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2025年5月5日月曜日

月を眺めて、新鮮な読書の時間を楽しむ! ~伊与原 新『月まで三キロ』(新潮文庫、2021年)~

こんばんは。南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
お休み前のひとときに、本の話題でごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

新緑、春から初夏へと移行している季節ですね~
暑くもなく、寒くもなく、今頃が最も過ごしやすい季節ではないでしょうか。
ゴールデンウィークの長いお休みを満喫されている方も多いでしょう。
勿論カレンダーには関係なく、連日お仕事の方もいらっしゃいますね。
あなたはいかがお過ごしですか。

自然の四季の移ろいを慈しむ日本。
近年では風情を感じることなど、そうもいってもいられず、酷暑、酷寒と極端でもありますが……。

人生には四季の移ろいと同様に、春夏秋冬の時期が訪れるといえます。
「毎日が楽しい!」全てが順調で心地よい日々もあれば、辛い時もあるでしょう。
むしろ順調でない時にこそ、人は何か心の支えを求めるものかもしれません。
文学はこのような人々の代弁者となって、悩める読者に寄り添っている存在であり、またそう捉えていきたいと凛は大いに願います。

今回ご紹介いたします本は、人生の岐路に立ち、今後進むべき道を模索している主人公たちが、自然科学の専門的な領域に触れながら個々に光を見出していくという物語の短編集です。

伊与原 新(いよはら しん)氏の短編小説集『月まで三キロ』(新潮文庫、2021年)です。
単行本は、2018年12月に新潮社から発刊されています。

自然科学の基礎的な知識を得て、新しい読書体験が堪能できる作品群です。
難解な分野がわかりやすく描かれており、実にさりげなく自然体で受け止めることができます。
作者は、悩める主人公たちと同じ目線に立っていて、優しく読者を物語の世界に誘います。
全体に素直な文体ですので、決して難しく考えずに、気軽に読んでいただきたい作品です。

読後感は、すっきり爽やか系ですよ~!(^O^)
緑鮮やかなこの季節に合っているのではないでしょうか。
「さあ!また明日からファイト出していこう!」と意欲がわいてきます。\(^o^)/

はじめに、この文庫本の入手についてです。
この春のこと、いつもの近所の書店の文庫本の目立つコーナーで、伊与原 新氏の本が何冊も平台に何冊も並べられていたことによります。
凛が最も魅かれたのが、この本のタイトルと帯と表紙でした。

凛が持っている文庫本は、2025年3月5日付の第15刷です。
文庫本の初版が2021年7月1日付ですから、人気が根強い作品であることがわかりますね。

次に、帯や表紙についてです。
一番目は、帯について。
書店の平台で何よりも目立ったのが帯でした。
全体が黄色に赤い文字でデーン!
「第172回 直木賞受賞! 祝 〈科学の知〉が傷ついた心に響く物語。」(新潮文庫、2025年3月5日第15刷ほか)

この帯が付けられた伊与原氏の文庫本たちの存在感に圧倒された凛でした。
凛がこの文庫本を購入したのは今春でしたから、初版の本などはもう少し早い時期ですと異なった帯だったでしょう。

二番目は、表紙について。
何と言っても「月まで三キロ」というタイトルに魅かれましたねえ。
白い文字の中で「月」の漢字一字だけが黄色で、月のあかりを連想させます。

全体に紺色がベースで、道路の向こう側に橋がかかっており、そのずっと向こうには山々が見えています。
読者は手前の道路側からその景色が見える角度に立っています。

そして何よりもインパクトがあるのが、右上に見える大きな月!
月ってこんなに大きかったのかしら?
手を伸ばせは簡単につかめるのではないかと思えるほどに月が近いのです。
月が放つ光がキラキラと輝いています。
この幻想的な月の存在感に圧倒されそうです!(^O^)

カバー装画は、草野 碧(くさの みどり)氏です。
単行本の表紙も文庫本と同じデザインとなっています。

三番目は、裏表紙の説明文について。
「『この先にね、月に一番近い場所があるんですよ』。」(同文庫本)
この文章から始まる裏表紙の説明文に、ぐいぐいと魅かれた凛でした。
え?? 月って近くにあるの?
凛の頭の中は???の記号の羅列。

「死に場所を探す男とタクシー運転手の、一夜のドラマを描く表題作。」(同書)
どんなドラマが展開されているのだろう?
男とタクシー運転手さんとの物語の展開が気になるではありませんか。

それでは、内容に入ります。
目次を開きますと、文庫本ならではのお楽しみがありますね~
まず六編の短編に加えて、文庫本巻末に特別掌編として「新参者の富士」、それから逢坂 剛(おうさか ごう)氏と作者の伊与原氏との対談「馬力がある小説」が収録されています。
こちらも是非おすすめです! (^O^)

六編の短編のタイトルは以下です。
「月まで三キロ」
「星六花」
「アンモナイトの探し方」
「天王寺ハイエイタス」
「エイリアンの食堂」
「山を刻む」(以上、同書、目次より)

では、本のタイトルとなっている一番目の短編「月まで三キロ」について。
冒頭は「負けがこんでいる。」(同書、8頁)から始まります。
続けて二行目には「そう思ったときには、たいてい手遅れだ。ギャンブルと同じように、人生も。」(同書、同頁)

「人生も下見ができればいいのに、と思う。」(同書、同頁)
確かに、一生を通して俯瞰できれば、人は悩まなくても良いですものね。
それができないからこそ、人生とは一発勝負であり、時間との闘いでもあるのです。

この短編の主人公は、己の人生につまづいているのだなということがわかります。
いくら悔やんでも、反省しても、順調な時までの経緯はしっかりとその人の人生というステージに保存されていて、決して消去することはできません。

彼は、ある夜に初めて訪れた町でタクシーの運転手さんからすすめられたうなぎ屋に入りますが、気分が悪くなり店を出ました。
そして別の個人タクシーをつかまえて、富士山の近くの「鳴沢村(なるさわむら)」(同書、12頁)まで行きたいことを告げます。
個人タクシーの運転手さんは、この乗客の言動から「ある察し」がついて、「月ってね、いつも地球に同じ面を向けてるんですよ」(同書、19頁)と月の説明をしていきます。

運転手さんの話から、主人公の彼の脳裏にべったりと張り付いた重い来し方が次第にはがれてゆきます。
運転手さんによる月の話はだんだんと高度な専門的になり、専門用語や数字が出てきます。
主人公は自分の過去を絡めて、現状に至った辛い経緯を記憶の中で辿ります。

運転手さんの月に関する話はますます高度な領域まで高まってゆきます。
この運転手さんは何者なのか?
読者も、主人公の彼と共に運転手さんのこれまでの人生も重ねて気になってしまうことになるのです。

恐らくこれまでにもこの個人タクシーには主人公の彼と同じような境遇の乗客がいたのではないでしょうか。
主人公の彼の心もだんだんと解凍していっていくような感覚……。
話し上手な運転手さんのコミュニケーション能力に敬意を払いながら、物語はタクシーと共に進みます。
読者は、主人公の彼とタクシーの運転手さんと一体となって、ああ、この物語を読んで良かった~~と心から感動がわいてきますよ。

続きは、あなたが読まれてからのお楽しみに~ (^-^)

他の短編にも自然科学に関する話題が織り込まれています。
月だけでなく、天気、石、宇宙など、作者は専門分野の基礎知識として非常にわかりやすい形で読者に説いています。
悩める登場人物たちはこれらを踏まえ、心機一転して次のステップへと進んでいこうとする再生の道のりに辿り着くのです。

それでは、作者の伊与原 新氏についてです。
伊与原氏は、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻され、博士(理学)の学位を授与された研究者でした。
大学勤務を経た後に文学の執筆活動を始められました。

2010年、小説『お台場アイランドベイビー』(角川書店、2010年、のち角川文庫、2013年)で、第30回横溝正史ミステリ大賞を受賞☆彡されました。(^^)v

短編小説「月まで三キロ」は、2019年、第38回新田次郎文学賞を受賞☆彡、同年、未来屋小説大賞受賞☆彡のほかにも複数に受賞☆彡☆彡された作品です。(^O^)

そして、2025年、短編小説「藍を継ぐ海」第172回直木三十五賞を受賞☆彡☆彡されました。\(^o^)/
この作品は、2024年9月、同タイトルで新潮社から短編集の単行本として刊行されています。

他にも数々の作品で受賞されていらっしゃいます。
最もご活躍が期待される注目すべき作家のお一人です。(^-^)

最後に。
短編集『月まで三キロ』は、自然科学の分野をわかりやすく導入して、誰もが親しめる読書体験ができる短編小説集です。
読後は、主人公たちの悩める人生が浄化されたような爽快感があります。
自然科学にも触れられて、文系と理系の境界がない新しい読書の在り方が示されています。

伊与原 新氏は、人生には山あり、谷ありという苦汁があることをご存知の上で、誰もが読みやすい文章で、さりげなく自然科学に関する話題を取り入れながら、新しい文学の創作に励んでいらっしゃる作家であると凛は考えます。
研究者目線からの専門知識を素人に決して押し付けることなく、柔和に文学作品に取り入れられています。

伊与原氏の描く文学世界には新鮮な発見があります。
新しい感覚の読書の時間をあなたも是非楽しまれてくださいね~ (^O^) 

臆することは決してありませんよ。
理系なんてわからない、科学の専門的な分野なんてさっぱり、と仰る方も多いかと思います。
知らなかったことを知る。
さあ、読書を通して、知的探求の醍醐味を味わいましょう! (^^)v

今夜もあなたにおすすめの一冊でした。(^O^)/

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伊与原新(著)新潮社(2021/07発売)
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2024年4月1日月曜日

虚と実の狭間を浮遊する ~小川哲『君が手にするはずだった黄金について』(新潮社、2023年)~

こんばんは。南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
お休み前のひとときに、どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

各地で桜の開花宣言が出ています。
桜の開花前線はこれからだんだんと北上していきます。
お花見で春を楽しみたいですね。(^O^)

あなたはどのような春をお過ごしになりますか。
これから温かくなりますので行楽にお出かけする方も多いことでしょう。
季節の変わり目はお天気も変わりやすいようです。
晴れた日ばかりとは限りません。
晴れたり曇ったり、時には雨や突風もある春。
凛は変わらず読書を楽しんでいきたいです。(^-^)

4月10日には2024年の本屋大賞の発表があります。
今年も10作品がノミネート☆彡されています。
どの作品が大賞を受賞されるのでしょうか。
全国の読書家が楽しみに待っていらっしゃることでしょう。
今回はノミネート作品の1冊をご紹介しますね。(^O^)

虚と実との境目が明確でない世界を体験できる小説、小川哲(おがわ さとし)氏の連作短編集『君が手にするはずだった黄金について』(新潮社、2023年)です。
2023年の10月に刊行された単行本です。
凛が持っている本は初版本です。

はじめに、凛がこの本を手にしたのは、昨秋訪れた各書店の新刊コーナーです。
その後、凛の地元のラジオ番組でこの本の紹介と、小川氏ご本人の電話出演もあったことでより強く印象に残りました。
某大手書店で小川氏のサイン本と出合ったことで即買いすることにしました。

サイン本は、凛にはまるで宝物のようにキラキラ輝いて見えてしまいます。
著者、出版社、書店との販売作戦に見事はまってしまう凛なのです。(^^;
小川哲氏のサインは可愛らしい感じで微笑んでしまいます。
作品から硬派のイメージを持っていたのですが、柔らかい印象のサインは意外でした。

次に、帯や表紙についてです。
まずは帯ですが、凛が購入した初版本では画像の帯とは異なっています。
現在は本屋大賞のノミネート作品である帯が付いている本が多いことでしょう。

凛の初版本の帯の表表紙側には、「直木賞受賞第一作」として「認められたくて必死だったあいつを、お前は笑えるの?」という文言が書かれています。
その下に小さな文字で「才能に焦がれる作家が、自身を主人公に描くのは〝承認欲求のなれの果て〟」。(同書)
帯には作家の朝井リョウ(あさい りょう)氏ほか二名の感想が読者を誘います。

初版本の帯の裏表紙側には、「いま最も注目を集める直木賞作家が成功と承認を渇望する人々の虚実を描く」と書いてあり、本のタイトルの「君が手にするはずだった黄金について」の篇のあらすじが出ています。
難しそうに感じるかもしれませんが、本を最後まで読めばこの帯の文言は秀逸であることがよくわかるように考えられているなあ、と感心した凛です。

二番目は表紙についてです。
表表紙は全体が白地の中、中心部には各色のサテンリボンで作られた花束に見える形状のものがデーンと目立っています。
授賞式に作家におくられる花束のようでもありますが、すべてをサテンリボンで覆われた人工的な花束は、何やら意味深でもありますね。
裏表紙側は花束はなく、真っ白です。

カバーは、Art works by takeru amano、あまの たける氏です。
装丁は、新潮社装幀室です。

それでは、内容に入ります。
作品は以下の6篇の連作短編です。
「プロローグ」
「三月十日」
「小説家の鏡」
「君が手にするはずだった黄金について」
「偽物」
「受賞エッセイ」

「プロローグ」では、2010年に「小川」(おがわ、同書22頁)という大学院生の青年が就職活動をするため、出版社の新潮社のエントリーシートを取り寄せた際、その中にある質問に考え込むところから始まります。
質問は「プロローグ」の冒頭に出てきますので、是非お読みいただきたいと思います。

当然ですが、小川青年は出版社を希望するからには数々の文学に触れてきています。
作中には「ジョン・アーヴィング」(7頁)や「スタインベック、ディケンズ、モーム、サリンジャー、カポーティ」(8頁)などの世界の文豪の他、「クレストブックス」(同頁)という新潮社刊行の世界文学を紹介している人気のシリーズ本も好んで読んでいます。

そこまでは順調だったものの、小川青年はある質問に辿り着き、「『怒りの葡萄』、『ガーブの世界』、『夫婦茶碗』」(8~9頁)の三冊で答えようとしますが、ここで逡巡するのです。
彼はこれまでの人生を振り返り、「人生において重要だったもの」(9頁)をあれこれと自身に問いかけてゆきます。
文豪だけでなく、哲学者の「バートランド・ラッセル」(12頁)の理論の他、様々な哲学者の名前を挙げて、小川青年の脳内はエントリーシートから広がっていくのを自認します。

小川青年は当時付き合っていた彼女「美梨」(みり、10頁)を登場させて読者をホッとさせますが、それは一瞬のことで、美梨とも哲学の会話を続けます。
その間、エントリーシートは白紙のままです……。

美梨との交際は続いていますが、果たして美梨の本心はどこにあるのでしょうか。
行間には二人の関係が安定していないことが込められているようにも見えてきます。

このように書きますと、読者には頑なである小川青年の性格についていけなくなる方もいらっしゃるかもしれません。
帯にも描かれているように「承認欲求」の強い自我を見せる小川青年ですから、読者の立ち位置としては彼から適度に距離を置きながら触れていくと全体が見えてくるのではないか、と凛は考えました。

この「プロローグ」で意識したいことは2010年であることです。
次の「三月十日」の篇では、2011年3月11日に起きた東日本大震災から3年を経た年の3月11日、その夜に彼は高校時代の同級生たち4人で飲み会をします。
彼らは「スノボ計画」(47頁)の仲間で、3年前の3月13日に行く予定でしたが、大震災のために中止となっていました。

その話題から、小川は3年前の大震災の前日は何をしていたのか、という疑問を持つことになります。
彼は疑問を解決するために、自身の記憶を頼りにしながらあらゆる手段を用いて辿り着くのです。
その執着ぶりには研究者かと思わせるほどの思考の回路を見せます。
例えば、かつて使用していた携帯に電源を入れるためにどうすべきか、などなどです。

この篇では、彼は既に作家になっています。
作家とはこのように理論が展開していくのかと感心することも多かった凛ですね~ (^.^)

6篇のタイトルを見れば、時系列に作家という職業の小川氏の手の内を見せているかのようでもあり、実は逆かもしれません。
どれが本当で、どれが嘘であるのか。
読者は虚と実との間を浮遊して読んでいるかの如く体験できます。
真偽の境目の線上で掴むことができそうでできない、という読者が体験する知的ジレンマがこの作品の魅力ではないでしょうか。

作者の小川哲氏についてです。
「哲」は「てつ」ではなく、「さとし」です。

2017年、SF小説『ゲームの王国(上・下)』(早川書房、2017年、のちハヤカワ文庫JA、2019年)第38回日本SF大賞を受賞☆彡、第31回山本周五郎賞を受賞☆彡されています。\(^o^)/

2022年、長編小説『地図と拳』(集英社、2022年)第13回山田風太郎賞を受賞☆彡、翌年には第168回直木三十五賞を受賞☆彡☆彡されています。\(^o^)/

2023年、小説『君のクイズ』(朝日新聞出版、2022年)第76回日本推理作家協会長賞長編および連作短編集部門を受賞☆彡されています。\(^o^)/

他にも多くの作品をご執筆されています。
書店では常に目立つ所にあるので、小川氏の人気の高さがわかりますね。
今後ご活躍に目が離せない作家のお一人です。

最後に。
全体に作家という内面を「小川」氏特有の複雑な理路で進んでいきます。
「小川」という作家を構成していく過程、及び彼の周辺の登場人物たちとの絶妙な距離感、それらは緻密に計算されていると思えてなりません。

読者は虚実の狭間をふわふわと浮遊するような感覚で読み解いていく知的体験ができます。
もしかしたら物質文明の地球上ではなく、全く異なる次元での話かもしれません。
まるで異次元の世界を漂っているかの如く、時間、空間、現象、事象、その他諸々のアイテムを駆使したこれらの「小川」氏からの挑戦に対峙してみてはいかがでしょう。

初版本の帯の言葉、作家の「承認欲求の成れの果て」を認めるか、認めないかは読み手であるあなた次第でしょう。(^O^)
つまりは、読者のあなたが中心になって物語は進むのです。

あまり難しく考えずに、是非気軽に読まれてくださいね。 
4月10日の本屋大賞の発表も楽しみです。\(^o^)/

今夜もあなたにおすすめの一冊でした。(^-^)

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2023年12月6日水曜日

うわっ!究極の選択!どうするあなた? ~荒木あかね『此の世の果ての殺人』(講談社、2022年)~

こんばんは。南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
お休み前のひとときに、どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

師走になりました。
世の中が日に日に慌ただしくなり、「急ぎなさい!」と追い立てられるような空気感でいっぱいになる時期です。
このような時こそ慌てず落ち着いて臨みたいところですね。
年内にしなければいけないことはなるべく早めに着手して、ゆとりを持ちたいと思う凛です。

まあ何とかなるだろう、その時になって対処すればいいじゃないの、という方も多くいらっしゃるかと思います。
凛は「時」に迫られて慌てるのが嫌なので、年末はなるだけ早めに行動したいと考えるタイプですねえ。(^^;
あなたは歳末をいかがお過ごしですか。

今を生きている世界が安泰な時には一日が穏やかに過ぎてゆくものです。
それを「平穏」と表現いたしましょう。

ところが、各人の性格や考え方など全く及ばず、真の選択を迫られた世界で生きなければならなくなったとしたら……。
この地球上で突然に平穏な日々を営むことができなくなった時、人々はどのように生を捉えるのでしょうか。
恐怖、絶望、悲観、諦め、閉塞感、開き直り、無の心境……。
これらは極力避けたいことばかりですが、近いうちに訪れるという負の予測がほぼ確実であるならば、あなたはどのように思考し、行動しますか。

Xdayに向かって、地球人として絶対に体験しなければならない尋常ではない日々。
これまでは非日常と漠然と捉えていたことが、突然確実な負の日常に変わった時、いわゆる最悪の状況設定の中で、日本の福岡県で連続殺人が起こる小説があります。
極限の状態で起こる連続殺人事件に、果敢にも挑む女性二人の物語です。

今回ご紹介いたします作品は、荒木(あらき)あかね氏の長編小説『此の世の果ての殺人』(講談社、2022年)です。
今のところ単行本のみで、文庫化はされていません。
この小説は、2022年、第68回江戸川乱歩賞を受賞☆彡作品で、著者の荒木あかね氏は史上最年少の受賞者として各メディアで話題になりました。\(^o^)/

はじめに、この本との出合いについてです。
凛がこの本を知ったのは一作目が各メディアで話題になった時でした。
「とっくに読んでますよ~」というミステリーファンも多いかと思います。

何故今頃、紹介するの?という疑問をもたれたあなたへ。
凛はベストセラー作品は話題になっている期間ではなく、少し落ち着いてから読むことが多いです。
話題性というメディアの発信の枠内から出たところで、じっくりと味わいたいという気持ちがあるからです。
文庫化されるのを待つことも本音ではありますねえ。(^^;
ということで、この作品の単行本の購入を控えておりました。

今夏の8月に、荒木氏の二作目『ちぎれた鎖と光の切れ端』(講談社、2023年)が出版されました。
しばらくして秋に某ラジオ番組で著者について高評価していたことから、少し離れた大型書店に様子を見に行ってみました。
一作目はその大型書店にはなかったこともあり、ネット書店で購入しました。
ああ、一作目を入手するまで何ともどかしい凛ですこと……。 (^^;

凛が購入した一作目の本は、2022年12月1日付の第4刷発行のものです。
初版が2022年8月22日付なので、相当話題になったことがわかりますね~ (^^)v

次に、帯や表紙についてです。
一番目は、帯について。
凛が購入した第7刷の帯の表表紙側には、赤い帯の地色に「読書メーター注目本ランキング 単行本部門2022年10月 第1位」と目立っておりますよ。
他には「第68回 江戸川乱歩賞受賞 史上最年少、満場一致」
「大重版、新人なのに5万部突破!」など、期待感がモリモリです!

帯の裏表紙側には、「正義の消えた街で、悪意の暴走が始まった。」と。
その文字の下に細かい文字で説明文が4行書いてあり、実に衝撃的な内容です! (@_@)

「小惑星『テロス』が日本に衝突することが発表され、世界は大混乱に陥った。」
「そんなパニックをよそに、小春は淡々とひとり大宰府で自動車の教習受け続けている。」
(省略)
「年末、ある教習車のトランクを開けると、滅多刺しにされた女性の死体を発見した。」
「教官で元刑事のイサガワとともに、地球最後の謎解きを始める──。」(以上、同書)

裏表紙側には、京極夏彦(きょうごく なつひこ)氏を含めて5名の著名な作家の感想が一文ずつ紹介されています。

二番目は表紙について。
水たまりのある荒廃した土地に女性が二人、遠くの空を見つめています。
一人はコンクリートらしき建造物に座り、もう一人は立っています。
青い空に、赤く染まった雲や灰色の雲が見られます。
女性たちの周囲には電柱や信号機が斜めになっているものもあり、道路は壊滅しています。

この光景は裏表紙側に続いており、裏表紙の右端の下側には、大宰府自動車学校の教習車が半分ほど描かれています。
空には白く発光した帯状の「物体」が地上に向かっており、かなりのスピードであることがわかります。

装画は、風海(かざみ)氏です。
装丁は、bookwallです。

それでは、内容に入ります。
通常は内容に少しだけ触れているのですが、今回は先に述べました帯の裏表紙側の説明文だけで十分ではないかと思います。m(__)m

読者は、小春とイサガワ先生の二人の周辺が尋常ではない環境下に置かれていることに気づきます。
小春の家族と自宅、自動車教習所、警察、個人医院など、様々な伏線が張られています。
二人は福岡県内を大胆に動き回ります。
移動には自動車教習車を使って。

ミステリー小説なので、後はあなたが読まれてからのお楽しみに~ (^O^)

凛の感想といたしまして、四点挙げます。
一点目は、舞台が福岡県という限定的な地域密着型であること。
これは、著者の荒木あかね氏が福岡県在住であることが大きいでしょう。
例えば、6頁では宝満山(ほうまんざん)や英彦山(ひこさん)に触れるなど、地元の読者が喜ぶであろう場所が多々描かれています。

二点目は、天体に関してリアリティに迫っていることです。
作品の前半25頁から通称『テロス』」について詳しい説明が入ります。
既に帯の説明文で挙げていますが、地球に小惑星が衝突することが発表されます。
人々のパニックが!
頁をめくる度に様々な登場人物とエピソードで絡み合って進んでゆきます。

三点目は、イサガワ先生の言動の切れ味がユーモラスで小気味よいことです。
地球が終わるかもしれないという極限の時に起こる残忍な連続殺人事件を追って、イサガワ先生はこう言い放ちます。
例えば、「まだ地球は終わってないんでね」(同、112頁)

要はタイトルの「此の世の果て」とはどういう状態なのかということが重要かと凛は考えした。
極限の状態でこのようなセリフが言えるなんて!
現実にはこの言葉を言う機会が訪れないことを祈るばかりですが……。(-_-;)

四点目は、巻末に江戸川乱歩賞の沿革並びに選考経過、選評が掲載されていることです。
プロの作家の見解を知ることで、読者には受賞作品の重厚感が増すでしょう。
第1回(昭和30年)からの受賞リストを見て、歴史感を凛は認識しました。

著者の荒木あかね氏に関しては、先に述べました通りです。
荒木氏は1998年生まれのZ世代。

最後に。
小惑星が衝突して地球が滅亡するかもしれないという極限状態の中で、福岡県を舞台にした連続殺人事件を追う小春とイサガワ先生の行動力が基軸となっている作品です。
また、解決を追うことで出会う人たちの個々の物語でもあります。
もう後がないことがほぼ確実であるという超極限状態の中で、人の心理と行動がわかってしまう、いわば最も恐ろしい話です。

二人は「此の世の果て」から逃れられるのでしょうか?
それとも逃げずに向かっていくのでしょうか?
では、あなたはどうしますか?

凛は、物語の最後の数行、小春とイサガワ先生の会話を何度も読み返し、表紙の絵をじっと見つめました。
映像作品にできそうですねえ。

荒木氏の二作目の本が出版されて、凛が向かった大型書店では目立つように二作目が売り場のど真ん中にデーンと難十冊も平積みされていました。
「Z世代のアガサ・クリスティー」とPOPが添えられていました。
書店の対応もお見事ですね!

凛は一作目の時と違って、二作目は即買いしました。(^_-)-☆
荒木あかね氏の今後のご活躍に大いに期待します!(^O^)

今夜もあなたにおすすめの一冊でした。(^-^)

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講談社2022/8/24荒木あかね(著)
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2023年4月27日木曜日

あなたにとって新しくなった日常とは ~相原瑛人『ニューノーマル 1』(ファンギルド、2021年)~

こんばんは。南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

初夏の爽やかな季節ですね~
さあ!日本ではGW(ゴールデン・ウィーク)がもうすぐ訪れます。
あなたはどこかへお出かけされますか。
これまでコロナ禍で外出も控えめにされていた方も多かったことでしょう。
各地のお祭りも今年からはコロナ前に戻って開催される所が多いようです。
街が活気づくのは楽しくなりますね!\(^o^)/

現在、あなたはマスクを外していますか。
凛は臨機応変で対応しておりますよ。

日本では3月13日からマスクを外すことについては個人の判断に委ねられるようになりました。
お仕事中は職場からの指示があるため外せない方々が大半ではありますが、買い物するお店や道行く人々の中にはマスクを外している方も日々見かけるようになりました。
春の花粉症でお悩みの方々も夏に向けてだんだん減っていくかと思われます。
これから暑くなってくれば、人々のマスク姿の光景に変化が訪れていくことが予想されます。

余談ですが、凛は鏡を見て、顎がコロナ前に比べて随分丸くなってきたなあと感じる今日この頃です……。(^^;
ある程度の緊張感は大事ですね~
この3年間ほどマスクで顔を覆ってきたため、ここにきて顎の輪郭が気になってくるとは……。(T_T)

あなたにとってコロナ前と現在では何か変化が生じましたか。
例えば、凛の周辺では冠婚葬祭を家族の少人数で行うようになったことが挙げられます。
それから最近、使いかけの口紅やリップクリームの古いものを処分し、新しいもので気分一新しました。
もう一つ挙げますと、少し遠出をして温泉に入る機会がありましたねえ。

世界中を震撼させたパンデミック後の新しい世界秩序はどのような新しい価値観を生み出していくのでしょうか。
世の中はどんどん変化していきます。
その速度がどんどん加速していっているように感じるのは凛だけでしょうか。

このままマスクをしたままで生涯過ごさなければならくなったとしたら……。
自分以外の他人の顔全体を見る機会が無くなったとしたら……。

今回ご紹介いたします本は、りんりんらいぶらり~で初めてのコミックとなります。
相原瑛人(あいはら あきと)氏のコミック『ニューノーマル 1』(ファンギルド、2021年)です。

コロナとは異なりますが、よく似たウィルスのパンデミックからおよそ20年くらい先のごく近い未来の日本を舞台にして、他人とは距離を置き、自分以外の人の顔はマスク姿しか知らない高校生たちがどのような価値観の中で暮らしているのかを問うている物語です。

はじめに、凛がこの作品を知ったきっかけについてご説明いたしましょう。
コミックは好きなのに最近はあまり触れることがなかった凛が何故この作品を知ったのかといいますと、YouTubeの動画を見たことからによります。

東京都書店商業組合のYouTubeチャンネル「東京の本屋さん ~街に本屋があるということ~」(https://www.youtube.com/@tokyo-shoten)(ココ音が急激に出ることがありますのでご注意!)という動画が好きで凛は最近よく見ております。
出版不況といわれる昨今、東京で書店を営んでいる店主さんたちのインタビューと書店内を紹介している動画です。

そのYouTubeの動画の中から2022年3月5日にupされている「八王子市旭町・くまざわ書店八王子店」(https://www.youtube.com/watch?v=4AHF-iJamZs&t=3s)(ココ)(音が急激に出ることがありますのでご注意!)の書店員さんがこのコミックを紹介していました。

動画撮影の時点ではコロナ禍でしたが、早くもコロナ後の世界を描いたコミックということで、凛にはとても新鮮に思えました。
動画の中ではまだ第2巻までの刊行というお話でした。
作品は現時点では第4巻まで刊行されています。

コミックアウル(https://owl-comic.jp/book/)(ココ)は電子コミック配信の出版社ですが、凛の本は4巻とも紙の本で、街の駅ビル内の書店で購入しました。

次に、帯についてです。
凛が持っている第1巻は、2021年7月19日初版第1刷の発行になります。

帯の表表紙側では、「〈パンデミック後〉の世界を生きる若者たちを描く、最新型の‘’近未来SF青春群像劇‘’開幕──!」と描かれています。
「今、コロナ禍を生きる私たちと、未来を生きる君たちへ。」という帯のメッセージが印象深いですね。

本の裏表紙側の紹介文には、「僕たちが生まれる少し前、ひとつの感染症が世界を変えた」と描いてあります。

それでは、第1巻から帯の紹介と内容の説明に入ります。
現在から約20年後と予測される近未来、高校生たちは生まれた時からマスクで覆われた顔しか他人を見ないで育っているため、自分以外の口元に対する「見たい!」という欲求が現在を生きる我々とは計り知れなく大きな隔たりがあるものとして描かれています。

中央第二高校の女子生徒の夏木(なつき)さんと男子生徒の秦(はた)くんはクラスメートの顔だけでなく、家の中でも口元を覆うことが日常となっています。
夏木さんは自宅で両親から若かった頃の話を聞き出したり、昔の映画をこっそり見たりしています。

徹底した感染予防で管理される社会で、二人は傘に隠れてマスクを外した顔を見せ合います。
ある時、公園で二人はまたマスクを外します。
そこへ武装整備をした防疫隊が突然やって来ます……。
二人はどうなるのでしょうか!

後はあなたが読まれてからのお楽しみに!(^^)v

以下は、凛が持っている第2巻から第4巻までの発刊日と帯を裏表紙の説明文の一部を説明いたしますね。

第2巻は、2021年11月17日、初版第1刷発行です。
帯の裏表紙側には、「国内外から反響多数!!!!」
「新しい日常と変わらない、私たちの常識。」と紹介されています。
「コミックシーモア 電子コミック大賞2022エントリー作品」と紹介されています。

この巻の裏表紙側の説明文には、「僕が明日いなくなっても、世界は何事もなく続くんだろうな」と書かれています。
この巻では、防疫隊隊員の男性の過去の話が出てきて非常に興味深く読めます。

第3巻は、2022年7月19日、初版第1発行です。
帯の裏表紙側には、「第25回文化庁メディア芸術祭 審査員会推薦作品選出!!!」と紹介されています。

裏表紙側の説明文には、「今の世界はだいぶ、窮屈だ。だから、こんな場所があってもいい」という紹介文が書かれています。
この巻では、夏木さんは同じ高校の望月(もちづき)さんから誘われて某危険な集会に参加することになりますが……。

第4巻は、2023年3月17日、初版第1刷発行です。
帯の裏表紙側には、「外国語翻訳版 刊行続々!!!!」と出ています。
「フランス語、スペイン語、トルコ語、タイ語、韓国語他」と世界へ作品が紹介されているのも電子コミック配信サイトの利点でしょうか。
もしかしたら紙の本も外国で販売されているのかもしれません。

第4巻の裏表紙側の説明文では、「私たちは今、世界流行(パンデミック)の危機に再び直面している」と書いてあることから、急激な展開が予測されます。
果たして、反マスク団体‘’TEETH(ティース)‘’を取り締まる防疫隊との緊迫した世界で、夏木さんと秦くんは今後どうなっていくのでしょうか。

作者の相原瑛人氏は、2017年に講談社のモーニング・ゼロで奨励賞を受賞☆彡されています。
2018年から2019年にかけて同社のモーニングKCから『美魔女の綾乃さん』を連載、2巻に分けて2018年と2019年に発刊されました。

相原氏の作品はとても丁寧で綺麗に描かれています。(^-^)
主人公たちがのびのびとしていて動きもあり、SF的な話題で展開も早く、現代とも共通する場面も多いので、凛のようにコミックが久しぶりのに読者にも受け入れやすいのではないでしょうか。

最後に。
この『ニューノーマル』という作品は近未来の日本という設定で、現代からそう遠くはない、まさにすぐ近くに訪れる将来の物語です。
現在マスクをつけ続けて暮らしていけば、いずれはこのような未来の若者たちが出現することも想像できます。

今を生きている私たちが知らない間に、気づけば将来はこのような事態に世の中がなっているかもしれないとハラハラドキドキする場面が多い中、公園でおにぎりを一緒に食べようとマスクを外す高校生カップルの自然な姿にはとても近しい気持ちになれました。

新しくなった日常……。
現在の私たちの姿が様々な形で近未来の人々に多大な影響を及ぼしていくのかもしれません。

まだ第4巻までの刊行なので、この先がどうなっていくのか大変気になります。
コミック作者の相原瑛人氏は常に過去から未来までの地球のストーリーを俯瞰しているかの如く存在しているように感じます。
今後の展開に是非期待したいですね!(^O^)

今夜も凛からあなたにおススメの一冊でした。 (^-^)

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2022年5月30日月曜日

この地球に生まれて何を思う ~三島由紀夫『美しい星』(新潮社、1962年、のち新潮文庫、1967年、42刷改訂版、2003年)~

こんばんは。南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださりまして、ありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

お久しぶりです。
日本は春から初夏の爽やかな季節を経て、これから梅雨、やがて猛暑が予想できる夏を迎えようとしています。
あなたはお元気でお過ごしでしょうか。
凛は充電期間……、おっと前回から結構長~く充電しておりますねえ。(^-^;

この間、地球はまさに揺れ動いている状況です。
戦争、流行病、政治、経済不安、株価、半導体、労働、飢餓、貧困、格差、気候変動、地震、大規模火災、火山噴火、海底火山噴火、食糧不足、水問題、洪水、脱炭素、民族問題、宗教、メディア、多様性……。
多くの人々を不安にし、暮らしの営みを窮地に陥れる項目を挙げればきりがありません。

混沌としているこの地球に生まれて、あなたは何を思われますか。
凛はこの先も健康で日々を平穏無事に暮らしてゆきたいと願っています。
恐らくはほとんどの人々が凛と同じ思いを抱いているのではないでしょうか。

凛はよく空を見上げます。
特に夜空の星々を眺めるのが好きです。
星の光の具合の変化を楽しみながら……。(^_-)-☆

あの星の向こうには何があるのだろう。
天体に浮かび上がる星々から地球はどのように見えているのだろう。
宇宙人はいるのかな。

凛はSF的なアニメや物語が好きです。
『スター・ウォーズ』などのSF映画も楽しんでますね~

さて、今回の本は、三島由紀夫(みしま ゆきお)著の小説『美しい星』(新潮社、1962年、のち新潮文庫、1967年、42刷改訂版、2003年)です。
初出は雑誌『新潮』の1962年1月号~11月号に掲載され、同年に新潮社から単行本で出版されました。
その後、文庫化されて、改訂版の後も増刷されています。

凛が持っている文庫本は、この春に整理した凛の書棚からタイトルに惹かれて手にしました。
「美しい星」とは地球のことなのかな。
今、読みたい!
「凛さ~ん、どうぞ読んでくださ~い!」
「は~い!わかりました!あなたの出番ですよ~」
本からおすすめの声が聞こえてきましたよ~ (^_^)v

凛が持っている文庫本は、2013年(平成25年)53刷です。
街の中心部にある全国大手書店の一角で時折催される古書祭りで入手したものです。

表表紙には、男性2名と女性2名の上半身の絵が描かれており、彼らの上空には3機の円盤らしき謎の物体が飛行しています。
装画は、牧野伊三夫(まきの いさお)氏です。

帯の表表紙側には、「没後45年── 新しい三島を体験する。」
「(省略)に怯える日本をミシマは予見していた!」(文庫版53刷)

帯の裏表紙側には長い文章が書かれています。
「今や人類は自ら築き上げた高度の文明との対決を迫られており、(省略)二つに一つの決断を迫られている」(同上)

裏表紙の紹介文には、「宇宙人であるという意識に目覚めた一家を中心に、(省略)人類の滅亡をめぐる現代的な不安を」描き、「大きな反響を呼んだ作品。」と書かれています。(同上)

何やら難しそう……。
今から9年前の文庫本ですので、現在の表紙は装丁が若干変わっていますが、絵は同じですね。
帯も変わっているかもしれません。
以上に掲げた(省略)の部分がとても重要になっていると凛は考えています。
これらの重要な部分は、あなたが作品を読まれてから、改めてお考えいただくことをおすすめいたします。

では、内容に入ります。
埼玉県飯能市在住の大杉家の家族四人は各人別々の星から来た宇宙人だと信じています。
父の大杉重一郎は火星、母の伊余子(いよこ)は木星、長男の一雄は水星、長女の暁子(あきこ)は金星から、この地球に飛来してきたと家族間で信じています。

自分たち家族四人は地球の人間ではなく、地球の滅亡の危機から救うために動き始めます。
周囲からは変人扱いされている一家ですが、父の重一郎は世間からの評判など一切気にせず、自分の主義を曲げません。
彼は「宇宙友朋会」(うちゅうゆうほうかい)(同上、126頁他)を立ち上げて世界平和のために活動します。

長女の暁子は美しい娘で、彼女と同じ金星人という竹宮青年と文通で知り合い、金沢まで会いに行きます。
後に妊娠がわかり、彼女は処女懐胎であると主張します。

大学生の長男の一雄は、衆議院議員・黒木の私設秘書になります。
一雄は、黒木との関係から、仙台市の羽黒助教授、銀行員の栗田、理髪師の曽根という三人が上京した際に、彼らの東京案内をします。

羽黒ら三人は、一雄の父の重一郎を敵視しており、そこからの展開が圧巻です!
政治、経済、社会、文化、宗教……。
三人と重一郎との激しい応酬を、三島は作品の後半で多くの頁を割いています。
欲望にうごめく人間の醜さを抉り出しています。

以上、あらすじとして説明するには不透明すぎてわかりにくいかもしれませんね。

作品の内容が硬くて、当時の政治や世界情勢が絡み、難解な部分もありますが、結構ユーモラスな箇所も多々あります。
例えば、第二章で、長男の一雄が女性とデートしているところに妹の暁子が表れて女性に嫉妬している場面はとても愉快で笑えます。

人間の普遍的であろうと思われる点もたくさんあります。
例えば、同じ第二章で、「地球人の病的傾向」(同上、60頁)として、「民衆というものは、どこの国でも、まことに健全で、適度に新しがりで適度に古めかしく吝嗇(けち)で情(じょう)に脆(もろ)く、危険や激情を警戒し、しんそこ生ぬるい空気が好きで、……しかもこれらの特質をのこらず保ちながら、そのまま狂気に陥るのだった。」(同上、60頁)
という考えを重一郎に語らせています。
さすが、三島による鋭い洞察力です。

果たして、この地球上に人間がいなくなったら……。
宇宙人から見た地球は「美しい星」なのでしょうか。

文庫本53刷巻末の解説、奥野健男(おくの たけお)氏によると、作品発表時37歳の三島由紀夫は、「地球の外に、地球を動かす梃子(てこ)の支店を設定」(同、367頁)したことにより、結果、宇宙人の視点によって、客観的に地球を眺めることができると説明しています。

作者の三島由紀夫に関しては、世に出された多々の作品が幅広い年代層に支持され、また論じられてきました。
ここでの説明は省略させていただきます。

最後に、45歳で亡くなった三島由紀夫がもしも現代に蘇っているならば、2022年のこの地球上に起きている様々なことを見て何と思うのでしょうか。
「当時と全く変わっていないじゃないか」
それとも「人間力が弱くなってはいないか」

読後、凛はあらためて帯の説明文に納得しました。
再読すると、また違った発見があるように思えてなりません。

余談ですが、この作品は同じタイトルの『美しい星』で2017年に映画化されています。
吉田大八(よしだ だいはち)監督、リリー・フランキーさんの主演です。
作品のHPはここ!です。
原作とは異なり、地球の危機を「地球温暖化」として脚色されています。

凛は映画はまだ観てませんが、この機会に是非観たいなと思います。
映画鑑賞も読書ができることも地球が平和であることが大前提ですね。

本日も凛からおすすめの一冊でした。(^-^)

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2021年6月28日月曜日

SF古典名作を愉しみました ~アーサー・C・クラーク『幼年期の終わり』(池田真紀子訳、光文社古典新訳文庫、2007年)~

こんばんは。南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださいましてありがとうございます。
凛とともにどうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

お久しぶりです。
お変わりありませんか。
凛はいろいろと野暮用が続いたため、ブログの更新がとっても気になりつつも、すっかりご無沙汰してしまいました。(^-^;
この期間にりんりんらいぶらり~を訪れてくださったあなたには感謝の気持ちでいっぱいです。(^-^)

夏至も過ぎ、本格的な夏になりましたね。
今年も暑い日々が続きそうですねえ。
これからの季節は感染対策はもちろんのこと、熱中症にも気をつけていかなければと思っている凛です。

では、本題に入りましょう。

あなたは異星人の存在を信じますか。
宇宙船らしき謎の物体を見たことがありますか。

凛は二度、夜空をふわふわと飛んでいる宇宙船らしき謎の物体を見たことがあります。

今から5・6年ほど前になるでしょうか。
春の訪れが待ち遠しい季節、夜のウォーキングをしていたときに、そこは街中の公園で、ふと夜空を見上げたら、数色の光を帯びてふわふわと飛んでいる宇宙船みたいな何だかよくわからない物体X(凛がここで勝手に名付けています)がいたのです!
SF映画に出てくるような丸くて平べったい円盤型で、お煎餅のようにところどころふっくらと膨らんだ部分が上下にいくつかあって、底から数色の光を地上に向けて発しているのです。

謎のお煎餅型物体Xは空間に数秒停まっているかと思いきや、ふわりふわりと上下にゆっくり浮遊しながら、するすると音もたてずにビル群の向こうへと飛んで行ってしまいました。
とっても不思議な時間でしたねえ。
X……あれはドローンだったのかなあ。

その時間帯は夜にも関わらず結構公園に人がいて、各々ウォーキングをしていたり、走っていたりしていたので、凛の周囲は一人ではありませんでした。
誰か他の人たちも気づいていたかもしれませんが、どうなのでしょう。
こういうときに凛は想像力をいっぱいに膨らませて、Xが見えているのは凛だけかもしれない……と物語をつくったりするのです。(^-^;

それから約一か月後、すっかり桜の季節の春真っ盛りになった頃、やはり同じ公園ですが、夜空から数色の光で地上を照らしている謎の飛行物体らしき大きなお煎餅型Y(こちらも凛が勝手に名付けています)が数分間空中に浮かんでいるのを発見しました!
前回のお煎餅型Xを見たときよりも地上からもう少し近い高さだったからなのか、Yはとても大きく見えました。

謎の飛行物体らしきお煎餅型Yをその真下に近い所から見上げると、本当に映画の撮影ではないかと思うくらいに丸くて広くて、異星人が乗っているのではという気がしてなりませんでした。

凛の周囲の人々も「あれは何だ?」と言いながら大きなお煎餅型Yを見上げていましたが、Yはとりたてて変わった様子もなくじっと浮いたままだったので、撮影用のドローンかと思ったのか、人々はまた「現在」の意識に移っていきました。

凛は、お煎餅型Yから「特別の時間」を与えられたような感覚がしてなりませんでした。
しばらくの間、じーっと見上げていましたが、だんだん首が疲れてきて、他の人々と同じように「現在」の意識に戻りました。

やはり何かの撮影用のドローンだったのかもしれませんねえ。
一体誰がYを操作していたのでしょう。
周りを見渡しても、撮影している人たちの姿が見られませんでした。
どこか別の場所からの遠隔操作だったのでしょうか。

何だかわからない謎の飛行物体みたいなお煎餅型のXやYには異星人がいたのかもしれないと想像するだけでスケールの大きな話になり、凛はワクワクします。
今から考えると、吸い込まれることもなく、攻撃もされずに良かったと思います。

前置きが長くなってしまいました。

今回の本は、アーサー・C・クラーク氏のSF小説『幼年期の終わり』(池田真紀子訳、光文社古典新訳文庫、2007年)です。
SF小説の古典と言われている名作で、SF好きな方には大変人気の高い作品です。

この作品は、1953年にアメリカで初版が刊行されて以来、世界中のファンに魅了され続けています。
日本では、1964年、早川書房から『幼年期の終り』(福島正実訳、ハヤカワ・SF・シリーズ)として刊行され、その後、複数の出版社から刊行されています。

まず、この本の入手についてです。
凛が入手したのは光文社古典新訳文庫版で、街の書店で新訳版のほうを購入しました。
この新訳版では、第1部の第1章の改稿された作品が収録されています。
凛の文庫本は、2020年10月20日発行の第10刷です。

次に、本の装丁などについてです。
光文社の古典新訳文庫はシリーズ化されていて、装画は、全て望月道陽(もちづき みちあき)氏によるものです。
線画で描かれているのは、地球の人間なのでしょうか。

古典新訳文庫の装丁は、言語圏によって青・赤・緑・茶・桃色の5色に分類されています。
この文庫本は緑色なので英語圏で、装丁家の木佐塔一郎(きさ とういちろう)氏によります。

凛の文庫本の第10刷の帯の表表紙側には、「初版から36年後に書き直された第1章(以下、省略)」「哲学小説」と書いてあります。
帯の裏表紙側には、「黙示録的文学の古典」とも書いてあります。

実は、凛はSF小説は初めての体験なのです。(-_-;)
SF映画はとても好きなのですが、これまでSF小説は難しそうだなあと敬遠してきました。
何故だかわかりませんが、ある日突然、SF小説を読んでみたい!と思って、今回SF小説の初体験となりました。
まさか、異星人からのメッセージ?( ;∀;)

本編の前に、著者のクラーク氏による「まえがき」が掲載されています。

本編は、以下の通り、三部に分かれています。
第1部 「地球とオーヴァーロードたち」
第2部 「黄金期」
第3部 「最後の世代」

海外文学の場合、登場人物の名前がわかりづらく、しっくりこない場合がありませんか。
目次の次に「おもな登場人物」の一覧が掲載されています。
本に添付されている栞には主な登場人物の名前が書いてあります。
栞で確認しながら読むと、登場人物の名前がすんなりと頭に入りやすくなると思うので、この栞は大変便利ですよ~

第1部の第1章は、21世紀のロシア系と思われる宇宙飛行士たちが登場します。
書き直す前の東西冷戦を背景にしたものから、改稿によって約30年ほど時代が進んでいます。

第1部の第2章からは筆者による書き直しは一切ないとのことです。
国連事務総長のストルムグレン氏の登場から、これは地球規模の話なのだということがわかります。
最高君主であるオーヴァーロードと称される地球総督の異星人カレランとの接点が何より興味深いですね。

地球は彼らオーヴァーロードに支配されているのだろうという設定ですが、まだ地球人には支配されている側の意識にゆとりがあるような印象を凛はもちました。
第3章で、「懐中電灯」(60頁他)というグッズが出てきたのが、時代を感じさせるなと思いました。
カレランたちの容姿や思考などはまだ不透明です。

第2部では、第1部から50年経た地球。
時代も世代も変わり、人々の生活も高度な技術によるものに進化しています。
オーヴァーロードのラシャベラクが登場して、容姿が明らかになります。

第3部では、コミュニティに住む一部の人たちとその子供たちとオーヴァーロードとの接点は如何に。
ジャンという青年が重要な役割を果たします。
オーヴァーロードと地球の運命は……。
有名な作品ですが、凛のSF小説初体験のようにまだ未読な方もいらっしゃるでしょうから、あとは読まれてからのお楽しみに。

巻末の解説は、慶應義塾大学文学部教授・アメリカ文学専攻(2007年当時、現在は慶應義塾大学名誉教授)の巽 孝之(たつみ たかゆき)氏す。
「──人類の未来と平和」という題目で、非常に熱く詳しく述べていらっしゃいます。
詳細に解説されており、凛のようなSF小説入門者にもわかりやすく、また読んでみよう!という気持ちになりました。
巽教授による丁寧な講義を聴講している学生のような面持ちで大変勉強になりました。

この後に、クラーク氏の「年譜」が続きます。
最後は訳者の池田真紀子氏による「訳者あとがき」で作品についてまとめられています。

著者のアーサー・C・クラーク氏については、映画『2001年宇宙の旅』(スタンリー・キューブリック監督、1968年公開)でキューブリック監督と共に1968年のアカデミー賞脚本賞☆彡☆彡にノミネートされ、アカデミー賞特殊視覚効果賞☆彡☆彡☆彡を受賞しました。
また、同映画は1969年、ヒューゴー賞☆彡☆彡を受賞しました。
小説『2001年宇宙の旅』は映画公開後、1968年発表されました。
他にも多数ありますが、ここでは省略させていただきます。

20世紀を代表するSF小説の大家、クラーク氏の作品に触れて、凛は地球人としての自己について考えてみました。
人類は進化していくのでしょうか。
それから地球の運命についても……。
壮大な宇宙からのメッセージがクラーク氏を通して作品に込められているような印象をもちました。

ところで、書き直す前の第1部第1章も是非読んでみます。
21世紀を生きている読者には作品の印象が変わるでしょうか。

時空を超えた不思議な旅ができる!
これこそ文学の愉しみですね。\(^o^)/

またいつもの公園で夜空を見上げてみよう。
昼間にも何か見えるかな。

今夜も凛からあなたにおすすめの一冊でした。(^-^)

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文庫-2007/11/8クラーク(著)池田真紀子(翻訳)
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