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2025年10月12日日曜日

受けとめ方はあなた次第です ~秋吉理香子『終活中毒』(実業之日本社文庫、2025年)~

こんばんは。南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
お休み前のひとときに、本の話題でごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

お変わりありませんか?
暑かった夏から秋への移行が年々遅くなっています。
体調には気をつけていきたいですね。

いつまでも夏を引きずっていてはいけないことに気づかされる売り場があります。
それは、文具や雑貨店の手帳やカレンダー売り場です。
既に8月の夏真っ盛りの頃から手帳やカレンダーは売り出されてはいますが、これらの在庫が年々早く減っているように感じるのは凛の気のせいかしら?
お気に入りのデザインのものはお早めにゲット!ということでしょうね。(^.^)

暑いからといっていつまでも夏ではないのですねえ。
やはり日本は四季の国。
今年もあと2か月半。
時はどんどん過ぎてゆきます……。
10月に入ると、毎年同じことを感じている凛ですねww (^^;

モノの整理や空間を活かすことの重要性が認識されてからだいぶ経ちます。
そして、「終活」も!
高齢者だけでなく、若い年齢層の方々まで「終活」は浸透してきているようです。

人生100年時代とはいうものの、誰しにも当てはまるかといえば、さにあらず。
こればかりは誰にも予測できないこと。
だからこそ「終活」は大事なのです!

「終活」とは一体誰のためのもの?
自分自身のために、残された家族のために、次世代のために。
管理を徹底して、面倒なことは後回しにせず、後悔のないように。
「今」を生きるこの自身の手ですっきりさせましょう!

などというような強迫観念が蔓延しているかのごとく、、
自己管理と自己責任の重責がどど~っと重くのしかかってくる。
はて、世の中にはおすすめしたくない終活があるのでしょうか?

あなたは「終活」について考えたことはありますか?

今回ご紹介する文庫本は、秋吉理香子(あきよし りかこ)氏の短編小説集『終活中毒』(実業之日本社文庫、2025年)です。
単行本は、2022年7月に同タイトルで実業之日本社より刊行されています。

著者による「終活」をめぐる様々な状況設定に、読者はあらためて自身の人生にあてはめて考えていくことになるでしょう。
ミステリー仕立ての「終活」に、肯定あるいは否定的に捉える方もいらっしゃるかもしれません。

はじめに、この文庫本の入手についてです。
凛が持っている文庫本は、2025年6月15日付けの初版第1刷発行です。

ある日のこと、凛はいつもの近所の書店の文庫本の新刊コーナーで、ハッと目につくタイトルの文庫本を発見しました。
それが『終活中毒』というタイトル!
え? 中毒になるほどの「終活」って一体何をすることなの?
実に印象的なタイトルに凛は興味をひかれました。

次に、帯や表紙についてです。
一番目は、帯について。
凛が購入した初版本の文庫本の帯の表表紙側には、「最高の最期(エンディング)のはずが」
「まさかのどんでん返し⁉」
「人生の残り時間、あなたはどう生きる⁉」
「驚愕&感動の〈終活〉ミステリー!!」(以上、同帯)

帯の裏表紙側には、書評家の青木千恵(あおき ちえ)氏からのメッセージが、文庫本の解説から抜粋されています。
「主人公にも読者にも予測がつかない状態で展開し、着地がどうなるのか知りたくて、引き込まれる。」(同帯)

二番目は、表紙について。
まずは、表紙のデザインから。
水色をベースに、右側に白髪の女性が右側に向けて立っています。
女性は横顔で、眼を閉じて無表情。
白いユリの花数輪を胸の前に持ち、濃い茶色の服を着て、スラックスも同系色のもの。

対して、左側にはこの女性の影ともいえるシルエットが対比的に描かれています。
シルエットは黒と灰色の濃淡で描かれています。
顔は左側を向いていますが、表情は全く見えません。
白いユリは黒い色になっています。
まさに、この女性の心の裏側を描いたとも思える、意味深なデザインとなっています。

カバーデザインは、岩瀬 聡(いわせ さとし)氏です。
カバーイラストは、太田侑子(おおた ゆうこ)氏です。

次は、裏表紙のメッセージから。
水色の目立つ大きめの文字で、「遺言、片付け、まさかの復讐!? こんな終活、嫌ですか──?」
黒色の文字で、「ゾッとする終活、理想的な終活、人生を賭けた終活…4人の〈終活〉に待ち受ける衝撃&感涙のサプライズとは?」(文庫本、初版)

「終活」を巡るあらゆる事情が描かれていることが想像できます。
内容がものすごく気になるではありませんか!
これは是非とも読まないと!
凛は書店のレジに向かいました。(^O^)

それでは、内容に入ります。
文庫本3頁のContentsには、収められている4編の短編小説のタイトルが書いてあります。

「SDGsな終活」
「最後の終活」
「小説家の終活」
「お笑いの死神」

文庫本の解説は、帯にも掲載されている青木千恵氏です。

今回は2番目に収められている短編小説「最後の終活」についてご紹介します。
妻を交通事故で63歳で亡くした夫と息子との話です。
結構「あるある!」と巷にあふれていそうな話と思いきや、どんでん返しの面白さがあります。( ;∀;)

突然逝ってしまった妻の遺影を前にして、どうしたものかと途方に暮れる夫。
夫が在住している「たかの市」(同書、74頁)の防災チャイムが鳴り、「迷い人」(同書、同頁)の高齢女性についてお知らせするアナウンスが流れてきます。
「防災行政無線」(同書、同頁)から、たかの市も既に高齢化社会に突入していることが読者に明確に伝わります。

妻の遺影の前でため息をついていると、息子の広海(ひろみ)(同書、76頁)が登場します。
和室の畳の張り替えのために父と息子は座卓を移動しなければならないのですが、父親のほうは息子が幼かった頃の思い出がよぎってしまい、結局休憩をとることになります。

亡き妻と息子は仲が良くて、息子が東京の大学に入学した以後も妻が上京して交流していたようです。
妻の死後、息子と父は疎遠となってしまいました。

この息子からは「一切の連絡がなくなったのだった」のですが、「それが三日前、突然帰って来た。」(同書、79頁)のでした。
息子が帰ってきた理由は、「そろそろ三回忌だから」(同書、同頁)ということでした。

息子は、母親の三回忌を前にして、実家のリフォームをすることを父親に主張します。
息子はリフォームに関する情報はネットで調べて、「オンライン限定割引」や「BtoCで直(じか)に契約できるのが魅力だよ」(同書、83頁)などと高齢者には意味不明なことばかり述べるので、父親は驚きをもって息子に関心するばかりです。

息子は、リフォーム業者の出入りの用心のために、金庫などもネットで即座に購入します。
亡き妻の着物の処分については、買取業者には気を付けよ、と息子は父親に詳細な説明をします。
息子がこの先に進んで良いことと、悪いことを明確にわかりやすく教えてくれるので、父親としては頼りになれる息子の存在が大変ありがたいのでした。

この息子と父親との関係、果たして大丈夫かなあ、といささか危なげな感じがしますよねえ。
こう思って読み進んでいる読者の皆さん、この後、新たな展開が!( ゚Д゚)

「──あたし、ヒロミです。」(同書、92頁)という女性の声で電話がかかってきたのです。
「あのねえ、うちのヒロミは男ですよ」(同書、同頁)と応対する父親。
父親は荒く受話器を置いてから、「おい、詐欺だぞ、詐欺!」(同書、同頁)と息子に言うと、息子の広海は苦笑いして悠然としています。

さて、ここから二転三転するジェットコースターの展開に、読者がアッと驚く結末を迎えることになります。
よくありそうだな~と思われがちな話から、読者の予想を裏切る結末。

あとは、あなたが読まれてからのお楽しみに! \(^o^)/

著者の秋吉理香子氏は、2008年、短編小説「雪の花」第3回Yahoo!JAPAN文学賞を受賞されました☆彡。\(^o^)/
この作品は、2009年、短編小説集『雪の花』のタイトルで小学館文庫から刊行されています。
また、2009年に、テレビ朝日からドラマ化されました。

さらに、2013年に双葉社から刊行された小説『暗黒女子』(のち、双葉文庫、2016年、双葉社ジュニア文庫、2017年)は、2017年に映画化されました。
漫画化された作品もあり、今後、ますますのご活躍を期待できるミステリー作家のお一人です。(^^)v

最後に。
「終活」が流行しているこの日本で暮らしている人々の日常について、読者に新たな視点として着目させた秀逸な短編作品集です。
著者の秋吉理香子氏による幾重にも重なるミステリー作家としての力量が活かされています。
ミステリーとはいっても、背筋が凍り付く作品もあれば、読後に心が温まる作品も収められています。

登場人物のそれぞれの立場で考えてみると、各作品の結末の捉え方は違って当然でしょう。
つまり、受けとめ方はあなた次第ということですね。

「終活」の流行は、人々が日常の不安感にさいなまれている証拠かもしれません。
「終活」という概念に恐れおののきながら生きていくありさまはいかがなものでしょうか。
しかしながら、今を生きる自身の人生を整えるための「終活」はやはり大切にしたいものです。

人生を楽しく! \(^o^)/
あまり難しく考えずに、シンプルにすすめていけたらいいなあ、と考えている凛です。
甘い!と言われそうかなあ……。(^▽^;)

読書の秋。
あなたも読書ライフを楽しんでくださいね。

今夜もあなたにおすすめの一冊でした。(^O^)/

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秋吉理香子(著)実業之日本社(2025/06発売)
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2023年10月2日月曜日

紙の本、好きです! ~杉井 光『世界でいちばん透きとおった物語』(新潮文庫、2023年)~

こんばんは。南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
お休み前のひとときに、どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

10月に入りました。
日本では本格的な秋の到来です!
今年の夏は暑さが非常に厳しかったですね。
暑さもそろそろ落ち着いて欲しいこの頃です。
昼と夜の気温の変化がありますので、あなたも体調管理にはくれぐれもご注意くださいませ。

さて、あなたはどのような秋をお過ごしされますか。
凛は、やはり秋の夜長に読書ですね~
凛の読書は一年中、ほとんど変わりないですが……。 (^^;

さて、読書といえば「本」ですが、近年は機器の発達で電子書籍が台頭してきています。
略して「電書」。

最近、紙の本は何かと肩身が狭いようです。
重い、場所を取るので保管に困る、汚れる、破れる、ほこりがたまる、他人が触れたものを間接的に触るのがイヤだ、紙自体の価格が高くなっている、などなど……。(-_-;)

この頃は書店も売れ行きが減って、閉店に追い込まれるところも多くなっています。
書店の閉店の理由は他にもいろいろあると思いますが。 (T_T)

確かに、電子書籍はクリックひとつで瞬時に入手することができて、読みたいときにすぐに読めるので大変便利です。
また、文字の拡大のほか、さまざまな便利な機能を駆使して、利用者にとって快適な読書生活を堪能できますものね。 (^-^)

あなたは紙の本派ですか? 
それとも、電子書籍派でしょうか?
凛はどちらかといえば紙の本が好きです。 (^^)v

紙の本は「家づくり」に似ている、と凛は考えています。
一冊の本を製作し、販売するためには多くの専門家の方々が携わっていらっしゃいます。
著者、翻訳家、担当編集者は元より、表紙や帯、裏表紙の担当者、コピーライター、校正、校閲、カバーなどの装画、装幀、デザイナー、出版社、紙販売業者、印刷会社、取次会社、配送業者、書店。
もちろん電子書籍に携わる専門家も多くいらっしゃるでしょう。

各々のプロの専門家によって作られた本たち。
「さあ、どうぞ。ぜひお読みくださいませ!」
書店であなたが手にする一冊の本は、多くの方々とのご縁の賜物といえるでしょう。\(^o^)/

さて今回ご紹介いたします本は、紙の本のすばらしさ再発見!となる物語です。
杉井光(すぎい ひかる)氏のミステリー小説『世界でいちばん透きとおった物語』(新潮文庫、2023年)です。

この作品は単行本の出版はありません。
文庫本の参考文献後の文章のさらに後、奥付の前になる最後の頁に「本書は新潮文庫のために書下ろしされた。」(239頁)と書かれています。
通常の書下ろし作品とは若干表現が異なりますね。

はじめに、凛がこの本を手にしたのは、自宅から30分ほど歩いた街にある書店です。
ネタばれしないようになのか、本全体を丸ごと透明の袋で覆われていました。
この作品は既にネットやTV番組などで話題になっていたのでご存知の読者も多いでしょう。

凛は書店で実際に現本を眺めて「凛さ~ん、この本面白いですよ~」と本からのメッセージがビビビと伝わったので購入しました。
「面白そう。読んでみよう!」
これは子供のころから変わらない凛の習性ですね~ (^-^)

次に、帯や表紙についてです。
凛が持っている文庫本は、2023年の6月30日の第7刷です。
初版が同年の5月1日発行なので、わずか2か月で第7刷になっています。
この作品の人気度がいかにすごいかがわかりますね!

帯についてです。
凛が持っている第7刷の帯は通常の文庫本の帯とは若干異なる紙質になっています。
帯の表表紙側には「小説紹介クリエイター けんご氏絶賛!」「ネタバレ厳禁!予測不能の衝撃のラスト」。
確かに、ネタバレは絶対にいけません!!

帯の裏表紙側には「絶対に予測不能な衝撃のラスト──あなたの見る世界は『透きとおる』」(同書)
とても読書欲をそそります。

表紙についてです。
ベンチから立っている一人の若い男性が、空を仰ぎ見ながら何か考えているようです。
空は全体的にうすぼんやりとしており、ピンク色の様々な大きさの文字がうっすらと浮かんでいます。
男性が立っているベンチの周りにはたくさんの花が咲いています。

裏表紙の説明文には、目立つ大きな太文字で「衝撃のラストにあなたの見る世界は『透きとおる』。」(同書)と紹介されています。
帯と同じような紹介文ですね。
ラストが衝撃なのか!これは読まなくては!と、大変気になった凛でした。

カバーの装画は、ふすま氏です。
カバーデザインは、川谷 康久(川谷デザイン、かわたに やすひさ)氏です。

それでは、内容に入ります。
主人公の藤阪 燈真(ふじさか とうま)は、本の校正をしている母親と二人暮らしで育ちました。
彼が18歳の時に、突然母親が亡くなったため独り暮らしをすることになり、書店でアルバイトをしながら生計を立てておりました。

燈真は、10歳の時に患った病気で一時的に視力を失っています。
その後、視力は回復していますが、以来、彼は電子書籍派として読書を楽しんでいます。

ある日、大御所のミステリー作家の宮内 彰吾(みやうち しょうご)氏が病気で亡くなり、燈真の父親だと知らされることになりました。
燈真と生前の父親との接点はなかったので、驚くべき事実が次々と彼の目の前に迫ります。
宮内 彰吾の遺稿といわれている「世界でいちばん透きとった物語」を探すことになり、燈真の異母兄である本妻の長男、松方 朋晃(まつかた ともあき)氏や出版社の深町 霧子(ふかまち きりこ)さんたちと行動を共にすることになりますが……。

燈真の性格がとてもシャイで、朋晃の激しい性格に翻弄される姿が何とも痛々しいです。
霧子さんへの思いを素直に表に出せない燈真の心境がとてもよく読者に伝わります。

また、実在のミステリー小説の人気作家のお名前も登場します。
ミステリーファンには嬉しい作品です!

本編の最後で終わらずに、必ず奥付の前まで、素直に頁をめくって読んでくださいね!
最後に本を閉じるとき、なるほど、そうだったのか!とすぐに納得できます!
読後のあなたは、杉井 光という作家のことをもっと知りたくなるでしょう。

ミステリー作品なので、あとはあなたが読まれてからのお楽しみに。

著者の杉井 光氏は、2006年、デビュー作の電撃文庫『火目の巫女』全3巻(メディアワークス、2006年)で、第12回電撃小説大賞の銀賞を受賞☆彡されています。
シリーズものの電撃文庫『神様のメモ帳』全9巻(メディアワークス、アスキー・メディアワークス・KADOKAWA、2007年~2014年)などの他、多数の作品が出版されています。
今後、大いにご活躍が期待される作家のお一人です。

最後に。
優しかった母親が突然亡くなり、独り暮らしを始めた藤阪 燈真に対して、突如として父親の存在を突き付けられることになった現実とは、「世界でいちばん透きとった物語」という父親の遺構作品探しです。
その過程で出会うさまざまな人たちを通して、彼は亡き両親についての理解を深め、自己の内面を再認識してゆきます。
彼の成長物語である、と凛は考えます。

合わせて、杉井 光氏の今後のご活躍に期待します。(^^)v

あらためて紙の本の特徴が伝わる作品です。
出版と販売に携わるたくさんのプロの方々にエールを送りたいですね!\(^o^)/

今回はミステリー作品のため、詳しい内容は敢えて避けました。
ご了承くださいませ。 m(__)m 
秋の夜長に、あなたも良質のミステリー作品をいかがでしょう。

今夜もあなたにおすすめの一冊でした。(^-^)

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2021年9月7日火曜日

好きなものの羅列で読書好きにはたまりません! ~柳瀬みちる『神保町・喫茶ソウセキ 文豪カレーの謎解きレシピ』(宝島社文庫、2021年)~

こんばんは。南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

秋になりましたね~
これから毎日秋が深まってゆきます。
あなたはどのような秋をお過ごしされますか。
夏の疲れが出やすい時期ですね。
凛は読書の秋はもちろんのこと、食事や運動に気をつけて、さらに免疫力をつけたいところです。

凛は書店巡りが好きで、書店にいるとつい時間が経つのを忘れてしまいがちです。
毎日たくさんの新刊本が出ている中、書店員さんのお仕事は大変なんだろうなあと思いながら、店頭に並べられている本の乱れをそっと直してほんの少しだけお手伝いした気分でいます。

書店の街といえば、東京の神田神保町ですよね。
地方在住の凛は東京に出向いたときは必ず神保町を訪れます。
どうしてこんなに書店が必要なのかしらと思うくらいに様々な書店がありますよね。

神保町で可能な限り時間をかけて書店を見て廻り、お気に入りの本を購入した後は、喫茶店でブレイクタイム。
購入した本を開いて、カレーやパスタ、食後のコーヒーとデザートをいただく至福のひとときは最高です!\(^o^)/

今はコロナ禍でもあるため、凛は行けてません……。
また訪れたいな~といつも思っています。

そんな中、先日、三省堂書店が神田神保町にある本社ビルの建て替えのため、来年の3月で現在の営業を終了するというニュースが流れました。
(三省堂書店のHPより)

ひゃあ、これは大変だあ! ((+_+))
しばらくの期間、失われてゆく寂しさと新しいビルへの期待感とが交錯しそうですね。
三省堂書店の本社の神田神保町一丁目1番という住所には重みを感じます。

今回の本は、柳瀬みちる氏の小説『神保町・喫茶ソウセキ 文豪カレーの謎解きレシピ』(宝島社文庫、2021年)です。
タイトルでズバリわかると思いますが、本好きとカレー好きにはたまらない世界で、さらにミステリーのエッセンスが込められています。
この作品は書き下ろしですので、単行本はありません。

本好きが集まる神田神保町にて、喫茶店を営業し、文豪の名前をつけたカレーをお客様に提供している女性が奮闘する小説です。
カレーが大好きな作家が登場し、彼女と共に文豪の古書をめぐり謎解きを始めることになります。
さらに、二人の謎解きは彼女の出自にまつわるところまで発展します。

まずは、本の入手についてです。
今回は全国大手新聞の広告から偶然にこの本を知りました。
新聞の片隅に載っている小さな広告でしたが、偶然凛の目に留まり、「わあ!面白そう!すぐに読みた~い!」と凛のアンテナがピピピと反応しました。
本当に偶然としか言いようがなく、これもひとつのご縁といえましょう。
凛は新聞広告の切り抜きを持って街の書店に出向き、この文庫本を購入しました。

次に、本の装丁についてです。
凛が持っている文庫本初版の帯の表表紙側には、印度カリー子(いんど かりーこ)さんの笑顔の画像と「新感覚!カレー×ミステリーの共鳴」というメッセージが掲載されています。

帯の裏表紙側には、「喫茶ソウセキのカレーメニュー」として、「漱石カレー」「百閒カレー」「思ひ出カレー」の説明されています。
時代がかっているカレーが美味しそう!
「文豪カレー」にワクワクしてきますね~ (^○^)

表紙には、喫茶ソウセキの店主こと緒川千晴(おがわ ちはる)がカウンターの向こうでカレーを温めている様子と、イケメン作家の葉山トモキ(はやま ともき)がテーブル席で古書らしき本を読んでいる姿が描かれています。
もちろん彼が座っているテーブルには美味しそうなカレーが置かれています。
千晴は、真剣に本を読んでいる葉山を優しそうなまなざしで見つめています。
この二人の距離感がいいですね~

表紙のカバーイラストは、前田ミック(まえだ みっく)氏です。
カバー・本文デザインは、菊池 祐(きくち ゆう?)氏です。

では、内容に入ります。
目次を見ますと、四つの話とエピローグがあります。(以下、文庫本初版3頁)
第1話は、「三四郎はライスカレーの夢を見る」
第2話は、「冥途に咲くや、鬱金の花」
第3話は、「銀の皿に仰臥漫録」
第4話は、「神の灯が照らす石油カレー」
最後に、「エピローグ」となっています。

目次を見るだけで、カレーと文豪がつながっている感じがしますね。
はて、「石油カレー」とはどんなカレーなのでしょう?
まさか石油を食べるのではないでしょうね?

イラストを見る限り、緒川千晴が経営する喫茶ソウセキは、カレーなどをいただきながら読書ができるくつろぎのある印象がします。
しかし、千晴が出店した店は閑古鳥が鳴く有り様で、現実は厳しいところから物語は始まります。
確かに神田神保町は書店だけでなく、カフェや食事のお店の競争が激しい街だと考えられるので、27歳で出店した千晴は相当な努力家であることが想定できます。

読者は、千晴の成長とともに、古書や文豪、カレーの知識を得ることができます。
つまり、千晴の成長物語に読者は寄り添って読み進むことができるのです。

喫茶ソウセキには毎日カレーをいただきに訪れる男性、小説家の葉山トモキの存在が大きいです。
彼が店の看板メニューの「漱石カレー」を酷評したことから、千晴の文豪の旅が始まります。

作品には、夏目漱石だけでなく、内田百閒などの文豪の作品が多く出てきます。
千晴は葉山トモキの自宅を訪問して、彼の夥しい蔵書や無類の本の知識に驚きます。
読者は文豪の作品を再読したくなります。

さらに或る女性が千晴の店に置き忘れた古書を紐解く楽しみが芽生えます。
この古書は作品の重要なアイテムになりますが、あなたが読まれてからのお楽しみに。

また、千晴のカレーの新作メニュー開発に基づき、スパイスなどの知識も読者は知ることができます。
読みながら、スパイスの香りがし、カレーが無性に食べたくなります!!
凛の頭の中は、「ああ、カレーが食べたい!!」でいっぱいになりました!!(^○^)」を発見できるかどうかは、あなたが読まれてからのお楽しみに!

作者の柳瀬みちる氏は、2015年、小説「美大探偵(仮)─《カジヤ部》部長の小推理─」第1回角川文庫キャラクター小説大賞を受賞☆彡されました。
この作品は、改題して『樫乃木美大の奇妙な住人 長原あざみ、最初の事件』(角川文庫、2016年)で刊行され、作家デビューされました。

シリーズ化されて、小説『樫乃木美大の奇妙な住人 白の名画は家出する』(角川文庫、2017年)があります。

他には小説『横浜元町 コレクターズ・カフェ』(角川文庫、2017年)など活躍されています。

最後に、この小説は、文豪とカレー、古書、神田神保町、小説家の五点セットで読者を大いに楽しませてくれる作品です。
読書好きにはたまらない作品です!! \(^o^)/

文学好きなあなた、文豪の作品がたくさん出てきますよ~
また、カレー好きなあなた、スパイスの勉強ができますよ~
古書がお好きなあなた、東京都千代田区の神田神保町という日本最大の書店の街で繰り広げられる謎解きを大いに楽しみましょう!
小説家に興味があるあなた、作家である葉山の暮らしぶりを覗いてどのように感じるでしょうか。

戦争の時代を生きた祖父母からの繋がり、千晴を育てた両親の時代、そして現代を生きる千晴の世界を応援したくなる作品です。
小説家の葉山との関係や、千晴の喫茶ソウセキの今後がとても気になり、続編を期待したいです。
喫茶ソウセキはカレーの専門店ではないらしいので、他のメニューも紹介していただきたいですね。 (^o^)

今夜も凛からあなたにおすすめの一冊でした。(^-^)

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2021年5月26日水曜日

人生で最上の一冊はどの本にいたしましょうか ~野村美月『三途の川のおらんだ書房 迷える亡者と極楽への本棚』(文春文庫、2020年)~

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださりましてありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

唐突ですが、あなたにとっての人生最後で最上の一冊はどの本になさいますか?
これが今回のテーマです。

凛は医療と生命の大切さに改めて気づかされているこの頃です。
今年の日本は梅雨入りも早く、自粛で、読書を楽しまれていらっしゃる方も多いでしょう。
いつまでも好きな本を読みふけっていたいところですねえ。

いつかは人生で最後の一冊の読書となる時が訪れるかもしれません。
凛は、今回のテーマについては普段はほとんど考えないというか、考えたくないというのが本音でしょうねえ。
なんとなく、或いは敢えて避けてしまいたいテーマに真正面から描いている小説をご紹介しましょう。

「人生最後の本だなんて嫌だな。怖いなあ」などというご心配はいりませんよ。
人は誰でもいつかは最期を迎えます。
一人一人のこれまでの生き方からヒントを得て、誰もが納得して極楽の読書ライフに導いてくれる書店があるとしたら、どれだけ幸福感に満たされることでしょう。
つまり、極楽で永遠に幸せな気持ちで過ごせるという、とっておきの一冊を提供してくれるありがた~い書店の物語なのです。
読後は爽やかで幸せな気分に浸れると思いますよ~ (^-^)

凛が今回ご紹介いたします本は、野村美月(のむら みづき)氏の連作短編小説『三途の川のおらんだ書房 迷える亡者と極楽への本棚』(文春文庫、2020年)です。
この作品は文春文庫への書き下ろしです。
文庫巻末の解説はありません。

まず、今回の本の入手経路ですが、凛とこの本との出合いは書店ではなく、ネット書店からです。
凛は読書の合間に、本の奥付の後に印刷されている他の本の宣伝や、本に挟んである「今月の新刊」などの出版社の宣伝の栞に目を通し、情報を得るのが好きです。
今回は本に挟んである栞から情報を得て、「この本、面白そうだなあ。讀みたいな」と思って、ネット書店から購入いたしました。

凛が購入した文庫本初版の帯の表表紙側には、「人生最後の、天にも昇る一冊をお選びしましょう」と書いてあります。
文庫本の裏表紙の説明文には、「本好きに贈るビブリオ・ファンタジー」と書いてあります。
本好きにはとてもそそられる感じですよ~

次に、表紙のイラストは、月岡月穂(つきおか つきほ)氏です。
おらんだ書房の店主である和柄の派手な着物をゆるやかにまとったイケメンの若い男性が妖しげな表情の横顔で描かれています。

日本にもあらゆる宗教がありますが、この作品は恐らく仏教に基づいた物語でしょう。
尚、ここでは物語に沿うことを主題としていますので、細かな宗教観などは省かせていただきますのでご了承くださいませ。

では、この作品の内容に入ります。
この物語では、死者は此岸から彼岸との境目を一定の期間を過ごし、三途の川を超えて彼岸へと旅立つ設定になっています。
死者たちは此岸と彼岸との境目で六文銭を好きな「もの」や「こと」に費やした後、木の舟で三途の川を渡ります。
一度、彼らは三途の川を渡ってしまうと二度と戻れず、たとえ此岸と彼岸との境目であっても死者たちとは永遠に会えなくなります。

この此岸と彼岸との境目に存在しているのが「おらんだ書房」です。
六文銭で購入する対象は各人の好みになりますので、「おらんだ書房」だけでなく、あらゆるお店が存在します。
書店の他にも衣料品店やレストラン、遊郭などもあります。
六文銭の使い方は強制ではなく、各人の自由意思となっています。
三途の川を渡ってしまえば二度と戻れない世界ですから、人生最後のとっておきの「もの」や「こと」、それに本を選択するのも良しでしょうね。
あなたは六文銭をどの店で費やしますか。

さて、「おらんだ書房」では、派手な和柄の着物を纏ったイケメンの店主が、関西弁で明るく喋ります。(*'▽')
三途の川のほとりで営む「おらんだ書房」は二階建ですが、小さな書店のようです。
バイトの少年の「いばら君」が店主の仕事を手伝っています。
この書店を訪れる「客人」は少なく、あまり流行っている様子ではないですねえ。
ところが、一度訪れた「客人」は店主やいばら君のアドバイスで選ばれた本を手にして、非常にすっきりとした面持ちで舟に乗ります。

一体、どんな「客人」たちが「おらんだ書房」を訪れるのでしょう。
この物語は以下の六つのお話で構成されています。(目次より)
尚、登場人物のルビは省略します。

第一話 「本が大好きな 三田村祐介様(享年三十四)の場合」
第二話 「でんぐり返る本を探してる 越野園絵様(享年八十六)の場合」
第三話 「空っぽのおなかをかかえた、空っぽな目の 初芝泪衣様(享年四)の場合」   
第四話 「呪いの本を求めてやってきた 尾崎純香様(享年三十五)の場合」
第五話 「描けない人気漫画家 司 七彦様(享年四十一)の場合」
第六話 「世界で一番退屈で、つまらなくて、どうでもいい本をご所望の 鈴木藍理様(享年八十六)の場合」

四歳から八十六歳まで、実に様々な死者たちが様々な本を求めてのご来店です。
生き様も、亡くなり方も、本を求める事情も各人各様です。
いずれも店主が各人の事情を鑑みて、解決に導きますし、バイトのいばら君も活躍します。

これらの登場人物の中で、凛が気になったのは、第一話の三田村祐介さんです。
三田村さんは子供の頃から本が好きでたまらないお方。
社会人になっても本好きは変わらず、自宅でも多くの本が積まれており、突然の地震で本の下敷きになって亡くなられました。
果たして三田村さんは「おらんだ書房」でどんな本を選んで舟に乗られたのでしょう。
それはあなたが読まれてからのお楽しみに。(^_-)-☆

作者の野村美月(のむら みづき)氏は、2001年、小説『赤城山卓球場に歌声は響く』(ファミ通文庫、2002年)で、第3回ファミ通エンタテインメント大賞小説部門で最優秀賞☆彡を受賞されました。
2006年、小説『"文学少女"と死にたがりの道化』(ファミ通文庫、2006年)で「"文学少女"」シリーズとして出版されています。
この「"文学少女"」シリーズは、アニメ化されており、2010年には『劇場版"文学少女"』(多田俊介監督)として映画化されています。
他にもたくさんの作品を執筆されていらっしゃいます。

この作中には多くの文学作品の名前が出てきます。
本好きにはたまらない作品ですね~

ところで、この作品には凛には謎があるように思えてなりません。
登場人物の中で「おらんだ書房」の店主だけが死者ではないようですが、「境目」での暮らし方といい、一体どういうことでしょう。
バイトのいばら君のおかれている事情もよくわかりません。
それに、「おらんだ書房」の店舗の建物自体も擬人化の様相で、凛には生きている感じがぬぐえません……。
もしかしたら今後に続編があるのかなあと、期待している凛です。

人生最後の極上の一冊。
あなたはどのような本を選びますか。
凛はどの本にするのかなあ。
まだ答えは出ませんねえ。(^o^)

今夜もあなたにおすすめの一冊でした。(^-^)

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(文春文庫)(日本語)文庫-2020/12/8野村美月(著)
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2020年4月4日土曜日

初めて買った絵本の『かぐや姫』

はじめまして、南城 凛(みじょう りん)です。(^o^)
凛は本が大好きです。
書店を巡って、本たちとの出合いを楽しんでいます。

今宵も凛のりんりんらいぶらり~でどうぞおくつろぎくださいませ。
あなたを本の世界へお誘いいたします。

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

凛は幼い頃から本が大好きです。
読むことだけでなく、本を手にすることも、本屋さんを訪れることも、とても大事な時間です。
本は凛の大切なお友だちです。

凛が初めて本屋さんで一人で買った本は、絵本の『かぐや姫』でした。
小学2年生のとき、お小遣いで初めて一人で本屋さんに行きました。

小学校のすぐ近くの文房具を売っている小さな本屋さんでした。
本屋さんの近くには、路面電車の踏切がありました。
ちょうど電車が通っていなくて、遮断機が上がっていました。

凛は、本屋さんまでまっしぐら!

着いた!
ドキドキ… (*_*;
「いらっしゃい」
本屋さんのおじさんの声がしました。

ワクワク!
いっぱい本が並んでいるぞ。
一歩ずつお店の奥まで歩くごとに、1歳ずつお姉さんになった気分になりました。

見つけた!\(^o^)/
凛の心の中は5歳くらいお姉さんになって、目に入ったのが絵本の『かぐや姫』でした。
とても美しいかぐや姫が、凛ににっこり笑顔で微笑んでいました。(^o^)

小学2年生に戻った凛は、おそるおそるおじさんのところに行きました。
「はい、おつりですよ。ありがとうね。気をつけてお帰りなさいね」
おじさんは、凛の手に、ゆっくりと数えながらおつりを持たせてくれました。
おじさんから本を受け取るとき、凛の掌には汗がにじんでいました。

やったあ!
急いでお家へ帰ろう。
凛は、紙の袋に入った絵本の『かぐや姫』を胸に抱きしめて、お家へまっしぐら!

「まあ!すてきな本を選んだのね」
母は、凛が選んだ絵本の『かぐや姫』を褒めてくれました。
絵本の表紙のかぐや姫が、凛にVサインをしてくれました。(^_^)v

その絵本はもう手元にありません。

映画化された絵本のかぐや姫に会いたい方は、
高畑 勲氏の原案・脚本・監督による『かぐや姫の物語(徳間アニメ絵本34)』(坂口理子〔脚本〕、徳間書店、2014年)
で楽しんでみられてはいかがでしょう。

可愛らしい姿のかぐや姫の本心は如何に……
大人の女性としての振る舞いに、凛は少し考えてしまいました。

「凝り固まった価値感にとらわれずに、もっと自由な発想でいきましょうよ」と、かぐや姫は主張しているのかもしれません。

謎多き女性、それがかぐや姫の魅力でしょう。
天空を見上げながら、凛は、はるか彼方の星で生き続けるかぐや姫に思いを馳せるのです。
これからも、この物語が読み継がれていく限り、かぐや姫は地球人にメッセージを送り続けていくことでしょう。(^-^)

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(日本語)大型本-2014/1/30高畑勲(原案・脚本・監督)・坂口理子(脚本)
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