2020年8月14日金曜日

隠れ家夜食カフェに行きたい!(その1)

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
とともにどうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

あなたには大切にしたい本がありますか。
何度も読み返しては、その本の世界に浸っていたい。
それは小説だけでなく、How To本だったり、専門書であったりといろいろでしょう。
傍らにいつもその本があれば安心できる、あなたの心の見守りグッズのような役割を担っている友人のような本。

凛にも大切にしている本があります。
絶対に手放したくない本は何冊もあります。

例えば、小説ですと、主人公にまた会える楽しみがあります。
その本を手放したら、とても大切にしている親友と別れてしまう寂しさがまとうのではないかと。
その寂しさには耐えられず、いつも読まなくても、凛と同じ空間にいてくれるという存在に対する安心感には代えられないのではないかと、凛は思うのです。

紙の本は保管場所が必要ですし、重くて嵩張るので、収納の点で考えてしまいますよね。
特に、単行本や専門書ですとそれは顕著です。
しかしながら、手放せない、手放したくない、いつまでも大切にしていたい本は、その本が放っている価値感という点で別格です。

凛がよく利用している大型書店の単行本の小説のコーナーに、長い期間、並べられている本があります。
その本はシリーズになっていて、全部で4巻、仲良く横に並べられています。
まるで書架の指定席のような、同じ棚に並べられています。
指定席になっているのは、売れないからその場所から本を動かさないということではないのです。
売れているから、或いは、書店員さんがおすすめしたいから、または出版社の意向もあるのでしょうか。
とにかく目立つところに「皆さん、私の世界を楽しんでね」というように本たちが主張しているのが窺えます。

それらの本たちは、シリーズの第1巻の刊行から既に5年も経過しているのに、文庫化されずにずっと単行本のままなのです。
出版不況と言われて久しい出版界において、単行本で増刷されている本たちです。
出版社の事情もあるのかもしれませんが、このシリーズ本が多くの読者に愛されていることがわかります。

その第1巻の本が、古内一絵氏の小説『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』(中央公論新社、2015年)です。
凛が持っている本は、2020年の2月発行の12版です。

凛はその大型書店を訪れる度に、この本がずっと気になっていました。
正直言いますと、いつかは文庫本になるのだろうと思っていたのです。
それがある日、いつものように大型書店のそれらの本の指定席を訪れて、第1巻を手に取ると、限定数の特製のポストカードが特別に封入されているのがわかり、得した気分になったことが購入の決め手となりました。

限定……。
この言葉にとっても弱い凛です。(^-^;
表紙と同じ絵のポストカード。
何て美味しそうな野菜のお料理の絵でしょう!
見ただけで心も身体もほっこりしてくる感じがいたします。

この作品は、書き下ろしとなっています。
初版は2015年の11月25日の刊行となっていますので、著者の古内一絵氏がご執筆されたのはその年か、少し前になるでしょう。
このことを念頭におきますと、読み進んでいくうちに、なるほどと見えてくるものがありました。

時を少し遡ってみましょう。
2020東京オリンピック開催が決定したのが、2013年の9月7日でした。
国際オリンピック委員会がブエノスアイレスで、2020年の夏のオリンピック・パラリンピックに東京の開催地を発表しました。
1964年から56年ぶり、東京での開催は2度目とあって、ビックなニュースでした!
そこから東京都の再開発が進みます。
生憎、今年は新型コロナウィルスの関係で、開催は来年に延期となり、57年ぶりになりますが……。

元エリートサラリーマン、今はドラァグクイーンのシャールさんが営んでいる、東京の某駅の改札口から商店街を歩き、路地裏に入った某場所の隠れ家夜食カフェ「マカン・マラン」。
昼間はダンス用のドレスを受注、縫製して販売しているお店ですが、夜になると夜食カフェに変わります。
「マカン・マラン」の開店は不定期ですので、まずは、この場所との出あいにご縁があればご常連さんになること間違いなしでしょう。
しかし、ご縁がなければ、ただの路地裏の迷い人で終わってしまいます。

悩めるお客さんのために、シャールさんの手作りで提供してくれるメニューは天下一品!
とっても美味しそうで、胃やお腹だけでなく、心も満腹にしてくれるお料理に、凛も訪れてみたいなあと思わずにはいられませんでした。
ご縁は大事にしたいものですね。

第1巻には、四つのお話が描かれています。
第1話は、「春のキャセロール」
悩める40代キャリア女性の早期退職の肩たたきにあうかもしれないという不安は、如何にして解消されますでしょうか。

第2話は、「金のお米パン」
中学生男子の突然の食生活の変化と、生徒が通学する学年主任の男性の先生とのふれあいにほろりとします。

第3話は、「世界で一番女王なサラダ」
20代の女性の下請けライターの仕事に対する悲哀と本音が交錯していきます。

第4話は、「大晦日のアドベントスープ」
みんな、シャールさんが大好きなのです。
兎にも角にも、シャールさんに元気になってもらわないといけないのです。

凛が持っている12版の帯には、「思いきり泣きたい夜にいらしてください」と書いてあります。
「ここは"運命が変わる"夜食カフェ」とも書いてありますよ~
「マカン・マラン」のシャールさんに出会えて、シャールさんの手作りの夜食メニューをいただけたら、あなたや凛の運命はどのように変わるのでしょうか。
作中には、食材、レシピの説明も丁寧に書いてあります。

古内一絵氏は、2010年、『銀色のマーメイド』(中公文庫、2018年)で、第五回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞☆彡されて、翌年、作家デビューをされました。
この作品は、『快晴フライング』(ポプラ社、2011年、ポプラ文庫、2013年)で刊行された後、改題、加筆・改稿されています。
2017年、『フラダン』(小峰書店、2016年、小学館文庫、2020年)で、第6回JBBY賞(文学作品部門)を受賞☆彡されています。
作家デビューされる前は、映画会社に勤務、退職後、中国語の翻訳家としてご活躍されるという経歴をお持ちです。

文体は大変読みやすく、登場人物に親しみがわく設定になっています。
また、主要な漢字にルビがふってあるので大変読みやすく、幅広い年代の読者層への配慮が窺えます。
しかし、内容は大変深く、人生の悲喜こもごもが丁寧に描かれていて、どの世代にも心にズキンと響いてくるのではないかと凛は思います。

帯には、「第1位 読書メーター OF THE YEAR シリーズランキング」と出ています。
読者にずっと大切にされている幸せな本というのがわかりますねえ。

『マカン・マラン』シリーズは、第4巻まで続きます。
凛のりんりんらいぶらり~では、今後、1巻ずつご紹介していく予定です。
しかし、この企画はシャールさんの隠れ家夜食カフェの「マカン・マラン」と同様に不定期ですので、いつ続編のご紹介が出てくるかは、今後のお楽しみにということで、末永くご愛顧よろしくお願いいたします!(^_-)-☆

あなたも泣きたい夜には「マカン・マラン」へ。
個性的なシャールさんが、あなたの話をとことん聞いてくれて、あなたに合ったとっておきのメニューを提供してくれるでしょう。
思い切り悩みを吐き出した後は、もう、泣きません。

それに、食事の大切さがわかります。
身体に優しい食事はあなたを笑顔に導いてくれます。
そして、あなたも凛も、この本で元気になりましょう!

今夜もあなたにおすすめの一冊でした。(^o^)

************
************

2020年8月4日火曜日

これが現実になったら

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にお越しくださり、ありがとうございます。
とともにどうぞおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

あなたが暮らしている日々は平和でしょうか。
少なくとも文学と親しんでいるのは平和な証拠だといえましょう。
誰しもが平穏に暮らしていきたいと願うのは当然のことでしょう。
しかしながら、この地球上のどこかで争いごとが起きているのが現実でしょう。

今夜も凛のりんりんらいぶらり~を楽しんでくださっているあなたのおうちの内外は静寂でしょうか。
忙しかった一日を終えて、ほっとしていたい夜、これから眠りに入り、どんな夢をみましょうか。
明日は今日よりももっと快適な一日を過ごせるようになっていこうという願いをこめて、眠りに入るのではないでしょうか。
そして、ぐっすりと眠った朝は、心地よく朝日を浴びて、これまでと同じような一日がまた始まるという期待感でいっぱいになることでしょう。

一日24時間のうちの3分の1は睡眠にあります。
凛も平和な一日を過ごしたいと思っています。
確実な明日の幸福を目指して眠りたいですね。
快適な眠りは明日への糧となり、希望をもって明日へとつないでゆきます。(^o^)

ところが、そうではない世界を描いた小説があります。
朝、目覚めたら、とんでもないことが起きていて、あなたが住んでいる国家に戦争が始まっていたというお話です。
つまり、本人が知らない間に、昨夜とは全く違う世の中になっていたのです。
もしあなたが眠っている間に、国家で戦争が始まっていたとしたら……。

今回は、そんな誰も体験したくないであろう小説をご紹介しましょう。
それは不可思議な小説ともいえましょう。

中村文則氏の小説『R帝国』(中公文庫、2020年)はまさに近未来のSF小説、そして戦争を描いた小説です。
2017年に中央公論新社から単行本で発刊されています。

この作品は、第一部と第二部から構成されています。
小説では書き出しが大切であると言われます。
第一部の冒頭は、まさに文豪、川端康成氏の『雪国』(岩波文庫、2003年、新潮文庫、2006年、角川文庫、2013年など)級のものだろうと凛は思いました。
凛は最初の一行でその世界に引き寄せられてしまいました。

R帝国という架空の島国の国家の最北端のコーマ市に住む青年の矢崎は、ある朝、目覚めたら、国民としてR帝国に戦争が始まったことを知ります。
隣国のB国に宣戦布告をしていて、彼が目覚めたときには既にB国の核兵器発射準備を察したR帝国が空爆をしていました。
HP(ヒューマン・フォーン)という、現在のスマホをもっと進化させた人工知能搭載の機械から映し出された国営放送で、彼はそのことを知ります。
"党"からの広報が真実なのか、否か。

矢崎が住むコーマ市は、あれよと言う間もなく、Y宗国からの攻撃を受けます。
コーマ市民が入り乱れ、逃げまどう姿が画面に映し出され、R帝国の国民たちを震撼させますが、国民には自分たちのために一部の国民が犠牲になるのは仕方がないという気持ちが生じます。
「抵抗」という言葉は、R帝国では既に死語と化していることを悟る場面に、矢崎は遭遇します。

かつて存在していたGY国という国家から分裂したG宗国とY宗国が戦争をしていました。
そのY宗国の女性兵士となったアルファの壮絶な過去の体験が綴られます。
YP-Dという人工知能の兵器が容赦なくコーマ市の建物や市民たちを襲います。
「抵抗」ができない状態で、矢崎はどのように動いていくのでしょうか。

もう一人、栗原という男性が"L"という地下組織のサキという女性と出会います。
彼は、R帝国でただ一人の野党議員である片岡の秘書を務めています。
栗原の周囲に不穏な動きが始まります。

第二部では、R帝国の国民の肉声に迫ります。
一般男性、兵士の男性、一般女性の各人の本音が吐き出されています。
情報、フェイクニュース、SNS、欺瞞、自己防衛、他人への攻撃、真実、虚構、複雑な人間関係、子育て……。
凛は、厳重に管理されたR帝国において、彼らの肉声のどこまでが本音なのだろうかと思いました。
そもそも肉声を誰が聞き出しているのでしょう。

栗原と矢崎の過去から、彼らの運命は如何に……。
そして、R帝国はどうなるのでしょうか。

凛は、三点について着眼しました。
第一点目は、人間が生死がかかる極限の状況におかれたとき、その人の本来もつ本性が表れることです。
エゴ、嘘偽り、裏切り、諦め、優越感、敗北感、自己陶酔など……。
上辺や綺麗ごとだけでは済まされない人間の深層の部分、中村氏はこれを見事に描き切っています。

第二点目は、技術の革新的な進歩です。
現在よりもさほど遠くかけ離れた未来の話ではないものが出てきます。
その中で、凛は三つの技術に注目しました。

一つ目は、ヒューマン・フォーンと呼ばれるHPです。
HPは所有者の性格を判断して、自ら考えます。
状況を判断して、自ら電源をオン・オフすることができます。
所有者に指示することも頻繁にあり、助ける面だけでなく、逆にやっかいな面も持ち合わせています。
必ずしも所有者に従順でないところが、人間的であるともいえます。

二つ目は、無人タクシーです。
勿論、画像で記録され、通信されています。
利用者が有人タクシーとの共用をしているところが、数年先には実現しているかもしれないと思った凛です。

三つ目は、YP-Dのような人工知能搭載の兵器です。
これに関しては、凛には小説を通して想像するしかありません。

第三点目は、個人としての幸福についてです。
国家と国民との関係において、幸福を追求していくには各人がどうしたらよいのでしょうか。
人間が生きていくためには何が必要なのでしょうか。

凛が持っている文庫本の初版の帯には、「キノベス!2018 第1位」「アメトーーク!『読書芸人』で紹介」「読売新聞、毎日新聞等で紹介」と掲載されており、太字で「各メディア大絶賛」と書いてあります。
文庫の巻末には、中村文則氏の解説「文庫解説にかえて──『R帝国』について」が掲載されており、読者に向けて、より考えさせられる内容となっています。

以上、まとめますと、さほど遠くはない近未来社会において、人間の幸福と尊厳を追求するためには、「今」をどのように考えて生きていけばよいのかということを、中村氏がこの作品を通して提案しているのではないかと、凛は考えました。

作者の中村文則氏は、2002年、小説『銃』(新潮社、2003年、新潮文庫、2006年、河出文庫、2012年)で、第34回新潮新人賞☆彡を受賞され、作家デビューされました。
2004年、小説『遮光』(新潮社、2004年、新潮文庫、2010年)で、第26回野間文芸新人賞☆彡を受賞されました。
2005年、小説『土の中の子供』(新潮社、2005年、新潮文庫、2007年)で、第133回芥川賞☆彡☆彡の受賞に輝きました。
2010年、小説『掏摸<スリ>』(河出書房新社、2009年、河出文庫、2013年)で、第4回大江健三郎賞☆彡を受賞され、英訳『The Thief』はアメリカの『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙の2012年同ベスト10小説☆彡に選ばれました。
ほか多数の受賞歴があり、また、多くの作品が翻訳されています。

今回の作品は、凛がこれまでりんりんらいぶらり~でご紹介いたしました作品とは読後感が少々異なるかもしれません。
人は誰しも幸せに生きることを願っているものと思います。
今夜もぐっすり眠れて、目覚めのよい明日を迎えるためには、毎日が幸福でないといけませんね。
幸福とは何でしょうか。
あなたも凛も、そのことをしっかりと考える必要があるのではないでしょうか。
そのようなことをこの小説を通して考えてみるのもよいのではないかと、あなたに凛からの一案です。

今夜もあなたにおすすめの一冊でした。(^-^)

************
(日本語)文庫-2020/5/21中村文則(著)
************




2020年7月24日金曜日

ラジオはお好き?

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

あなたはラジオをお聴きになられていらっしゃいますか。
とっておきのお気に入りのラジオ番組がありますか。

凛にも好んでよく聴いているラジオ番組があります。
ラジオはテレビなどの映像とは違って、聞き流しながら作業ができるのがいいですね。
また、パーソナリティのリスナーの一人一人に対する語り口が、より身近に感じられることがラジオの良い点として挙げられます。

凛は、ラジオで音楽を聴くのが好きです。
凛は以前から洋楽が好きでしたが、最近は昔流行った日本の音楽もいいなあと思うようになってきました。
その理由は、記憶に擦り込まれたメロディが心地よくて、気軽に口ずさむことができるからでしょうか。

昨今は様々なメディアが出てきて、昔のように地上波テレビを家族一緒に団欒として視聴することは少なくなってきたのではないでしょうか。
それには、経済の発展とともに、家族の在り方に変化が生じてきていることも挙げられましょう。
しかし、今回の新型コロナウィルスの影響で、リモートワークやオンライン授業などが取り入れられ、家庭内での過ごし方に変化が生じてきているようです。

現在は、パソコンだけでなく、スマートフォン、タブレット型端末など、様々な通信機器があります。
それに伴い、インターネットによるYouTubeなどの動画サイトにも随分といろいろなものが出てきました。
これから5G全盛の時代に突入しますので、これらの分野はますます発展していくでしょう。

ラジオの世界も、放送と同時刻に聴くだけではありません。
聞き逃しのないように録音する方法もあります。
それから、ポットキャスティング、radikoなどのアプリなどを用いて、スマートフォンやパソコンで聴ける時代になりました。
ワイドFMになって、AM局の音質が格段と良くなりました。

今、かかっているこの曲のタイトルは?アーティストは?
な~んて疑問は、瞬時に番組のホームページで確認ができます。
その曲が入っているアルバムもわかりますし、インターネットで即時に購入もできます。

以上、凛は技術的な進化を中心に書きましたが、本当に便利な世の中になりましたね。(^_^)v

このようなラジオとのつながりを描いた小説が、原田ひ香(ひか)氏の『ラジオ・ガガガ』(双葉文庫、2020年)です。
2017年に双葉社から単行本として刊行されました。

凛が持っている文庫本の初版の帯には、「誰にでも一人で抱えきれない夜がある」と出ています。
帯には「ラジオ小説」と紹介されていますが、「ラジオ小説」とは何だろう?と、凛がよく利用している近所の書店の店頭でこの文庫本を見たときに、とても不思議に思いました。
そして、実際に放送されているラジオ番組が登場するということが、帯からの情報で、凛の興味のアンテナがピピピと反応したのは紛れもない事実です。

さて、この作品は、全6話から成っています。
登場人物たち一人一人が「ラジオ」という媒体に関わって、それぞれのドラマが展開していきます。
それは、現在の番組だけとは限りません。
過去に放送された番組や歌などと向き合う人もいます。

第一話「三匹の子豚たち」は、伊集院光さんのラジオ番組の大ファンという70代の女性のお話です。
彼女には三人の息子さんがいます。

第二話の「アブラヤシのプランテーションで」では、異国で心機一転を図った日本人男性の話。
昔ラジオで聴いた歌が!

第三話「リトルプリンセス二号」では、ラジオドラマについて描かれています。

第四話「昔の相方」は、タイトル通り、漫才コンビの昔の相方だった人との関わり方が描かれています。

第五話「We are シンセキ!」は、中学二年生の女子たちの物語です。
某ラジオ番組に耳を傾けている女子中学生たちはどんな心境で聴いているのでしょうか。

最終話「音にならないラジオ」は、ラジオドラマ作家の話です。

以上、この作品の登場人物たちは、それぞれのラジオとの関わりを、明るく希望の星として捉えたり、または辛い媒体として重くのしかかっていたりと、実に様々です。
ラジオを通して、それぞれの人生模様が展開されています。
普段BGM代りに聴いているラジオの世界が、こんなに広くて深いものだと改めて知った凛です。

作者の原田ひ香(ひか)氏は、2006年、この文庫に収録されている「リトルプリンセス2号」第34回NHK創作ラジオドラマ大賞の最優秀作☆彡として受賞されました。
それから、翌年の2007年には、小説『はじまらないティータイム』(集英社、2008年)第31回すばる文学賞☆彡を受賞されています。
『ランチ酒』(祥伝社、2017年)、『ランチ酒 おかわり日和』(祥伝社、2019年)など多くの作品があります。

原田ひ香氏は、シナリオライターでご活躍されたことからか、会話文がとても鋭く冴えています。
登場人物が本音で語る部分が多く、読者に寄り添うような形で、凛に迫ってきました。

ああ、そうだよね。うん、そうそう。
なるほど、わかる、わかる。
へえ、そうだったのかあ。
あら、それは知らなかったなあ。
え、それはちょっと違うんじゃない。
などと、登場人物と自由に会話しながら読めますよ~ (^o^)

ラジオの世界があなたにもぐーんと身近に感じられる小説です。
文庫本の表紙の女性は、机に座ってラジオを聴きながら、窓から月明りの夜空の向こうを眺めています。
その光景は、凛も同じかもしれません。

あなたは、暮らしの中で、どのような形でラジオと向き合っていらっしゃいますか。
車の中で、または職場で、それからご自宅で。

凛は、FM東京系の深夜0時からの『ジェット・ストリーム』の6代目パーソナリティの福山雅治さんがゆっくりと語りかけている声をよく聴いています。
凛は、5代目パーソナリティの大沢たかおさんのときもよく聴いていました。
この文庫本の表紙のように、凛も耳に心地よい音楽を聴きながら夜空を見上げています。

あなたも原田ひ香氏の「ラジオ小説」を読んで、ラジオとふれあってみませんか。
あらゆる角度から、あなたに寄り添ってくれる小説です。
ああ、ラジオって何だか落ち着くなあ、とってもいいなあと、新たな発見があるかもしれませんよ。

今夜も凛からのおすすめの一冊でした。(^-^)

************
(日本語)文庫-2020/5/13原田ひ香(著)
************

2020年7月14日火曜日

日本の文字の始まりを知る

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
とご一緒にどうぞおくつろぎくださいませ~(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

世界中で新型コロナウィルスの影響が続いています。
日本国内では、豪雨で被害に遭われた方もいらっしゃいます。
あなたの生活には変化が生じていらっしゃいませんか。
くれぐれもお身体の管理にはご留意くださいますように。

自粛は解除になりましたが、雨のため、おうちで過ごすことが増えた方も多いのではないでしょうか。
退屈などと感じるのはいかがなものでしょう。
自分と向き合える時間にいたしましょう。

あなたにも、凛にも、与えられた時間は同じ一日24時間。
凛はこれまでと変わらず本とふれあう時間を大切にしています。
本から多くの事柄を学び、考え、そして、時空の旅を楽しんでいます。(^o^)

凛は、どうしたら不安を払拭して、未来に立ち向かう勇気が得られるかを考えてみました。
古代の日本の人たちはどうやって困難を乗り越えてきたのでしょうか。
そこで、日本の文字の始まりについて学び直して、原点に還ってみようと思いました。

何が原点であるかは、個々人の考え方や価値感が違うので、異なると思います。
あなたにとっての原点とは何でしょう。

さて、今回は古代の文学について、お勉強をいたしましょう。
え?寝る前に?と思われているあなた、ご心配要りませんよ。
お休み前のおくつろぎのひとときですので、さらりといきますね。

凛の机の棚にデーンと並べている蔵書から『改訂増補 最新国語便覧』(浜島書店、2009年改定版発行、2017年印刷・発行)を開いてみました。
オールカラーで、大人になっても「学んでいるぞ!」という気持ちになれます。(^^)v

この本の「上代の文学」の項、70頁~71頁には、「口承文学の発生」「文化の伝来」「記載文学」の三つの項目が掲載されています。
「上代」というのは、大和政権が成立する以前の多くの小国が分立した頃から、桓武天皇の平安京遷都(794年)までの時代をいいます。
では、簡単におさらいをいたしましょう。

まず、70頁には、「口承文学の発生」が掲載されています。
古代人にとって、自然の神さまたちと密接なため神事が発達したことから、文学の発生になる基盤が始まったとされています。
言霊信仰から、呪詞(じゅし)が生まれました。
まだ文字がない時代でしたから、歌謡だけでなく、人々の口から語り継がれていった神話や説話が生まれました。
これらは口承文学といわれます。

次に、「文化の伝来」(70頁~71頁)にいきましょう。
遣隋使と遣唐使の派遣によって、大陸からの文化の影響を受けて、飛鳥文化・白鳳文化・天平文化などが栄えました。
6世紀半ばごろに、大陸から仏教が伝来したと推定されています。

この項で凛が注目したのが、5世紀頃に、大陸から漢字と漢籍が伝来していたと推定されていることです。
外国語であったものを、漢字の音に日本語の意味をあてはめて訓とし、工夫されました。
漢字の音から「万葉仮名」や「宣命(せんみょう)書き」などが発明されたということです。

なんとすばらしい発明でしょう!\(^o^)/
これらの先人たちによる努力がなければ、あなたも凛も日本語で書かれた本を読むことができないのです。

最後に、「記載文学」(71頁)の項に入ります。
日本に文字ができたことにより、口から伝わる口承文学から、記載文学へと時代が推移します。
8世紀初頭、『古事記』『日本書紀』『風土記』などの優れた文学が生まれました。
751年に編まれた『懐風藻』は、現存する最古の漢詩集です。

そして、令和になり、今の時代を生きる私たちに、その存在をあらためて国民に知らしめた『万葉集』は、760年前後に成立されたとされる、現存する日本で最古の和歌集です。

以上、まとめますと、「上代の文学」は、「まことの文学」と呼ばれて、素朴な古代人の姿が表われていることが特徴とされています。(71頁参照)

ここで、凛のおさらいは終わりますよ~
凛にお付き合いくださり、ありがとうございました。
お疲れさまでした。
「上代の文学」にご興味を抱かれたあなたは、専門書でさらに詳しく学んでくださいね。(^-^)

まだ凛のブログは終わりませんよ~
ここで閉じないでくださいね。(^o^)

さて、大陸から漢字や漢籍が伝来して日本の文字文化が生まれたといわれていますが、それは、凛が上記でごく数行にしかまとめていない「上代の文学」の中のほんのわずかな部分でしかありません。
このごくわずかな文字数の中に、人々の壮大な歴史ロマンがあるのです。
今夜は、日本の文字の伝来・伝承という黎明期において、一族九代に渡って通訳として大活躍した物語をご紹介いたしましょう。

箒木蓬生(ははきぎ ほうせい)氏の長篇小説『日御子(ひみこ、上・下巻)』(講談社文庫、2014年)です。
2012年、講談社より単行本として刊行されています。

この作品の中心となる<あずみ>の一族は、中国と日本とを結ぶ使譯(しえき)という通訳を務める役目を代々受け継いでいきます。
言葉を媒介にして、大陸との外交を担っている<あずみ>一族には、代々伝わる四つの教えがありました。

凛が持っている文庫本初版の上巻の帯には、その四つの教えが紹介されています。
「人を裏切らない。─」
「人を恨まず、戦いを挑まない。─」
「良い習慣は才能を超える。─」
「骨休めは仕事と仕事の転換にある。─」

文庫本の上巻を開くと、まず「2~3世紀頃 倭国想像図」(4頁)が掲載されています。
那国、伊都国、弥摩大国、求奈国、壱岐国など、現在の北部九州の福岡県、熊本県、佐賀県、長崎県であることがわかるようになっています。
箒木蓬生氏は福岡県のご出身で、畿内説などの邪馬台国における様々な論争には触れずに、九州を舞台にした歴史ロマンの物語として描いていらっしゃいます。

この小説は三部構成となっています。
文庫本上巻の第一部は、「朝貢」で、<あずみ>一族の針が、祖父の灰から漢への使者となった体験談を告げられた話から始まります。
文庫本下巻からの第二部は、「日の御子」として弥摩大国の日御子女王に仕える炎女が中心となり、女王の不思議な力に魅せられます。
同巻第三部の「魏使」では、銘が、265年に建国された晋への使者となって大陸へ向かいます。
以上、三部の構成によって、灰、圧、針、江女、朱、炎女、在、銘、治の九代にいたる<あずみ>一族の200年に及ぶ壮大な歴史物語が展開されます。

第一部の祖父の灰が孫の針に語る体験談は、これから始まる歴史のうねりが予感されます。
何よりも那国の使者・灰が謁見した漢の光武帝に授かった「漢委奴国王印」である金印が出てくるところから、歴史上に物語るミステリー・ロマンとしてどんどん上書きされていき、読者の想像力が大いにかきたてられます。
<あずみ>一族は、先進国の漢から鉄や馬車や紙などの技術と文化を日本に伝えようと大変な努力をします。
<あずみ>の先祖が書き残した竹簡の文字から記録という概念がどれだけ貴重であるかを読み取れます。

凛は、針が大陸に渡っていく様子から、周辺国の海路と陸路が充実していたことに感動しました。
また、四つの教えを信念として子孫に伝えていく姿に、一族代々の誇りをもっていることに感銘しました。
それから、生口(せいこう)と呼ばれた人たちの存在にも驚きをもちました。
日常的に日本語の文字の読み書きをしている凛は、この作品のおかげで古代を生きた人たちの誇りを受け継ぎ、感謝して、原点に還った思いをいたしました。

精神科医で作家の箒木蓬生氏のこの作品は2012年、『週刊朝日』歴史・時代小説ベスト10の第2位☆彡になり、また、2013年、第2回歴史時代作家クラブ賞作品賞☆彡を受賞しています。

帚木蓬生氏は、開業医を続けながら、多くの作品をご執筆されていらっしゃいます。
小説『三たびの海峡』(新潮社、1992年、のち新潮文庫、1995年)で、1993年、第14回吉川栄治文学新人賞を受賞☆彡され、小説『閉鎖病棟』(新潮社、1994年、のち新潮文庫、1997年)では、1995年、第8回山本周五郎賞を受賞☆彡の他、書ききれないほどたくさんの受賞歴があります。
ここにあげた二作品は映画化されて、ご存じの方も多いでしょう。

近年では、小説『守教(上・下)』(新潮社、2017年、のち新潮文庫、2020年)で、2018年、第52回吉川栄治文学賞受賞☆彡、第24回中山義秀文学賞受賞☆彡をされています。

帚木蓬生氏からの贈り物、古代歴史ロマンをあなたもご堪能されてはいかがでしょう。
読後には、言葉の大切さを知り、爽快な気分になれましょう。
凛は、読書を楽しめていることにあらためて感謝の念をもつことができました。

そして、困難に打ち勝つ勇気をもって明日へ臨んでいきましょう。\(^o^)/
それでは、あなたもよい夢をごらんになられて下さいね。

最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
今夜も凛からあなたにおすすめの作品でした。(^-^)

************
(日本語)文庫-2014/11/14帚木蓬生(著)

(日本語)文庫-2014/11./14帚木蓬生(著)
************




2020年7月3日金曜日

図書室で過ごしたあの頃

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ~(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

あなたは今、どのようにお過ごしですか。
夜を迎えて、一日の終わりの眠る前のいちばんホッとするひと時、それはあなただけの貴重なお時間ですから、大切にお過ごしくださいね。
凛のりんりんらいぶらり~で、凛と本の話題について楽しい時間を共有していただくのは、大変嬉しいことです。(^o^)

本がお好きなあなたは、図書館をご利用されることもおありでしょう。
あなたがご利用されている図書館はどんな雰囲気でしょうか。

凛は、カフェが併設されていたり、天井が高く明るくて、斬新な建築の近代的なお洒落な図書館も好きですし、歴史を感じさせる建物で、陽光を避けた感じの落ち着いたぬくもりのある図書館も好きです。
本がいっぱい所蔵されていれば、凛には快適な空間なのです。

あなたは学生時代に、学校の図書室はお好きでしたか。
凛は校内の図書室がとても好きな学生でした。
小学校の頃から図書室はとても好きな空間でした。
特に、高校時代は帰宅部だったということもあって、放課後に図書室で過ごすことが多かったです。

高校生だった凛が、学校の図書室のどういうところが好きだったのかを今考えると、以下の三つが挙げられます。

一つ目は、静寂な空間であること。
授業を終えて放課後に、部活や帰宅にと友達は目的をもってそれぞれの場所に向かいました。
凛は「じゃあ、また明日ね。さようなら」と友達に言って、一人で図書室へと向かう学生でした。

図書室に入った途端、急にしーんとして、まるで異次元に入ったような不思議な空間が広がります。
窓からうっすらと射してくる夕陽の端っこをそっと踏んで歩く凛がいます。

窓の外からは運動部の人たちの声が、走っている足音と共に近くなったり、遠くなったりしています。
外から聞こえてくる複数の音の高低を、まるでBGMのように耳にしながら、誰とも話すこともなく静寂な空間に身を置いて、ただ一人で静かに過ごす時間は、凛にとって至福の極みといっても過言ではありませんでした。

二つ目は、本に携わる人たちがいること。
図書室には図書委員や司書の先生がいらっしゃいました。
図書室は大声で会話ができない空間なので、小さな声でのやりとりが余計に優しく接していただいているように感じていました。
黙々と、しかもてきぱきと、貸し出しの作業をしている係の方たちの姿を目にすると、思春期の凛にはとても素敵に思えてなりませんでした。

図書室にいるのは凛の他にも学生が多く利用していました。
一人で静かに本を読んでいる人、参考図書とともに学習をしている人、書架の前に立って本を探している人、閲覧している人など、みな凛と同じ空間と時間を共有している仲間たちです。
いつも会う人もいれば、初めて見る人もいました。
言葉には出さなくとも、みな本を媒体とした仲間であるという意識を凛はもっていました。

三つ目は、知の宝庫であること。
図書室の奥のほうに向かうと、陽があたらない薄暗い書架に、文豪たちの分厚い全集や、辞典・事典類、それから岩波文庫、専門書のコーナーなどがずらりと並んでいました。
「よいしょ」と、どっしりと重い本を音がしないように注意しながら書架から出して見るのが楽しかったです。

ページを開くと、そこはもう知の世界!\(^o^)/
おお、凛が知らないことばかり!
知る喜びを享受する体験はこの図書室で生まれたのかしら。
小さな文字でびっしりと書いてある難しい内容に驚きながら、これを読みこなせるときが凛にはくるだろうか、いや、必ず読みこなすぞ、などと思いながら手にしていました。

以上、凛が学校の図書室が好きだった三点を挙げました。
やがて図書室を出る時間になると、外はうす暗くなっていました。
凛は時間と空間と知の旅を図書室で楽しんでいました。

このように、凛には学校の図書室で過ごした懐かしい思い出がたくさんあります。
あなたの学校の図書室での思い出にはどんなことがありますか。

さて今夜は、高校の図書室の図書委員を描いた青春ミステリー小説として、米澤穂信氏の図書室ミステリー小説『本と鍵の季節』(集英社、2018年)をご紹介いたしましょう。
高校の図書委員を務める共に二年生の堀川次郎と松倉詩門(しもん)という二人の男子高校生がメインとなって、図書室を訪れる学生たちと彼らの周辺をめぐるお話が6篇収められています。

彼らの通う高校は進学校ですが、図書室を利用する学生はほとんどいない設定となっています。
放課後のとても静かな図書室で、当番の二人は図書を書架に収めたり、貸出の整理をしたりしています。

二人は仲が良いけれども、その実、堀川次郎から見た松倉詩門は身長が高くてイケメンであると相当意識している点が、思春期らしい青年だなあと凛は思えて、堀川次郎に好感がもてました。
他方、イケメンでクールな松倉詩門には謎が多くて、彼のミステリアスな部分がとても気になる凛でした。

そんな対比的な二人が務める図書室に様々な人が訪れて、事件を解決していくのです。
以下、六つのお話で構成されています。

一話目の「913」は、6月、先輩女子が図書室に訪れて、亡き祖父が遺した金庫の鍵の番号を探して欲しいと言うので、二人は彼女の家を訪ねてみます。
そこで彼らが見たものは……。

「ロックオンロッカー」は、夏の初め、堀川次郎の持っていた美容室の利用券を用いて、二人で訪れた美容院での盗難のお話です。
図書室外での番外編ともいえます。二人は少し大人になったのかな。

「金曜に彼は何をしたのか」では、7月の期末テストの準備期間中、図書委員の一年生の後輩男子から、同じ高校に通う二年生の兄が試験問題を盗んだと疑われている件で、二人は相談を受けます。

「ない本」は、秋になり、受験シーズンを意識する頃、或る三年生の男子生徒が亡くなりるのですが、彼が亡くなる前に読んでいた本について、彼の同級生の男子が相談しに図書室を訪れます。

「昔話を聞かせておくれよ」では、冬が近くなり、図書室で松倉詩門は父親の話を堀川次郎に話します。

最後の「友よ知るなかれ」では、木枯らしが吹く冬、松倉詩門の父親をめぐる謎の解決は如何に……。

全て読み終えて、改めて本のタイトル『本と鍵の季節』に、なるほど~と納得できます!
めぐる季節を背景にし、図書室で時間を共有する二人の思春期の男子高校生の成長物語でもあります。
合わせて、図書に関する情報が満載で、本の様々なことを学べます。
それから、全編を通して実在の和洋の本が紹介されていて、それらに関する二人の会話がとても鋭いのです。

米澤穂信氏は、『<古典部>シリーズ』の第一弾、2001年、『氷菓』(角川スニーカー文庫、2001年、のち角川文庫、2005年)でデビューし、第5回角川学園小説大賞(ヤングミステリー&ホラー部門)奨励賞☆彡を受賞されています。
この『<古典部>シリーズ』は第六弾の『いまさら翼といわれても』(KADOKAWA、2016年、のち角川文庫、2019年)まで続いています。
映画化、テレビアニメ、コミックスと人気があり、あなたもご存知ではないでしょうか。

2014年、『満願』(新潮社、2014年、のち新潮文庫、2017年)では、第27回山本周五郎賞☆彡を受賞されていますし、第151回直木賞候補☆彡ともなっています。
他にも多くの作品が受賞の候補となっており、ミステリー小説の人気作家として大変ご活躍されていらっしゃいます。

凛が放課後によく利用していた図書室ではミステリー小説になるような背景は考えられませんでした。
でも、もしかしたら、図書委員や司書の先生にこのような相談事がもちこまれていたとしたら……。
凛が知らないだけなのかもしれませんね。(*_*;

どうして作中の高校では、素敵な男子学生の二人がいる図書室が人気がなかったのかしらと、凛には不思議でなりません。
凛が通った高校は女子校だったので、男子高校生はいませんでした。(^-^;

あなたも図書室のミステリーに挑んではいかがでしょう。
素敵な男子高校生二人との青春の時間が過ごせますよ~
最後は、あなたの胸キュン、間違いありません!
二人の今後がとても気になる作品です。

今夜も凛からあなたにおすすめの一冊でした。(^-^)

************
(日本語)単行本-2018/12/14米澤穂信(著)
************

2020年6月23日火曜日

「多様性」とは画一的ではないことだけなの?

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださりまして、ありがとうございます。
とともにどうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

本がお好きなあなたは、お家でお過ごしされることも多いのではありませんか。
凛は、相変わらず読書にいそしんでいます。

日本では新型コロナウィルスの感染拡大防止のための緊急事態宣言は解除されました。
それにしても暑くなってきました。
マスクが鬱陶しくなりました。

今年に入って、世界を恐怖に陥れた新型コロナウィルスの感染拡大による影響で、日本からは外国人観光客が大幅に減りました。
観光地だけでなく、あらゆる街で、またはお店で、外国人の姿を見かけなくなりました。
あらためて、これまでインバウンドで如何に国内が賑やかになっていたかを実感することが増えました。

世界的なウィルスの感染状況の地図を見る度に、グローバルな世の中を認識せざるをえません。
人の移動が増えただけでなく、人と人との関係も国家という枠組みを超えて、新型コロナウィルスの感染という形で、私たち人間に対して何かを訴えているのではないかと考えさせられる今日この頃です。

凛は、日本人として日本で生まれて育ちました。
これまで他府県に転居を数回してきた体験では、県民性の違いに戸惑うこともありました。
外国を旅したことは多くはありませんが、一応日本から脱出して旅に出たことはあります。

「多様性」について、凛はきちんと向き合ってきたでしょうか。
或いは、直面することがあったでしょうか。
ふとこれまでの来し方を考えると、ほとんどそれは皆無に近かったのではないかと、凛は胸の奥が痛むのです。

何故に、凛は胸の奥が痛むのでしょうか。
凛は、表面では、人はそれぞれに違いがあると言ってきました。
個性を認め、人として考えが違うのは当然です。
頭では理解しているつもりで、言葉に出すのは簡単なことです。

しかしながら、果たして凛がとってきた行動は机上の空論ではなかったかと思うのです。
流行を少しだけ取り入れたファッションに身を包み、誰もが認める生き方を求める思考パターン。
それらが画一的である枠の中におさまっている安心感に浸っていたこと。
思考と志向との違いの垣根を曖昧にして、周囲に同調しながら、凛は何となく生きてきたように思います。
つまり、「多様性」について、頭で考えていることと行動とがかみあっていなかったのではないかと思います。

これまで何も疑問に思わず、当たり前として生きてきたことに対して、「ちょっと待てよ」と、自己を見つめ直す機会がありました。
それは、凛がかつてお世話になった英語の先生からおすすめだと大絶賛された一冊の本との出合いでした。

ブレイディみかこ氏のノンフィクション『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社、2019年)です。
2019年6月に刊行されて以来、瞬く間にベストセラーとなっています。

あなたも書店の店頭にこの本がたくさん並べられている光景をご覧になられたのではないでしょうか。
凛が書店で初めて見かけたときは、黄色い表紙に帽子をかぶっている男の子の絵がとても可愛くて、すぐに目に入りました。
本の緑色の帯には、黄色の文字で「一生モノの課題図書」と出ているのがとても気になりました。
凛が持っている本は、2019年11月刊行の第11刷です。

日本人として生まれ育ったブレイディみかこ氏は、息子さんと白い肌のご主人との三人で、英国で暮らしていらっしゃいます。
息子さんが進学した公立の中学校で日々直面する出来事を通して、息子さんとご主人と共に話し合い、考え、乗り越えていく姿勢が具体的な事実をもって綴られています。

ブレイディみかこ氏は、日本のメディアにも多く出演されていらっしゃるので、今後もますます多くの方に読まれていくでしょう。
「母ちゃん」「父ちゃん」などと親しみのある文章はとても読みやすく、読者への配慮が感じられます。
会話文も多く、自然体な言葉で描かれているからか、日本で中学生の男子を子育て中のご近所のママといった親近感があります。

凛がこれまで抱いていた英国という国家ですが、エリザベス女王や故ダイアナ妃、ビートルズ、それに世界史で学んだかつての大英帝国、古典のシェークスピア劇などによる伝統とは大きく異なる印象を突きつけられました。

階級社会、移民、人種、貧困、格差社会、アイデンティティ、教育システム、性差など。

あらゆる違いが「多様性」という言葉の中で、渦を巻いて、息子さんの前に現実のものとして大きく立ちはだかります。
そして、それらの問題をひとつひとつ真剣に考え、壁を乗り越えながら、成長する息子さんを見守っていく母親と、それを大きな視野をもって見守るご主人との三人のご家族との関係がとてもまぶしいほどの光を放っています。

凛の胸がとても痛んだのが、母親と息子さんの日本での出来事の場面でした。
みかこ氏の故郷の居酒屋で、日本語が話せない息子さんへのいら立ちを母親にぶしつけな態度であたった会社員、そしてレンタルビデオ店での店長の応対。
これらの場面は、凛ももしかしたら、この登場人物たちと同じ対応をしていたかもしれないと思ったからです。
みかこ氏からの指摘がなければ、凛には気づかない点でした。

「多様性」この言葉の答えは簡単には見つかりません。
体験しなければわからない大きな意味を含んでいるのではないでしょうか。
まさに地球規模の言葉でしょう。

しかし、「多様性」を用いるのは、良い意味ばかりではないとも凛は考えます。
簡単に答えが見つからないからこそ、あらゆる場面で用いられて、都合のよいように悪用される懸念も含まれているのではないかと危惧します。

例えば、企業が規模を拡大するとき、または縮小するとき、「多様性」という言葉を用いて社員を異動させたり、リストラさせたりすることなども想定できるからです。
それだけに、教育現場で子供たちの成長期に「多様性」について考える機会を与えることは必要なことであると凛は考えます。

「多様性」とは、画一的ではないことだけなのでしょうか。
それとも画一的であることも含めてもよいのでしょうか。
答えは、各人各様で求めていきましょう。

第2回Yahoo!ニュース│本屋大賞2019年ノンフィクション本大賞受賞☆彡、第73回毎日出版文化賞特別賞受賞☆彡、第7回ブクログ大賞(エッセイ・ノンフィクション部門)受賞!☆彡、キノベス!2020 第1位!☆彡などなど、まだまだ書ききれないほど多く受賞された本です。

黄色い表紙の男の子が靴の紐を触っている絵、これにはブレイディみかこ氏からのメッセージがこめられています。
その答えは本の中に書かれています。

書店にて、黄色い表紙の単行本はとっても目立ちますよ!
文庫本になってから読もうと思うのは、少し時間がもったいないように思います。
あなたにとっての「多様性」とは何かを考えさせらる本です。

新型コロナウィルス関連から地球全体を考えるよい機会です。
あなたもこの地球上の住民として、「一生モノの課題」と取り組みませんか。
あなたに是非おすすめしたい一冊です。(^o^)

************
************

2020年6月13日土曜日

あなたの人生はあなたのもの

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださいまして、ありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

あなたは、あなた自身の人生について考えたことがありますか。
人生。
とても重みのある言葉ですよね。
人生とは、文字通り、人が生きることでありますし、人がこの世に生まれて死ぬまでの期間のことでもあります。

凛もよく凛自身の人生について考えます。
もちろん生きているからこそ考えるのですが、子ども時代からの過去の体験から、今、置かれている現状を捉え、そして未来への凛の姿を思い描くのです。

人は誰しも幸せになりたいと願うでしょう。
あなたは今が幸せだと感じていらっしゃいますか。
幸せなあなたは、このままずっと幸福感に満たされていたいと思うでしょう。
そのためには、どうすればよいのか、どうしたら幸福感が続くのかと考えることは大事なことだと思います。

そもそも幸せな人生とは何なのでしょう。
それは人生観につながり、個人によって異なるものです。
あなたの生来の性格に加えて、これまでの体験や環境、教養などの積み重ねが織りなしていくものでしょう。

ふとした時に、今の自分のこの人生は、果たして本当のものなのだろうかと、立ち止まって考えることはありませんか。
いや、もっと違った人生を生きている自分がいるのではないかしらと。
或いは、今はまだ知らない世界に本当の人生があるのではないのかと、将来を考えることもあるかもしれません。

現実とは何でしょう。
人生の分岐点とは何でしょう。
ああ、あのときがそうだったと、ふりかえることが訪れたとき、ええ、これで良かったのだと凛は肯定したいです。
何故ならば、もし、ああ、これは違う、こんなはずではなかったと思うならば、これまで生きてきたことの全てを否定することにつながるからです。
今のこの瞬間を生きている、それが幸せであると実感するには、日常の修練が求められるのではないかと、凛は考えています。

今の私が生きている世界、これが私の「本当の人生なのか」と疑問に思う人々のお話、それが大島真寿美氏の小説『あなたの本当の人生は』(文春文庫、2017年)です。
初出は『別冊文藝春秋』303号(2013年1月)~311号(2014年5月)です。
2014年に文藝春秋から単行本が刊行されています。
この作品は、2014年の第152回直木賞の候補作☆彡になりました。

凛が持っている第2刷(2019年8月)の文庫本の帯には、「『書くこと』に囚われた女たち」と紹介されています。
小説を書きたい新人作家の若い國崎真実が、書くことができなくなっている老作家の森和木ホリー氏の館で住み込みの弟子となり、その館でホリー氏の秘書として仕えている宇城圭子と出会います。
物語は、これらの三人の女性たちの奇妙な生活がユーモアたっぷりに描かれています。

「書くこと」について深く考える三人の女性たちは、各人が自分の人生について、果たしてこれが「本当の人生」なのだろうかと疑問に思いながら、物語は進んでいきます。
彼女たちは、それぞれに過去があり、分岐点があり、そして現在があるのですが、各人ともそれぞれの時点で奇妙な行動をします。
そして、未来に向かって、彼女たちはどのように思考し、行動していくのでしょうか。

三人の女性たちの生き方に寄り添って読み進みながら、今を生きている人生とは本当のものなのだろうかと、作者である大島氏と共に考える、つまり、登場人物と作者と読者との三位一体で時間の共有ができるのが、読者への最高の贈り物であろうと、凛は思いました。

また、彼女たちの周囲には、編集者、森和木ホリー氏の別れた元ご主人とその息子の三人の男性が登場して、彼女たちとの関係にピリッとしたエッセンスをふりまいてくれます。

この作品は、2014年の第152回直樹三十五賞の候補作☆彡にもなっています。
文庫本の巻末には、直木賞作家の角田光代氏の解説が掲載されています。
この角田氏の解説で、「本当の人生とは何だろう」ともう一度考えさせられるという、読者への素敵なプレゼントがありますよ。(^-^)

大島氏は、1992年、「春の手品師」で第74回文學界新人賞を受賞☆彡されました。
この作品は、『ふじこさん』(講談社文庫、2012年)に掲載されています。
2019年、時代小説『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』(文藝春秋社、2019年)で第161回直木三十五賞を受賞☆彡されています。
受賞歴も多く、これからも注目したい作家のひとりです。

凛は、森和木ホリー氏の館にあるとっても広いお風呂に入って、國崎真実が揚げるさまざまな素材のコロッケを食べたいですねえ。
人生について考えたいあなた、幸せを願うあなた、そして、コロッケが大好きなあなたには、是非おすすめしたい小説です。
揚げたてのコロッケをはふはふと頬張りながら幸せだと感じるあなたの人生は、あなたのものに違いないのですから。(^-^)

************
(日本語)文庫-2017/10/6大島真寿美(著)
************