2023年10月2日月曜日

紙の本、好きです! ~杉井 光『世界でいちばん透きとおった物語』(新潮文庫、2023年)~

こんばんは。南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
お休み前のひとときに、どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

10月に入りました。
日本では本格的な秋の到来です!
今年の夏は暑さが非常に厳しかったですね。
暑さもそろそろ落ち着いて欲しいこの頃です。
昼と夜の気温の変化がありますので、あなたも体調管理にはくれぐれもご注意くださいませ。

さて、あなたはどのような秋をお過ごしされますか。
凛は、やはり秋の夜長に読書ですね~
凛の読書は一年中、ほとんど変わりないですが……。 (^^;

さて、読書といえば「本」ですが、近年は機器の発達で電子書籍が台頭してきています。
略して「電書」。

最近、紙の本は何かと肩身が狭いようです。
重い、場所を取るので保管に困る、汚れる、破れる、ほこりがたまる、他人が触れたものを間接的に触るのがイヤだ、紙自体の価格が高くなっている、などなど……。(-_-;)

この頃は書店も売れ行きが減って、閉店に追い込まれるところも多くなっています。
書店の閉店の理由は他にもいろいろあると思いますが。 (T_T)

確かに、電子書籍はクリックひとつで瞬時に入手することができて、読みたいときにすぐに読めるので大変便利です。
また、文字の拡大のほか、さまざまな便利な機能を駆使して、利用者にとって快適な読書生活を堪能できますものね。 (^-^)

あなたは紙の本派ですか? 
それとも、電子書籍派でしょうか?
凛はどちらかといえば紙の本が好きです。 (^^)v

紙の本は「家づくり」に似ている、と凛は考えています。
一冊の本を製作し、販売するためには多くの専門家の方々が携わっていらっしゃいます。
著者、翻訳家、担当編集者は元より、表紙や帯、裏表紙の担当者、コピーライター、校正、校閲、カバーなどの装画、装幀、デザイナー、出版社、紙販売業者、印刷会社、取次会社、配送業者、書店。
もちろん電子書籍に携わる専門家も多くいらっしゃるでしょう。

各々のプロの専門家によって作られた本たち。
「さあ、どうぞ。ぜひお読みくださいませ!」
書店であなたが手にする一冊の本は、多くの方々とのご縁の賜物といえるでしょう。\(^o^)/

さて今回ご紹介いたします本は、紙の本のすばらしさ再発見!となる物語です。
杉井光(すぎい ひかる)氏のミステリー小説『世界でいちばん透きとおった物語』(新潮文庫、2023年)です。

この作品は単行本の出版はありません。
文庫本の参考文献後の文章のさらに後、奥付の前になる最後の頁に「本書は新潮文庫のために書下ろしされた。」(239頁)と書かれています。
通常の書下ろし作品とは若干表現が異なりますね。

はじめに、凛がこの本を手にしたのは、自宅から30分ほど歩いた街にある書店です。
ネタばれしないようになのか、本全体を丸ごと透明の袋で覆われていました。
この作品は既にネットやTV番組などで話題になっていたのでご存知の読者も多いでしょう。

凛は書店で実際に現本を眺めて「凛さ~ん、この本面白いですよ~」と本からのメッセージがビビビと伝わったので購入しました。
「面白そう。読んでみよう!」
これは子供のころから変わらない凛の習性ですね~ (^-^)

次に、帯や表紙についてです。
凛が持っている文庫本は、2023年の6月30日の第7刷です。
初版が同年の5月1日発行なので、わずか2か月で第7刷になっています。
この作品の人気度がいかにすごいかがわかりますね!

帯についてです。
凛が持っている第7刷の帯は通常の文庫本の帯とは若干異なる紙質になっています。
帯の表表紙側には「小説紹介クリエイター けんご氏絶賛!」「ネタバレ厳禁!予測不能の衝撃のラスト」。
確かに、ネタバレは絶対にいけません!!

帯の裏表紙側には「絶対に予測不能な衝撃のラスト──あなたの見る世界は『透きとおる』」(同書)
とても読書欲をそそります。

表紙についてです。
ベンチから立っている一人の若い男性が、空を仰ぎ見ながら何か考えているようです。
空は全体的にうすぼんやりとしており、ピンク色の様々な大きさの文字がうっすらと浮かんでいます。
男性が立っているベンチの周りにはたくさんの花が咲いています。

裏表紙の説明文には、目立つ大きな太文字で「衝撃のラストにあなたの見る世界は『透きとおる』。」(同書)と紹介されています。
帯と同じような紹介文ですね。
ラストが衝撃なのか!これは読まなくては!と、大変気になった凛でした。

カバーの装画は、ふすま氏です。
カバーデザインは、川谷 康久(川谷デザイン、かわたに やすひさ)氏です。

それでは、内容に入ります。
主人公の藤阪 燈真(ふじさか とうま)は、本の校正をしている母親と二人暮らしで育ちました。
彼が18歳の時に、突然母親が亡くなったため独り暮らしをすることになり、書店でアルバイトをしながら生計を立てておりました。

燈真は、10歳の時に患った病気で一時的に視力を失っています。
その後、視力は回復していますが、以来、彼は電子書籍派として読書を楽しんでいます。

ある日、大御所のミステリー作家の宮内 彰吾(みやうち しょうご)氏が病気で亡くなり、燈真の父親だと知らされることになりました。
燈真と生前の父親との接点はなかったので、驚くべき事実が次々と彼の目の前に迫ります。
宮内 彰吾の遺稿といわれている「世界でいちばん透きとった物語」を探すことになり、燈真の異母兄である本妻の長男、松方 朋晃(まつかた ともあき)氏や出版社の深町 霧子(ふかまち きりこ)さんたちと行動を共にすることになりますが……。

燈真の性格がとてもシャイで、朋晃の激しい性格に翻弄される姿が何とも痛々しいです。
霧子さんへの思いを素直に表に出せない燈真の心境がとてもよく読者に伝わります。

また、実在のミステリー小説の人気作家のお名前も登場します。
ミステリーファンには嬉しい作品です!

本編の最後で終わらずに、必ず奥付の前まで、素直に頁をめくって読んでくださいね!
最後に本を閉じるとき、なるほど、そうだったのか!とすぐに納得できます!
読後のあなたは、杉井 光という作家のことをもっと知りたくなるでしょう。

ミステリー作品なので、あとはあなたが読まれてからのお楽しみに。

著者の杉井 光氏は、2006年、デビュー作の電撃文庫『火目の巫女』全3巻(メディアワークス、2006年)で、第12回電撃小説大賞の銀賞を受賞☆彡されています。
シリーズものの電撃文庫『神様のメモ帳』全9巻(メディアワークス、アスキー・メディアワークス・KADOKAWA、2007年~2014年)などの他、多数の作品が出版されています。
今後、大いにご活躍が期待される作家のお一人です。

最後に。
優しかった母親が突然亡くなり、独り暮らしを始めた藤阪 燈真に対して、突如として父親の存在を突き付けられることになった現実とは、「世界でいちばん透きとった物語」という父親の遺構作品探しです。
その過程で出会うさまざまな人たちを通して、彼は亡き両親についての理解を深め、自己の内面を再認識してゆきます。
彼の成長物語である、と凛は考えます。

合わせて、杉井 光氏の今後のご活躍に期待します。(^^)v

あらためて紙の本の特徴が伝わる作品です。
出版と販売に携わるたくさんのプロの方々にエールを送りたいですね!\(^o^)/

今回はミステリー作品のため、詳しい内容は敢えて避けました。
ご了承くださいませ。 m(__)m 
秋の夜長に、あなたも良質のミステリー作品をいかがでしょう。

今夜もあなたにおすすめの一冊でした。(^-^)

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