2021年9月7日火曜日

好きなものの羅列で読書好きにはたまりません! ~柳瀬みちる『神保町・喫茶ソウセキ 文豪カレーの謎解きレシピ』(宝島社文庫、2021年)~

こんばんは。南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

秋になりましたね~
これから毎日秋が深まってゆきます。
あなたはどのような秋をお過ごしされますか。
夏の疲れが出やすい時期ですね。
凛は読書の秋はもちろんのこと、食事や運動に気をつけて、さらに免疫力をつけたいところです。

凛は書店巡りが好きで、書店にいるとつい時間が経つのを忘れてしまいがちです。
毎日たくさんの新刊本が出ている中、書店員さんのお仕事は大変なんだろうなあと思いながら、店頭に並べられている本の乱れをそっと直してほんの少しだけお手伝いした気分でいます。

書店の街といえば、東京の神田神保町ですよね。
地方在住の凛は東京に出向いたときは必ず神保町を訪れます。
どうしてこんなに書店が必要なのかしらと思うくらいに様々な書店がありますよね。

神保町で可能な限り時間をかけて書店を見て廻り、お気に入りの本を購入した後は、喫茶店でブレイクタイム。
購入した本を開いて、カレーやパスタ、食後のコーヒーとデザートをいただく至福のひとときは最高です!\(^o^)/

今はコロナ禍でもあるため、凛は行けてません……。
また訪れたいな~といつも思っています。

そんな中、先日、三省堂書店が神田神保町にある本社ビルの建て替えのため、来年の3月で現在の営業を終了するというニュースが流れました。
(三省堂書店のHPより)

ひゃあ、これは大変だあ! ((+_+))
しばらくの期間、失われてゆく寂しさと新しいビルへの期待感とが交錯しそうですね。
三省堂書店の本社の神田神保町一丁目1番という住所には重みを感じます。

今回の本は、柳瀬みちる氏の小説『神保町・喫茶ソウセキ 文豪カレーの謎解きレシピ』(宝島社文庫、2021年)です。
タイトルでズバリわかると思いますが、本好きとカレー好きにはたまらない世界で、さらにミステリーのエッセンスが込められています。
この作品は書き下ろしですので、単行本はありません。

本好きが集まる神田神保町にて、喫茶店を営業し、文豪の名前をつけたカレーをお客様に提供している女性が奮闘する小説です。
カレーが大好きな作家が登場し、彼女と共に文豪の古書をめぐり謎解きを始めることになります。
さらに、二人の謎解きは彼女の出自にまつわるところまで発展します。

まずは、本の入手についてです。
今回は全国大手新聞の広告から偶然にこの本を知りました。
新聞の片隅に載っている小さな広告でしたが、偶然凛の目に留まり、「わあ!面白そう!すぐに読みた~い!」と凛のアンテナがピピピと反応しました。
本当に偶然としか言いようがなく、これもひとつのご縁といえましょう。
凛は新聞広告の切り抜きを持って街の書店に出向き、この文庫本を購入しました。

次に、本の装丁についてです。
凛が持っている文庫本初版の帯の表表紙側には、印度カリー子(いんど かりーこ)さんの笑顔の画像と「新感覚!カレー×ミステリーの共鳴」というメッセージが掲載されています。

帯の裏表紙側には、「喫茶ソウセキのカレーメニュー」として、「漱石カレー」「百閒カレー」「思ひ出カレー」の説明されています。
時代がかっているカレーが美味しそう!
「文豪カレー」にワクワクしてきますね~ (^○^)

表紙には、喫茶ソウセキの店主こと緒川千晴(おがわ ちはる)がカウンターの向こうでカレーを温めている様子と、イケメン作家の葉山トモキ(はやま ともき)がテーブル席で古書らしき本を読んでいる姿が描かれています。
もちろん彼が座っているテーブルには美味しそうなカレーが置かれています。
千晴は、真剣に本を読んでいる葉山を優しそうなまなざしで見つめています。
この二人の距離感がいいですね~

表紙のカバーイラストは、前田ミック(まえだ みっく)氏です。
カバー・本文デザインは、菊池 祐(きくち ゆう?)氏です。

では、内容に入ります。
目次を見ますと、四つの話とエピローグがあります。(以下、文庫本初版3頁)
第1話は、「三四郎はライスカレーの夢を見る」
第2話は、「冥途に咲くや、鬱金の花」
第3話は、「銀の皿に仰臥漫録」
第4話は、「神の灯が照らす石油カレー」
最後に、「エピローグ」となっています。

目次を見るだけで、カレーと文豪がつながっている感じがしますね。
はて、「石油カレー」とはどんなカレーなのでしょう?
まさか石油を食べるのではないでしょうね?

イラストを見る限り、緒川千晴が経営する喫茶ソウセキは、カレーなどをいただきながら読書ができるくつろぎのある印象がします。
しかし、千晴が出店した店は閑古鳥が鳴く有り様で、現実は厳しいところから物語は始まります。
確かに神田神保町は書店だけでなく、カフェや食事のお店の競争が激しい街だと考えられるので、27歳で出店した千晴は相当な努力家であることが想定できます。

読者は、千晴の成長とともに、古書や文豪、カレーの知識を得ることができます。
つまり、千晴の成長物語に読者は寄り添って読み進むことができるのです。

喫茶ソウセキには毎日カレーをいただきに訪れる男性、小説家の葉山トモキの存在が大きいです。
彼が店の看板メニューの「漱石カレー」を酷評したことから、千晴の文豪の旅が始まります。

作品には、夏目漱石だけでなく、内田百閒などの文豪の作品が多く出てきます。
千晴は葉山トモキの自宅を訪問して、彼の夥しい蔵書や無類の本の知識に驚きます。
読者は文豪の作品を再読したくなります。

さらに或る女性が千晴の店に置き忘れた古書を紐解く楽しみが芽生えます。
この古書は作品の重要なアイテムになりますが、あなたが読まれてからのお楽しみに。

また、千晴のカレーの新作メニュー開発に基づき、スパイスなどの知識も読者は知ることができます。
読みながら、スパイスの香りがし、カレーが無性に食べたくなります!!
凛の頭の中は、「ああ、カレーが食べたい!!」でいっぱいになりました!!(^○^)」を発見できるかどうかは、あなたが読まれてからのお楽しみに!

作者の柳瀬みちる氏は、2015年、小説「美大探偵(仮)─《カジヤ部》部長の小推理─」第1回角川文庫キャラクター小説大賞を受賞☆彡されました。
この作品は、改題して『樫乃木美大の奇妙な住人 長原あざみ、最初の事件』(角川文庫、2016年)で刊行され、作家デビューされました。

シリーズ化されて、小説『樫乃木美大の奇妙な住人 白の名画は家出する』(角川文庫、2017年)があります。

他には小説『横浜元町 コレクターズ・カフェ』(角川文庫、2017年)など活躍されています。

最後に、この小説は、文豪とカレー、古書、神田神保町、小説家の五点セットで読者を大いに楽しませてくれる作品です。
読書好きにはたまらない作品です!! \(^o^)/

文学好きなあなた、文豪の作品がたくさん出てきますよ~
また、カレー好きなあなた、スパイスの勉強ができますよ~
古書がお好きなあなた、東京都千代田区の神田神保町という日本最大の書店の街で繰り広げられる謎解きを大いに楽しみましょう!
小説家に興味があるあなた、作家である葉山の暮らしぶりを覗いてどのように感じるでしょうか。

戦争の時代を生きた祖父母からの繋がり、千晴を育てた両親の時代、そして現代を生きる千晴の世界を応援したくなる作品です。
小説家の葉山との関係や、千晴の喫茶ソウセキの今後がとても気になり、続編を期待したいです。
喫茶ソウセキはカレーの専門店ではないらしいので、他のメニューも紹介していただきたいですね。 (^o^)

今夜も凛からあなたにおすすめの一冊でした。(^-^)

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