2021年1月18日月曜日

誰しも歴史の重みを刻んでいます ~柴崎友香『千の扉』(中央公論新社、2017年、のち中公文庫、2020年)~

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

2021年になりました。
令和3年、丑年。
今年もよい年でありますように!
今年も凛を何卒よろしくお願いいたします。m(_ _)m

あっという間に今年も1月の後半となりました。
時が経つのは本当に早いものですね。

今年も新型コロナウィルス感染増加により、都市部では緊急事態宣言が発令されました。
自粛生活にも慣れてきた方も多いのではありませんか。
降雪で寒さもあり、外出にも制限がある地域の方もいらっしゃるでしょう。
あなたのお住まいの周辺はいかがでしょうか。
免疫力を高めていきましょう!

社会の変化とともに暮らし方も変わりそうな2021年。
そのような社会情勢の中において、本と向き合える時間はとても幸せだと思います。
活字を追い、読書ができる、とても幸せな時間。
今年も本とともに有意義な時間をもちたいと願う凛です!(^o^)

ここでちょっとブレイクタイム、嬉しいお知らせで~す!
この度、アフィリエイト掲載を始めました!\(^o^)/

これまで公開しております全ての投稿欄の最後に、本の画像と全国大手ネット書店のサイトを掲載しています。
昨年までは文章ばかりでしたので、ちょっと地味だったかも…(-_-;)

本の表紙の画像が入りますと、パッと画面が明るくなったような気がしている凛で~す。
表紙の説明もより具体的にわかりやすくなるかと思います。

りんりんらいぶらり~はスマホなどのモバイルバージョンとPC画面のウェブバージョンと二つあります。
二つのアフィリエイトの画面が若干異なりますが、どちらもクリックされますと同じサイトに繋がりますので、ご興味のある方はどうぞよろしくお願いいたします!m(_ _)m
これからもりんりらいぶらり~を何卒よろしくお願いいたしますね。(^_^)v

前置きが長くなってしまいました。(^-^;
本題に入りましょう。

凛が今回ご紹介いたします本は、柴崎友香(しばさき ともか)氏の小説『千の扉』(中央公論新社、2017年、のち中公文庫、2020年)です。

凛はいつもの近くの書店の文庫本の新刊本コーナーで見つけました。
そのときは一度手にしてみたのですが、他の本を購入してしまい、後からこの本のことがとても気になってしまって……(-_-;)

本の帯は大事ですね!
文庫本初版本の帯の表紙側に紹介されている「戦後70年の時間を旅する」という言葉が記憶されていて、後から「読みたい!」という欲求がわきあがってきたのです。

あなたには凛と同じ体験はありませんか。
探しているものが気になって仕方ないときがありませんか。

いつもの書店では既に売り切れており、他の書店で探してもそういうときに限ってなかったりするものなのですよねえ。
ああ、しまった~!あのときに買っておけばよかった~と思い、今回はネット書店で購入いたしました。(^^♪
いつもの書店に依頼するのもよかったのですが、、
ネット書店も便利ですよね。

物語は東京都の副都心、新宿区の築40年になる都営住宅でのお話です。
大阪出身の主人公である千歳(ちとせ)が、団地内で暮らしてきた夫の祖父から、かつて団地内で関わったことがある男性を探して欲しいという「人探し」を依頼されるお話です。

団地には低層階や高層階などいくつもの棟があります。
同じ規格、同じ間取りで暮らしている住民たちの中で、特定の人物を探すことは相当困難なことでしょう。
また、個人情報の面だけでなく、防犯上からも「人探し」には相当な覚悟が必要かと思われます。

主人公の千歳も大阪の団地で育ちました。
場所は違えども同じ様な間取りの団地で、彼女が育ってきた環境と似ていて、記憶が混合するような不思議な感覚の中で夫との暮らしを始めました。
千歳の夫もこの団地で育ちました
つまり、夫の生育した環境がそのまま継続となっており、二人とも似た環境で現在進行形で暮らしているという形になっています。

小説には多くの登場人物が出てきます。
夫の友人たち、ご近所の人、団地内の飲食店、団地内に居住する中学生や高齢者、千歳の職場の人たちなどとの様々な交流の場面があります。
彼らには思い思いの暮らし方があり、それぞれに悩みも抱えています。
金属製の扉の向こう側にはどんな人たちがどんな思いで暮らしているのでしょうか。

築40年の団地には歴史が刻まれています。
夫の祖父の青年期は戦後の昭和の時代を駆け抜けています。
物語は、時系列で進んではいませんので、整理しながら読み進む技術が求められます。

また、団地にまつわる都市伝説のような不思議なお話も出てきます。
ミステリアスな要素もあり、楽しめますよ~

全編にわたって、千歳の大阪弁が読者をとても柔和にしてくれます。
果たして夫の祖父から依頼された千歳の「人探し」は成功するでしょうか。

文庫版の解説は、社会学者で、立命館大学大学院先端総合学術研究科教授の岸政彦氏です。
日常の見過ごしがちな細かい視点に着目されています。

作者の柴崎友香氏は大阪府のご出身です。
小説『その街の今は』(新潮社、2006年、のち新潮文庫、2009年)で、2006年、第24回咲くやこの花賞(文芸その他部門)を受賞☆彡、同年、第23回織田作之助賞大賞を受賞☆彡、翌2007年、第57回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞☆彡されました。

また、小説『寝ても覚めても』(河出書房新社、2010年、のち河出文庫、2014年、のち増補新版として同文庫、2018年)では、2010年、第32回野間文芸新人賞を受賞☆彡されています。
この作品は、2018年、濱口竜介監督で映画化されています。

そして、2014年、小説『春の庭』(文藝春秋、2014年、のち文春文庫、2017年)で、第151回芥川龍之介賞を受賞☆彡☆彡されています。

小説『きょうのできごと』(河出書房新社、2000年、のち河出文庫、2004年)は、2004年に行定勲監督で映画化されています。
他にも多数の作品が刊行されており、大変ご活躍されていらっしゃいます。

あなたはどのような住宅にお住まいですか。
戸建て、マンション、団地、アパートなど、分譲、賃貸問わず、日本には様々な住宅があります。

凛はいつも利用する駅でよく思うことがあります。
多くの方が乗降している光景を目にして、皆さんお一人お一人どこから来られて、どこに帰宅されるのかしらと。

それぞれのご自宅でそれぞれの暮らし方がありますよね。
それぞれのご家族・兄弟・姉妹・両親・祖父母……。
ご親族の生きられた歴史があり、その歴史の上に幾重も折り重なって、今の人生があるのだと凛は思います。

そして、今を生きている人たちの人生が歴史となって、未来へと継続されていくのですね。
日常の中で、滔々と流れる歴史が刻まれてゆくという思いに気づかされます。
当たり前のことなのですが、人はこの世にある日一人で突然存在したのではありませんよね。
この当たり前ということが、案外普段は忘れがちなのではないでしょうか。

柴崎友香氏のオフィシャルサイトはこちらです!
ご興味のある方はどうぞ。

今夜も凛からおすすめの一冊でした。(^-^)

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(日本語)文庫-2020/10/12柴崎友香(著)
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