ラベル ラジオ の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル ラジオ の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2024年11月8日金曜日

大切なものは、ゆるやかに、愛おしく、切なく、移ろいゆく ~津村記久子『水車小屋のネネ』(毎日出版、2023年)~

こんばんは。南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
お休み前のひとときに、ごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

大変ご無沙汰いたしております。南城 凛で~す!(^O^)
あなたはお元気でしたか。
凛も元気にしています。

ブログを5月に更新してから5か月以上もお休みしてしまいました……。(-_-;)
この期間に凛のりんりんらいぶらり~を訪れてきてくださった方々に感謝いたします。m(__)m
凛はしばらくの間、充電していました。

大変お待たせいたしました。
凛のブログ、再開します!!
今後とも何卒よろしくお願いいたします!<m(__)m>

日本列島の夏は暑かったですね!
暑い期間が長くて、夏を引きずっていた凛ですが、気がつけば今年もあと2か月もありません。
書店や雑貨店の売り場では来年のカレンダーや手帳、日記帳などの人気商品が続々と減っています。まだの方はお早めに。
季節商品の売り場から時節を感じる凛です。
いつまでも足踏みしているわけにはいきません。
時は待ってはくれませんから。(^-^)

今回ご紹介いたします本は、40年に及ぶ時の流れの中で、母親と別れて二人で支え合って真摯に生きる理佐(りさ)と律(りつ)の姉妹の成長物語を基軸にした小説です。
姉妹を温かい目で見守る周りの人々のそれぞれの人生を織り込み、人間と会話のできるヨウムのネネとの交流をエッセンスとして描かれています。

読者は彼女らに寄り添い、時には怒り、時には不安を覚え、そして涙します。
読後は、まるで夢を見ていたのではないかと不思議な感じを抱きながら、心が温まる確かな感覚が体感できる物語です。

津村記久子氏(つむら きくこ)氏の長編小説『水車小屋のネネ』(毎日新聞出版、2023年)です。
この作品は現在のところ単行本のみの発刊となっています。

凛が持っている単行本は、2024年4月10日付の第13刷です。
初版が2023年3月4日の刊行です。
初版発刊から約1年過ぎての4月10日で13刷となっていますので、大変人気のある作品であるのがわかりますね。(^O^)

はじめに、凛がこの本を入手したのは、この作品が今年の4月10日に本屋大賞で第2位となったことが決め手となりました。
初刊本の刊行以来、書店で目にしてずっと気にはなっていたものの、485頁と分厚い本ということもあってなかなか購入するには至りませんでした。
やはり本屋大賞第2位で話題になったことは大きかったですね~
凛は30分ほど歩いたところにある全国的な書店で購入しました。

次に、帯や表紙についてです。
一番目は、帯について。
書店によっては凛が持っている本の帯とは異なるデザインになっているものが並べられている所もあるかもしれません。
ここでは凛の持っている本の帯に言及いたしますね。

凛が持っている本、13刷の帯の表表紙側には、「2024年本屋大賞 第2位」の文字が大きく目立ち、下のほうには「第59回谷崎潤一郎賞受賞作」ほか、文学賞の順位などが書かれています。

同帯の裏表紙側には「〝誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ〟」「ネネに見守られ、変転してゆくいくつもの人生──」など、心にささるような言葉が書いてあります。
実際に読んだ後にはいつまでも心に残ってジーンとした訳でありまして……。(^-^)
イラストレーターの北澤平祐(きたざわ へいすけ)氏による二人の姉妹とネネのイラストがとてもほっこりさせてくれます。

二番目の表紙についてです。
表紙の新しい楽しみ方!
あなたがこの本を購入されたら、本から表紙を外してみましょう。(^O^)

表紙は全体にびっしりと細部まで描かれています。
左側から右側へと流れるような描き方は、まるで平安時代の絵巻物のようです。

表表紙側の最も中心部にあたる部分では、水車小屋の前で姉妹らしき二人がネネと一緒にいます。
木の根元には、本を開いている律と、ラジカセを持って音を楽しんでいる友だちが仲良く座っています。
ネネもラジカセの音を聞いているようです。

表表紙側の下部では、蕎麦屋さんの店頭で経営者のご夫婦と理佐らしき女性が働いており、ネネがその様子を見ています。
赤いクルマには赤いベレー帽の女性がハンドルを握っており、後部座席には律と思われる女の子とネネが一緒に座っています。

その右上では、スケッチブックを持った赤いベレー帽の女性と律らしい女の子が立っていて、二人をネネが小枝から見つめています。
スケッチブックにはネネらしき鳥が描かれています。

裏表紙側の上部では、小学校から帰宅する子供たちが笑顔でいます。
それから若い女性が赤い自転車を押しながら男性と話して歩いています。
自転車のかごにはネネがいます。

その右側にはカンバスに向かって絵を描いている赤いベレー帽の女性と、傍らには若い女性がいて、肩にネネがちょこんと乗っています。
その上部では、飛び立つネネを男性と二人の女性が見送っています。満開の桜が綺麗です!

裏表紙側の下部では、柿がたくさんなっている木の下で本を読んでいる女性と男性。
その右側では、雪が降る中、向き合っている男女が真剣な表情で話している様子です。

読む前からストーリー性を感じられる、とても手の込んでいる表紙となっています。
全体的に淡く優しい色合いで、人々の顔の表情が温かく、見ているだけでも優しい気持ちになれそうです。
表紙に物語が詰まっています!

勿論、書店では表紙は外さないでくださいね。
購入後のお楽しみにとっておきましょう!(^O^)

装幀は、中島 香織(なかじま かおり)氏です。
イラストは、北澤 平祐(きたざわ へいすけ)氏です。

作中には北澤氏のイラストが描かれていますよ。
読後も頁を開き、北澤氏の世界に何度も触れてしまいたくなった凛です。(^O^)

それでは、内容に入りますね。
物語は、第一話の1981年から始まります。
そして10年後の1991年が第二話、さらに10年経った2001年が第三話、第四話が2011年、エピローグが2021年と、10年毎に物語が展開してゆきます。

第一話の1981年、18歳の姉の理佐と、8歳で小学校2年生の妹の律が駅のホームに立って特急列車が来るのを待っている場面から物語は始まります。
そこには親の姿はありません。
姉と妹の二人だけで特急列車で地方へと向かうのです。

8頁にはその時の様子を描いた挿絵があります。
理佐が持っているのはボストンバッグ一つ、律はランドセルを背負い、律の両手には本が詰まった布のバッグを持っています。

姉妹は親元から離れて引越し先へ向かっていたのでした。
理佐の胸中は、これから必要に迫られる家電や生活費用などの算段が現実の問題として何度も突き付けられて穏やかではありません。

理佐は18年の人生において大きな選択を決断したのでした。
これから律と二人で暮らしてゆく。
これから律を自分が育ててゆく。

え?理佐にそんなことができるの?
ほっこり系の物語と違うの?
「はい」「いいえ」と、どちらの要素も含まれる物語です。
何故ならば、厳しい現実と、ほっこりと心温まる世界が交錯している作品だと凛は考えます。

具体的に触れてみましょう。
まず、厳しい現実のほうからです。(-_-)
「入学金が振り込まれておりませんが、」(同書、15頁)から始まる理佐と律に迫るただならぬ現実が具体的に示されています。
母親とパートナーの男性の姉妹に対する辛辣な言動と行為がこれでもかというくらいに執拗に続きます。
理佐は短大に進めず、アルバイトに行かなければならなくなりました。

ある夜、アルバイト先から帰宅途中の理佐は、児童公園のベンチにたった一人で座っている律を発見して驚きます。
「『だめじゃないの!なんで夜にこんなとこにいるの!』」(同書、23頁)
「お姉ちゃん?と怯えてベンチから飛び退いて走り去ろうという体勢を取っていた律は、突然走り寄ってきて目の前で止まった理佐を見上げて目を見張った。」(同書、23頁)

この時、本が大好きな律は理佐から声をかけられて驚き、ベンチで読んでいた本を地面に落としてしまいました。
その本が何だったのかは伏せておきますね。
この後も律の読んでいる本がたくさん出てきます。
律には本が友だちのような存在だったのでしょう。

この時の様子は、22頁の挿絵でわかります。
姉妹の置かれた環境に対する怒りや、耐え忍ぶしかなかった二人の悲しみが凛を覆いました。(T_T)
律が家に入れない状態だったことがわかり、理佐は大変衝撃を受けました。
姉妹にとって辛いことがまだまだ続きます。

姉妹の母親は毒親なのか……。
作者は悪人を明確にして、読者にわかりやすく投げかけます。
受ける側の読者は、理佐と律に感情移入をしやすくなるでしょう。
時には激しい痛みを感じ、傷つき、えぐられるほどの衝撃もあります。(-_-;)
それらに耐えられる読者の修養となるこれからの40年の重みを感じつつ、頁は進んでゆきます。

では、ほっこりするほうにいきましょう。(^O^)
姉妹が乗った特急電車の行き着く先は、地方のそば屋でした。
理佐は律を連れて、働く目的でそば屋に面接に行ったのですが、「思ったより山深い場所だったけれども、自然に恵まれている、という意味では本当にいいところだった。」(同書、33頁)というのが理佐の第一印象でした。
「特急を降りると、そこにあるわけでもないのに川が流れる音が聞こえたことを、理佐はその後もずっと覚えていた。」(同書、同頁)

このそば屋で働くには「『鳥の世話じゃっかん』(同書、32頁)という業務があります。
「鳥」とは、後に出てくるヨウムのネネです。
ここから理佐と律、喋るネネとの物語が始まります。

姉妹にはそば屋の店主のご夫婦、地域の人々、学校の先生などとの触れ合いがあります。
登場人物たちの背景にある悲喜こもごもに寄り添いながら、読者もリアルタイムで彼らと共に進んでいきます。(^-^)

生きていくための厳しい現実の数々と、それらの対極にある夢物語のような温かい世界が幾重にも織り成してゆきます。
こんなことあるの?
こんな展開があるの?
決して読者を飽きさせることがなく、気がつけば40年の月日が流れてゆきます。

10年毎に描かれる時代背景には、こういう音楽が流行ったなあ、このような小説を読んだものだったなあ、などと読者が大いに共感できる部分が盛り込まれています。
変わりゆくもの、変わらないもの、変わって欲しくないもの……。

凛もあなたも同じ時間を生きています。
人生の機微を感じつつ、あっという間に時は過ぎゆくものだ、ということに気づかされる物語でもあります。
1981年の10年後から40年後の2021年までの40年間の壮大な物語。
読後のあなたは、本から外した表紙を何度も眺めたくなることでしょう!(^-^)

作者の津村記久子氏は、2009年、小説「ポトスライムの舟」(『ポトスライム』(講談社、2009年、のち講談社文庫、2011年))第140回芥川賞を受賞☆彡☆彡された他、太宰治賞、川端康成賞、織田作之助賞、芸術選奨賞など多くの受賞歴があります。☆彡☆彡☆彡 \(^o^)/

津村氏「水車小屋のネネ」でも2023年、第59回谷崎潤一郎賞を受賞されています。☆彡☆彡 \(^o^)/
注目度が非常に高い作家です。

まとめ。
理佐と律の姉妹は母親との軋轢から非常に厳しい環境に置かれていましたが、新しい環境に身を置き、強く逞しく生きてゆきます。
一方では、現代の誰もが抱えている悩みや苦しみが述べられているものの、他方では、溢れんばかりの幸福度満点のお話が織りなされている物語です。
理佐と律の姉妹とヨウムのネネだけでなく、作中の登場人物を通して読者はあらゆる感情をもって彼女らの一人一人と寄り添うことになるでしょう。

帯の「〝誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ〟(同書帯)という文面が読後に染みわたります。
40年もの間に、大切なものを育み、真摯に生きていく人々からあなたは何を受け取るでしょうか。

最後に、帯の説明についてひと言。
帯は出版社の宣伝なのだから帯の説明は不要、というご意見もあります。
凛は、帯には読者に伝えたい言葉が凝縮されている、と考えます。

帯の説明のところでもふれましたが、書店によっては『水車小屋のネネ』の表紙とは別に、もう一枚の表紙がまるごと重ねられている単行本が並べられているかもしれません。
表紙とは異なるイラストの表紙サイズの帯です。
「帯の豪華版」「とっておきの一枚の絵」と言っても過言ではないでしょう。
北澤氏のファンにはたまらない本となりますね!\(^o^)/

本に対する思いは帯だけではありません。
凛は一冊の本に携わる関係者の方々の熱意を感じます。
凛のりんりんらいぶらり~を訪れてくださったあなたに少しでも関心をもっていただけたらいいですねえ。 (^-^)

今夜もあなたにおすすめの一冊でした。(^O^)/

************
津村記久子(著)毎日新聞出版(2023/03発売)
************

2024年1月29日月曜日

今年こそ読破したい!紫式部の人生と並行して読める帚木ワールドの『源氏物語』 ~帚木蓬生『香子(かおるこ)(一)紫式部物語』(PHP研究所、2023年)~

こんばんは。南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらりにようこそお越しくださり、ありがとうございます。
お休み前のひとときに、どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

2024年がスタートして早くも一か月が過ぎようとしています。
今年の日本は元日からショッキングな出来事ばかり起きています。

ああ、今日も一日無事に過ごせました。感謝。
という安堵感で眠りに入れる日常の生活が如何にありがたいことでしょう。
平穏で過ごせる日々が最も幸せなのだと実感させられます。

合わせて、非常時のための危機感と水や食料などの備えが大事だということも再認識しないといけませんね。
あなたはいかがお過ごしでしょうか。

世の中はAIなどの新しい技術を導入する時代に既に入っています。
コスパ重視の世の中、スピードは年々早くなってきています。
しかしながら、敢えて古来から受け継がれている普遍的な事柄に注目したい、という欲求がわいてくるのは生身の人間だからでしょうか。

今年のNHKの大河ドラマは『光る君へ』ですね。
凛も毎週楽しんで視聴しています。
あなたはご覧になられてますか。

主演の吉高由里子(よしたか ゆりこ)さんが後の紫式部こと「まひろ」を演じておられます。
まひろさんはどのような経緯で『源氏物語』を執筆するようになるのでしょうか。
彼女の背景でうごめく公家政治の権力とは……。
テレビドラマですので、日本史の教科書で学んだ内容とは若干異なる部分もあるでしょう。
ひとつの娯楽作品として楽しみたいですね~ (^-^)

『源氏物語』全五十四帖。
あなたは読まれましたか。
実のところ凛は最後まで読んでおりません……。(^^;
凛はこれまで谷崎潤一郎(たにざき じゅんいちろう)訳、瀬戸内寂聴(せとうち じゃくちょう)訳、林望(はやし のぞむ)訳に挑戦してきましたが、いずれも途中までの断念組です。
これは現代語に訳された先生方の問題では決してありません。
誤解なきよう、あくまで凛個人の問題なのです。

他にも関連の解説書やガイド本など何冊も蔵書として保管しています。
とは名ばかりで、所謂万年積ん読状態ですね……。(^▽^;)

紫式部はどんなことを考えて人生をおくったのでしょうか。
『源氏物語』はどのようにして書かれたのでしょうか。
作中に出てくる和歌の内容をもう少し知りたいですね。

このような素朴な疑問を解決できるという、まるごとひとつにまとめられた小説があります。
紫式部の人生と『源氏物語』と和歌の解説などが同時に読める大変ありがたい作品が昨年末に出版されました。
帚木蓬生(ははきぎ ほうせい)氏の大長編小説『香子(かおるこ)(一)紫式部物語』(PHP研究所、2023年)です。
書下ろし作品になります。

タイトルに(一)が付いていることからわかるように、この作品は(五)になるまでの五か月の間、毎月連続して出版していくというPHP研究所の一大プロジェクトです。
第一巻は461頁と大変分厚い本ですが、慣れていくうちに気が付けば最後まで一気に読めました。\(^o^)/
漢字にルビがふってありますので読みやすくなっています。

はじめに、凛がこの本を知ったのは某ラジオ番組の本の紹介コーナーを視聴したことによります。
番組に生出演された帚木氏ご本人のお話によりますと、長い間従事されていらした精神科医院のお仕事をご卒業されて、専業の作家になられたとのことでした。

以前にNHKのテレビ番組で帚木氏を拝見した時は落ち着いた話し方の先生といった印象でしたが、ラジオのお声からは非常に明るく快活な方で、この作品への強い情熱が伝わり、新たな帚木ワールドを堪能できるなと思った凛でした。
本は市内の中心街の書店で購入しました。

そもそも「帚木蓬生」というペンネームからもわかることですが、「帚木」は『源氏物語』第二帖の「ははきぎ」、「蓬生」は第十五帖の「よもぎう」から構成されています。
帚木氏『源氏物語』に対する強い意志が伝わりますね!

次に、帯や表紙についてです。
一番目は、帯についてです。
凛が持っている本は、2023年12月26日刊行の初版本です。

表表紙側には、「千年読み継がれる物語は、かくして生まれた」と白地に赤い文字で目立つように書いてあります。
表表紙側の左下には、赤い枠に中に白字で「大河ドラマの主人公・紫式部(香子)の生涯×『源氏物語』」と書いてあり、大河ドラマ放映と同時期の刊行ということで、非常に期待感がわきますね~

帯の裏表紙側には、「五ヵ月連続刊行!」の下に、第一巻から第五巻まで簡単な説明文が紹介されています。
第一巻のところをご紹介いたしましょう。
「香子の物語」では、「父とともに越前へ、そして物語を書き始め……」と黒字で書いてあります。
その右の『源氏物語』では、「桐壺~末摘花の帖」(以上、同書)と赤い字で書いてあり、第一巻は六帖まで読めるのだなと識別できるようになっています。


二番目は、表紙についてです。
表表紙は、紫式部の上半身が描かれています。
裏表紙は、文机の前に座っている紫式部が描かれており、『源氏物語の有名な冒頭文「いづれの御時にか、……(中略)すぐれてときめき給ふ有りけり。」という文字が書いてあります。
表表紙、裏表紙とも格調高い仕上がりになっています。

装丁は、芦澤泰偉(あしざわ たいい)氏です。
装画は、大竹彩奈(おおたけ あやな)氏です。

それでは、内容に入ります。
作品の第一巻は、第一章の「香子(かおるこ)から第十五章の「懸想文(けそうぶみ)」までが収録されています。
凛が注目した四点について挙げます。

一点目は、「香子」という名前についてです。
第一章の始まりで、香子は当初は「きょうし」「きょうこ」と呼ばれていたところが、8歳の春に、父君の藤原為時(ふじわらの ためとき)から今後は「かおるこ」と呼ぶと決めたことを告げられました。
亡き実母が命名した「香子」。
これまで改まった席においては「きょうし」で、身内の間では「きょうこ」と呼ばれていました。

香子は、呼び名を替えることになった理由を父君に尋ねます。
父君は、「そなたの資質は、誰が見ても、他より抜きん出ている。」(第一巻初版本、5頁)と言って、香子の素晴らしい資質を認めています。
その上で、「そして誰もが認める、ひとかどの人物になる。その資質が薫(かお)るからだ。ちょうど、今匂ってくる紅梅(こうばい)のようにな」と。(同、5頁)
香子はまだ8歳なので深い意味はわからない様子でしたが、父君から高い資質を認められたことは彼女の生涯の自信につながったと捉えることができます。

二点目は、血縁と文学についてです。
歌人としては、香子の父方の曽祖父である藤原兼輔(ふじわらの かねすけ)がいます。
兼輔は中納言の位に出世し、醍醐(だいご)天皇の後宮に娘の桑子(くわこ)を入内させ、章明(のりあきら)親王をもうけさせます。
その時の歌が『後撰和歌集』に収められているとして、また、桑子の入内の話が『大和物語』に収められており、さらに歌集の『兼輔集』の存在など、香子はこれらを暗唱するなど繰り返し学んできました。

父方の祖父の藤原雅正(ふじわらの まさただ)や伯父の藤原為頼(ふじわらの ためより)も歌人でした。
香子には幼い頃から、伯父の為頼が所蔵する和書だけでなく、父君が収集していた漢籍など、和漢の多くの書物に触れる機会があったことが第一章に記されています。

第一巻の後の章になりますが、香子が『源氏物語』の執筆の際、父君や母君に読ませて感想を述べてもらいます。
両親が彼女の背中を後押ししてくれたことは創作の自信につながったことでしょう。
特に、母親が積極的に感想を述べてくれることが印象深いです。
このように幼い頃から文学を嗜む家庭環境から、香子の執筆に対する意欲が増したことは大きいですね。

また、『蜻蛉日記』との関係があります。
『蜻蛉日記』の作者は、藤原道綱(ふじわらの みちつな)の母です。
第二章「蔵人(くろうど)」では、香子の祖母から『蜻蛉日記』の作者が、香子の実母の父の藤原為信(ふじわらの ためのぶ)の兄である藤原為雅(ふじわらの ためまさ)の正妻の姉にあたる女性であることを再度言われます。
要は遠い親族が女流文学の先駆者で、日記文学の作者であったことは、香子にとって「書くこと」を意識した存在であったであろうと読者に知らしめています。

三点目は、死生観です。
香子は第一巻目から身内の死に遭遇しています。
生母、姉君の朝子(あさこ)、最初の結婚をした平維敏(たいらの ただとし)との死別があります。
自分を守ってくれ、愛してくれた人との別れは辛いものです。

「誠に人の世は、野分(のわけ)や雲、雨と同じで、人の手ではどうにも動かせない。その摂理(せつり)の下(もと)で、翻弄(ほんろう)され続けるのだ。」(同、230頁)
香子はこの世のはかなさ、無常観を体験し、やるせなさを感じたのではないでしょうか。

四点目は、帚木蓬生訳の『源氏物語』についてです。
まずは、素朴な疑問点をあげましょう。

何故に香子は『源氏物語』を執筆することになったのでしょうか。
香子は何の文学作品を手本にしたのでしょうか。
香子の執筆する過程を知りたいですね。

などの疑問点が読者には持つ方も多いかと思います。
これらについては、第十一章の「起筆」前後で読者は捉えていくことでしょう。
あなたが読まれてからのお楽しみに!(^^)/

帚木蓬生氏の訳の特徴として、気づいた点が二つあります。

一つ目は、主語が明確に書かれていることです。
凛は学生時代に『源氏物語』の長い一文の中で「主語を示しなさい」と設問に出てきたことを思い出しますねえ。
『源氏物語』は主語が省略されている文が多いため、主語が明確であると理解が深まりますね。

二つ目は、和歌の説明が本文中に簡潔にされていることです。
例えば、第十二章「雨夜の品定め」には、『源氏物語』第二帖の「帚木の訳が掲載されていますが、光源氏が小君に託した歌

「帚木(ははきぎ)の心を知らでその原の
   道にあやなくまどいぬるかな」(同、293頁)

の後に、あらかじめ歌の意味を現代語で説明した後で、
『古今和歌六帖』の、園原や伏屋(ふせや)に生(お)うる帚木の ありとてゆけどあわぬ君かな、を下敷きにし、」(同、同293頁)
と、女君が返歌するまでの経緯が丁寧に書いてあります。

このように和歌の一首ずつに説明書きが訳の本文中に書いてありますので、本文に解説書が合体したような感覚で読者は自然な形で読み進むことができるのです。
凛は和歌の嗜みがありませんので、これは大いに助かりますね。(^O^)

帚木蓬生氏については、凛のりんりんらいぶらり~で2020年7月14日付「日本の文字の始まりを知る」の項で『日御子(ひみこ)上・下巻』(講談社文庫、2014年)(ココ)に掲載していますので、こちらの項では割愛させていただきます。

最後に。
帚木蓬生氏の作品『香子(一)紫式部物語』は、紫式部の生涯を描いた物語と、『源氏物語』の現代語訳と、和歌の解説が合体した大長編小説を一度に読めるという楽しみ方ができます。
PHP研究所から、2023年12月26日発刊の第一巻から第五巻まで、毎月一巻ずつ発刊されるという一大プロジェクトです。
NHKの大河ドラマ『光る君へ』と並行して読むと、歴史文学としても理解が深まるというものでしょう。

『源氏物語』をまだ読まれていないあなた、どうしようかなと迷っているあなた、凛のように途中までのあなた、是非この機会にお気軽にトライしてみませんか。
会話文など現代の話し方と同じように表現されていますので肩こりしませんよ。

第十三章「越前の春」では、香子の弟の惟通(これみち)の名前の一字違いで、『源氏物語』光源氏の従者を惟光(これみつ)と設定した点について、香子の母君から指摘されたことが書いてあります。
「図星だった。書いていて、咄嗟に浮かんだ名前が惟光だった。」(同、354頁)
そうだったのかあと、あらためて紫式部の家族に対する温かい情愛が伝わってほのぼのとしました。
この後に展開する物語もきっと新しい発見があるだろうな、と期待感でいっぱいになった凛でした。

第二巻の刊行ももうすぐです。
大変楽しみにしています!
今年こそ『源氏物語』を読破します!\(^o^)/

今夜もあなたにおすすめの一冊でした。(^-^)

************
PHP研究所-2023/12/13帚木蓬生(著)
************

 

2023年2月28日火曜日

やはりお金のことは気になりますよねえ ~原田ひ香『三千円の使いかた』(中央公論新社、2018年、のち中公文庫、2021年)~

こんばんは。南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださりまして、ありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

早いもので2023年も6分の1を過ごしました。
まだまだ寒さがありますが、街では春色のふんわりやさしい色合いのお洋服がディスプレイされています。

日本の春は、卒業・入学・入社・転勤など異動が多い季節です。
別れと出会いを体験することで、あなたを強くさせてくれるかもしれませんね。
これから新しい世界があなたを待っていま~す!\(^o^)/

などと期待感のある中、一方では、確定申告や医療費還付申告など税務署に関わる現実の世界があります。
今年から「インボイス制度」の導入により、事業者の方々には新たな知識と対応が必要となります。
コロナ融資の返済で厳しい環境に置かれ、対策を考えていらっしゃる方々も多いのではないかとお察しいたします。

また、昨年からあらゆる商品の物価の値上げが実施されています。
凛もスーパーにお買い物に行く度に、あれあれ?前回と価格が違うような気がするけど底値はいくらだったかなあ、と商品棚に付いているプライスカードを前にして考えることが増えました。(-_-;)
さらに、電気代やガス代などインフラ関係の値上げにより、生活者として圧迫を受けていらっしゃる方も多い昨今です。

スーパーやコンビニではセルフレジ設置のお店も日に日に増えてきています。
支払方法も現金払いだけではなく、クレジットカード払い、「~PAY」などスマホを用いた電子決済、交通系ICカード払いなどなど、実に様々な支払いのアイテムが増えてきました。

凛はお店で支払う時、お財布から直接現金を出すことが減ってきています。
キャッシュレスの時代が当たり前になってきていることの証でしょうか。
凛は金色の貯金箱を持っていますが、最近は小銭を入れる時に鳴るチャリ~ン♪という音を聞くことが減りましたねえ……。(^-^;
それは実に心地よい音なのですが……。

あなたは日頃お金とどのように向き合っていらっしゃいますか。

今回は、ずばり!お金の使い方をテーマにした小説をご紹介いたします。
原田ひ香(はらだ ひか)氏の連作長編小説『三千円の使いかた』(中央公論新社、2018年、のち中公文庫、2021年)です。

この小説の文庫本は、街のあらゆる書店の店頭に並べられていることが多く、大ベストセラーとなっています。
小説を読みながら節約できる、とネットでも話題になっているようです。

凛は大ベストセラーの本は話題になっている時は読まずにいて、後になり少し落ち着いてから読むタイプです。
理由は、流行している時のキラキラしたフィルターを外して、本当に多くの読者に読まれる価値のある本なのかを見定めたいからです。
ですから、この本が書店で平積みされている光景を横目にして、いつも後になってから読もう、と思っておりました。

ところがある日、タイトルが気になって、やはり読んでみようかな、と街の書店で文庫本を購入しました。
読みだしたら頁をめくる手が早くなり、あっという間に読了しました。

凛が持っている文庫本は、2023年1月25日付の第22刷発行です。
文庫本の初版が2021年8月25日ですので、うひゃあ、やはりすごく売れているのがわかりますよね~ (*'▽')

まず、文庫本の帯と表紙からご紹介いたします。
凛の文庫本の第22刷では、縦に幅広い帯で、表表紙側には、「2022年 年間ベストセラー第1位 80万部突破!」と大きく目立つように紹介されています。
民放の東海テレビ・フジテレビ系列の全国ネットでドラマ化されており、主演の葵 わかな(あおい わかな)さんの写真が掲載されています。

帯の裏表紙側には、こちらも大ベストセラー作家の垣谷美雨(かきや みう)氏が「絶賛!」とお言葉を寄せていらっしゃるではありませんか。
「知識が深まり絶対『元』もとれちゃう『節約』家族小説!」と帯の表現にひかれたのか、日頃からお金のことで気になっている凛を呼び寄せたのでした。

表紙には、千円札風の三枚のお札に絵が描かれています。
一番上は、夫婦と女の子が公園で笑顔でいる姿、真ん中には、女性が自宅らしき部屋でティータイムをしている姿が描かれています。
一番下は、キッチンにエプロン姿の女性が二人立ち、高齢者の女性が一人椅子に座っており、テーブルに並べられたたくさんのお料理を前にして三人で楽しく会話をしている様子が描かれています。
このような優しいタッチの絵が描かれた千円札ですと、お財布の中がほっこりしそうな感じがしますね~

カバーイラストは、ながしま ひろみ氏です。
カバーデザインは、田中 久子(たなか ひさこ)氏です。

裏表紙の説明文では、就職して一人暮らしをしている妹の美帆(みほ)の貯金が30万円、結婚している姉・真帆(まほ)の貯金額が600万円、母の智子(ともこ)の貯金が100万円弱、祖母の琴子(ことこ)の貯金は1千万円と具体的に数字で示されており、御厨(みくりや)家の女性陣がどのように今後の人生を歩んでいくのかということが紹介されています。

「お金を貯めて、どう使うのか?」(文庫本、22刷)
この小説はお金に関する指南書なのでしょうか。
なるほど、「読みたい!」と読者の興味をひきますよね。(^○^)
第3話は、「目指せ!貯金一千万!」
第4話は、「費用対効果」
第5話は、「熟年離婚の経済学」
第6話は、「節約家の人々」(以上、同書、3頁) 
目次からも大変興味がそそられますよね。

解説は、作家の垣谷 美雨氏です。
「『他人(ひと)は他人、自分は自分』と、あなたは心の底から割り切れていますか?」(同書、339頁)というタイトルの解説です。
垣谷氏は帯にも登場されていらっしゃいますが、この解説は是非ともおすすめします!(^^)v
垣谷氏の創作に関わる意見も納得のいく文章で描かれていますよ。
垣谷氏のファン必読です! (^o^)

では、内容に入ります。
第1話は、御厨家の次女、美帆の物語です。
彼女は中学生の時に、祖母の琴子から「三千円の使い方」(同書、9頁)をどのようにするのか、それは人生を決めるほどの大きな意味を成す、というアドバイスを受け取ったことを思い出しました。
24歳の彼女は就職して念願の一人暮らしを始めたものの、職場で先輩が退職を余儀なくされる姿を目にして、先々のことを真剣に考えることになります。
ここから御厨家の人々のお金に関しての物語が始まります。

第2話は、祖母の琴子の物語です。
73歳の琴子は1千万円を貯金していますが、老いた先のことを不安に思い、仕事を探そうかと考えます。

第3話では、美帆の姉の真帆が中心となります。
真帆は結婚を機に証券会社を辞めて専業主婦となり、公務員である夫と娘の3歳になる佐帆(さほ)と三人で暮らしています。
彼女は娘の子育てをしながら節約に励み、「プチ稼ぎ」や「ポイ活」(同書、114頁)に勤しんでおりました。
短大時代の友人たちとの女子会での会話から、幸せだと思っていた結婚生活に不安がよぎりました。

第4話では、祖母の琴子と知り合った40代の男性が登場します。
彼は、定職に就かず、自由を求めてバイト生活をしています。
所謂しがらみに束縛されたくないタイプの男性ですが、交際している彼女との今後がどうなりますか……。

第5話は、母親の智子の物語になります。
智子は会社員の夫の妻として、戸建てに住み、夫と二人暮らしで専業主婦を続けていましたが、55歳で手術を終えて退院した時、目の前の家事についてあらためて見つめます。
友人が熟年離婚をすることになり、智子は今後の人生について熟慮することになりました。

最終話では、美穂と交際している男性が背負っている大学時代の奨学金返済の問題から、御厨家の人々は解決策をどのように見出すのかが描かれています。

6話を読んで良かった点として、三点あげます。
一点目は、御厨家の女性たちが主となって、人生のパートナーとの問題、結婚、仕事、暮らし、健康、住宅、老後など様々な問題を抱えて生きており、幅広い年代ですので、彼女たちが直面している問題のどこかに当てはまる点を発見し、共感を得ることです。
二点目として、家計や年金、貯蓄額など具体的な数字で表してありますので、そうなのか、と読者に直接伝わることです。
三点目は、物語に登場する専門家の助言が読者に活かされていくことです。

凛が気づいたのが、御厨家のご主人は常に脇役である、ということですね。
第4話では、祖母の琴子と知り合った男性が登場してきますが、御厨家の智子のご主人として、また真帆と美帆の父親の視点で描かれる章を読みたくなりました。
定年を前にして現役で働いている男性の意見も聞きないなあ、と素直に思った凛です。
合わせて、真帆のご主人、現役公務員としての視点で読みたいな、と思います。

家族の姿はどんどん変化していくものです。
御厨家の数年後の姿の続編も期待したいです。

男性の読者には、女性たちが暮らしそのものや暮らし方について、どのように考えているのか、彼女たちの本音が伝わってくるのではないか、と大いに期待いたします。

作者の原田ひ香氏については、「ラジオはお好き?」(ココ)の項でご紹介しています。
是非ご覧くださいね~ (^o^)

最後に。
全編にわたり、お金を背景にして、登場人物の生き方のどこかに読者の共感を得られる物語です。
お金は人生の目的か、手段なのか。
読者に、人生の主役は何なのかという大切なことをあらためてつきつけます。
「ラジオ小説」でご活躍された原田ひ香氏ならではの伝達の具体性が効果を表している小説である、と凛は考えます。
本当にそうだよね~、と多くの読者に共感を得られる作品であることに納得いたしました。

あなたは三千円をどのように使われますか。
凛は本の購入に充てるでしょうねえ。 (^_-)-☆

今夜も凛からあなたにおススメの一冊でした。 (^-^)

************
************


2020年7月24日金曜日

ラジオはお好き?

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

あなたはラジオをお聴きになられていらっしゃいますか。
とっておきのお気に入りのラジオ番組がありますか。

凛にも好んでよく聴いているラジオ番組があります。
ラジオはテレビなどの映像とは違って、聞き流しながら作業ができるのがいいですね。
また、パーソナリティのリスナーの一人一人に対する語り口が、より身近に感じられることがラジオの良い点として挙げられます。

凛は、ラジオで音楽を聴くのが好きです。
凛は以前から洋楽が好きでしたが、最近は昔流行った日本の音楽もいいなあと思うようになってきました。
その理由は、記憶に擦り込まれたメロディが心地よくて、気軽に口ずさむことができるからでしょうか。

昨今は様々なメディアが出てきて、昔のように地上波テレビを家族一緒に団欒として視聴することは少なくなってきたのではないでしょうか。
それには、経済の発展とともに、家族の在り方に変化が生じてきていることも挙げられましょう。
しかし、今回の新型コロナウィルスの影響で、リモートワークやオンライン授業などが取り入れられ、家庭内での過ごし方に変化が生じてきているようです。

現在は、パソコンだけでなく、スマートフォン、タブレット型端末など、様々な通信機器があります。
それに伴い、インターネットによるYouTubeなどの動画サイトにも随分といろいろなものが出てきました。
これから5G全盛の時代に突入しますので、これらの分野はますます発展していくでしょう。

ラジオの世界も、放送と同時刻に聴くだけではありません。
聞き逃しのないように録音する方法もあります。
それから、ポットキャスティング、radikoなどのアプリなどを用いて、スマートフォンやパソコンで聴ける時代になりました。
ワイドFMになって、AM局の音質が格段と良くなりました。

今、かかっているこの曲のタイトルは?アーティストは?
な~んて疑問は、瞬時に番組のホームページで確認ができます。
その曲が入っているアルバムもわかりますし、インターネットで即時に購入もできます。

以上、凛は技術的な進化を中心に書きましたが、本当に便利な世の中になりましたね。(^_^)v

このようなラジオとのつながりを描いた小説が、原田ひ香(ひか)氏の『ラジオ・ガガガ』(双葉文庫、2020年)です。
2017年に双葉社から単行本として刊行されました。

凛が持っている文庫本の初版の帯には、「誰にでも一人で抱えきれない夜がある」と出ています。
帯には「ラジオ小説」と紹介されていますが、「ラジオ小説」とは何だろう?と、凛がよく利用している近所の書店の店頭でこの文庫本を見たときに、とても不思議に思いました。
そして、実際に放送されているラジオ番組が登場するということが、帯からの情報で、凛の興味のアンテナがピピピと反応したのは紛れもない事実です。

さて、この作品は、全6話から成っています。
登場人物たち一人一人が「ラジオ」という媒体に関わって、それぞれのドラマが展開していきます。
それは、現在の番組だけとは限りません。
過去に放送された番組や歌などと向き合う人もいます。

第一話「三匹の子豚たち」は、伊集院光さんのラジオ番組の大ファンという70代の女性のお話です。
彼女には三人の息子さんがいます。

第二話の「アブラヤシのプランテーションで」では、異国で心機一転を図った日本人男性の話。
昔ラジオで聴いた歌が!

第三話「リトルプリンセス二号」では、ラジオドラマについて描かれています。

第四話「昔の相方」は、タイトル通り、漫才コンビの昔の相方だった人との関わり方が描かれています。

第五話「We are シンセキ!」は、中学二年生の女子たちの物語です。
某ラジオ番組に耳を傾けている女子中学生たちはどんな心境で聴いているのでしょうか。

最終話「音にならないラジオ」は、ラジオドラマ作家の話です。

以上、この作品の登場人物たちは、それぞれのラジオとの関わりを、明るく希望の星として捉えたり、または辛い媒体として重くのしかかっていたりと、実に様々です。
ラジオを通して、それぞれの人生模様が展開されています。
普段BGM代りに聴いているラジオの世界が、こんなに広くて深いものだと改めて知った凛です。

作者の原田ひ香(ひか)氏は、2006年、この文庫に収録されている「リトルプリンセス2号」第34回NHK創作ラジオドラマ大賞の最優秀作☆彡として受賞されました。
それから、翌年の2007年には、小説『はじまらないティータイム』(集英社、2008年)第31回すばる文学賞☆彡を受賞されています。
『ランチ酒』(祥伝社、2017年)、『ランチ酒 おかわり日和』(祥伝社、2019年)など多くの作品があります。

原田ひ香氏は、シナリオライターでご活躍されたことからか、会話文がとても鋭く冴えています。
登場人物が本音で語る部分が多く、読者に寄り添うような形で、凛に迫ってきました。

ああ、そうだよね。うん、そうそう。
なるほど、わかる、わかる。
へえ、そうだったのかあ。
あら、それは知らなかったなあ。
え、それはちょっと違うんじゃない。
などと、登場人物と自由に会話しながら読めますよ~ (^o^)

ラジオの世界があなたにもぐーんと身近に感じられる小説です。
文庫本の表紙の女性は、机に座ってラジオを聴きながら、窓から月明りの夜空の向こうを眺めています。
その光景は、凛も同じかもしれません。

あなたは、暮らしの中で、どのような形でラジオと向き合っていらっしゃいますか。
車の中で、または職場で、それからご自宅で。

凛は、FM東京系の深夜0時からの『ジェット・ストリーム』の6代目パーソナリティの福山雅治さんがゆっくりと語りかけている声をよく聴いています。
凛は、5代目パーソナリティの大沢たかおさんのときもよく聴いていました。
この文庫本の表紙のように、凛も耳に心地よい音楽を聴きながら夜空を見上げています。

あなたも原田ひ香氏の「ラジオ小説」を読んで、ラジオとふれあってみませんか。
あらゆる角度から、あなたに寄り添ってくれる小説です。
ああ、ラジオって何だか落ち着くなあ、とってもいいなあと、新たな発見があるかもしれませんよ。

今夜も凛からのおすすめの一冊でした。(^-^)

************
(日本語)文庫-2020/5/13原田ひ香(著)
************