2020年7月3日金曜日

図書室で過ごしたあの頃

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ~(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

あなたは今、どのようにお過ごしですか。
夜を迎えて、一日の終わりの眠る前のいちばんホッとするひと時、それはあなただけの貴重なお時間ですから、大切にお過ごしくださいね。
凛のりんりんらいぶらり~で、凛と本の話題について楽しい時間を共有していただくのは、大変嬉しいことです。(^o^)

本がお好きなあなたは、図書館をご利用されることもおありでしょう。
あなたがご利用されている図書館はどんな雰囲気でしょうか。

凛は、カフェが併設されていたり、天井が高く明るくて、斬新な建築の近代的なお洒落な図書館も好きですし、歴史を感じさせる建物で、陽光を避けた感じの落ち着いたぬくもりのある図書館も好きです。
本がいっぱい所蔵されていれば、凛には快適な空間なのです。

あなたは学生時代に、学校の図書室はお好きでしたか。
凛は校内の図書室がとても好きな学生でした。
小学校の頃から図書室はとても好きな空間でした。
特に、高校時代は帰宅部だったということもあって、放課後に図書室で過ごすことが多かったです。

高校生だった凛が、学校の図書室のどういうところが好きだったのかを今考えると、以下の三つが挙げられます。

一つ目は、静寂な空間であること。
授業を終えて放課後に、部活や帰宅にと友達は目的をもってそれぞれの場所に向かいました。
凛は「じゃあ、また明日ね。さようなら」と友達に言って、一人で図書室へと向かう学生でした。

図書室に入った途端、急にしーんとして、まるで異次元に入ったような不思議な空間が広がります。
窓からうっすらと射してくる夕陽の端っこをそっと踏んで歩く凛がいます。

窓の外からは運動部の人たちの声が、走っている足音と共に近くなったり、遠くなったりしています。
外から聞こえてくる複数の音の高低を、まるでBGMのように耳にしながら、誰とも話すこともなく静寂な空間に身を置いて、ただ一人で静かに過ごす時間は、凛にとって至福の極みといっても過言ではありませんでした。

二つ目は、本に携わる人たちがいること。
図書室には図書委員や司書の先生がいらっしゃいました。
図書室は大声で会話ができない空間なので、小さな声でのやりとりが余計に優しく接していただいているように感じていました。
黙々と、しかもてきぱきと、貸し出しの作業をしている係の方たちの姿を目にすると、思春期の凛にはとても素敵に思えてなりませんでした。

図書室にいるのは凛の他にも学生が多く利用していました。
一人で静かに本を読んでいる人、参考図書とともに学習をしている人、書架の前に立って本を探している人、閲覧している人など、みな凛と同じ空間と時間を共有している仲間たちです。
いつも会う人もいれば、初めて見る人もいました。
言葉には出さなくとも、みな本を媒体とした仲間であるという意識を凛はもっていました。

三つ目は、知の宝庫であること。
図書室の奥のほうに向かうと、陽があたらない薄暗い書架に、文豪たちの分厚い全集や、辞典・事典類、それから岩波文庫、専門書のコーナーなどがずらりと並んでいました。
「よいしょ」と、どっしりと重い本を音がしないように注意しながら書架から出して見るのが楽しかったです。

ページを開くと、そこはもう知の世界!\(^o^)/
おお、凛が知らないことばかり!
知る喜びを享受する体験はこの図書室で生まれたのかしら。
小さな文字でびっしりと書いてある難しい内容に驚きながら、これを読みこなせるときが凛にはくるだろうか、いや、必ず読みこなすぞ、などと思いながら手にしていました。

以上、凛が学校の図書室が好きだった三点を挙げました。
やがて図書室を出る時間になると、外はうす暗くなっていました。
凛は時間と空間と知の旅を図書室で楽しんでいました。

このように、凛には学校の図書室で過ごした懐かしい思い出がたくさんあります。
あなたの学校の図書室での思い出にはどんなことがありますか。

さて今夜は、高校の図書室の図書委員を描いた青春ミステリー小説として、米澤穂信氏の図書室ミステリー小説『本と鍵の季節』(集英社、2018年)をご紹介いたしましょう。
高校の図書委員を務める共に二年生の堀川次郎と松倉詩門(しもん)という二人の男子高校生がメインとなって、図書室を訪れる学生たちと彼らの周辺をめぐるお話が6篇収められています。

彼らの通う高校は進学校ですが、図書室を利用する学生はほとんどいない設定となっています。
放課後のとても静かな図書室で、当番の二人は図書を書架に収めたり、貸出の整理をしたりしています。

二人は仲が良いけれども、その実、堀川次郎から見た松倉詩門は身長が高くてイケメンであると相当意識している点が、思春期らしい青年だなあと凛は思えて、堀川次郎に好感がもてました。
他方、イケメンでクールな松倉詩門には謎が多くて、彼のミステリアスな部分がとても気になる凛でした。

そんな対比的な二人が務める図書室に様々な人が訪れて、事件を解決していくのです。
以下、六つのお話で構成されています。

一話目の「913」は、6月、先輩女子が図書室に訪れて、亡き祖父が遺した金庫の鍵の番号を探して欲しいと言うので、二人は彼女の家を訪ねてみます。
そこで彼らが見たものは……。

「ロックオンロッカー」は、夏の初め、堀川次郎の持っていた美容室の利用券を用いて、二人で訪れた美容院での盗難のお話です。
図書室外での番外編ともいえます。二人は少し大人になったのかな。

「金曜に彼は何をしたのか」では、7月の期末テストの準備期間中、図書委員の一年生の後輩男子から、同じ高校に通う二年生の兄が試験問題を盗んだと疑われている件で、二人は相談を受けます。

「ない本」は、秋になり、受験シーズンを意識する頃、或る三年生の男子生徒が亡くなりるのですが、彼が亡くなる前に読んでいた本について、彼の同級生の男子が相談しに図書室を訪れます。

「昔話を聞かせておくれよ」では、冬が近くなり、図書室で松倉詩門は父親の話を堀川次郎に話します。

最後の「友よ知るなかれ」では、木枯らしが吹く冬、松倉詩門の父親をめぐる謎の解決は如何に……。

全て読み終えて、改めて本のタイトル『本と鍵の季節』に、なるほど~と納得できます!
めぐる季節を背景にし、図書室で時間を共有する二人の思春期の男子高校生の成長物語でもあります。
合わせて、図書に関する情報が満載で、本の様々なことを学べます。
それから、全編を通して実在の和洋の本が紹介されていて、それらに関する二人の会話がとても鋭いのです。

米澤穂信氏は、『<古典部>シリーズ』の第一弾、2001年、『氷菓』(角川スニーカー文庫、2001年、のち角川文庫、2005年)でデビューし、第5回角川学園小説大賞(ヤングミステリー&ホラー部門)奨励賞☆彡を受賞されています。
この『<古典部>シリーズ』は第六弾の『いまさら翼といわれても』(KADOKAWA、2016年、のち角川文庫、2019年)まで続いています。
映画化、テレビアニメ、コミックスと人気があり、あなたもご存知ではないでしょうか。

2014年、『満願』(新潮社、2014年、のち新潮文庫、2017年)では、第27回山本周五郎賞☆彡を受賞されていますし、第151回直木賞候補☆彡ともなっています。
他にも多くの作品が受賞の候補となっており、ミステリー小説の人気作家として大変ご活躍されていらっしゃいます。

凛が放課後によく利用していた図書室ではミステリー小説になるような背景は考えられませんでした。
でも、もしかしたら、図書委員や司書の先生にこのような相談事がもちこまれていたとしたら……。
凛が知らないだけなのかもしれませんね。(*_*;

どうして作中の高校では、素敵な男子学生の二人がいる図書室が人気がなかったのかしらと、凛には不思議でなりません。
凛が通った高校は女子校だったので、男子高校生はいませんでした。(^-^;

あなたも図書室のミステリーに挑んではいかがでしょう。
素敵な男子高校生二人との青春の時間が過ごせますよ~
最後は、あなたの胸キュン、間違いありません!
二人の今後がとても気になる作品です。

今夜も凛からあなたにおすすめの一冊でした。(^-^)

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(日本語)単行本-2018/12/14米澤穂信(著)
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2 件のコメント:

Kohta さんのコメント...

またまたお邪魔します。蒸し蒸しする不快な日が続いています。お変わりありませんか?こちらは元気で、雨の合間を縫ってジョギングも続けています。
私の住んでいる集落は水田に囲まれています。どこに行くにしても、水田の中を横切る農道を走ることになります。私の車が軽自動車であることが理由の一つであるかもしれませんが、最近野鳥たちが横着なのです。すぐ傍を通っても少しも逃げようとしない。白鷺や青鷺もそうなのですが、最もひどいのは、白鶺鴒です。先日は道の真ん中で、ペアリングをしていました。車が数十センチ接近しても平気なのです。仕方なくしばらく待っていました。クラクションをならすのも変ですしね。見方を変えれば、これだけ人間を恐れなといのは喜ばしいことかもしれませんが、轢き殺ししたかもと、ヒヤッとすることが重なるのは、困ったことです。

さて、米澤穂信さんの『本と鍵の季節 』を読了しました。米澤穂信さんは私にとって初めての作家です。本の帯に(爽やかでほんのりビターな図書室ミステリー)(僕らの推理と友情の物語)とあったので、彼の軽妙の文章と相まって、すいすいと読み進めていました。しかし、第四話あたりから、ほんのりビター所ではないと感じ始め、第五話ではますますシリアスなものになっていきました。
『手元に金があることの安心感ーないことの頼りなさは、ーお前にはわからんかもしれん』
『だけど、いつもいいシャツを着て、バス代も飲み代も、美容院代だって惜しまないじゃないか』
『やばいときこそ、いいシャツを着るんだ。わかるか?』
学生時代の家庭の経済的困窮、私も同様な体験は多少ありますが、私の若い頃は、日本全体が今と比べると、貧しかった。従って、痛みや苦しさはそれほど切実には感じませんでした。今は経済的格差が大きくなっていることは事実でしょうし、私が知らないだけかもしれませんが、直接貧しさを目にすることはありません。このような状況の中での貧しさは、若者にとってどのくらいの痛みを及ぼすのか、想像もつきません。
作者は今後この作品の続編がどのくらいの分量になると構想されているのでしょうか?軽い読み口のミステリーの作品の中に、現代の若者の直面する貧しさという重いテーマを織り込んで頂きたいというのが、私の自分勝手な願望です。良い作品を紹介してくれてありがとうございます。

私の最近の収穫は、瀬尾まいこさんの『君が夏を走らせる』(新潮文庫)です。同じ文庫の『あと少し、もう少し』に登場した不良の大田君が、金髪の髪の高校生となって再登場です。元ヤンキーの先輩から、1歳の娘の子守を頼まれ、断りきれず引き受けて、幼い子供に振り回される一夏の奮闘記です。なんとなく想像がつくでしょうが、リアリティーにあふれる描写も面白い心暖まる素敵な作品です。三浦しをんさんの『神去なあなあシリーズ』にもやられました。私はどうもこの手の成長物語に弱いようです。

長々と書いてしまいました。このへんで失礼します。お元気でお過ごしください。

南城 凛 さんのコメント...

Kohtaさん、こんばんは。(^-^)
コメントありがとうございます!

ジョギングを続けていらっしゃるのですね。
野鳥たちもKohtaさんがジョギングされていらっしゃるのを空から眺めているのかもしれません。
野鳥たちも生きるために必死なのでしょう。
野鳥たちに対するKohtaさんの優しさが伝わります。
これからも安全運転で!

米澤穂信氏は注目の作家だと思います。
堀川次郎と松倉詩門の会話のひとつひとつがとても心に響いてきますよね。
凛も是非続編を待ち望んでいます。続編でまた彼らに会いたいです。

2019年の本屋大賞に輝いた瀬尾まいこ氏は初期の頃によく読んでいました。
『幸福な食卓』(講談社文庫、2007年)は、北乃きい主演で映画化されました。
主題歌のMr.Childrenの「くるみ for the Film-幸福な食卓」が好きで、「ねえ くるみ~」とよく口ずさんでいました。
『強運の持ち主』(文春文庫、2009年)のルイーズ吉田さんも楽しめましたよ~

三浦しをん氏はまほろ駅前シリーズの他、『舟を編む』(光文社文庫、2015年)など多作な作家さんですね。

Kohtaさん、いつもご教示ありがとうございます。
これからもよろしくお願いいたします。(^-^)