる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
テレビ画面から得た歌手の振り付けをまねて、ポーズを決めたりして!(^_^)v

昭和の戦後の時代は、平成から現在の令和のインターネットの時代と異なり、若者たちの歌が世界的に重要なメッセージの役割を担っていました。
アメリカのロック歌手のエルビス・プレスリー、イギリスで誕生したロック・グループのザ・ビートルズやザ・ローリング・ストーンズ、アメリカのマイケル・ジャクソン、フォーク歌手のジェイムス・テイラー、二人組のサイモン・アンド・ガーファンクルなどなど、それはもう数えきれないくらいの地球規模の大スターたちが、世界中の人々にメッセージを伝えました。
歌には男女の恋愛だけでなく、反戦、東西冷戦、人種などの政治性も込められているものもありました。
メディアの大衆化と共に、歌は大衆に浸透し、世界中に発展していきました。

日本でも多くのスター歌手が誕生しました。
年末大みそか恒例のNHKの紅白歌合戦に出場することは歌手たちにとって大きな目標でありましょう。
テレビやラジオの媒体を通して、常に歌が中心の時代でした。
歌番組が多く、ベスト10などのランキングは、日本全国の世代を超えた多くの老楽男女の関心の的となっていました。

このような昭和の時代に大流行した歌謡曲を基調にして、男女の恋愛模様を描いた短編集があります。
井上荒野(いのうえ あれの)氏の『あなたならどうする』(2020年、文春文庫)です。
この短編集は、2017年6月に、単行本として文藝春秋から刊行されています。

凛が持っている文庫版(2020年7月、第1刷)の目次を見ますと、

「人妻ブルース」
「時の過ぎゆくままに」
「小指の思い出」
「東京砂漠」
「ジョニィへの伝言」
「あなたならどうする」
「古い日記」
「歌いたいの」
「うそ」
「サルビアの花」

冒頭に「人妻ブルース」が掲載されています。
井上荒野氏の作品で、ひとつの歌詞の形態になっています。
初出は、『小説新潮』(2011年1月号、新潮社)です。

この作品の舞台は団地でしょうか。
八号棟、三号棟、四号棟、十一号棟などの奥さまたちが登場します。
井上氏は、人妻であるが故の心の襞の暗部に焦点を充てています。
昭和の時代と重なる表現を取り入れているようでいて、実はしっかりと現代の世相を表わしているものだと凛は思います。

あなたは「時の過ぎゆくままに」以下、9曲の歌のタイトルを見ただけで、すぐに「ああ!知ってる!あの歌手の歌だ!」と、当時の歌手の歌声や姿が甦り、そしてメロディに乗せて歌詞を口ずさむことができる歌が何曲ありますか。

あなたは当時の歌手の衣装や髪型、サビの部分の特徴、マイクの持ち方など事細かく覚えていて、「とても懐かしいなあ~」と目にうっすら涙が出たりしませんか。
平成生まれのお若い方ですと「聴いたことがあるけど、よくわからないなあ」と仰る方もいらっしゃるでしょうねえ。
凛にはすぐにわからなかった歌が2曲ありました。

凛が所有する文庫本初版の帯には「昭和歌謡曲の歌詞ににインスパイアされた9つの物語」と紹介されています。
音楽に詳しい方からみると、厳密にジャンル分けをするならば、9曲の全てを「歌謡曲」に当てはめることに難色を示される方もいらっしゃるかもしれませんが、この作品集では「昭和歌謡曲」として括られています。

短編集の各章には、最初に各歌の歌詞の一部が掲載されています。
歌い出しの部分であったり、サビの部分であったり、各歌ごとに異なります。
井上氏はこれらの歌詞の特徴を捉えて、男女の恋愛の機微を井上流の視点で的確に表現されています。
この手法については、恋愛小説を描かせたら間違いなく安心して読ませてくれる「大人の作家」である井上荒野氏だからこそできるのであろう、と凛は位置付けます。
平成の終わりに近い2017年に単行本が発刊されていますから、描かれている小説の時代は平成でありましょう。

しかしながら、登場人物や環境にその歌詞と密着できる舞台設定が施されており、昭和時代に創作された歌詞と現代の時代のずれもほとんど感じられません。
ですから、歌が大流行した時をご存じない方でも、違和感なく恋愛物語に入れますよ。

勿論お若い方には、昔の歌、或いはご両親や祖父母の世代が好きな歌として、「なるほど、今でいうとこんな設定になるんだなあ」などと、歌を先行になさって読まれるのも構いません。
それから、小説が先にあって、「この歌はそんな意味だったのかあ」など歌を後付けする読み方など、どうぞあなたのお好きなように、ご自由に読まれてください。

各章には、様々な登場人物とあらゆる環境設定に、趣向を凝らしてあります。
主人公は、各章ごとに男性もいますし、女性の場合もあります。
井上氏独特の鋭い視点で、彼らの心理をあぶりだして、ほんのちょっとした極小のずれに亀裂が生じていく瞬間と、そこから壊れていく過程を見事に描き出されています。
伏線もあって、最後には広げた風呂敷を畳んでいますが、それが無造作であったり、裂けたり、或いはほどけそうなほどに結び目が緩かったりと、畳み方の細部にも拘りがみられます。

「時の過ぎゆくままに」は、妻が癌治療で入院中の夫が主人公です。
彼は癌患者である妻の闘病を支えながらも、病院の喫煙所で夫が入院中の若い人妻と出逢ってしまい、二人は逢瀬を重ねていくのです。
退院した妻が、実にさりげなく夫に、自身のことを何と言ったのでしょうか。
それはほんの一瞬のことでしたが。
その瞬間の夫の心理状態に鋭いメスを入れる井上氏の視点は見事といえましょう。

当然ですが、相手の人妻にも過酷な現実がずっしりと背中を覆っています。
二人の目の前に迫ってくる壁が高くて険しいほど、それを乗り越えようと思うのでしょうか。
痴情におぼれた二人はこれからどうなっていくのでしょうか。
最後まで読むと、凛にはジュリーこと沢田研二さんの透き通った歌声が実に切なく聴こえてきました。

「ジョニィへの伝言」は、某地方で行なわれた歌の地区予選の選抜で選ばれ、東京決戦に出場した女性と、地元で鍼灸院を営む男性の話です。
プロダクションのマネージャーから声をかけられた女性は、「東京に住んでこれから歌で生きていく」と夢の実現が叶う転機を迎えたのですが。
女性が、目の前の現実を認めなければならない、決して後戻りはできない、前に進むしかないと悟る瞬間。

この章で凛が注目したのは、最後の四行(文庫版)です。
そして、最後の一文がキーワード。
凛には、高橋真梨子さんの情感をこめた歌声が胸にずうんと響いてなりませんでした。
それと同時に、この歌詞の全容を再確認せずにはいられませんでした。

「うそ」は、薬剤師の男性が主人公で、冷酷に次々と付き合う女性を変えていきます。
新しい獲物を捕らえるために、自分に都合のよい自己中心の考えで嘘を重ねます。
彼は付き合っている女性に対する興味は持続せず、すぐに飽きてしまうのです。

このような嘘を重ねていく男性は、新しい女性を獲得する過程が楽しいのではないでしょうか。
相手の女性への愛ではなく、欲望だけが全てであるような生き方を続けてきたのでしょう。
彼は実に行動的で、相手のことを冷静に観察しています。
一人でいる時間も必要なのではと凛は思いますが。
マイケル・ジャクソンの「スリラー」の洋楽が出てくるのも何かのメッセージかも……。
読み進んでいるうちに、中条きよしさんのソフトに歌う声が凛の耳元で聴こえてきました。

以上の三曲の他にも、某団体の一員として集団生活をしている男性のもとへ、ある日突然夫や子供のいる家庭を捨てて飛び込んだ主婦の話の「あなたならどうする」、振り込め詐欺の受け子と思われる若い男女を描いた「古い日記」など、現代社会の問題もえぐりながら、恋愛を成就しようと必死でもがいている人たちの話が出てきます。
どの登場人物も危うい立ち位置で、哀切極まる情感をもって、あなたにずっしりと重く恋愛の情景を突きつけます。

井上荒野氏は、1989年、短編小説「わたしのヌレエフ」で、第1回フェミナ賞を受賞☆彡されて、デビューされました。
この作品は、『季刊フェミナ』創刊号(1989年、学習研究社)に掲載されたのち、1991年に『グラジオラスの耳』の書名で福武書店より単行本として所収されており、2003年、光文社文庫から単行本と同じ書名で文庫化、所収されています。

2004年には小説『潤一』(2003年、マガジンハウス、2006年、新潮文庫)で、第11回島清恋愛文学賞を受賞☆彡されました。
そして、2008年、小説『切羽へ』(2008年、新潮社、2010年、新潮文庫)で、第139回直木賞を受賞☆彡☆彡されました。
その後も数多くの小説を受賞されていらっしゃいます。

小説家の井上光晴(1926~1992、いのうえ みつはる)氏のご長女で、小説、エッセイ、児童書などの翻訳も手がけるなど大変ご活躍されています。
本格的な大人の小説が描ける、まさに恋愛小説の名手としての地位を確保されていらっしゃいます。

文庫本の解説が、直木賞作家の江國香織氏と大変豪華です!
江國氏は、2004年、短編小説『号泣する準備はできていた』(2003年、新潮社、2006年、新潮文庫)にて、第130回直木賞を受賞☆彡☆彡されました。
お父さまが演芸評論家でエッセイストの江國滋氏(1934~1997)で、幼少期の頃から本に囲まれていたであろう井上荒野氏と似た環境のようですね。
お二人はとても仲良しなのでしょう。

江國香織氏も恋愛小説の女王として、多くのファンがいらっしゃいます。
同じ恋愛小説を描く女性作家の細部にわたる視点に、ああ、なるほど~とあなたも頷けるでしょう。
是非、文庫本の解説をお読みになられてくださいませ。

黄金の歌謡曲全盛の昭和という時代は、何て人々が歌と共に生きていたのだろうかと思わずにはいられません。
どろどろとした感情、どこまでも貫きたい欲望。
この作品で紹介された9曲は、メロディアスな曲調も加わって、カラオケで愛され続ける歌ばかりです。

井上荒野氏は、歌詞を見つめ、歌詞に触発されて、ご自身の才能をもってこれらの歌の世界に憑依されたのでしょうか。
どの恋愛も、表題の『あなたならどうする』につながるのです。
時代を超えて、小説と歌との融合を読者は体験できるのだと凛は思います。

これから秋が深まってゆきます。
読書の秋です。
秋の夜長に、井上荒野氏が提供する様々な恋愛模様を、昭和の歌謡曲と共にあなたもしっとりとご堪能されてみてはいかがでしょう。

今夜も凛からあなたにおすすめの一冊でした。(^-^)

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(日本語)文庫-2020/7/8井上荒野(著)
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2020年9月14日月曜日

仕事が単調だとお悩みのあなたへ、ミラクル・ワールド!

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださりまして、ありがとうございます。
と共にどうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

あなたはお仕事に従事されていらっしゃいますか。
毎日の労働の中で、ルーティン・ワークで繰り返される業務、職場と自宅の往復ばかりで何にも新しい感動や出会いなどないなあ、楽しいことがないなあと思われることはありませんか。
日々の仕事に対する思いが少しずつ鬱積して、思い悩まれることはありませんか。

最近は新型コロナウィルスの関係から、新しいワーキング・スタイルとしてリモート・ワークを採用している企業もあります。
しかし、職場と自宅の往復の通勤の疲れは免れていても、今度は自宅で一日を過ごすことの新たな問題も報じられています。
そのため、郊外の広い住宅が新たな不動産の市場として注目されてきています。
それに伴い、快適なリモート・ワークに適した間取りや衣類なども人気が出ています。

このような労働環境の変化が新たな時代への転換期となるのか、否か。
果たして数年後には、就労者にとってどのような形態を成しているでしょうか。

ここで少し想像してみましょう。
もし、あなたのお仕事の一日が終わるまで、ことあるごとに非日常の世界が繰り広げられるとしたら。
一日のぞれぞれの時間帯で、奇想天外でミラクルな世界があなたを待ち受けていたとしたら。
あなたは楽しめることができますか?
それとも、どんな反応を示されるでしょうか?

まさにそのようなお仕事小説があります。
お仕事小説とはいっても、具体的な業務遂行の物語ではありません。
主人公がある瞬間から全く異質な世界へと転じる物語で、それはまさに「想定外」な世界が繰り広げられます。
純粋に創作物語であるフィクションとして、あなたにミラクル・ワールドを存分に楽しみいただきたいと思います。

今回の作品は、青山七恵氏の連作短編集『踊る星座』(中公文庫、2020年)です。
2017年に中央公論新社から単行本として刊行されています。
作品は13の短編小説で連作となっています。

主人公の「わたし」はダンス用品の会社でセールスレディとして外営業を担当している女性です。
この「わたし」の子供の頃のエピソードから始まり、通勤電車の中や、社内での様子、地下鉄構内、顧客の家やダンススクール、取引先の倉庫、移動中のタクシー、会社主催の会食のレストラン、夜の公園などこれだけを挙げますと、営業職の業務として納得できる状況であると頷ける方も多いでしょう。

「わたし」は真摯に仕事に向き合う真面目な女性です。
ところが、ふとした瞬間から、日常の場面から非日常への場面へと状況がいきなり変化するのです。
それは主として、「わたし」の周囲の人々の変化にあります。
一般常識では理解不能な人たちが「わたし」に向かってきます。
瞬間的に突如眼の前の事象が想定外の事象へと変化したことに気づきながらも、「わたし」はその変化にすら真摯に向き合うのです。
つまり、「わたし」は非日常を受け入れ、咀嚼し、消化していこうとするのです。

眼の前に生じた急激な変化とは実に様々です。
不可思議だと思える人たちがいきなり目の前に現われて、「わたし」に近づいてきます。
これらの人たちの言動や行動は「わたし」及び読者がこれまで常識的だと思っていたことを悉く破壊します。
彼らは、読者や「わたし」が抱いた「え?そんなはずはないだろう?」という驚きや疑問すら簡単に打ち消されてしまうほど、強く非常識な事柄を押し通します。
言い換えれば、今「わたし」が生きている世界における非常識の価値観を、常識的な価値観へと転化していく過程が描かれているといえます。

以下で、凛が「わたし」の前に現れる不思議な人たちを少しだけご紹介しましょう。

例えば、第3章の「スーパースター」では、図書館から借りた図書を各駅停車の電車内で読んでいる「わたし」が、眼鏡の女性が隣に座っていることに気づきます。
その女性との会話が実に奇妙で、本当は本の世界を楽しみたいところだけれども、仕方なく女生徒の会話にお付き合いしなければならない「わたし」がいます。

第6章の「ハトロール」では、取引先の衣料問屋の倉庫を訪問すると、高齢の女性が倉庫番と称して登場し、何かと上から目線で「わたし」を叱りつけます。

第8章の「妖精たち」では、顧客先であるフラメンコスクールを訪問すると、いきなりダンス講師の男女の激しい恋の終焉を見せつけられる「わたし」がいます。

この章までになると、「わたし」の行く先々に「次は何が出てくるのか。どんなミラクルな世界がきても驚かないぞ!」というような期待感を読者にもたせてきます。
突如として現れる「想定外」の出来事も、またそれに瞬時に対応する「わたし」にも感心しながら、どんどん先が気になった凛でした。
凛が持っている文庫本の初版の帯には、「キレてますけど、元気です!」と紹介されています。
なるほど「わたし」は常に元気に対応しており、凛は実に誠実で爽やかなセールスレディの姿を思い浮かぶことができました。

第9章の「テルオとルイーズ」では、移動中のタクシーの車内で、時間がないと焦る「わたし」に、急にある提案を告げるタクシー運転手に驚きながらも、「わたし」の心は揺れながら、しかし運転手に素直に反応していくのです。
その時の「わたし」の思考回路が実に切なく感じてしまうのは、凛だけではないかもしれません。

「わたし」には家族がいて、仕事だけでなく、家族の悩みにも付き合わなければなりません。
それは第10章の「お姉ちゃんがんばれ」というタイトルからも想像できます。
何事も真面目で真摯に取り組む「わたし」としては、休日までも頑張らなければならないという家族構成になっています。

そして、作品の終わりに近づく第12章「ジャスミン」で、「わたし」は二体の生物と出合い、自己の運命に天を仰ぎ見ます。
圧巻は、ここで「わたし」の仕事や人生に対する本音が描かれているのだなと凛は捉えました。
凛は、作者が「わたし」の仕事や人生に対する本音を最もここで主張したいがために、これまでの奇想天外な世界を創造して、読者に突きつけていったのではあるまいかと考えました。
この章で、タイトルの『踊る星座』が理解できる構図になっているのではないでしょうか。

最終章の「いつまでもだよ」には「わたし」の子供時代が描かれており、第1章の「ちゃぼ」に戻れば、さらにこの作品のタイトルにも納得できましょう。

文庫本の巻末には、2014年、小説「穴」(『穴』〔新潮社、2014年、2016年、新潮文庫〕)で、第150回芥川龍之介賞☆彡☆彡を受賞された作家の小山田浩子氏の解説が掲載されています。
「解説 星座はどうして踊るのか」を読まれて、「わたし」たる「わたし」の存在が、あなたにはどう伝わるでしょうか。

作者の青山七恵氏は、大学在学中の2005年、小説「窓の灯」で第42回文藝賞☆彡を受賞されて作家デビューされました。
この作品は『窓の灯』(河出書房新社、2005年、河出文庫、2007年)に所収されています。

そして、2007年、小説「ひとり日和」で、第136回芥川龍之介賞☆彡☆彡を受賞されています。
この作品は、単行本として2007年、『ひとり日和』で河出書房新社から刊行され、のち2010年、河出文庫から文庫本として出版されています。

また、2009年には、小説「かけら」で第35回川端康成文学賞☆彡を受賞されています。
この作品は、単行本として2009年、『かけら』で新潮社から刊行されて、のち2012年新潮文庫から文庫本として出版されています。
他にも多数の作品が刊行されており、若くして大変ご活躍されている作家です。

青山七恵氏は、何という創造力の塊なのでしょうか!
何故に日常であるお仕事小説を、非日常なミラクル・ワールドに転換できるのでしょうか!

凛は、まるでロシア文学のミハイル・ブルガーコフ氏の長編小説『巨匠とマルガリータ』(水野忠夫訳、河出書房新社、2012年、同訳、岩波文庫〔上・下〕、2015年)を読んだときの如く、青山氏の想像力の素晴らしさに圧倒されました。
ブルガーコフ氏のこの作品は『池澤夏樹=個人編集 世界文学全集1-5』(同訳、河出書房新社、2008年)からも刊行されています。
一体次に何が出てくるのか全く想像もできないくらいに、それはそれは自由自在に作中の登場人物たちが生き生きと輝いているのです。(^o^)
ブルガーコフ氏のこの作品によって、文学とは自由な世界を創造できるものである、という体験を凛はしました。

これに匹敵できるような世界を青山七恵氏は創出されています。
青山七恵氏によるどこまでも続く奇想天外な物語は、読者の想像力の修練が求められる格調高い文学作品であると凛は考えます。

自宅と職場の往復、単調な仕事の日々だとお悩みのあなたには、ジェットコースター並みの「想定外」が繰り広げられる世界を堪能できますよ。
何も恐れることはありません。
初版の文庫本の裏表紙には「笑劇」と紹介されています。
どうぞご安心されて、青山七恵氏の傑作なる世界に身を委ねてみるのはいかがでしょう。
読後は、もしかしたらあなたのお仕事に対する気持ちに変化が生じるかもしれません。

今夜も凛からあなたにおすめの一冊でした。(^-^)

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(日本語)文庫-2020/7/22青山七恵(著)
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2020年9月4日金曜日

老境とは

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださりまして、ありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

凛からあなたに二つの質問があります。

まず、一つ目の質問です。
あなたは年齢を感じたことがありますか。

当たり前ですが、人は誰でも年齢を重ねます。
「最近、疲れやすいなあ。目もかすんできて、小さい文字が見えにくいよ。髪も白くなってきたし、肩こりや腰痛もあるし、膝だって最近痛みだした。もう年だな……」
などと思うことはありませんか。

あなたは、ご自分の老後をどのように過ごそうとお考えでしょうか。
「どうせ自分は長生きしないよ」
などと口癖になっていらっしゃるあなたは、今の医学は日進月歩で進化していますので、案外そのようにはならないものなのです。

次に、二つ目の質問です。
あなたは一日の時間をどのようにお使いですか。

凛は、朝起きて、夜に眠るという一般的な生活時間帯の概念とは若干異なる過ごし方をしています。
凛のりんりんらいぶらり~は、夜の時間帯、あなたの眠る前のひとときに、おくつろぎいただけるようにとつとめています。
凛がどのような一日を過ごしているのかは、あなたのご想像にお任せいたしますね。

さて、人は老境に入ると、どのような心境で動き、一日をどのように過ごしているのでしょうか。
特に、日本人のご高齢の男性のご老人ですが、凛には少しわかりづらい世代であります。
現代のご高齢の男性は、随筆である鴨長明著の『方丈記』や吉田兼好著の『徒然草』に通じるものがあるのでしょうか。

凛が街で見かけるご高齢の男性方も、大抵お一人で行動されていらっしゃるようです。
無口な方が多いですし、苦虫を噛みつぶしたようなお顔を拝見すると、あら、怒っていらっしゃるのかなと、気軽に話しかけにくいようなイメージがあります。
時代劇に出てくるような武将を想像して、何だか近寄りがたくて、話しかけると説教されそうだというような、とっても気難しい印象を凛が勝手にもっているのかもしれません。

時には、ぶつぶつと何やら独り言を言いながら、ふらふらと歩いていらっしゃる方も見かけます。
駅前の居酒屋などでは、まだ陽があるうちから、お一人でほろ酔いの御仁もいらっしゃいますね。

これに比較して、ご高齢の女性陣は、お一人さまだけでなく、団体で行動されていらっしゃる方々もよく見かけます。
女性は年齢に関係なくお喋りが好きですし、話し出すと止まらない方が多いですね。
皆さん、とても華やかにお洒落して、元気にお買い物を楽しんでいらっしゃいます。

「老境」という言葉が合うのは、男性のご高齢者のように凛は思います。
高齢化社会の日本において、異なる世代が老境に入った方の心境や心理状態を知ることは、今後の日本を支えるためにも、また個人においても、大切なことであろうと凛は考えます。
世代間の断絶を無くして理解できることは、日本や個人にとって有益なことではないでしょうか。
決して難しく考えずに、読んでいて、ああ、とっても楽しいなあと、気軽に読めてしまう「老境」を綴った小説があります。

京極夏彦氏の『文庫版 オジいサン』(角川文庫、2019年)です。
この小説は、2011年に中央公論新社から『オジいサン』のタイトルで単行本で刊行されました。
2015年、中公文庫から同じ『オジいサン』のタイトルで文庫本が刊行されています。
それを京極氏が加筆・修正し、『文庫版 オジいサン』にタイトルを変えて、出版社も変わり、KADOKAWAからの刊行となっています。

京極夏彦氏は百鬼夜行シリーズの第一作である小説『姑獲鳥の夏』(講談社ノベルス、1994年、講談社文庫、1998年)がデビュー作で、映画や漫画にもなっています。
あなたも妖怪や魑魅魍魎のおどろおどろしい表紙が書店で平積みされているのをご覧になられていらっしゃるのではないでしょうか。

恐ろしくて怖いイメージの京極氏の作品とは全くかけはなれた現代のご高齢の男性が、一人でベンチに座っている表紙の文庫本を近所の書店で見たときには、凛は思わぬ発見をしたような心境に至りました。
ご高齢とはいっても、ジーンズかと思われるズボンを履き、若さも感じられます。
その男性は、どこか遠くを見つめているようでもありますし、何か思いにふけっているかのようでもあります。

そして、文庫本の帯には、解説が宮部みゆき氏であると紹介されているではありませんか。
「すごく面白い。続きが読みたい!」と。
そして帯には「なにも起きない老後。でも、それがいい。」
「一番好きな京極作品の声、多数!」

凛はすぐに文庫を手に取り、表紙をめくりました。
「老境」と筆で書かれた文字が目に入り、今度はベンチに二人のご高齢の男性が座って、それぞれ違う方向に顔を向けています。
京極夏彦氏の書字で書かれたお名前と篆刻印もあります。

奥付を見ると、令和元年(2019年)12月に初版が発行されて、令和2年(2020年)2月にはすでに3版となっていました。
やはり京極作品は人気があるのがわかります。
勿論、凛はそのままレジに進みました。

さて、ベンチに座っている表紙の主人公の72歳の益子徳一さんは、定年退職後、公団で単身世帯で暮らしています。
未婚ですから、お子さんやお孫さんはいらっしゃいません。
現役時代のお仕事の職種などもよくわかりませんが、真面目に定年まで勤めあげられたことはわかります。
この徳一さんは、非常に真摯にものごとを突き詰めて考えるお方でして、その思考の過程がとても長く、詳しく描かれており、非常に秀逸です。
京極氏の想像力を駆使されての徳一さんでありましょう。

目次を開きますと、
七十二年六箇月と1日 午前5時47分~6時35分
七十二年六箇月と2日 午前10時26分~53分
七十二年六箇月と3日 午前9時50分~10時42分
七十二年六箇月と4日 午後4時38分~5時16分
七十二年六箇月と5日 午前11時2分~午後0時27分
七十二年六箇月と6日 午後1時14分~45分
七十二年六箇月と7日 午後2時2分~58分
解説 宮部みゆき
となっていることから、徳一さんの72歳と半年過ぎた一週間の出来事が、あらゆる時間帯で描かれていることがわかります。
時間の指定が分単位で細かいのは、帯にも書いてあるように、徳一さんの日常が非常にまったりとしていることを示していると考えられます。

ところで、「オジいサン」と、片仮名の間の「い」だけが何故に平仮名なのかは、あなたが読まれてからのお楽しみにとっておきましょう。

ここで作品について、着目した点があります。
作中の益子徳一さんは72歳ですが、現在の2020年の72歳とは明らかに世代が異なる点です。
この作品は2011年に単行本で刊行されました。
ということは、その前にご執筆されたことになりますから、益子徳一さんは現在は81歳前後になっていらっしゃいます。
したがって、徳一さんは戦後生まれの団塊の世代よりも年上となりますので、現在の72歳の方々とは、テレビや新聞、電話などの情報収集や伝達に関する認識などにはギャップがあるだろうと凛は考えます。

作中には、田中電気の2代目が折々に顔を出してきます。
日本のテレビ放送が、アナログから地上デジタルテレビ放送に切り替わったのが2011年7月24日ですから、作品はその前の出来事が描かれています。
2代目は、徳一さんにテレビの買い替えを進めますが、徳一さんはなかなか首を縦にふりません。
この二人のやりとりが面白くて楽しめますよ~ (^○^)

徳一さんの日常の中で、凛が特に興味をもったのが、お昼ご飯に卵料理をする場面です。
そのときの徳一さんの心理状態が事細かく描かれています。
うん、これって、あるある、もしかしたら京極氏もそうなのかしらと、凛は勝手に想像しながら読みました。
徳一さんの老境について、当時40代だった京極氏の想像力の結集がこの作品に表れているのでしょうか。

京極夏彦氏は、1996年、小説『魍魎の匣』(講談社ノベルス、1995年、講談社、2004年、講談社文庫、2005年)で第49回日本推理作家協会賞(長編部門)☆彡を受賞されました。
また翌年の1997年には小説『嗤う伊右衛門』(中央公論社、1997年、中公文庫、2004年)で第25回泉鏡花文学賞☆彡を受賞されました。
2002年、小説『覗き小平治』(中央公論新社、2002年、角川文庫、2008年)では、第16回山本周五郎賞☆彡を受賞され、第118回直木賞候補となっています。
そして、2003年には、小説『後巷説百物語』(角川書店、2003年、角川文庫、2007年)で第130回直木賞☆彡☆彡を受賞されました。
さらに、2011年、小説『西巷説百物語』(角川書店、2010年、角川文庫、2013年)で第24回柴田錬三郎賞☆彡を受賞されています。
他にも多くの作品を受賞されており、ここでは書ききれないほどのご活躍をされてます。
また、映画化やコミックにもなっており、コアな京極ファンが多いです。

京極氏は、読者への配慮が素晴らしく、一文が頁をまたぐことがないように、必ず改行して構成されています。
この作品でも加筆修正されておりますが、一文が必ず頁内に収まっています。
書店や図書館で、是非京極氏のこだわりをお確かめくださると納得できるかと思います。
そのため、お豆腐のようにま四角で分厚い本でも、読者に優しい京極氏を堪能できるようになっているのだろうと凛は思います。
電車の中で、ころころとしたま四角の分厚い本を読んでいる若い女性を見かけたとき、カバーをかけていても、すぐに京極氏の作品だとわかるくらいです。

そして、巻末の宮部みゆき氏の解説が、また素晴らしいのです!
宮部氏がどんな状態のときに、この作品を読まれたのかが丁寧に書かれています。
これを読むと、ますます益子徳一さんのことが気になってたまらなくなります。
当代の売れっ子作家である大沢在昌氏、京極夏彦氏、宮部みゆき氏の三人で「大極宮」を結成されていらっしゃいますが、本当に仲がおよろしいようですね。(^o^)

熱心な京極ファンをはじめ、多くの読者に愛されている益子徳一さんには、どうかこのままお元気でいらして欲しいと願ってやみません。
徳一さんは凛の心の中のオジいサンです。
徳一さんの律儀で真摯に暮らしを営まれている姿には、あなたも感動ものですよ~

今夜も凛からあなたにおすすめする一冊でした。(^o^)

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2020年8月24日月曜日

うなぎは真剣にいただこう!

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
とともにどうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

あなたはうなぎがお好きですか?
凛からの質問は、生物の分野のうなぎの生態についてではなく、もちろん食べ物としてのうなぎ料理のことです。(^○^)

凛はうなぎ料理が大好きです。
店先の店頭でうなぎをジュージューと焼いている煙と香り!
ああ、今すぐにでもうなぎ屋さんに行きたい!と思う凛であります。

うなぎは土用の丑の日だけでなく、他の日でも食べるものでしょう。
デパ地下やスーパーでも売られていますが、昨今はうなぎも国産のものは随分高騰しています。
なかなか庶民の口には簡単には入らない格別な食材ですね。

しかし何と言っても、うなぎはやはりうなぎ屋さんでいただくのがよいのではないでしょうか。
とっておきのうなぎ料理をいただくのであれば、思い切り奮発して極上のメニューをいただきたいものですね。
今年も残暑厳しき折、夏バテ解消にうなぎをいただいて精をつけたいところですね。

凛が久しぶりに訪れた某商店街の書店で、数冊だけ平積みされていた文庫本の表紙、これがまたうな重のリアルな写真でして……。
凛がその文庫本を手にして、レジに進んだ理由が二つあります。

一つ目の理由は、リアルなうな重の写真が他の文庫本よりもキラリと光彩を放ち、ジュワリと即座に凛の胃袋に反応したことです。
二つ目の理由は、写真があまりにもリアルなため、うなぎのお料理の紹介本なのかと思いきや、さにあらず、うなぎに関連した連作五篇の小説であったから、読んでみたいと思ったことです。

その文庫本とは、加藤 元(かとう げん)氏の小説『うなぎ女子』(光文社文庫、2020年)です。
2017年に光文社から単行本で刊行されています。

凛が購入した文庫本初版の帯には、「八ツ目や にしむら」の店主である松本 清氏のご推薦のお言葉「日々の想いも、おいしくする"うなぎ"。うな重片手に、この一冊!」と掲載されているではありませんか。
うなぎ専門店の人気店店主のご推薦とあらば、これはもう読まなくてはいけません。

連作で五つのお話が掲載されています。
第一章は、「肝焼き」
第二章は、「う巻き」
第三章は、「うざく」
第四章は、「うなぎの刺身」
第五章は、「うな重」
ざっと目次を見ただけで、うなぎが食べたくなる気持ちがさらに膨らみます。

これらの五つのお話は、ある日のうなぎ屋『まつむら』に訪れる五人の女性たちの物語です。
彼女らに共通するのが某男性でして、彼をめぐっての愛憎劇、憧憬、友情など、彼女らの様々な場面にその男性が関わります。
『まつむら』の中で、客として時間差で進んでいく物語でありますが、それぞれの人生における過去が描かれています。

読みやすい文体で、会話も現実的で入りやすいですが、内容は相当深く、中には刺激的なえぐいお話もあります。
登場人物の日常的な背景に、等身大に思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、かなりシュールな設定の章では、「ええ?まさか!そんなことがあるの?」と驚かされる場面もありますよ。

第四章まで読み進むうちに、なるほど、そうなのかと、作者がかけた罠を想定していくのですが、これが読書の醍醐味でもあります。
読者は、作品を読解しながら、登場人物の背景に存在する作者と対峙しているのです。

最後の章で、連作小説の全体像がわかります。
タイトルの『うなぎ女子』の意味も納得できるという構図になります。
そして、また最初の第一章を読み返すと、全てが円環となってつながります。

この作品は、東京のうなぎ屋さんで展開しうるお話だと凛は思います。
つまり、作中の女性たちは東京で一生懸命にそれぞれの人生を重ねている人たちです。
そして、彼女らに関わっている某男性もまた東京で自己を模索しながら生きているといえましょう。
なかなかどうして、男女ともにそれぞれの登場人物が魅力的でもあり、また蠱惑的でもあります。

この作品には、随所に或る有名な文学作品が出てきますが、もうひとつの根幹を成していると凛は思いました。
その文学作品に対する敬愛が作品全体にこめられています。
その文学作品に関する女性についても、続編として書いて欲しいなと凛は思いました。

しかし、いちばんの主役は何と言っても「うなぎ」ですね!
うなぎは滅多に食べられない高級な食材で、とっておきのおご馳走であるからして、だからこそ、彼女らはうなぎ料理に真剣に向き合います。
それも『まつむら』のうなぎでないといけないと、彼女らは言うのです。

ああ、凛も読んでいる間中からうなぎ屋さんに行きたくなりました!(^o^)
そういえば、凛の親戚がいる九州の福岡県には、筑後地方の「うなぎのせいろ蒸し」といううなぎ料理が有名で、柳川市には多くのうなぎ料理店が集中しています。
凛は親戚の家を訪問した折、柳川市のうなぎ屋さんでせいろ蒸しをいただきました。
うな重とはまた違った食感で、大変美味しかったことを覚えています。

作者の加藤 元氏は、2009年、小説『山姫抄』(講談社、2009年、講談社文庫、2013年)で第4回小説現代長編新人賞☆彡を受賞されて、小説家デビューを果たされました。
多くの作品を執筆されています。

加藤氏はさまざまな職業を体験されたことが、今回の『うなぎ女子』で活かされていると凛は思いました。
下積み、貧困、親の離婚、再婚、親の蒸発、転職、起業、突然死、そして、犯罪……。
この作品には、現代日本社会の断片がリアルな表現で描かれています。

濃厚なうなぎ料理に対して、これらの暗いテーマをあっさりと描く作者の力量はお見事です。
その過程は、巻末のあとがき」加藤氏が説明されています。
ふっくら、ほこほこし過ぎず、ときにはほろ苦くもあり、甘辛いタレがまったりとあなたの舌を刺激します。

また、文庫本巻末の「解説」には書評家の吉田伸子氏が担当されていて、凛と同じく「うなぎが食べたくなる!」と述べておられますよ~
吉田氏の書き出しに注目してくださいね。
きっとあなたも同感でしょう。

今夜は、うなぎ料理がお好きなあなたへの贈り物です。
読了した後は、あなたも「うなぎ屋さんへ直行!」となること間違いなしです!

うなぎ屋さんで他のテーブルに座っているお客さんをきょろきょろと観察しないようにしたいものですね。
うなぎの生命をいただくことに感謝をして、あなたも真剣にうなぎ料理と向き合っていただければ、胃袋だけでなく、必ずやあなたの心を満たしてくれましょう。
そして精をつけて、明日への糧にいたしましょう。(^_^)v

今夜もあなたにおすすめの一冊でした。(^O^)/

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2020年8月14日金曜日

隠れ家夜食カフェに行きたい!(その1)

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
とともにどうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

あなたには大切にしたい本がありますか。
何度も読み返しては、その本の世界に浸っていたい。
それは小説だけでなく、How To本だったり、専門書であったりといろいろでしょう。
傍らにいつもその本があれば安心できる、あなたの心の見守りグッズのような役割を担っている友人のような本。

凛にも大切にしている本があります。
絶対に手放したくない本は何冊もあります。

例えば、小説ですと、主人公にまた会える楽しみがあります。
その本を手放したら、とても大切にしている親友と別れてしまう寂しさがまとうのではないかと。
その寂しさには耐えられず、いつも読まなくても、凛と同じ空間にいてくれるという存在に対する安心感には代えられないのではないかと、凛は思うのです。

紙の本は保管場所が必要ですし、重くて嵩張るので、収納の点で考えてしまいますよね。
特に、単行本や専門書ですとそれは顕著です。
しかしながら、手放せない、手放したくない、いつまでも大切にしていたい本は、その本が放っている価値感という点で別格です。

凛がよく利用している大型書店の単行本の小説のコーナーに、長い期間、並べられている本があります。
その本はシリーズになっていて、全部で4巻、仲良く横に並べられています。
まるで書架の指定席のような、同じ棚に並べられています。
指定席になっているのは、売れないからその場所から本を動かさないということではないのです。
売れているから、或いは、書店員さんがおすすめしたいから、または出版社の意向もあるのでしょうか。
とにかく目立つところに「皆さん、私の世界を楽しんでね」というように本たちが主張しているのが窺えます。

それらの本たちは、シリーズの第1巻の刊行から既に5年も経過しているのに、文庫化されずにずっと単行本のままなのです。
出版不況と言われて久しい出版界において、単行本で増刷されている本たちです。
出版社の事情もあるのかもしれませんが、このシリーズ本が多くの読者に愛されていることがわかります。

その第1巻の本が、古内一絵氏の小説『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』(中央公論新社、2015年)です。
凛が持っている本は、2020年の2月発行の12版です。

凛はその大型書店を訪れる度に、この本がずっと気になっていました。
正直言いますと、いつかは文庫本になるのだろうと思っていたのです。
それがある日、いつものように大型書店のそれらの本の指定席を訪れて、第1巻を手に取ると、限定数の特製のポストカードが特別に封入されているのがわかり、得した気分になったことが購入の決め手となりました。

限定……。
この言葉にとっても弱い凛です。(^-^;
表紙と同じ絵のポストカード。
何て美味しそうな野菜のお料理の絵でしょう!
見ただけで心も身体もほっこりしてくる感じがいたします。

この作品は、書き下ろしとなっています。
初版は2015年の11月25日の刊行となっていますので、著者の古内一絵氏がご執筆されたのはその年か、少し前になるでしょう。
このことを念頭におきますと、読み進んでいくうちに、なるほどと見えてくるものがありました。

時を少し遡ってみましょう。
2020東京オリンピック開催が決定したのが、2013年の9月7日でした。
国際オリンピック委員会がブエノスアイレスで、2020年の夏のオリンピック・パラリンピックに東京の開催地を発表しました。
1964年から56年ぶり、東京での開催は2度目とあって、ビックなニュースでした!
そこから東京都の再開発が進みます。
生憎、今年は新型コロナウィルスの関係で、開催は来年に延期となり、57年ぶりになりますが……。

元エリートサラリーマン、今はドラァグクイーンのシャールさんが営んでいる、東京の某駅の改札口から商店街を歩き、路地裏に入った某場所の隠れ家夜食カフェ「マカン・マラン」。
昼間はダンス用のドレスを受注、縫製して販売しているお店ですが、夜になると夜食カフェに変わります。
「マカン・マラン」の開店は不定期ですので、まずは、この場所との出あいにご縁があればご常連さんになること間違いなしでしょう。
しかし、ご縁がなければ、ただの路地裏の迷い人で終わってしまいます。

悩めるお客さんのために、シャールさんの手作りで提供してくれるメニューは天下一品!
とっても美味しそうで、胃やお腹だけでなく、心も満腹にしてくれるお料理に、凛も訪れてみたいなあと思わずにはいられませんでした。
ご縁は大事にしたいものですね。

第1巻には、四つのお話が描かれています。
第1話は、「春のキャセロール」
悩める40代キャリア女性の早期退職の肩たたきにあうかもしれないという不安は、如何にして解消されますでしょうか。

第2話は、「金のお米パン」
中学生男子の突然の食生活の変化と、生徒が通学する学年主任の男性の先生とのふれあいにほろりとします。

第3話は、「世界で一番女王なサラダ」
20代の女性の下請けライターの仕事に対する悲哀と本音が交錯していきます。

第4話は、「大晦日のアドベントスープ」
みんな、シャールさんが大好きなのです。
兎にも角にも、シャールさんに元気になってもらわないといけないのです。

凛が持っている12版の帯には、「思いきり泣きたい夜にいらしてください」と書いてあります。
「ここは"運命が変わる"夜食カフェ」とも書いてありますよ~
「マカン・マラン」のシャールさんに出会えて、シャールさんの手作りの夜食メニューをいただけたら、あなたや凛の運命はどのように変わるのでしょうか。
作中には、食材、レシピの説明も丁寧に書いてあります。

古内一絵氏は、2010年、『銀色のマーメイド』(中公文庫、2018年)で、第五回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞☆彡されて、翌年、作家デビューをされました。
この作品は、『快晴フライング』(ポプラ社、2011年、ポプラ文庫、2013年)で刊行された後、改題、加筆・改稿されています。
2017年、『フラダン』(小峰書店、2016年、小学館文庫、2020年)で、第6回JBBY賞(文学作品部門)を受賞☆彡されています。
作家デビューされる前は、映画会社に勤務、退職後、中国語の翻訳家としてご活躍されるという経歴をお持ちです。

文体は大変読みやすく、登場人物に親しみがわく設定になっています。
また、主要な漢字にルビがふってあるので大変読みやすく、幅広い年代の読者層への配慮が窺えます。
しかし、内容は大変深く、人生の悲喜こもごもが丁寧に描かれていて、どの世代にも心にズキンと響いてくるのではないかと凛は思います。

帯には、「第1位 読書メーター OF THE YEAR シリーズランキング」と出ています。
読者にずっと大切にされている幸せな本というのがわかりますねえ。

『マカン・マラン』シリーズは、第4巻まで続きます。
凛のりんりんらいぶらり~では、今後、1巻ずつご紹介していく予定です。
しかし、この企画はシャールさんの隠れ家夜食カフェの「マカン・マラン」と同様に不定期ですので、いつ続編のご紹介が出てくるかは、今後のお楽しみにということで、末永くご愛顧よろしくお願いいたします!(^_-)-☆

あなたも泣きたい夜には「マカン・マラン」へ。
個性的なシャールさんが、あなたの話をとことん聞いてくれて、あなたに合ったとっておきのメニューを提供してくれるでしょう。
思い切り悩みを吐き出した後は、もう、泣きません。

それに、食事の大切さがわかります。
身体に優しい食事はあなたを笑顔に導いてくれます。
そして、あなたも凛も、この本で元気になりましょう!

今夜もあなたにおすすめの一冊でした。(^o^)

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2020年8月4日火曜日

これが現実になったら

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にお越しくださり、ありがとうございます。
とともにどうぞおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

あなたが暮らしている日々は平和でしょうか。
少なくとも文学と親しんでいるのは平和な証拠だといえましょう。
誰しもが平穏に暮らしていきたいと願うのは当然のことでしょう。
しかしながら、この地球上のどこかで争いごとが起きているのが現実でしょう。

今夜も凛のりんりんらいぶらり~を楽しんでくださっているあなたのおうちの内外は静寂でしょうか。
忙しかった一日を終えて、ほっとしていたい夜、これから眠りに入り、どんな夢をみましょうか。
明日は今日よりももっと快適な一日を過ごせるようになっていこうという願いをこめて、眠りに入るのではないでしょうか。
そして、ぐっすりと眠った朝は、心地よく朝日を浴びて、これまでと同じような一日がまた始まるという期待感でいっぱいになることでしょう。

一日24時間のうちの3分の1は睡眠にあります。
凛も平和な一日を過ごしたいと思っています。
確実な明日の幸福を目指して眠りたいですね。
快適な眠りは明日への糧となり、希望をもって明日へとつないでゆきます。(^o^)

ところが、そうではない世界を描いた小説があります。
朝、目覚めたら、とんでもないことが起きていて、あなたが住んでいる国家に戦争が始まっていたというお話です。
つまり、本人が知らない間に、昨夜とは全く違う世の中になっていたのです。
もしあなたが眠っている間に、国家で戦争が始まっていたとしたら……。

今回は、そんな誰も体験したくないであろう小説をご紹介しましょう。
それは不可思議な小説ともいえましょう。

中村文則氏の小説『R帝国』(中公文庫、2020年)はまさに近未来のSF小説、そして戦争を描いた小説です。
2017年に中央公論新社から単行本で発刊されています。

この作品は、第一部と第二部から構成されています。
小説では書き出しが大切であると言われます。
第一部の冒頭は、まさに文豪、川端康成氏の『雪国』(岩波文庫、2003年、新潮文庫、2006年、角川文庫、2013年など)級のものだろうと凛は思いました。
凛は最初の一行でその世界に引き寄せられてしまいました。

R帝国という架空の島国の国家の最北端のコーマ市に住む青年の矢崎は、ある朝、目覚めたら、国民としてR帝国に戦争が始まったことを知ります。
隣国のB国に宣戦布告をしていて、彼が目覚めたときには既にB国の核兵器発射準備を察したR帝国が空爆をしていました。
HP(ヒューマン・フォーン)という、現在のスマホをもっと進化させた人工知能搭載の機械から映し出された国営放送で、彼はそのことを知ります。
"党"からの広報が真実なのか、否か。

矢崎が住むコーマ市は、あれよと言う間もなく、Y宗国からの攻撃を受けます。
コーマ市民が入り乱れ、逃げまどう姿が画面に映し出され、R帝国の国民たちを震撼させますが、国民には自分たちのために一部の国民が犠牲になるのは仕方がないという気持ちが生じます。
「抵抗」という言葉は、R帝国では既に死語と化していることを悟る場面に、矢崎は遭遇します。

かつて存在していたGY国という国家から分裂したG宗国とY宗国が戦争をしていました。
そのY宗国の女性兵士となったアルファの壮絶な過去の体験が綴られます。
YP-Dという人工知能の兵器が容赦なくコーマ市の建物や市民たちを襲います。
「抵抗」ができない状態で、矢崎はどのように動いていくのでしょうか。

もう一人、栗原という男性が"L"という地下組織のサキという女性と出会います。
彼は、R帝国でただ一人の野党議員である片岡の秘書を務めています。
栗原の周囲に不穏な動きが始まります。

第二部では、R帝国の国民の肉声に迫ります。
一般男性、兵士の男性、一般女性の各人の本音が吐き出されています。
情報、フェイクニュース、SNS、欺瞞、自己防衛、他人への攻撃、真実、虚構、複雑な人間関係、子育て……。
凛は、厳重に管理されたR帝国において、彼らの肉声のどこまでが本音なのだろうかと思いました。
そもそも肉声を誰が聞き出しているのでしょう。

栗原と矢崎の過去から、彼らの運命は如何に……。
そして、R帝国はどうなるのでしょうか。

凛は、三点について着眼しました。
第一点目は、人間が生死がかかる極限の状況におかれたとき、その人の本来もつ本性が表れることです。
エゴ、嘘偽り、裏切り、諦め、優越感、敗北感、自己陶酔など……。
上辺や綺麗ごとだけでは済まされない人間の深層の部分、中村氏はこれを見事に描き切っています。

第二点目は、技術の革新的な進歩です。
現在よりもさほど遠くかけ離れた未来の話ではないものが出てきます。
その中で、凛は三つの技術に注目しました。

一つ目は、ヒューマン・フォーンと呼ばれるHPです。
HPは所有者の性格を判断して、自ら考えます。
状況を判断して、自ら電源をオン・オフすることができます。
所有者に指示することも頻繁にあり、助ける面だけでなく、逆にやっかいな面も持ち合わせています。
必ずしも所有者に従順でないところが、人間的であるともいえます。

二つ目は、無人タクシーです。
勿論、画像で記録され、通信されています。
利用者が有人タクシーとの共用をしているところが、数年先には実現しているかもしれないと思った凛です。

三つ目は、YP-Dのような人工知能搭載の兵器です。
これに関しては、凛には小説を通して想像するしかありません。

第三点目は、個人としての幸福についてです。
国家と国民との関係において、幸福を追求していくには各人がどうしたらよいのでしょうか。
人間が生きていくためには何が必要なのでしょうか。

凛が持っている文庫本の初版の帯には、「キノベス!2018 第1位」「アメトーーク!『読書芸人』で紹介」「読売新聞、毎日新聞等で紹介」と掲載されており、太字で「各メディア大絶賛」と書いてあります。
文庫の巻末には、中村文則氏の解説「文庫解説にかえて──『R帝国』について」が掲載されており、読者に向けて、より考えさせられる内容となっています。

以上、まとめますと、さほど遠くはない近未来社会において、人間の幸福と尊厳を追求するためには、「今」をどのように考えて生きていけばよいのかということを、中村氏がこの作品を通して提案しているのではないかと、凛は考えました。

作者の中村文則氏は、2002年、小説『銃』(新潮社、2003年、新潮文庫、2006年、河出文庫、2012年)で、第34回新潮新人賞☆彡を受賞され、作家デビューされました。
2004年、小説『遮光』(新潮社、2004年、新潮文庫、2010年)で、第26回野間文芸新人賞☆彡を受賞されました。
2005年、小説『土の中の子供』(新潮社、2005年、新潮文庫、2007年)で、第133回芥川賞☆彡☆彡の受賞に輝きました。
2010年、小説『掏摸<スリ>』(河出書房新社、2009年、河出文庫、2013年)で、第4回大江健三郎賞☆彡を受賞され、英訳『The Thief』はアメリカの『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙の2012年同ベスト10小説☆彡に選ばれました。
ほか多数の受賞歴があり、また、多くの作品が翻訳されています。

今回の作品は、凛がこれまでりんりんらいぶらり~でご紹介いたしました作品とは読後感が少々異なるかもしれません。
人は誰しも幸せに生きることを願っているものと思います。
今夜もぐっすり眠れて、目覚めのよい明日を迎えるためには、毎日が幸福でないといけませんね。
幸福とは何でしょうか。
あなたも凛も、そのことをしっかりと考える必要があるのではないでしょうか。
そのようなことをこの小説を通して考えてみるのもよいのではないかと、あなたに凛からの一案です。

今夜もあなたにおすすめの一冊でした。(^-^)

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(日本語)文庫-2020/5/21中村文則(著)
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2020年7月24日金曜日

ラジオはお好き?

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

あなたはラジオをお聴きになられていらっしゃいますか。
とっておきのお気に入りのラジオ番組がありますか。

凛にも好んでよく聴いているラジオ番組があります。
ラジオはテレビなどの映像とは違って、聞き流しながら作業ができるのがいいですね。
また、パーソナリティのリスナーの一人一人に対する語り口が、より身近に感じられることがラジオの良い点として挙げられます。

凛は、ラジオで音楽を聴くのが好きです。
凛は以前から洋楽が好きでしたが、最近は昔流行った日本の音楽もいいなあと思うようになってきました。
その理由は、記憶に擦り込まれたメロディが心地よくて、気軽に口ずさむことができるからでしょうか。

昨今は様々なメディアが出てきて、昔のように地上波テレビを家族一緒に団欒として視聴することは少なくなってきたのではないでしょうか。
それには、経済の発展とともに、家族の在り方に変化が生じてきていることも挙げられましょう。
しかし、今回の新型コロナウィルスの影響で、リモートワークやオンライン授業などが取り入れられ、家庭内での過ごし方に変化が生じてきているようです。

現在は、パソコンだけでなく、スマートフォン、タブレット型端末など、様々な通信機器があります。
それに伴い、インターネットによるYouTubeなどの動画サイトにも随分といろいろなものが出てきました。
これから5G全盛の時代に突入しますので、これらの分野はますます発展していくでしょう。

ラジオの世界も、放送と同時刻に聴くだけではありません。
聞き逃しのないように録音する方法もあります。
それから、ポットキャスティング、radikoなどのアプリなどを用いて、スマートフォンやパソコンで聴ける時代になりました。
ワイドFMになって、AM局の音質が格段と良くなりました。

今、かかっているこの曲のタイトルは?アーティストは?
な~んて疑問は、瞬時に番組のホームページで確認ができます。
その曲が入っているアルバムもわかりますし、インターネットで即時に購入もできます。

以上、凛は技術的な進化を中心に書きましたが、本当に便利な世の中になりましたね。(^_^)v

このようなラジオとのつながりを描いた小説が、原田ひ香(ひか)氏の『ラジオ・ガガガ』(双葉文庫、2020年)です。
2017年に双葉社から単行本として刊行されました。

凛が持っている文庫本の初版の帯には、「誰にでも一人で抱えきれない夜がある」と出ています。
帯には「ラジオ小説」と紹介されていますが、「ラジオ小説」とは何だろう?と、凛がよく利用している近所の書店の店頭でこの文庫本を見たときに、とても不思議に思いました。
そして、実際に放送されているラジオ番組が登場するということが、帯からの情報で、凛の興味のアンテナがピピピと反応したのは紛れもない事実です。

さて、この作品は、全6話から成っています。
登場人物たち一人一人が「ラジオ」という媒体に関わって、それぞれのドラマが展開していきます。
それは、現在の番組だけとは限りません。
過去に放送された番組や歌などと向き合う人もいます。

第一話「三匹の子豚たち」は、伊集院光さんのラジオ番組の大ファンという70代の女性のお話です。
彼女には三人の息子さんがいます。

第二話の「アブラヤシのプランテーションで」では、異国で心機一転を図った日本人男性の話。
昔ラジオで聴いた歌が!

第三話「リトルプリンセス二号」では、ラジオドラマについて描かれています。

第四話「昔の相方」は、タイトル通り、漫才コンビの昔の相方だった人との関わり方が描かれています。

第五話「We are シンセキ!」は、中学二年生の女子たちの物語です。
某ラジオ番組に耳を傾けている女子中学生たちはどんな心境で聴いているのでしょうか。

最終話「音にならないラジオ」は、ラジオドラマ作家の話です。

以上、この作品の登場人物たちは、それぞれのラジオとの関わりを、明るく希望の星として捉えたり、または辛い媒体として重くのしかかっていたりと、実に様々です。
ラジオを通して、それぞれの人生模様が展開されています。
普段BGM代りに聴いているラジオの世界が、こんなに広くて深いものだと改めて知った凛です。

作者の原田ひ香(ひか)氏は、2006年、この文庫に収録されている「リトルプリンセス2号」第34回NHK創作ラジオドラマ大賞の最優秀作☆彡として受賞されました。
それから、翌年の2007年には、小説『はじまらないティータイム』(集英社、2008年)第31回すばる文学賞☆彡を受賞されています。
『ランチ酒』(祥伝社、2017年)、『ランチ酒 おかわり日和』(祥伝社、2019年)など多くの作品があります。

原田ひ香氏は、シナリオライターでご活躍されたことからか、会話文がとても鋭く冴えています。
登場人物が本音で語る部分が多く、読者に寄り添うような形で、凛に迫ってきました。

ああ、そうだよね。うん、そうそう。
なるほど、わかる、わかる。
へえ、そうだったのかあ。
あら、それは知らなかったなあ。
え、それはちょっと違うんじゃない。
などと、登場人物と自由に会話しながら読めますよ~ (^o^)

ラジオの世界があなたにもぐーんと身近に感じられる小説です。
文庫本の表紙の女性は、机に座ってラジオを聴きながら、窓から月明りの夜空の向こうを眺めています。
その光景は、凛も同じかもしれません。

あなたは、暮らしの中で、どのような形でラジオと向き合っていらっしゃいますか。
車の中で、または職場で、それからご自宅で。

凛は、FM東京系の深夜0時からの『ジェット・ストリーム』の6代目パーソナリティの福山雅治さんがゆっくりと語りかけている声をよく聴いています。
凛は、5代目パーソナリティの大沢たかおさんのときもよく聴いていました。
この文庫本の表紙のように、凛も耳に心地よい音楽を聴きながら夜空を見上げています。

あなたも原田ひ香氏の「ラジオ小説」を読んで、ラジオとふれあってみませんか。
あらゆる角度から、あなたに寄り添ってくれる小説です。
ああ、ラジオって何だか落ち着くなあ、とってもいいなあと、新たな発見があるかもしれませんよ。

今夜も凛からのおすすめの一冊でした。(^-^)

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(日本語)文庫-2020/5/13原田ひ香(著)
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