2020年7月24日金曜日

ラジオはお好き?

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

あなたはラジオをお聴きになられていらっしゃいますか。
とっておきのお気に入りのラジオ番組がありますか。

凛にも好んでよく聴いているラジオ番組があります。
ラジオはテレビなどの映像とは違って、聞き流しながら作業ができるのがいいですね。
また、パーソナリティのリスナーの一人一人に対する語り口が、より身近に感じられることがラジオの良い点として挙げられます。

凛は、ラジオで音楽を聴くのが好きです。
凛は以前から洋楽が好きでしたが、最近は昔流行った日本の音楽もいいなあと思うようになってきました。
その理由は、記憶に擦り込まれたメロディが心地よくて、気軽に口ずさむことができるからでしょうか。

昨今は様々なメディアが出てきて、昔のように地上波テレビを家族一緒に団欒として視聴することは少なくなってきたのではないでしょうか。
それには、経済の発展とともに、家族の在り方に変化が生じてきていることも挙げられましょう。
しかし、今回の新型コロナウィルスの影響で、リモートワークやオンライン授業などが取り入れられ、家庭内での過ごし方に変化が生じてきているようです。

現在は、パソコンだけでなく、スマートフォン、タブレット型端末など、様々な通信機器があります。
それに伴い、インターネットによるYouTubeなどの動画サイトにも随分といろいろなものが出てきました。
これから5G全盛の時代に突入しますので、これらの分野はますます発展していくでしょう。

ラジオの世界も、放送と同時刻に聴くだけではありません。
聞き逃しのないように録音する方法もあります。
それから、ポットキャスティング、radikoなどのアプリなどを用いて、スマートフォンやパソコンで聴ける時代になりました。
ワイドFMになって、AM局の音質が格段と良くなりました。

今、かかっているこの曲のタイトルは?アーティストは?
な~んて疑問は、瞬時に番組のホームページで確認ができます。
その曲が入っているアルバムもわかりますし、インターネットで即時に購入もできます。

以上、凛は技術的な進化を中心に書きましたが、本当に便利な世の中になりましたね。(^_^)v

このようなラジオとのつながりを描いた小説が、原田ひ香(ひか)氏の『ラジオ・ガガガ』(双葉文庫、2020年)です。
2017年に双葉社から単行本として刊行されました。

凛が持っている文庫本の初版の帯には、「誰にでも一人で抱えきれない夜がある」と出ています。
帯には「ラジオ小説」と紹介されていますが、「ラジオ小説」とは何だろう?と、凛がよく利用している近所の書店の店頭でこの文庫本を見たときに、とても不思議に思いました。
そして、実際に放送されているラジオ番組が登場するということが、帯からの情報で、凛の興味のアンテナがピピピと反応したのは紛れもない事実です。

さて、この作品は、全6話から成っています。
登場人物たち一人一人が「ラジオ」という媒体に関わって、それぞれのドラマが展開していきます。
それは、現在の番組だけとは限りません。
過去に放送された番組や歌などと向き合う人もいます。

第一話「三匹の子豚たち」は、伊集院光さんのラジオ番組の大ファンという70代の女性のお話です。
彼女には三人の息子さんがいます。

第二話の「アブラヤシのプランテーションで」では、異国で心機一転を図った日本人男性の話。
昔ラジオで聴いた歌が!

第三話「リトルプリンセス二号」では、ラジオドラマについて描かれています。

第四話「昔の相方」は、タイトル通り、漫才コンビの昔の相方だった人との関わり方が描かれています。

第五話「We are シンセキ!」は、中学二年生の女子たちの物語です。
某ラジオ番組に耳を傾けている女子中学生たちはどんな心境で聴いているのでしょうか。

最終話「音にならないラジオ」は、ラジオドラマ作家の話です。

以上、この作品の登場人物たちは、それぞれのラジオとの関わりを、明るく希望の星として捉えたり、または辛い媒体として重くのしかかっていたりと、実に様々です。
ラジオを通して、それぞれの人生模様が展開されています。
普段BGM代りに聴いているラジオの世界が、こんなに広くて深いものだと改めて知った凛です。

作者の原田ひ香(ひか)氏は、2006年、この文庫に収録されている「リトルプリンセス2号」第34回NHK創作ラジオドラマ大賞の最優秀作☆彡として受賞されました。
それから、翌年の2007年には、小説『はじまらないティータイム』(集英社、2008年)第31回すばる文学賞☆彡を受賞されています。
『ランチ酒』(祥伝社、2017年)、『ランチ酒 おかわり日和』(祥伝社、2019年)など多くの作品があります。

原田ひ香氏は、シナリオライターでご活躍されたことからか、会話文がとても鋭く冴えています。
登場人物が本音で語る部分が多く、読者に寄り添うような形で、凛に迫ってきました。

ああ、そうだよね。うん、そうそう。
なるほど、わかる、わかる。
へえ、そうだったのかあ。
あら、それは知らなかったなあ。
え、それはちょっと違うんじゃない。
などと、登場人物と自由に会話しながら読めますよ~ (^o^)

ラジオの世界があなたにもぐーんと身近に感じられる小説です。
文庫本の表紙の女性は、机に座ってラジオを聴きながら、窓から月明りの夜空の向こうを眺めています。
その光景は、凛も同じかもしれません。

あなたは、暮らしの中で、どのような形でラジオと向き合っていらっしゃいますか。
車の中で、または職場で、それからご自宅で。

凛は、FM東京系の深夜0時からの『ジェット・ストリーム』の6代目パーソナリティの福山雅治さんがゆっくりと語りかけている声をよく聴いています。
凛は、5代目パーソナリティの大沢たかおさんのときもよく聴いていました。
この文庫本の表紙のように、凛も耳に心地よい音楽を聴きながら夜空を見上げています。

あなたも原田ひ香氏の「ラジオ小説」を読んで、ラジオとふれあってみませんか。
あらゆる角度から、あなたに寄り添ってくれる小説です。
ああ、ラジオって何だか落ち着くなあ、とってもいいなあと、新たな発見があるかもしれませんよ。

今夜も凛からのおすすめの一冊でした。(^-^)

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(日本語)文庫-2020/5/13原田ひ香(著)
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2020年7月14日火曜日

日本の文字の始まりを知る

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
とご一緒にどうぞおくつろぎくださいませ~(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

世界中で新型コロナウィルスの影響が続いています。
日本国内では、豪雨で被害に遭われた方もいらっしゃいます。
あなたの生活には変化が生じていらっしゃいませんか。
くれぐれもお身体の管理にはご留意くださいますように。

自粛は解除になりましたが、雨のため、おうちで過ごすことが増えた方も多いのではないでしょうか。
退屈などと感じるのはいかがなものでしょう。
自分と向き合える時間にいたしましょう。

あなたにも、凛にも、与えられた時間は同じ一日24時間。
凛はこれまでと変わらず本とふれあう時間を大切にしています。
本から多くの事柄を学び、考え、そして、時空の旅を楽しんでいます。(^o^)

凛は、どうしたら不安を払拭して、未来に立ち向かう勇気が得られるかを考えてみました。
古代の日本の人たちはどうやって困難を乗り越えてきたのでしょうか。
そこで、日本の文字の始まりについて学び直して、原点に還ってみようと思いました。

何が原点であるかは、個々人の考え方や価値感が違うので、異なると思います。
あなたにとっての原点とは何でしょう。

さて、今回は古代の文学について、お勉強をいたしましょう。
え?寝る前に?と思われているあなた、ご心配要りませんよ。
お休み前のおくつろぎのひとときですので、さらりといきますね。

凛の机の棚にデーンと並べている蔵書から『改訂増補 最新国語便覧』(浜島書店、2009年改定版発行、2017年印刷・発行)を開いてみました。
オールカラーで、大人になっても「学んでいるぞ!」という気持ちになれます。(^^)v

この本の「上代の文学」の項、70頁~71頁には、「口承文学の発生」「文化の伝来」「記載文学」の三つの項目が掲載されています。
「上代」というのは、大和政権が成立する以前の多くの小国が分立した頃から、桓武天皇の平安京遷都(794年)までの時代をいいます。
では、簡単におさらいをいたしましょう。

まず、70頁には、「口承文学の発生」が掲載されています。
古代人にとって、自然の神さまたちと密接なため神事が発達したことから、文学の発生になる基盤が始まったとされています。
言霊信仰から、呪詞(じゅし)が生まれました。
まだ文字がない時代でしたから、歌謡だけでなく、人々の口から語り継がれていった神話や説話が生まれました。
これらは口承文学といわれます。

次に、「文化の伝来」(70頁~71頁)にいきましょう。
遣隋使と遣唐使の派遣によって、大陸からの文化の影響を受けて、飛鳥文化・白鳳文化・天平文化などが栄えました。
6世紀半ばごろに、大陸から仏教が伝来したと推定されています。

この項で凛が注目したのが、5世紀頃に、大陸から漢字と漢籍が伝来していたと推定されていることです。
外国語であったものを、漢字の音に日本語の意味をあてはめて訓とし、工夫されました。
漢字の音から「万葉仮名」や「宣命(せんみょう)書き」などが発明されたということです。

なんとすばらしい発明でしょう!\(^o^)/
これらの先人たちによる努力がなければ、あなたも凛も日本語で書かれた本を読むことができないのです。

最後に、「記載文学」(71頁)の項に入ります。
日本に文字ができたことにより、口から伝わる口承文学から、記載文学へと時代が推移します。
8世紀初頭、『古事記』『日本書紀』『風土記』などの優れた文学が生まれました。
751年に編まれた『懐風藻』は、現存する最古の漢詩集です。

そして、令和になり、今の時代を生きる私たちに、その存在をあらためて国民に知らしめた『万葉集』は、760年前後に成立されたとされる、現存する日本で最古の和歌集です。

以上、まとめますと、「上代の文学」は、「まことの文学」と呼ばれて、素朴な古代人の姿が表われていることが特徴とされています。(71頁参照)

ここで、凛のおさらいは終わりますよ~
凛にお付き合いくださり、ありがとうございました。
お疲れさまでした。
「上代の文学」にご興味を抱かれたあなたは、専門書でさらに詳しく学んでくださいね。(^-^)

まだ凛のブログは終わりませんよ~
ここで閉じないでくださいね。(^o^)

さて、大陸から漢字や漢籍が伝来して日本の文字文化が生まれたといわれていますが、それは、凛が上記でごく数行にしかまとめていない「上代の文学」の中のほんのわずかな部分でしかありません。
このごくわずかな文字数の中に、人々の壮大な歴史ロマンがあるのです。
今夜は、日本の文字の伝来・伝承という黎明期において、一族九代に渡って通訳として大活躍した物語をご紹介いたしましょう。

箒木蓬生(ははきぎ ほうせい)氏の長篇小説『日御子(ひみこ、上・下巻)』(講談社文庫、2014年)です。
2012年、講談社より単行本として刊行されています。

この作品の中心となる<あずみ>の一族は、中国と日本とを結ぶ使譯(しえき)という通訳を務める役目を代々受け継いでいきます。
言葉を媒介にして、大陸との外交を担っている<あずみ>一族には、代々伝わる四つの教えがありました。

凛が持っている文庫本初版の上巻の帯には、その四つの教えが紹介されています。
「人を裏切らない。─」
「人を恨まず、戦いを挑まない。─」
「良い習慣は才能を超える。─」
「骨休めは仕事と仕事の転換にある。─」

文庫本の上巻を開くと、まず「2~3世紀頃 倭国想像図」(4頁)が掲載されています。
那国、伊都国、弥摩大国、求奈国、壱岐国など、現在の北部九州の福岡県、熊本県、佐賀県、長崎県であることがわかるようになっています。
箒木蓬生氏は福岡県のご出身で、畿内説などの邪馬台国における様々な論争には触れずに、九州を舞台にした歴史ロマンの物語として描いていらっしゃいます。

この小説は三部構成となっています。
文庫本上巻の第一部は、「朝貢」で、<あずみ>一族の針が、祖父の灰から漢への使者となった体験談を告げられた話から始まります。
文庫本下巻からの第二部は、「日の御子」として弥摩大国の日御子女王に仕える炎女が中心となり、女王の不思議な力に魅せられます。
同巻第三部の「魏使」では、銘が、265年に建国された晋への使者となって大陸へ向かいます。
以上、三部の構成によって、灰、圧、針、江女、朱、炎女、在、銘、治の九代にいたる<あずみ>一族の200年に及ぶ壮大な歴史物語が展開されます。

第一部の祖父の灰が孫の針に語る体験談は、これから始まる歴史のうねりが予感されます。
何よりも那国の使者・灰が謁見した漢の光武帝に授かった「漢委奴国王印」である金印が出てくるところから、歴史上に物語るミステリー・ロマンとしてどんどん上書きされていき、読者の想像力が大いにかきたてられます。
<あずみ>一族は、先進国の漢から鉄や馬車や紙などの技術と文化を日本に伝えようと大変な努力をします。
<あずみ>の先祖が書き残した竹簡の文字から記録という概念がどれだけ貴重であるかを読み取れます。

凛は、針が大陸に渡っていく様子から、周辺国の海路と陸路が充実していたことに感動しました。
また、四つの教えを信念として子孫に伝えていく姿に、一族代々の誇りをもっていることに感銘しました。
それから、生口(せいこう)と呼ばれた人たちの存在にも驚きをもちました。
日常的に日本語の文字の読み書きをしている凛は、この作品のおかげで古代を生きた人たちの誇りを受け継ぎ、感謝して、原点に還った思いをいたしました。

精神科医で作家の箒木蓬生氏のこの作品は2012年、『週刊朝日』歴史・時代小説ベスト10の第2位☆彡になり、また、2013年、第2回歴史時代作家クラブ賞作品賞☆彡を受賞しています。

帚木蓬生氏は、開業医を続けながら、多くの作品をご執筆されていらっしゃいます。
小説『三たびの海峡』(新潮社、1992年、のち新潮文庫、1995年)で、1993年、第14回吉川栄治文学新人賞を受賞☆彡され、小説『閉鎖病棟』(新潮社、1994年、のち新潮文庫、1997年)では、1995年、第8回山本周五郎賞を受賞☆彡の他、書ききれないほどたくさんの受賞歴があります。
ここにあげた二作品は映画化されて、ご存じの方も多いでしょう。

近年では、小説『守教(上・下)』(新潮社、2017年、のち新潮文庫、2020年)で、2018年、第52回吉川栄治文学賞受賞☆彡、第24回中山義秀文学賞受賞☆彡をされています。

帚木蓬生氏からの贈り物、古代歴史ロマンをあなたもご堪能されてはいかがでしょう。
読後には、言葉の大切さを知り、爽快な気分になれましょう。
凛は、読書を楽しめていることにあらためて感謝の念をもつことができました。

そして、困難に打ち勝つ勇気をもって明日へ臨んでいきましょう。\(^o^)/
それでは、あなたもよい夢をごらんになられて下さいね。

最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
今夜も凛からあなたにおすすめの作品でした。(^-^)

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(日本語)文庫-2014/11/14帚木蓬生(著)

(日本語)文庫-2014/11./14帚木蓬生(著)
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2020年7月3日金曜日

図書室で過ごしたあの頃

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ~(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

あなたは今、どのようにお過ごしですか。
夜を迎えて、一日の終わりの眠る前のいちばんホッとするひと時、それはあなただけの貴重なお時間ですから、大切にお過ごしくださいね。
凛のりんりんらいぶらり~で、凛と本の話題について楽しい時間を共有していただくのは、大変嬉しいことです。(^o^)

本がお好きなあなたは、図書館をご利用されることもおありでしょう。
あなたがご利用されている図書館はどんな雰囲気でしょうか。

凛は、カフェが併設されていたり、天井が高く明るくて、斬新な建築の近代的なお洒落な図書館も好きですし、歴史を感じさせる建物で、陽光を避けた感じの落ち着いたぬくもりのある図書館も好きです。
本がいっぱい所蔵されていれば、凛には快適な空間なのです。

あなたは学生時代に、学校の図書室はお好きでしたか。
凛は校内の図書室がとても好きな学生でした。
小学校の頃から図書室はとても好きな空間でした。
特に、高校時代は帰宅部だったということもあって、放課後に図書室で過ごすことが多かったです。

高校生だった凛が、学校の図書室のどういうところが好きだったのかを今考えると、以下の三つが挙げられます。

一つ目は、静寂な空間であること。
授業を終えて放課後に、部活や帰宅にと友達は目的をもってそれぞれの場所に向かいました。
凛は「じゃあ、また明日ね。さようなら」と友達に言って、一人で図書室へと向かう学生でした。

図書室に入った途端、急にしーんとして、まるで異次元に入ったような不思議な空間が広がります。
窓からうっすらと射してくる夕陽の端っこをそっと踏んで歩く凛がいます。

窓の外からは運動部の人たちの声が、走っている足音と共に近くなったり、遠くなったりしています。
外から聞こえてくる複数の音の高低を、まるでBGMのように耳にしながら、誰とも話すこともなく静寂な空間に身を置いて、ただ一人で静かに過ごす時間は、凛にとって至福の極みといっても過言ではありませんでした。

二つ目は、本に携わる人たちがいること。
図書室には図書委員や司書の先生がいらっしゃいました。
図書室は大声で会話ができない空間なので、小さな声でのやりとりが余計に優しく接していただいているように感じていました。
黙々と、しかもてきぱきと、貸し出しの作業をしている係の方たちの姿を目にすると、思春期の凛にはとても素敵に思えてなりませんでした。

図書室にいるのは凛の他にも学生が多く利用していました。
一人で静かに本を読んでいる人、参考図書とともに学習をしている人、書架の前に立って本を探している人、閲覧している人など、みな凛と同じ空間と時間を共有している仲間たちです。
いつも会う人もいれば、初めて見る人もいました。
言葉には出さなくとも、みな本を媒体とした仲間であるという意識を凛はもっていました。

三つ目は、知の宝庫であること。
図書室の奥のほうに向かうと、陽があたらない薄暗い書架に、文豪たちの分厚い全集や、辞典・事典類、それから岩波文庫、専門書のコーナーなどがずらりと並んでいました。
「よいしょ」と、どっしりと重い本を音がしないように注意しながら書架から出して見るのが楽しかったです。

ページを開くと、そこはもう知の世界!\(^o^)/
おお、凛が知らないことばかり!
知る喜びを享受する体験はこの図書室で生まれたのかしら。
小さな文字でびっしりと書いてある難しい内容に驚きながら、これを読みこなせるときが凛にはくるだろうか、いや、必ず読みこなすぞ、などと思いながら手にしていました。

以上、凛が学校の図書室が好きだった三点を挙げました。
やがて図書室を出る時間になると、外はうす暗くなっていました。
凛は時間と空間と知の旅を図書室で楽しんでいました。

このように、凛には学校の図書室で過ごした懐かしい思い出がたくさんあります。
あなたの学校の図書室での思い出にはどんなことがありますか。

さて今夜は、高校の図書室の図書委員を描いた青春ミステリー小説として、米澤穂信氏の図書室ミステリー小説『本と鍵の季節』(集英社、2018年)をご紹介いたしましょう。
高校の図書委員を務める共に二年生の堀川次郎と松倉詩門(しもん)という二人の男子高校生がメインとなって、図書室を訪れる学生たちと彼らの周辺をめぐるお話が6篇収められています。

彼らの通う高校は進学校ですが、図書室を利用する学生はほとんどいない設定となっています。
放課後のとても静かな図書室で、当番の二人は図書を書架に収めたり、貸出の整理をしたりしています。

二人は仲が良いけれども、その実、堀川次郎から見た松倉詩門は身長が高くてイケメンであると相当意識している点が、思春期らしい青年だなあと凛は思えて、堀川次郎に好感がもてました。
他方、イケメンでクールな松倉詩門には謎が多くて、彼のミステリアスな部分がとても気になる凛でした。

そんな対比的な二人が務める図書室に様々な人が訪れて、事件を解決していくのです。
以下、六つのお話で構成されています。

一話目の「913」は、6月、先輩女子が図書室に訪れて、亡き祖父が遺した金庫の鍵の番号を探して欲しいと言うので、二人は彼女の家を訪ねてみます。
そこで彼らが見たものは……。

「ロックオンロッカー」は、夏の初め、堀川次郎の持っていた美容室の利用券を用いて、二人で訪れた美容院での盗難のお話です。
図書室外での番外編ともいえます。二人は少し大人になったのかな。

「金曜に彼は何をしたのか」では、7月の期末テストの準備期間中、図書委員の一年生の後輩男子から、同じ高校に通う二年生の兄が試験問題を盗んだと疑われている件で、二人は相談を受けます。

「ない本」は、秋になり、受験シーズンを意識する頃、或る三年生の男子生徒が亡くなりるのですが、彼が亡くなる前に読んでいた本について、彼の同級生の男子が相談しに図書室を訪れます。

「昔話を聞かせておくれよ」では、冬が近くなり、図書室で松倉詩門は父親の話を堀川次郎に話します。

最後の「友よ知るなかれ」では、木枯らしが吹く冬、松倉詩門の父親をめぐる謎の解決は如何に……。

全て読み終えて、改めて本のタイトル『本と鍵の季節』に、なるほど~と納得できます!
めぐる季節を背景にし、図書室で時間を共有する二人の思春期の男子高校生の成長物語でもあります。
合わせて、図書に関する情報が満載で、本の様々なことを学べます。
それから、全編を通して実在の和洋の本が紹介されていて、それらに関する二人の会話がとても鋭いのです。

米澤穂信氏は、『<古典部>シリーズ』の第一弾、2001年、『氷菓』(角川スニーカー文庫、2001年、のち角川文庫、2005年)でデビューし、第5回角川学園小説大賞(ヤングミステリー&ホラー部門)奨励賞☆彡を受賞されています。
この『<古典部>シリーズ』は第六弾の『いまさら翼といわれても』(KADOKAWA、2016年、のち角川文庫、2019年)まで続いています。
映画化、テレビアニメ、コミックスと人気があり、あなたもご存知ではないでしょうか。

2014年、『満願』(新潮社、2014年、のち新潮文庫、2017年)では、第27回山本周五郎賞☆彡を受賞されていますし、第151回直木賞候補☆彡ともなっています。
他にも多くの作品が受賞の候補となっており、ミステリー小説の人気作家として大変ご活躍されていらっしゃいます。

凛が放課後によく利用していた図書室ではミステリー小説になるような背景は考えられませんでした。
でも、もしかしたら、図書委員や司書の先生にこのような相談事がもちこまれていたとしたら……。
凛が知らないだけなのかもしれませんね。(*_*;

どうして作中の高校では、素敵な男子学生の二人がいる図書室が人気がなかったのかしらと、凛には不思議でなりません。
凛が通った高校は女子校だったので、男子高校生はいませんでした。(^-^;

あなたも図書室のミステリーに挑んではいかがでしょう。
素敵な男子高校生二人との青春の時間が過ごせますよ~
最後は、あなたの胸キュン、間違いありません!
二人の今後がとても気になる作品です。

今夜も凛からあなたにおすすめの一冊でした。(^-^)

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(日本語)単行本-2018/12/14米澤穂信(著)
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