2020年6月13日土曜日

あなたの人生はあなたのもの

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださいまして、ありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

あなたは、あなた自身の人生について考えたことがありますか。
人生。
とても重みのある言葉ですよね。
人生とは、文字通り、人が生きることでありますし、人がこの世に生まれて死ぬまでの期間のことでもあります。

凛もよく凛自身の人生について考えます。
もちろん生きているからこそ考えるのですが、子ども時代からの過去の体験から、今、置かれている現状を捉え、そして未来への凛の姿を思い描くのです。

人は誰しも幸せになりたいと願うでしょう。
あなたは今が幸せだと感じていらっしゃいますか。
幸せなあなたは、このままずっと幸福感に満たされていたいと思うでしょう。
そのためには、どうすればよいのか、どうしたら幸福感が続くのかと考えることは大事なことだと思います。

そもそも幸せな人生とは何なのでしょう。
それは人生観につながり、個人によって異なるものです。
あなたの生来の性格に加えて、これまでの体験や環境、教養などの積み重ねが織りなしていくものでしょう。

ふとした時に、今の自分のこの人生は、果たして本当のものなのだろうかと、立ち止まって考えることはありませんか。
いや、もっと違った人生を生きている自分がいるのではないかしらと。
或いは、今はまだ知らない世界に本当の人生があるのではないのかと、将来を考えることもあるかもしれません。

現実とは何でしょう。
人生の分岐点とは何でしょう。
ああ、あのときがそうだったと、ふりかえることが訪れたとき、ええ、これで良かったのだと凛は肯定したいです。
何故ならば、もし、ああ、これは違う、こんなはずではなかったと思うならば、これまで生きてきたことの全てを否定することにつながるからです。
今のこの瞬間を生きている、それが幸せであると実感するには、日常の修練が求められるのではないかと、凛は考えています。

今の私が生きている世界、これが私の「本当の人生なのか」と疑問に思う人々のお話、それが大島真寿美氏の小説『あなたの本当の人生は』(文春文庫、2017年)です。
初出は『別冊文藝春秋』303号(2013年1月)~311号(2014年5月)です。
2014年に文藝春秋から単行本が刊行されています。
この作品は、2014年の第152回直木賞の候補作☆彡になりました。

凛が持っている第2刷(2019年8月)の文庫本の帯には、「『書くこと』に囚われた女たち」と紹介されています。
小説を書きたい新人作家の若い國崎真実が、書くことができなくなっている老作家の森和木ホリー氏の館で住み込みの弟子となり、その館でホリー氏の秘書として仕えている宇城圭子と出会います。
物語は、これらの三人の女性たちの奇妙な生活がユーモアたっぷりに描かれています。

「書くこと」について深く考える三人の女性たちは、各人が自分の人生について、果たしてこれが「本当の人生」なのだろうかと疑問に思いながら、物語は進んでいきます。
彼女たちは、それぞれに過去があり、分岐点があり、そして現在があるのですが、各人ともそれぞれの時点で奇妙な行動をします。
そして、未来に向かって、彼女たちはどのように思考し、行動していくのでしょうか。

三人の女性たちの生き方に寄り添って読み進みながら、今を生きている人生とは本当のものなのだろうかと、作者である大島氏と共に考える、つまり、登場人物と作者と読者との三位一体で時間の共有ができるのが、読者への最高の贈り物であろうと、凛は思いました。

また、彼女たちの周囲には、編集者、森和木ホリー氏の別れた元ご主人とその息子の三人の男性が登場して、彼女たちとの関係にピリッとしたエッセンスをふりまいてくれます。

この作品は、2014年の第152回直樹三十五賞の候補作☆彡にもなっています。
文庫本の巻末には、直木賞作家の角田光代氏の解説が掲載されています。
この角田氏の解説で、「本当の人生とは何だろう」ともう一度考えさせられるという、読者への素敵なプレゼントがありますよ。(^-^)

大島氏は、1992年、「春の手品師」で第74回文學界新人賞を受賞☆彡されました。
この作品は、『ふじこさん』(講談社文庫、2012年)に掲載されています。
2019年、時代小説『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』(文藝春秋社、2019年)で第161回直木三十五賞を受賞☆彡されています。
受賞歴も多く、これからも注目したい作家のひとりです。

凛は、森和木ホリー氏の館にあるとっても広いお風呂に入って、國崎真実が揚げるさまざまな素材のコロッケを食べたいですねえ。
人生について考えたいあなた、幸せを願うあなた、そして、コロッケが大好きなあなたには、是非おすすめしたい小説です。
揚げたてのコロッケをはふはふと頬張りながら幸せだと感じるあなたの人生は、あなたのものに違いないのですから。(^-^)

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(日本語)文庫-2017/10/6大島真寿美(著)
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2 件のコメント:

Kohta さんのコメント...

Kohtaです。久しぶりです。お変わりありませんか。
もう過ぎつつありますが、この時期に好きな光景が二つあります。一つは、私がトラクター大名行列と勝手に名づけているものです。水田のたおこしで、トラクターが水田の土を耕します。同時に冬眠していた蛙や虫たちが水田の表面に出てきます。それを狙って、白鷺や青鷺や鴨たちがトラクターの後を大名行列よろしくついてまわるのです。両者ともに危害を加えることなどないと信頼しあっていて、ほっこりさせられる光景です。もう一つは、水田に水を張った光景です。例えば、阿蘇の外輪山からカルデラ内を見下ろすと、まるでモンドリアンの絵です。眼下に見事な抽象画が広がります。

さて、大島真寿美さんの『あなたの本当の人生は』を読み終えました。いろいろ考えさせられる内容でした。個人的には自分がこれまで生きてきた軌跡が人生だと考えています。過去より未来を思い、まだ少しは選択肢が残っているのか、残っていてほしい。でも、結局は自分の生きていく姿勢しだいだなと考えています。大島さんの作品では、『渦』は文句無しの名作ですね。そして、私はヴィヴァルディと彼が指導した少女を中心とする合奏団の触れ合いを描いた『ピエタ』も好きです。
福田和代さんの『バベル』も読み終えました。この作品の設定には突っ込み所満載だなというのが、率直な感想です。力作であることは分かりますが、彼女の他の作品も読んだみようと思います。
最近読み終えた本では、ブレイディみかこさんの『ワイルドサイドをほっつき歩け』が面白い作品でした。どこもおっさん達は大変だなと、(おばさん達も同様かもしれません)共感を覚えながら読んだいました。
長々と書いてしまいました。このへんで失礼します。

南城 凛 さんのコメント...

Kohtaさん、こんばんは。
コメント、ありがとうございました!

水田のトラクターや鳥たちの大名行列ですか。いいですね。
凛も阿蘇山に行ってみたいですねえ。

Kohtaさん、深い内容のコメントありがとうございます!
大島氏の今回の作品は読みやすい文体ですが、とても考えさせられる内容です。

自分の人生は誰のものでもない自分だけのもの。
それだけに凛も責任をもっていかなければと考えました。

今回もご教示ありがとうございます。
是非、今後の参考にさせていただきます。
これからもよろしくお願いいたします。(^o^)