2021年7月13日火曜日

「旅友」と物語を紡ぐ ~原田マハ『ハグとナガラ』(文春文庫、2020年)~

こんばんは。南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださりありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

暑いですね~
あなたもお元気でお過ごしでしょうか。

凛は夏バテしないように気をつけなければと思っています。
すっかり自粛に慣れてしまいましたねえ。
暑さもあり、外出を控えて家で過ごすことが増えると、食欲と運動のバランスが崩れそうです……。(^-^;

特に、凛は冷たいドリンクなどを摂りすぎるとカラダが冷えて調子が悪くなりやすい体質なので、できるだけ熱いものを摂るように心がけています。
あなたはどんな暑さ対策をなさっていらっしゃいますか。

ところで、あなたは旅がお好きですか。
一人旅、ご家族との旅もよいですが、楽しい旅の共有ができる「旅友」はいらっしゃいますか。
忙しい日常から解放され、非日常の中でくつろいで心から話ができる「旅友」がいたら、それはとても幸せな時間でしょう。

凛には「旅友」はいませんねえ。
3年ほど前の話になりますが、全国大手書店の企画の懸賞日帰りバス旅行が当たったときは一人で参加しました。
意外と一人旅の方も大勢いらっしゃって安心しました。
昼食のときもお一人様用の席で10名ほど一緒のテーブルで食事をしました。
自由時間も各々距離を上手くとりながら楽しみました。

そのときの旅行会社のツアーガイドの方がバスの車内で、「最近は『バス友』が流行っていますよ。お客様方のお隣のお席の初対面の方と『バス友』になられることもございますよ」と仰っていたのが印象的でした。
担当の方の説明では、「バス友」とは、バス旅行のときだけのお友だちだそうです。
要するに、普段のお付き合いはせずに、バス旅行のときだけ一緒に申し込んで一緒に楽しむのだそうです。
凛は、そのような新しいお友だち関係もあるのかと納得しました。

凛も旅は好きなのですが、最近は自粛優先ですから、旅とはすっかりご無沙汰いたしております。
そろそろどこかに行きたいなあ、と心の誘惑がそろりそろりと凛を襲ってくるような感覚……。
旅を描いた小説で楽しむのはいかがでしょう。
読者を文学の旅にいざなってくれますよ~ (^○^)

今回の本は、原田マハ(はらだ まは)氏の連作短編集『ハグとナガラ』(文春文庫、2020年)です。
この文庫本は、文春文庫のオリジナルです。
過去に他社の文庫本や文芸誌に収録された作品を文春文庫に一冊にまとめて刊行されたものです。

主人公ハグは、大学時代からの友人である女性ナガラと共に「旅友」として旅を楽しみます。
二人共仕事をもつ独身女性です。
時代が進むにつれて二人の境遇も変わってゆきますので、当然ですが旅の内容にも変化がみられます。
合わせて、旅先の紹介や、知り合った人々との邂逅など、旅ならではの楽しさも味わえます。
作者は折々の旅での二人の心境を行間にたくさん織り込みながら、読者に共感を与えてくれます。

まずは、この文庫本の入手についてです。
昨年の秋、凛はいつもの近所の書店の文庫本新刊コーナーで見つけて購入しています。
2020年10月10日第1刷です。

「凛さ~ん、やっと私の出番ですね~」という声がこの文庫本から聞こえてきそうです。
凛には出番を待っている本たちがたくさんいるんですよ~ (^-^;

表紙には、地図の上に立つ二人の女性、ハグとナガラと思われますが、二人とも旅のキャリーバッグと共に笑って青空を見上げている姿の絵が描かれています。
二人の笑顔が実にいいですねえ。
笑顔を見ている凛も「明日もきっといいことあるよね!」と元気が出ます!

カバー絵は、アメリカのジェーン・デュレイ氏による作品「ハグとナガラ」(2020年)です。
原田マハ氏はキュレーターもされていらっしゃったので、ひゃあ、さすがです!!(^^)v

凛が持っている文庫本の帯の表表紙側には、「折返し地点から動き出す」と紹介文が載っています。
物語がいっぱい詰まっていそうな感じがしますよね~

帯の裏表紙側には、ナガラからハグに旅へのお誘いのメール文が掲載されています。
「旅に出よう」というタイトルで、
「元気?
(中略)
 もう、行けるかな。そろそろかな。
 ね、行かへん? どこでもいい、いつでもいい。」(帯の裏表紙側より)

このナガラの書く言葉がまたいいんですよね~ 
作中でハグとナガラは関西弁でやりとりをします。
なんだかとっても温かみがあるんです!

以上、表紙のカバー絵の明るさと、帯の紹介文によって、凛は書店のレジに直行しました。

では、内容に入ります。
最初に、原田マハ氏による「まえがきにかえて『ハグとナガラ』が文庫化された理由」が掲載されています。

原田マハ氏には「旅人ネーム」(9頁)を呼び合う「旅友」の存在を明かしていらっしゃいます。
「旅友」との思い出を作品にして不定期で発表していらっしゃったのですが、コロナ禍で一冊の文庫本にまとめることになった動機を書かれています。
あなたが作品を読まれる前後に、この文章は是非読んでいただきたいですね。

目次を見ますと、6篇の短編が収録されています。
「旅をあきらめた友と、その母への手紙」
「寄り道」
「波打ち際のふたり」
「笑う家」
「遠く近く」
「あおぞら」

二人の旅の物語だと思ったのに、いきなり「旅をあきらめた友」というタイトルが出てきて凛は驚きました。
お一人様の旅で始まるんですよ。

6篇を通して、とても重要なキーワードが複数あります。
しかし、キーワードがいくつあるのかは読者自身に委ねられていると凛は考えます。
ここでは凛がキーワードと考えたうちの五つだけをご紹介します。

一つ目のキーワードは、「時間」ですね。
この連作短編は、時系列に沿って編まれています。

文庫本の奥付の前の頁に、「出典」が掲載されており、各々の作品の刊行年が紹介されています。
刊行年は2008年~2020年までですので、逆算して、各作品の社会状況とハグとナガラの年齢と置かれた環境が概ねわかります。

二人は三十代から始まり、四十代、五十代と、環境の変化に伴って、彼女ら自身にも心身の変化がみられます。
そのため旅との向き合い方も変わってきます。
だんだんと旅をしている場合ではなくなってきます。
時間の流れは誰にも抗えません。
その変化が読者にひしひしと伝わってきます。

二つ目のキーワードは、「仕事」です。
彼女らは「男女雇用機会均等法の一期生」(121頁)でバリバリと働いた「キャリア・ウーマン」(同頁)です。
ハグが密かに敷いていた思惑が崩れてからの努力がそれはもう大変です。
会社という組織から離れた者の哀歌が聴こえてきます。
ハグの生活に直結します。

他方、ナガラのほうは一見順風満帆に上昇していますが、本人だけにしかわからない大変さがあるようです。
二人の仲も少し距離を置かざるを得ない時期もありますが、距離の置き方が絶妙なのです。

三つ目のキーワードは、「介護」です。
二人共に母親と娘との関係が如実に描かれています。
「時間」の経過は、老親のケアという「現実」が迫ってきます。
ナガラが先でしたが、ハグにも仕事との関係が問題となり、旅どころではなくなります。

四つ目のキーワードは、「旅先での出会い」です。
これは旅そのものの楽しさですね!
凛は作中に出てくる地名に緑色の小さな付箋紙を貼ったところ、40ヵ所を超えていました。(重複の地名を含みます。)
凛は地図を見ながら読むのが好きです。
主人公と一緒に旅をしている気分になれます。
これぞ旅文学!\(^o^)/

旅先でのタクシーやバスの運転手さんたちとのやりとりでは、旅慣れしているなあ、と感心します。
2篇目の「寄り道」では、バスの隣席に座った若い女性とのエピソードには胸がジーンと熱くなります。

五つ目のキーワードは、「友情」ですね。
やはり「旅友」!
ハグもナガラもお互いの人生に欠かせない大切な親友でしょう。
かと言って常にべったりではなく、距離感をとても適切にしているのがよくわかります。
連絡の方法も、携帯電話のメールから、スマホのLINEへと変わってゆきます。
しかし何と言っても伝達手段の最高のツールは……。
それは、あなたが読まれてからのお楽しみに。(^_-)-☆

巻末の文庫本の解説は、阿川佐和子氏です。
「アガワ」(198頁)流の「女旅」(196頁)にはほろ苦味も加味されています。
名エッセイスト・人気作家としてのひとつの作品としても楽しめますよ~(^o^)

作者の原田マハ氏は大変な人気作家ですから、書店で多くの作品が平積みされているのをご覧になられることも多いでしょう。
多くの作品を刊行されていますので、ここでは少しだけご紹介しますね。

デビュー作は、小説『カフーを待ちわびて』(宝島社、2006年、宝島社文庫、2008年)で2005年、第1回日本ラブストーリー大賞を受賞☆彡されています。
この作品は、2009年、中井庸友監督、玉山鉄二さん主演、マイコさん共演で、同名で映画化されています。

小説『楽園のカンヴァス』(新潮社、2012年、新潮文庫、2014年)では、2012年、第25回山本周五郎賞を受賞☆彡されていますし、第147回直木三十五賞の候補ともなっています。
これは凛がとっても大好きな作品です。
あなたがまだ未読でしたら、是非おススメします!!

また、小説『リーチ先生』(集英社、2016年、集英社文庫、2019年)で、2017年第36回新田次郎文学賞を受賞☆彡されています。

他にも直木三十五賞の候補作をはじめ、エッセイ、映画化、ドラマ化された作品など多数刊行されています。
ご存知の方も多いとは思いますが、作家の原田宗典(はらだ むねのり)氏マハ氏の実兄です。

まとめ。
小説『ハグとナガラ』は、主人公ハグと「旅友」ナガラが共に旅を楽しみ、謳歌し、そして抗えない時間の経過に伴う苦しみ、哀しみと向き合います。
人生も後半であることを意識すると、大人としての旅を体験します。
二人はあらゆるスパイスと共に素敵な人生の旅の物語を紡いでいるのでしょう。

前も少しだけ書きましたが、凛には「いつか時間ができたら必ず旅をしようね!私たちはこれからだよね!」と新幹線駅の改札口で誓った女性の友人がいました。
凛は彼女と絶対にいつかは旅ができると勝手に思っていたのかもしれません。
温泉でゆっくりしたかったなあ。
一度も実現することなく、彼女は亡くなりました。(T_T)
「いつか」と機会が訪れるのを待つのではなく、もっと貪欲になって彼女と強引に旅をしたかったなあと思うこの頃です。

「人生を、もっと足掻こう。」(20頁、90頁他)
「足掻く」……凛の胸にぐさっと突き刺さります。
「足掻き」ながら、「寄り道」(47頁)することも必要ですね。(^o^)

この作品で、あなたにはいくつのキーワードが刺さりますでしょうか。

今夜も凛からあなたにおすすめの一冊でした。(^-^)

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(文春文庫は40-5)文庫2020/10/7原田マハ(著)
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2021年6月28日月曜日

SF古典名作を愉しみました ~アーサー・C・クラーク『幼年期の終わり』(池田真紀子訳、光文社古典新訳文庫、2007年)~

こんばんは。南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださいましてありがとうございます。
凛とともにどうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

お久しぶりです。
お変わりありませんか。
凛はいろいろと野暮用が続いたため、ブログの更新がとっても気になりつつも、すっかりご無沙汰してしまいました。(^-^;
この期間にりんりんらいぶらり~を訪れてくださったあなたには感謝の気持ちでいっぱいです。(^-^)

夏至も過ぎ、本格的な夏になりましたね。
今年も暑い日々が続きそうですねえ。
これからの季節は感染対策はもちろんのこと、熱中症にも気をつけていかなければと思っている凛です。

では、本題に入りましょう。

あなたは異星人の存在を信じますか。
宇宙船らしき謎の物体を見たことがありますか。

凛は二度、夜空をふわふわと飛んでいる宇宙船らしき謎の物体を見たことがあります。

今から5・6年ほど前になるでしょうか。
春の訪れが待ち遠しい季節、夜のウォーキングをしていたときに、そこは街中の公園で、ふと夜空を見上げたら、数色の光を帯びてふわふわと飛んでいる宇宙船みたいな何だかよくわからない物体X(凛がここで勝手に名付けています)がいたのです!
SF映画に出てくるような丸くて平べったい円盤型で、お煎餅のようにところどころふっくらと膨らんだ部分が上下にいくつかあって、底から数色の光を地上に向けて発しているのです。

謎のお煎餅型物体Xは空間に数秒停まっているかと思いきや、ふわりふわりと上下にゆっくり浮遊しながら、するすると音もたてずにビル群の向こうへと飛んで行ってしまいました。
とっても不思議な時間でしたねえ。
X……あれはドローンだったのかなあ。

その時間帯は夜にも関わらず結構公園に人がいて、各々ウォーキングをしていたり、走っていたりしていたので、凛の周囲は一人ではありませんでした。
誰か他の人たちも気づいていたかもしれませんが、どうなのでしょう。
こういうときに凛は想像力をいっぱいに膨らませて、Xが見えているのは凛だけかもしれない……と物語をつくったりするのです。(^-^;

それから約一か月後、すっかり桜の季節の春真っ盛りになった頃、やはり同じ公園ですが、夜空から数色の光で地上を照らしている謎の飛行物体らしき大きなお煎餅型Y(こちらも凛が勝手に名付けています)が数分間空中に浮かんでいるのを発見しました!
前回のお煎餅型Xを見たときよりも地上からもう少し近い高さだったからなのか、Yはとても大きく見えました。

謎の飛行物体らしきお煎餅型Yをその真下に近い所から見上げると、本当に映画の撮影ではないかと思うくらいに丸くて広くて、異星人が乗っているのではという気がしてなりませんでした。

凛の周囲の人々も「あれは何だ?」と言いながら大きなお煎餅型Yを見上げていましたが、Yはとりたてて変わった様子もなくじっと浮いたままだったので、撮影用のドローンかと思ったのか、人々はまた「現在」の意識に移っていきました。

凛は、お煎餅型Yから「特別の時間」を与えられたような感覚がしてなりませんでした。
しばらくの間、じーっと見上げていましたが、だんだん首が疲れてきて、他の人々と同じように「現在」の意識に戻りました。

やはり何かの撮影用のドローンだったのかもしれませんねえ。
一体誰がYを操作していたのでしょう。
周りを見渡しても、撮影している人たちの姿が見られませんでした。
どこか別の場所からの遠隔操作だったのでしょうか。

何だかわからない謎の飛行物体みたいなお煎餅型のXやYには異星人がいたのかもしれないと想像するだけでスケールの大きな話になり、凛はワクワクします。
今から考えると、吸い込まれることもなく、攻撃もされずに良かったと思います。

前置きが長くなってしまいました。

今回の本は、アーサー・C・クラーク氏のSF小説『幼年期の終わり』(池田真紀子訳、光文社古典新訳文庫、2007年)です。
SF小説の古典と言われている名作で、SF好きな方には大変人気の高い作品です。

この作品は、1953年にアメリカで初版が刊行されて以来、世界中のファンに魅了され続けています。
日本では、1964年、早川書房から『幼年期の終り』(福島正実訳、ハヤカワ・SF・シリーズ)として刊行され、その後、複数の出版社から刊行されています。

まず、この本の入手についてです。
凛が入手したのは光文社古典新訳文庫版で、街の書店で新訳版のほうを購入しました。
この新訳版では、第1部の第1章の改稿された作品が収録されています。
凛の文庫本は、2020年10月20日発行の第10刷です。

次に、本の装丁などについてです。
光文社の古典新訳文庫はシリーズ化されていて、装画は、全て望月道陽(もちづき みちあき)氏によるものです。
線画で描かれているのは、地球の人間なのでしょうか。

古典新訳文庫の装丁は、言語圏によって青・赤・緑・茶・桃色の5色に分類されています。
この文庫本は緑色なので英語圏で、装丁家の木佐塔一郎(きさ とういちろう)氏によります。

凛の文庫本の第10刷の帯の表表紙側には、「初版から36年後に書き直された第1章(以下、省略)」「哲学小説」と書いてあります。
帯の裏表紙側には、「黙示録的文学の古典」とも書いてあります。

実は、凛はSF小説は初めての体験なのです。(-_-;)
SF映画はとても好きなのですが、これまでSF小説は難しそうだなあと敬遠してきました。
何故だかわかりませんが、ある日突然、SF小説を読んでみたい!と思って、今回SF小説の初体験となりました。
まさか、異星人からのメッセージ?( ;∀;)

本編の前に、著者のクラーク氏による「まえがき」が掲載されています。

本編は、以下の通り、三部に分かれています。
第1部 「地球とオーヴァーロードたち」
第2部 「黄金期」
第3部 「最後の世代」

海外文学の場合、登場人物の名前がわかりづらく、しっくりこない場合がありませんか。
目次の次に「おもな登場人物」の一覧が掲載されています。
本に添付されている栞には主な登場人物の名前が書いてあります。
栞で確認しながら読むと、登場人物の名前がすんなりと頭に入りやすくなると思うので、この栞は大変便利ですよ~

第1部の第1章は、21世紀のロシア系と思われる宇宙飛行士たちが登場します。
書き直す前の東西冷戦を背景にしたものから、改稿によって約30年ほど時代が進んでいます。

第1部の第2章からは筆者による書き直しは一切ないとのことです。
国連事務総長のストルムグレン氏の登場から、これは地球規模の話なのだということがわかります。
最高君主であるオーヴァーロードと称される地球総督の異星人カレランとの接点が何より興味深いですね。

地球は彼らオーヴァーロードに支配されているのだろうという設定ですが、まだ地球人には支配されている側の意識にゆとりがあるような印象を凛はもちました。
第3章で、「懐中電灯」(60頁他)というグッズが出てきたのが、時代を感じさせるなと思いました。
カレランたちの容姿や思考などはまだ不透明です。

第2部では、第1部から50年経た地球。
時代も世代も変わり、人々の生活も高度な技術によるものに進化しています。
オーヴァーロードのラシャベラクが登場して、容姿が明らかになります。

第3部では、コミュニティに住む一部の人たちとその子供たちとオーヴァーロードとの接点は如何に。
ジャンという青年が重要な役割を果たします。
オーヴァーロードと地球の運命は……。
有名な作品ですが、凛のSF小説初体験のようにまだ未読な方もいらっしゃるでしょうから、あとは読まれてからのお楽しみに。

巻末の解説は、慶應義塾大学文学部教授・アメリカ文学専攻(2007年当時、現在は慶應義塾大学名誉教授)の巽 孝之(たつみ たかゆき)氏す。
「──人類の未来と平和」という題目で、非常に熱く詳しく述べていらっしゃいます。
詳細に解説されており、凛のようなSF小説入門者にもわかりやすく、また読んでみよう!という気持ちになりました。
巽教授による丁寧な講義を聴講している学生のような面持ちで大変勉強になりました。

この後に、クラーク氏の「年譜」が続きます。
最後は訳者の池田真紀子氏による「訳者あとがき」で作品についてまとめられています。

著者のアーサー・C・クラーク氏については、映画『2001年宇宙の旅』(スタンリー・キューブリック監督、1968年公開)でキューブリック監督と共に1968年のアカデミー賞脚本賞☆彡☆彡にノミネートされ、アカデミー賞特殊視覚効果賞☆彡☆彡☆彡を受賞しました。
また、同映画は1969年、ヒューゴー賞☆彡☆彡を受賞しました。
小説『2001年宇宙の旅』は映画公開後、1968年発表されました。
他にも多数ありますが、ここでは省略させていただきます。

20世紀を代表するSF小説の大家、クラーク氏の作品に触れて、凛は地球人としての自己について考えてみました。
人類は進化していくのでしょうか。
それから地球の運命についても……。
壮大な宇宙からのメッセージがクラーク氏を通して作品に込められているような印象をもちました。

ところで、書き直す前の第1部第1章も是非読んでみます。
21世紀を生きている読者には作品の印象が変わるでしょうか。

時空を超えた不思議な旅ができる!
これこそ文学の愉しみですね。\(^o^)/

またいつもの公園で夜空を見上げてみよう。
昼間にも何か見えるかな。

今夜も凛からあなたにおすすめの一冊でした。(^-^)

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文庫-2007/11/8クラーク(著)池田真紀子(翻訳)
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2021年6月8日火曜日

やはり人が財産ですね ~山本甲士『ひなたストア』(小学館文庫、2020年)~

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

あなたにとってスーパーマーケットは身近な存在ですか。
「そんなの当たり前だ!」とは限りません。
日々の暮らし方には各々違いがありますから、一概にスーパーでお買い物される方ばかりでないでしょう。
それでも「食」は毎日のことですから、やはり生活必需品を扱うスーパーの存在は大きいですよね。

凛は生活圏にあるスーパーの話題についてはいつも気になっています。
毎日のセールだけでなく、近所に新しいスーパーが開店したとか、リニューアルしたとか、とても気になりますねえ。
A店とB店は昔からライバルだけど、A店のほうがスタッフの対応が良いとか、最近客入りが増えているのは綺麗に改装したC店だとか、或いは新規参入の薬局D店の食料品の価格が安いとか、E店は狭いけど野菜や果物が新鮮だとか、F店はセルフレジが使いにくいなどなど、、
それはもう消費者の立場で、勝手気ままに各店を客観視しながら、買い物の度に注目しています。(^-^;

経営者やスタッフの努力は大変なものであろうと思います。
特に昨年からのコロナ禍で、エッセンシャル・ワーカーと呼ばれるスタッフさんたちに、いつも「ありがとう!」と感謝の気持ちをこの場で伝えたいですね。\(^o^)/

今回の本は、山本甲士(やまもと こうし)氏の小説『ひなたストア』(小学館文庫、2020年)です。
廃業寸前の地域密着型のスーパーが、転職したサラリーマンの男性主人公らの活躍によって蘇っていく過程を愉しめる再生物語です。
再生するのはスーパーだけではありません。
転職した主人公の男性のお仕事小説でもあり、また周囲の人々との人情物語でもあり、それぞれの立場で再生します。

この作品は、2018年にハルキ文庫から『がんこスーパー』として出版されたものを改題、加筆改稿して、新たに『ひなたストア』として小学館文庫から2020年2月に刊行されたものです。
『ひなたストア』では、巻末に作者の「あとがき」が加わっています。

まず、この本の入手についてです。
凛は街の書店で見かけたものの購入はせずにメモだけとっていたのですが、後日になってからやはり読みたくなり、大手ネット書店から購入しました。
街の書店さん、今回はごめんなさい。
凛はもちろん書店巡りは大好きですし、ネットからの購入もしますよ~

次に、本の装丁などについてです。
凛が購入した文庫初版本の帯の表表紙側には、「廃業必至!店をV字回復させるには?」と赤い文字で目立つように掲載されています。
その文言の前には小さな赤い文字で「転職早々難題が!」と。
「ここでダメなら、おれもクビ!」とも小さな黒い文字で……。
「わあ、主人公は大変な状況だあ!」ということが一目瞭然です。

裏表紙には、「早期退職勧奨に応じた主人公の青葉一成。」の転職先について概略が説明されています。
ここで、主人公は自ら望んで転職したわけではなく、最初は仕方なく会社の方針に「応じ」なければならなかったことがわかります。

裏表紙側の帯とも合わせて読むと、青葉一成の転職した先の会社の事情で、閑古鳥が鳴いている廃業ぎりぎり間近かとみられる一店舗だけで営業しているスーパーで、見学に来た奥さんや中学生の娘とも絶句状態!
家族もいて、家の住宅ローンもあり、娘の進学も控えているし、中高年になっての転職は大変というのに、将来への希望も一気に瓦解してしまいました。
さて、お先真っ暗な状態から、主人公はどうやって前に進むのでしょうか、というお話です。

表紙のカバーイラストは、おとないちあき氏で、カバーデザインは、高柳雅人(たかやなぎ まさと)氏です。
表紙には、恐らく主人公と思われるエプロン姿の男性の背中が中心に配置されています。
この男性はお客さんとみられる方とお話しているようですねえ。
ここは野菜売り場で、人参やキャベツ、ピーマン、トマト、ネギなどがカゴにたくさん盛られていて、どれも新鮮で美味しそうです。
とても閑古鳥が鳴いているようなスーパーには見えません。

それでは、内容についてです。
主人公の青葉一成(あおば かずなり)は、福岡市に本社を置くサプリメント会社の営業課長職ですが、冒頭から人事部長から退職勧告を言いわたされる場面から始まります。
雇用されている者にとっては「ついに来たか!」と肩たたきを受ける恐怖の場面でしょう。
会社の都合により、業績の悪化を原因にされて、人員整理へと会社は容赦なく社員を切ります。
退職金の上乗せという条件も与えられますが、これから先を考えると、なかなか難しいところでしょう。
主人公の置かれた厳しさに身につまされる読者もいらっしゃるかもしれません。

青葉一成は退職勧告を受けます。
退職の日の情景は「あばよ、会社」といった感じでしょうか。
実に潔い場面です。
彼は過去を振り返ることもなく、前に進みます。

彼の再就職先については旧友のおかげで決まっていたこともあり、新しい環境でうまくスタートができるというところで、予想が見事に外れてしまいました。
呆然とする主人公と家族。
ここからが本当の再生の物語が始まるのです。

転職先の都合で、開発課長として在籍のまま、青葉一成が配属されたのは佐賀県の某地方の廃業寸前のスーパーの「ひなたストア」で、副店長という肩書でした。
このスーパーは一店舗だけの営業で、周囲には全国展開の大手スーパーと、地方で複数店舗も展開している勢いのあるスーパーに囲まれて、ライバルにも匹敵しないという立ち位置の廃れようです。
店舗には空気というのは消費者も感じますよねえ。
つぶれる寸前のお店というのは、活気がなくて品薄で、スタッフも暗くて笑顔がなく入りづらいし、人を寄せ付けない空気感がどよ~んと漂っています。

彼はご家族とも離れ、単身赴任で、重い気持ちで会社の寮である平屋の一軒家に住みます。
そこからが人のご縁が始まります。
あれよ、あれよと、後半は一気読みでした!! (^o^)

最初の改革はスタッフの笑顔から始まります。
「がんこ野菜」(128頁)という無農薬野菜、これが後半の重要なキーワードになります。

そして、人が人を呼ぶのです。
経営者、スタッフ、お客様、野菜農家、ラーメン店、習い事のメンバーなどなど。
メディアやインターネットも活用しますが、評判の持続性には努力が必要です。

「ええーっ!こんなにうまくいくかなあ」
「現実の事業経営は甘いものではありません」
「一店舗だからできるのでしょう」
「大手スーパーにも悩みはあるのだ」
「中高年の転職は厳しいものだよ」
などと批判の視点をもたれる読者も多くいらっしゃるでしょう。
しかし、この小説の中で何かひとつでもポジティブになれるヒントが見いだされるかもしれませんよ。

合わせて、主人公の青葉一成の成長物語でもあります。
主人公の日々を懸命に生きる姿に共感し、応援したくなる小説です。
凛は、この小説は働く者たちへの応援歌でもあると考えます。(^^)v

最後には、転職先の会社から青葉一成に「ある話」がきますが、彼はどう判断し、どのような決断を下すのでしょうか。

また巻末の作者である山本甲士氏による「あとがき」が、まるでエッセイのようで、この作品について実に分かりやすく解説されています。
作者のお住まいの周辺の複数のスーパーに対して、一消費者としての厳しい視点とあたたかなまなざしがみられます。
それらが作品につながっていくことが丁寧に綴られています。

作者の山本甲士氏は、1996年、小説『ノーペイン、ノーゲイン』(角川書店、1996年)で、第16回横溝正史ミステリ大賞優秀作を受賞☆彡してデビューされています。
山本ひろしの筆名で、2004年、小説『君だけの物語』(小学館、2006年)で、第13回小川未明文学賞優秀賞を受賞☆彡されています。
他にも受賞され、多くの作品を刊行されています。

短編集『わらの人』(文藝春秋、2006年、のち文春文庫、2009年、のち改題して『かみがかり』(小学館文庫、2014年)は、2008年に『髪がかり』のタイトルで、河崎実氏監督、夏木マリさんの主演で映画化されています。
他にも映画ノベライズなどご活躍されています。

また、会社からリストラされた中高年の男性が大変に努力するお仕事小説の『ひなた弁当』(中央公論新社、2009年、のち中公文庫、2011年、のち小学館文庫、2017年)もおすすめです。

人と人とのつながりを大切にすることで、たとえどんなに些細なことでも問題解決につながっていく過程が実によく描かれています。
人が財産ですね。

「ひなたストア」はどんどん応援したくなる地域密着型スーパーですねえ。
コロナ禍で「ひなたストア」はどんな策略を練り、展開しているでしょうか。
是非とも続編が読みたくなる物語です。(^o^)

今夜も凛からあなたにおすすめの一冊でした。(^-^)

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(小学館文庫)文庫-2020/2/6山本甲士(著)
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2021年5月26日水曜日

人生で最上の一冊はどの本にいたしましょうか ~野村美月『三途の川のおらんだ書房 迷える亡者と極楽への本棚』(文春文庫、2020年)~

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださりましてありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

唐突ですが、あなたにとっての人生最後で最上の一冊はどの本になさいますか?
これが今回のテーマです。

凛は医療と生命の大切さに改めて気づかされているこの頃です。
今年の日本は梅雨入りも早く、自粛で、読書を楽しまれていらっしゃる方も多いでしょう。
いつまでも好きな本を読みふけっていたいところですねえ。

いつかは人生で最後の一冊の読書となる時が訪れるかもしれません。
凛は、今回のテーマについては普段はほとんど考えないというか、考えたくないというのが本音でしょうねえ。
なんとなく、或いは敢えて避けてしまいたいテーマに真正面から描いている小説をご紹介しましょう。

「人生最後の本だなんて嫌だな。怖いなあ」などというご心配はいりませんよ。
人は誰でもいつかは最期を迎えます。
一人一人のこれまでの生き方からヒントを得て、誰もが納得して極楽の読書ライフに導いてくれる書店があるとしたら、どれだけ幸福感に満たされることでしょう。
つまり、極楽で永遠に幸せな気持ちで過ごせるという、とっておきの一冊を提供してくれるありがた~い書店の物語なのです。
読後は爽やかで幸せな気分に浸れると思いますよ~ (^-^)

凛が今回ご紹介いたします本は、野村美月(のむら みづき)氏の連作短編小説『三途の川のおらんだ書房 迷える亡者と極楽への本棚』(文春文庫、2020年)です。
この作品は文春文庫への書き下ろしです。
文庫巻末の解説はありません。

まず、今回の本の入手経路ですが、凛とこの本との出合いは書店ではなく、ネット書店からです。
凛は読書の合間に、本の奥付の後に印刷されている他の本の宣伝や、本に挟んである「今月の新刊」などの出版社の宣伝の栞に目を通し、情報を得るのが好きです。
今回は本に挟んである栞から情報を得て、「この本、面白そうだなあ。讀みたいな」と思って、ネット書店から購入いたしました。

凛が購入した文庫本初版の帯の表表紙側には、「人生最後の、天にも昇る一冊をお選びしましょう」と書いてあります。
文庫本の裏表紙の説明文には、「本好きに贈るビブリオ・ファンタジー」と書いてあります。
本好きにはとてもそそられる感じですよ~

次に、表紙のイラストは、月岡月穂(つきおか つきほ)氏です。
おらんだ書房の店主である和柄の派手な着物をゆるやかにまとったイケメンの若い男性が妖しげな表情の横顔で描かれています。

日本にもあらゆる宗教がありますが、この作品は恐らく仏教に基づいた物語でしょう。
尚、ここでは物語に沿うことを主題としていますので、細かな宗教観などは省かせていただきますのでご了承くださいませ。

では、この作品の内容に入ります。
この物語では、死者は此岸から彼岸との境目を一定の期間を過ごし、三途の川を超えて彼岸へと旅立つ設定になっています。
死者たちは此岸と彼岸との境目で六文銭を好きな「もの」や「こと」に費やした後、木の舟で三途の川を渡ります。
一度、彼らは三途の川を渡ってしまうと二度と戻れず、たとえ此岸と彼岸との境目であっても死者たちとは永遠に会えなくなります。

この此岸と彼岸との境目に存在しているのが「おらんだ書房」です。
六文銭で購入する対象は各人の好みになりますので、「おらんだ書房」だけでなく、あらゆるお店が存在します。
書店の他にも衣料品店やレストラン、遊郭などもあります。
六文銭の使い方は強制ではなく、各人の自由意思となっています。
三途の川を渡ってしまえば二度と戻れない世界ですから、人生最後のとっておきの「もの」や「こと」、それに本を選択するのも良しでしょうね。
あなたは六文銭をどの店で費やしますか。

さて、「おらんだ書房」では、派手な和柄の着物を纏ったイケメンの店主が、関西弁で明るく喋ります。(*'▽')
三途の川のほとりで営む「おらんだ書房」は二階建ですが、小さな書店のようです。
バイトの少年の「いばら君」が店主の仕事を手伝っています。
この書店を訪れる「客人」は少なく、あまり流行っている様子ではないですねえ。
ところが、一度訪れた「客人」は店主やいばら君のアドバイスで選ばれた本を手にして、非常にすっきりとした面持ちで舟に乗ります。

一体、どんな「客人」たちが「おらんだ書房」を訪れるのでしょう。
この物語は以下の六つのお話で構成されています。(目次より)
尚、登場人物のルビは省略します。

第一話 「本が大好きな 三田村祐介様(享年三十四)の場合」
第二話 「でんぐり返る本を探してる 越野園絵様(享年八十六)の場合」
第三話 「空っぽのおなかをかかえた、空っぽな目の 初芝泪衣様(享年四)の場合」   
第四話 「呪いの本を求めてやってきた 尾崎純香様(享年三十五)の場合」
第五話 「描けない人気漫画家 司 七彦様(享年四十一)の場合」
第六話 「世界で一番退屈で、つまらなくて、どうでもいい本をご所望の 鈴木藍理様(享年八十六)の場合」

四歳から八十六歳まで、実に様々な死者たちが様々な本を求めてのご来店です。
生き様も、亡くなり方も、本を求める事情も各人各様です。
いずれも店主が各人の事情を鑑みて、解決に導きますし、バイトのいばら君も活躍します。

これらの登場人物の中で、凛が気になったのは、第一話の三田村祐介さんです。
三田村さんは子供の頃から本が好きでたまらないお方。
社会人になっても本好きは変わらず、自宅でも多くの本が積まれており、突然の地震で本の下敷きになって亡くなられました。
果たして三田村さんは「おらんだ書房」でどんな本を選んで舟に乗られたのでしょう。
それはあなたが読まれてからのお楽しみに。(^_-)-☆

作者の野村美月(のむら みづき)氏は、2001年、小説『赤城山卓球場に歌声は響く』(ファミ通文庫、2002年)で、第3回ファミ通エンタテインメント大賞小説部門で最優秀賞☆彡を受賞されました。
2006年、小説『"文学少女"と死にたがりの道化』(ファミ通文庫、2006年)で「"文学少女"」シリーズとして出版されています。
この「"文学少女"」シリーズは、アニメ化されており、2010年には『劇場版"文学少女"』(多田俊介監督)として映画化されています。
他にもたくさんの作品を執筆されていらっしゃいます。

この作中には多くの文学作品の名前が出てきます。
本好きにはたまらない作品ですね~

ところで、この作品には凛には謎があるように思えてなりません。
登場人物の中で「おらんだ書房」の店主だけが死者ではないようですが、「境目」での暮らし方といい、一体どういうことでしょう。
バイトのいばら君のおかれている事情もよくわかりません。
それに、「おらんだ書房」の店舗の建物自体も擬人化の様相で、凛には生きている感じがぬぐえません……。
もしかしたら今後に続編があるのかなあと、期待している凛です。

人生最後の極上の一冊。
あなたはどのような本を選びますか。
凛はどの本にするのかなあ。
まだ答えは出ませんねえ。(^o^)

今夜もあなたにおすすめの一冊でした。(^-^)

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(文春文庫)(日本語)文庫-2020/12/8野村美月(著)
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2021年5月13日木曜日

百年前と変わらないようですね ~菊池 寛『マスク スペイン風邪をめぐる小説集』(文春文庫、2020年)~

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

最近、また新型コロナウィルスの感染者が増加傾向にあり、緊急事態宣言下での生活を送られていらっしゃる方も多いですね。
あなたの暮らしに変化はありますか。

凛が居住している地域にも緊急事態宣言が発令されました。
凛の一日の生活はこれまでとさほど変わりはありません。
外出する機会も減りましたし、自粛する状況に慣れてしまったような昨今です。

凛はインドア派ですので、部屋に山のように積まれている本たちと触れる機会だなと思ってはいるのですが、凛の読書のスピードには変化はありませんねえ。
本たちも「凛さ~ん、出番を待っていますよ~、読んでくださいねえ」と呼び掛けているのがわかります。
「あなたたちの気持ちはよ~くわかっていますよ。でも、もう少しだけ待っていてくださいねえ」と申し訳ない気持ちで本たちに応えている次第です。
「もう少しだけって、一体いつまで待っていればいいの?」と反論されそうですが。(^-^;

いつも利用している近所の書店だけでなく、どこの書店の店頭でも一時期文庫本の新刊コーナーで目立っていた文庫本がありました。
その文庫本の赤い表紙には、大きな男性の顔のアップで、緑色の帯には白いマスクをつけています。
かなり大胆なデザインで、他の文庫本の中でもひときわ目立ちました。

凛が今回ご紹介いたします文庫本は、菊池 寛(きくち かん)氏の短編小説集『マスク スペイン風邪をめぐる小説集』(文春文庫、2020年)です。
この文庫本は繁華街の老舗の書店にて購入いたしました。

まずは、表紙のビジュアルな面から気になって文庫本を手にしました。
帯の表表紙側には、菊池寛氏とみられる丸い眼鏡をかけた中高年の男性が白いマスクをつけています。
そのマスクには、「私も、新型ウィルスが怖い。」と書いてあります。
そして、「マスク」「うがい」「外出せず」の三原則が書かれています。
現在の新型コロナウィルス対策で注意されていることと同じですよね。

文庫本の帯を外すと、男性はマスクをしていません。
マスクを外した菊池寛氏にそっくりな男性がこちらを見ています。
面白い仕掛けだなと思いますね。(^o^)

表紙のイラストは、茂狩 恵(もがり けい)氏です。
茂狩氏のイラストは、以前に凛がご紹介しております、堀川アサコ氏の小説『ある晴れた日に、墓じまい』(角川文庫、2020年)でおなじみですね~
表紙のデザインは、木村弥世(きむら みよ)氏です。

文庫本の表紙をめくると、菊池 寛氏の白黒写真が3枚掲載されています。
特に2枚目の写真には驚きました!
菊池氏が黒いと思われるマスクを着用しています。
昭和14年1月、新聞連載のため、中国を訪問している51歳頃の写真です。

このマスク姿の菊池氏ご本人を見て、凛は大変衝撃を受けました!
現在の凛たちとどこが違うのでしょう。
中国の大地に佇んでいる黒いマスク姿の男性。
凛が生まれるずっと前のことなのに、まるで今、凛の目の前に菊池氏が現れているような錯覚に陥りました。

内容は、9編の短編が収録されています。
「マスク」
「神の如く弱し」
「簡単な死去」
「船医の立場」
「身投げ救助業」
「島原心中」
「忠直卿行状記」
「仇討禁止令」
「私の日常道徳」

スペイン風邪は約百年前に世界中に猛威をふるった恐ろしいウィルスです。
そのスペイン風邪禍にあり、菊池寛氏の描く日本の状況と市井の人たちの姿が描かれています。

「マスク」
凛は、やはり第一篇目に収められている文庫本のタイトルにもなっている「マスク」が気になって読みました。
菊池寛氏の体格の良さそうなどっしりとした風貌ですが、実はとても神経が細やかな方のようで、日々の健康増進に事細かく気を遣っている様子が伝わりました。
医者との会話や、患者としての考えが読者には客観的に見られて、思わず「そうなんです。凛も同じです!」と共感したくなる箇所もあります。

手洗い、うがい、外出を避ける、マスクをする。
これらは現在の私たちをめぐる状況と全く変わりませんよね。(^-^)

後半に、黒いマスク姿の青年が登場します。
当初は菊池氏はこの青年を不快に思いましたが、その理由は是非読まれてみてください。
あなたも菊池氏の感情描写が実に繊細であることがおわかりになることでしょう。

昨年、マスクは一時期は品不足になりましたね。
しかし、今では様々なデザインのマスクが市場に出ており、洋服とコーディネートを楽しんでいる方たちもいますね。
「見なれる」とは不思議なもので、女性が黒いマスクを着用していても何も気にならずになり、むしろかっこいいなと思うこの頃。
これは、マスク姿が日常化している時代を私たちが生きている証拠でしょうね。
文庫本で9頁の作品ですが、コロナ禍の時代を生きている私たちの状況と変わらない描写に驚かれることでしょう。

「簡単な死去」
こちらの作品も秀逸です。
年の瀬の押し迫る或る新聞社で、社員の一人が亡くなったことを知った主人公や仲間たちの複雑な心理状態が見事に描かれています。
主人公は、やれやれと忙しかった一年を振り返りながら、残りの仕事の整理をしつつ、正月休みはどうしようかと、いわば一年の区切りを迎える安堵感ともいえる状況下で、突然仲間の訃報を知ります。
そこで持ち上がるのが、お通夜や葬儀の係をどうするかについての問題です。
生前はあまり好意的でなかった故人に対する複雑な思いがよぎったり、時間の経過とともに目の前の実務に対する胸中は、現在、組織の一員に所属している読者だけでなく、多くの読者にも、百年前とほとんど変わらぬ思いで共感を得られるのではありますまいか。

現在のコロナ禍で、人と人との関わり方に対して意識改革を求められているように思えてなりません。
ソーシャル・ディスタンスとは、どこまで距離感を保てばよいのか、なかなか難しい問題だと思います。
入院中や施設に入っているご家族への面会もままならない状況の方も多いです。
葬儀も家族葬だけでなく、直葬も増えているようですね。
故人を偲ぶとは……。
作品のタイトルにはとても考えさせられます。

「島原心中」
小説家として新聞小説を構想している主人公が、元検事を務めていた旧友を訪ねて、旧友の語る検事時代の体験談をじっくりと聞きます。
その体験談とは、旧友がまだ検事になってさほどない頃に、初めて島原を訪れて、或る楼閣で起きた遊女と若い男性との心中事件の調査に立ち合った時のことです。
悲惨な現場で見た光景に旧友は「名状しがたい浅ましさ」(文庫版、101頁)を感じます。
事情があって遊郭に身を置かなければならなかった一人の女性の生涯について、旧友は様々なことを感じます。

また、命が救われた男性のほうには、検事の腕の見せ所として、いろいろと考察しながら質問をしてゆきます。
そして、遊郭の「お主婦(かみ)」(文庫版、120頁)の言動や行動に表れた態度に対して、旧友は或る行動をするのです。
小説の材料として提供してくれた旧友の体験談は、法治国家としての期待を込められているような思いがいたします。

「私の日常道徳」
文庫本でわずか4頁の箇条書きです。
大正15年1月、菊池寛氏が39歳のときの作品。
「なるほど~」と納得できそうです。(^-^)

文庫本の解説は、作家の辻仁成(つじ ひとなり)氏で、解説「百年の黙示」が掲載されています。
辻氏は、1997年、小説『海峡の光』(新潮社、1997年、のち新潮文庫、2000年)で、第116回芥川賞を受賞☆彡☆彡されています。
フランス在住の辻氏ならではのコロナ禍における考えが示されています。

文豪、菊池寛氏については、ご存知の方が大半でしょうから、簡単なご紹介だけにさせていただきますね。
1919年(大正8年)に、雑誌『中央公論』に小説「恩讐の彼方に」を発表しました。
1923年(大正12年)1月、雑誌『文藝春秋』を創刊し、のち1926年(大正15年、昭和元年)に文藝春秋社として独立しました。
同年、日本文藝家協会を設立し、初代会長となりました。
1935年(昭和10年)には、芥川龍之介賞や直木三十五賞を創設するほか、1938年(昭和13年)には菊池寛賞の創設もしました。☆彡☆彡☆彡

以上のように、近代日本文学に多大な貢献を果たした菊池寛氏の小説を久々に読んでみますと、凛は背筋がピンと張り、文学に対してまっすぐな気持ちに向き合えるような気持ちになりました。
作品によっては一見難しそうな時代小説も含まれていますが、ルビがふってありますし、文章も心理描写が中心で、読みやすいと思います。
登場人物の一人一人に、作者の菊池寛氏による非常に細かい愛情が注がれていることが読者は読みとれるでしょう。

「マスク」というタイトルと、マスク姿の菊池寛氏であろう男性の顔のアップの斬新なデザインの表紙に導かれて読んだ小説から、凛は百年前のスペイン風邪の状況を知ることができました。
ウィルスと人間との共存について、対策の原点は例えどんなに時代が進んでも清潔にすることで同じではないかという点に辿り着くように思います。
コロナ禍を生きている私たちへの菊池寛氏からのメッセージとして対峙するのも新たな発見があるのではないでしょうか。

個々人としての基本的な対策は百年前と変わらないようです。(^o^)
もちろん医学や薬学の発達により、素晴らしい治療薬ができることに期待したいですね。

今夜も凛からお勧めの一冊でした。(^-^)

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2021年4月28日水曜日

元気印の迷老探偵コンビ ~中山七里『静おばあちゃんと要介護探偵』(文藝春秋、2018年、のち文春文庫、2021年)~

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださりましてありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

あなたの周辺に元気なご高齢者はいらっしゃいますか。

恐らく「はい!」が多いのでは。
この日本は少子高齢化社会の真っ只中を進んでいますからね。
元気溌剌なご高齢者は多いと思います。

凛の周囲にも「超」がつくほど元気な100歳を超えた方がいますよ~
凛の知人のベトナムから来ている留学生が「日本ノお年寄リハトッテモ元気デスネ!」と驚いていました。

凛が今回ご紹介いたします小説は、80歳の元判事の女性と、名古屋市在住の経済界の重鎮である70歳の男性の迷老探偵コンビが大活躍するミステリー小説です。
中山七里(なかやま しちり)氏の連作ミステリー短編集『静おばあちゃんと要介護探偵』(文藝春秋、2018年、のち文春文庫、2021年)で、全五話が収録されている連作短編集です。
まあ!兎に角全編にわたってこのお二人が大活躍されています。
事件の解決後は「お見事!天晴れ!」と称賛ものです。

凛が相変わらずいつも利用しています近所の書店の文庫本の新刊本コーナーでこの本をみつけました。
表紙は、柴田純与(しばた すみよ)氏のイラストで、野中深雪(のなか みゆき)氏のデザインです。

文庫本初版の帯の表表紙側には「80歳の元女性判事」と「70歳の経済界のドン」の「老老コンビ」と紹介されています。
凛は「老老コンビ」と呼ぶのは、主役のお二人に失礼ではないかと思うほど、お二人とも大変若々しいですよ。
特に、お二人とも気概が半端ありません!!(^○^)

主役の一人目は、80歳になる高遠寺静(こうえんじ しずか)さん。
元東京高裁の判事を退官して16年になります。
静さんは、日本で20番目の女性裁判官としてご活躍されたとのことです。
そして今回、名古屋市の名古屋法科大学の客員教授に就任するため、名古屋市の賃貸マンションに単身で住むことになりました。
ご主人は既に他界されています。

二人目は、70歳の香月玄太郎(こうづき げんたろう)さん。
不動産会社〈香月地所〉の代表取締役並びに商工会議所の会頭、町内会の会長ほかたくさんの肩書をお持ちの名古屋圏の経済界の重鎮で、所謂「地元の名士」なのです。
玄太郎さんは脳梗塞で倒れたため車椅子で、介護士の綴喜みち子(つづき みちこ)さんと共に行動することが多いです。

収録作品は、全五話です。
第一話 「二人で探偵を」
第二話 「鳩の中の猫」
第三話 「邪悪の家」
第四話 「菅田荘の怪事件」
第五話 「白昼の悪童」

ミステリー短編小説ということもあり、各篇お話の中身はあなたが読まれてからのお楽しみにとっておきましょう。
殺人、万引、親子の断絶、詐欺、老々介護、外国人就労、地元開発に伴う闇……
現代日本の諸問題が浮き彫りに描かれています。
合わせて、名古屋圏の経済、言葉や習慣、文化についても描かれています。

「ええーーっ!まさか!この人が犯人??」
「あらまあ、こんなトリックが!!」
と各篇で驚かされますよ~ (◎_◎;)

全編を通しての凛の印象は、登場人物の「静」と「動」の対照です。
「静」の静さんと「動」の玄太郎さんの微妙な関係が、行間から読みとれて面白いです。

名前でわかるように、静さんは普段は物静かですが、法曹界に在籍された方だからなのか、生来の性格なのか、とても思慮が深く、すぐには言葉には発しません。
ところが講演の壇上では、日本社会の問題をわかりやすく理路整然と説き、力説します。
凛は矍鑠とした静さんがとても素敵だなと思います。

対して、玄太郎さんは口が悪くて、がんがん怒鳴ります。
地元のドンということもあり、警察にも顔がきき、警察の上層部からまだ若い警察官まで呼び捨てで階級による差別をいたしません。
つまり、誰に対しても言いたいことを言い、真剣に怒り、どなる人です。
読者は彼の言質になるほどと唸ります。

玄太郎さんはストレートに発しますので一見口が悪い人に見えますが、彼独特の愛情が込められていることが読者には伝わります。
行動力もあり、素早く、まさに「動」の玄太郎さんです。
彼は介護士のみち子さんや神楽坂美代(かぐらざか みよ)さんにはとても優しく接するところから、男心の切なさが見られます。

静さんは玄太郎さんの性格や言動をよく理解しているように凛は思います。
彼女は玄太郎さんをうまく前面に出して、決して自分が目立たないようにしながら、二人で事件を解決に導きます。

この作品が文藝春秋から単行本が発刊されたのが、2018年11月ですから、執筆はそれ以前になります。
初出は、小説誌『オール讀物』2017年2月号、5月号、6月号、8月号、9月号、12月号、2018年3月号、4月号です。
文庫本として今年の2月に刊行されたので、静さんと玄太郎さんはもう少し加齢されていらっしゃるでしょうか。
いいえ、お二人はとても若々しいので、実年齢などは気にせずに、読者も接しましょう。

文庫本の解説は、瀧井朝世(たきい あさよ)氏です。
解説でわかることは、このお二人は既に刊行された作品で登場していることです。
二人の過去がわかり、読書の幅が広がりますよね~

高円寺静さんは、連作短編集『静おばあちゃんにおまかせ』(文藝春秋、2012年、のち文春文庫、2014年)で登場済みです。

香月玄太郎さんは、『さよならドビュッシー前奏曲(プレリュード) 要介護探偵の事件簿』(宝島社文庫、2012年)で登場済みです。
この作品は、『要介護探偵の事件簿』として、2011年、宝島社から単行本で刊行後、改題・加筆修正して文庫化されています。

さらに二人には続編があり、2020年、文藝春秋から『銀嶺探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』が単行本で刊行されています。
二人の周辺にはどれだけの事件が発生するのかわかりませんが、お二人のご活躍が続いていますね。

作者の中山七里氏は、2009年、小説『さよならドビュッシー』(宝島社、2010年、のち宝島社文庫、2011年)で第8回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞☆彡されています。
2013年には、利重剛氏監督、橋本愛さんの主演で同名で映画化されましたので、ファンも多いでしょう。
他に多数のミステリー作品をご執筆、複数の作品が映画化やテレビドラマ化されています。

主役のお二人にはいつまでもこのまま元気でいて欲しい。
若者たちから老害と呼ばれないためにも、元気印の迷老探偵を続けて欲しいと願う凛です。
二人の過去とその後も読めるなんて、作品展開が楽しめますね。(^○^)

ズバズバ容赦なく言葉に出す玄太郎さんと、思慮深く判断力を発揮する静さん。
二人のキャラクターがますますパワーアップされますように。

今夜も凛からのおすすめの一冊でした。(^-^)

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(文春文庫な71-4)(日本語)文庫-2021/2/9中山七里(著)
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2021年4月11日日曜日

隠れ家夜食カフェに行きたい!(その2) ~古内一絵『女王さまの夜食カフェ ─マカン・マラン ふたたび』(中央公論新社、2016年)~

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
とともにどうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

春ですね~
あなたはいかがお過ごしでしょうか。
そろそろ気分も変えていきたいところですね。
ウィルスから狙われませんように、免疫力を高めていきましょう。

おかげさまでこの4月で凛のりんりんらいぶらり~は2年目に入りました。
凛は昨年の4月にこのブログを立ち上げました。
訪れてくださった皆様には大変感謝いたしております。
ご閲覧ありがとうございます!
あっという間の1年間でした!
本当に月日の経つのは早いものですね。

この1年間に凛のブログでご紹介いたしました本は30作品になります。
いろいろなジャンルの本もご紹介したいですね。
これからも凛のりんりんらいぶらり~を何卒よろしくお願いいたします!m(_ _)m

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

あなたには大切にしたい本がありますか。

昨年2020年の8月14日配信の「隠れ家夜食カフェに行きたい!(その1)」で、凛からあなたにこの質問をいたしました。
あなたは覚えていらっしゃいますでしょうか。

今回、初めて凛のブログを訪れていただいた方は、「隠れ家夜食カフェに行きたい!(その1)をご覧になられていただけると幸いです。
凛が大切にしている本について書いています。
その本は、古内一絵氏の小説『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』(中央公論新社、2015年)でした。
単行本で4巻シリーズとなっているうちの第1巻で、今でも4巻とも文庫化されていません。
多くのファンから長く愛されている本ですね~ (^-^)

書店に足を運び、日本の小説の単行本の棚の前に立ちますと、あらあら不思議!
古内一絵氏の小説『マカン・マラン』シリーズ第1巻~第4巻までの4冊から、ほんわかとした光が放たれているのがわかりますよ~ (^o^)
多くの書店の棚には4巻がきちんと揃って並んでいます。
4巻たちは、あなたから手にとっていただくのを待っているかのように。

元エリートサラリーマンで、今はドラァグクイーンのシャールさんが営んでいる「マカン・マラン」という夜食カフェ。
スタッフのダジャさんやお客さまたちとの温もりのある会話に、いつしかお客さまは個々の悩みを吐露し、シャールさんの心のこもった手作りの料理の数々に、すっかりこのカフェの虜となってゆきます。
ここでは昼間はダンスのドレスの受注と販売をしています。
スタッフのダジャさんは頼もしい役割を担っています。

今回凛がご紹介いたします本は、続く第2巻で、古内一絵氏の小説『女王様の夜食カフェ ─マカン・マラン ふたたび』(中央公論新社、2016年)です。

シャールさんのカフェ「マカン・マラン」の不定期な開店と同様、凛からもこの本のシリーズは不定期な間隔にての配信としています。
凛は決して忘れていたわけではありませんので、ご了承くださいませ。
面白くて既に全巻読んでしまわれた方もいらっしゃるかもしれませんね。

凛が持っている第2巻は2020年6月の第9刷です。
こちらの本はデパート内にあった書店で購入しました。

表紙は、イラストレーターの西淑氏の絵です。
美味しそうなトルコライス!
凛の胃袋にスイッチが入りそうです。(^○^)

帯は赤い色で、表表紙側には、「自分のことを"つまらない"とか言っちゃ駄目。」と書いてあります。
今回も悩みを抱えたお客さまたちのご登場のようです。
帯の裏表紙側には、4種類のメニューが紹介されています。

第2巻も、4話の構成で、4人の悩める人たちが登場します。
第1巻でシャールさんは病気になりますが、第2巻では元気になって戻ってきます!
よかった!!
読み進んでいくうちに、シャールさんの過去や現在が少しずつわかってきます。

第一話 「蒸しケーキのトライフル」
派遣社員として働いている女性が、職場での曖昧な立場に自信を失くしています。
彼女は憂鬱な社内ランチをどのようにして乗り越えていくのでしょうか。

第二話 「梅雨の晴れ間の竜田揚げ」
東京で漫画家になる夢に向かって、漫画家アシスタントとして働いている男性がいます。
ある日突然、地方で旅館業を営んでいる実家の兄が亡くなったという知らせがありました。
夢と現実との間で、彼がとった行動は……。

第三話 「秋の夜長のトルコライス」
タワーマンションに居住し、一人息子の子育てに悩む専業主婦にはあらゆるしがらみがありました。
一時はシャールさんの店「マカン・マラン」の敵側となってシャールさんたちを糾弾します。
彼女はどのようにしてしがらみからの呪縛を解いていくのでしょう。

第四話 「冬至の七種うどん」
シャールさんの旧友である柳田先生は、高校生の娘さんの大学進学について悩みます。
彼はシャールさんから「冬至の七種(ななくさ)」(262頁)についての意味を教えられます。

第二話から第四話まで、「親子のありかたについて」が隠れたテーマであると凛は考えました。
作者から「あなたならどうしますか?」と読者に問いかけていくのが伝わります。

悩める四人の登場人物だけでなく、シャールさんにも自身の病気やご家族との軋轢など深刻な悩みがあります。
彼らの悩める姿勢が等身大のように読者の心の鏡に映し出されて、「うん、ある、ある!わかる!」と共感できる方も多いのではないでしょうか。
だからこそ多くのファンから支持されているのでしょう。

タイトルに「ふたたび」とついているのが納得できます。
「つまらない」なんて言わずに、自信をもって生きていこう!

それにしても、今回の第2巻全編に登場する「マカン・マラン」の様々なメニューも、どれも美味しそうですよ~!!(^o^)
上記の四つのメニュー以外にもいただきたいメニューばかりです。

シャールさんは言います。
「私の賄いは一応、マクロビオティックを基本にしてるけど、それだっていい加減なものなのよ。」(209頁)
彼の料理に対するスタンスから美味しさと心地よさが上手く調和されて、程よい味わいを作り出しているのでしょう。
隠れ家夜食カフェの「マカン・マラン」のファンが増えるはずですね!

以上、第2巻のご紹介でした。
次回の第3巻もお楽しみに~(不定期ですが……。)(^-^;

今夜も凛からのおすすめの一冊でした。(^-^)

「マカン・マラン」の特設ページは、こちらです。

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中央公論新社(日本語)単行本-2016/11/16古内一絵(著)
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