2025年3月30日日曜日

若者が堕ちてゆく、その先にあるものは…… ~桐野夏生『インドラネット』(角川文庫、2024年)~

こんばんは。南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
お休み前のひとときに、本の話題でごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

春がきました!
桜前線も北上中です。
あなたは桜のお花見にお出かけされましたか。
暖かくなったとはいえ、夜には花冷えもありますが、やはりこの時期にしか見られない桜の花を愛でたいものですね~ (^O^)

日本では4月から新学期と新年度が始まります。
多くの若者たちにとっては人生の節目となる季節でもあります。
新生活に胸を躍らせる若者たち。
新卒の新社会人にとっては初任給が恵まれているとのこと。

彼らを前にして、日本では人手不足、少子高齢化、物価上昇、人・賃金・地域間の格差などの社会問題が既に厳しい局面と対峙しなければいけません。
闇バイトなど国内の犯罪だけでなく、東南アジアなどで犯罪組織に入ってしまった若者たちの報道が増えています。

若者たちは将来に対する夢や希望など消え失せてしまったのでしょうか。
それとも最初からそのようなものは抱いていなかったのでしょうか。

夢、希望、友情、労働、対価、孤独、逃避、焦り、不信、恐れ、反省、諦め、転換、目的……。
初めはほんのちょっとした軽い考えから、本人の気づかない間に深い沼にはまり込んでしままったのかもしれません。
脱出できるチャンスがあるかと思わせておき、油断をしていたら、そこには偽りの世界を突き付けられるという現実が襲ってきます。
実は最初から入念に仕組まれた罠であったとしたら……。(*_*;

今回ご紹介いたします本は、契約社員として暮らしているどこにでもいそうな日本の青年が、突然に失踪したかつて親しかった友人とその友人の姉妹を捜して欲しいと、ある人たちから依頼されて、初めて訪れた東南アジアの国に向かった先で彷徨い傷つきながら外見も内面も変貌してゆく物語です。

桐野夏生(きりの なつお)氏の長編小説『インドラネット』(角川文庫、2024年)です。

読者は、謎めいた多くの登場人物たちと主人公の青年との危険な関係にはらはらどきどきしながら、「いや、そこは止めたほうがいい」「そっちの方向に行ってはダメだ」「急いで戻って!」「ファイトを出して!」などなど青年に声援を送りますが、物語はどんどんあらぬ方向へと進んでいきます。

それから、東南アジアの国々の旅ガイドの楽しみも味わえます。
さらに、青年の変貌していく過程にも驚かされるのです。

はじめに、この文庫本の入手についてです。
凛は近所の書店の新刊コーナーで出合いました。
凛が持っている文庫本は、2024年7月25日付の初版本です。
単行本は2021年5月にKADOKAWAから出版されています。

次に、帯や表紙についてです。
一番目は、帯について。
凛が持っている文庫本の初版の帯の表表紙側には、「あいつは死んだのか。それとも俺から逃げているのか。」「見るもの、聞くこと、すべて信頼できない『人捜し』」と。
何よりも「桐野文学の到達点!」と帯に紹介されているからには、これは読まなければ!と凛は即座に思ったのでした。(^O^)

余談ですが、この帯にはちょうど角川文庫75周年で「カドイカさん」が「夏休みフェア2024プレゼントキャンペーン」が掲載されています。
「カドイカさん」のコアなファンの中には応募された方もいらっしゃるかも。(^-^)

二番目は、裏表紙の説明文について。
主人公の青年、八目晃(やつめ あきら)の紹介が「平凡な顔、運動神経は鈍く、勉強も得意ではない」から始まり、「何の取り柄もない」「非正規雇用でゲームしか夢中になれない無為な生活を送っていた」。(同書)
要するに、晃はヒーローではない、どこにでもいそうな青年、等身大のような身近な存在の主人公です。

彼にとって「唯一の誇り」があります。
「高校時代のカリスマ、「野々宮空知(ののみや そらち)とその美貌の姉妹と家族ぐるみで親しくしたこと。」

裏表紙の説明文には、気になるキーワードがいくつか出ています。
「野々宮家の父親の葬儀」
「空知はカンボジアで消息を絶った」
「空知を捜しに」
「東南アジアの混沌の中に飛び込む」
「彼らの壮絶な過去だった……。」などなど。(文庫本初版)

出版社の戦略に見事にはまっても構いません。
時間を忘れるほどに夢中になる作品が読みたいあなた、物語の先が気になります。
本作品を全部読了したくなりますよね~ (^-^)

三番目は、表紙について。
文庫本の表紙は、アジア系と思われる女性が顔は横向きで、裸体の背中を読者側に向けています。
女性は長くて緑色が混じった黒っぽい髪を結っており、赤い宝石が埋め込まれた髪飾りが印象的です。
うなじから背中、肩へと長い後ろ髪を垂らして、うなじ側を右手で押さえています。

彼女の長めに伸ばした爪が綺麗です。
薄い絹織物か、レースのような透明の生地を背中に充てています。
彼女の仕草は無造作のようですが、巧に計算されているようにも見えて、こちら側を意識しているのがわかります。
全体に気品があり、気高く、そして妖艶な様相です。

カバーイラストは、日本画家の木村 了子(きむら りょうこ)氏です。
カバーデザインは、鈴木 久美(すずき くみ)氏です。

尚、単行本の表紙は文庫本と違った作品となっています。

それでは、内容に入ります。
物語は、第六章で構成されています。
「第一章 野々宮父の死」(文庫本、5頁)は、主人公のルーティン化していた日常に、ある日突然に非日常な出来事が侵入していく重要な導入部分です。

発端は、契約社員で社会生活の一員として日々を送っている八目晃の元に、彼の実家の母親から、野々宮空知の父親の俊一(しゅんいち)の訃報を知らせるLINEがきたことによります。
晃と空知とは都立高校の同級生で、空知の実家に入り浸るほど親しくしていたこともあり、空知の父親の死は晃にとってショッキングな出来事でした。

成績抜群で美貌に恵まれた空知の存在は、晃にとって「心酔」(文庫本、6頁)するほど神々しい光でありました。
また、空知には「野々宮の美人姉妹」(同書、7頁)と誰もが認める姉の橙子(とうこ)と妹の藍(あい)がいました。
晃には空知と姉妹の三人との接点を持った青春時代が最も輝かしい過去でした。

空知の父親の通夜では、空知の母親の雅恵(まさえ)が喪主を務めており、晃と久しぶりの再会となりました。
母親の話では、空知とはホーチミンからが最後の連絡で、その後にカンボジアに行ったということを晃は知ります。
彼女の口からは「うちの子供たちの誰一人とも連絡がとれないのよ」(同書、16頁)と衝撃的な発言が。
「空知は『俺、オフクロ、苦手なんだよ』とよく言っていた」(同書、23頁)ことを晃は思い出し、空知が大好きだった父親の死を目にして、晃は過去の記憶を辿ります。

通夜の帰りに、安井(やすい)と名乗る男性が、空知がカンボジアにいたらしいという情報をもたらして、晃が空知たちを現地で捜すことを提案します。
安井のこれまでの動向がどこまで真実か否か、怪しさ満点でもあります。

さらには三輪(みわ)という男性も現れ、捜索の資金援助を晃に申し出ます。
晃は安井と三輪の言動に怪しみ、驚きながらも、もう行くしかないと諦め半分の境地に至ります。
晃は職場で置かれている自身の現状が悪化していることから、既に現実からの逃避、一時的でもよいので日本を脱出したい、とりあえず行けば何とかなるだろう、と緩い思考回路が働きます。

このように最初はホンのちょっとした現実逃避、それによって友人の居場所が見つけられたら最高。
一時的なのだから、また日本に戻ってやり直せばよい、という安直な発想から彼の物語は始まります。

読者は既に甘い考えの晃の行動に呆れながらも、彼の後を追いかけることになります。
空知と姉の燈子、妹の藍の三人の行方は果たして如何に……。

第一章には非常に大事なキーワードが散りばめられています。
凛は第二章以降に入っても、この第一章を何度も読み返しました。
読了した後、もう一度おさらいのように読み返してみると、なるほどね~と桐野ワールドに感心、納得しました。\(^o^)/

あなたにも是非この物語のスリルとサスペンスを楽しんでいただきたいですね。
後はあなたが読まれてからのお楽しみに! (^O^)/

桐野夏生氏については、2021年3月5日付の第28弾、「奪われてしまうことの大きさに気づくか」(ココ)の項で既にご紹介しています。

最後に。
置かれた現状に不満をもつ青年の八目晃が、慌てて日本を飛び出し、かつて親友だった野々宮空知と彼の姉妹を捜す東南アジアの旅の道連れに読者のあなたを誘います。
それは一時的な現実逃避のつもりでもありましたが、行く先々であらゆる危険な状況に遭い、さらなる前進となってゆきます。

真実と偽りとの境目が曖昧な境界線を行きつ戻りつしながら生き抜くにはどうしたらよいでしょうか。
いつの間にか青年自身が価値観の転換を図ることになりますが、彼は自身の内面の変化に気づいたでしょうか。
彼の生きる世界はさらなる泥沼へと化してゆくのです。
日本の若者がはるかに遠い所へと行き着いた先は……。

これは一体何の旅なのでしょうか。
果たして晃は友人と姉妹に再会できたのでしょうか。
そして、彼は無事に日本へ戻ることができるのでしょうか。
読者の中には、晃に課された旅の謎にハッと気づく方もいらっしゃることでしょう。

文庫本の最後に収められている「解説」は、ノンフィクション作家の高野秀行(たかの ひでゆき)氏です。
凛からのお願いですが、高野氏の「解説」は本作品を読了後に読んでいただきたいです!
高野氏からも指摘されていますが、ネタバレが入っていますので、ご注意お願いいたしますね。( ;∀;)

勿論、読み方は個人の自由ですので、読者のあなたに委ねます。
そう言われると「解説」を先に読みたくなるかもしれないですけれども。(^^;

桐野ワールドを堪能したいあなた、ジェットコースターのごとく上り下りに恐れながらもハラハラドキドキしたい読者におススメです。(@_@)
一気読み間違いありませんよ! 
桐野氏の作品は読者の予想に反する結末が多く、その楽しみもありますね。(^^)v

今夜もあなたにおすすめの一冊でした。(^O^)/

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桐野夏生(著)KADOKAWA(2024/07発売)
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2025年1月31日金曜日

きらびやかな装いの影で ~黒木 亮『アパレル興亡〈上・下〉』(集英社文庫、2024年)~

こんばんは。南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
お休み前のひとときに、本の話題でごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

2025年も早くも一か月が過ぎます。
あっという間の12分の1ヵ月……まさしく光陰矢の如しですね。
あなたはいかがお過ごしですか。
凛は今のところ風邪もひかずに過ごしています。

日本では春夏秋冬の四季があります。
冬の真っただ中ですが、ファッションの世界では明るい色の春服が中心となっています。
ファッションは常に季節感を先取りしますね。

現実の寒さとは裏腹に、ココロは既に一歩先に向かわせてくれる──それがファッションの役割なのでしょうか。
冬のかさばる服装から装いを新たにして、気分は春!
ウキウキと楽しく軽やかに~♪ \(^o^)/

「何を着たっていいじゃない。別に裸でなければね~」
と仰る方もいらっしゃるでしょう。
或いは「ブランドの主張する考え方に共鳴して自己実現として表現したい!」
とお考えの方もいらっしゃいます。
ファッションの世界もなかなか奥が深いものですね。(^-^)

今夜ご紹介いたします本は、凛のように着て楽しむだけの消費者をはじめ、これまでの服飾や流通業界の歴史や奥を知りたい方におすすめしたい小説です。
勿論、アパレル産業や流通業界の方々には周知の事実でしょうが、ファッション雑誌やメディア、デパート、スーパー、衣料品店から得る情報だけでなく、知識の幅が広がることでしょう。

黒木 亮(くろき りょう)氏の長編小説『アパレル興亡〈上・下〉』(集英社文庫、2024年)です。
単行本は、2020年2月に岩波書店より『アパレル興亡』のタイトルで刊行されています。
上下巻として再編集、昨年、集英社より文庫化されました。

上下巻なので長い!と読むことに躊躇される方へ。
いえいえ、そのようなご心配などありませんよ~

会話文を織り交ぜながら登場人物たちがイキイキとしていて描かれています。
読者に映像が想像できるように仕立てられています。
まるで映画かドラマを観ているかのごとく大変読みやすくなっていますので、ご興味のある方には一気読み間違いありませんよ。(^O^)

はじめに、凛がこの文庫本を入手したのは、市内中心部の書店の文庫本新刊本の棚で出合ったことによります。
凛の持っている文庫本は、上下巻とも2024年5月30日付の第1刷、初版本です。

次に、帯や表紙についてです。
一番目は、帯について。
文庫本上下巻の帯の紹介がとても印象強いもので、購入する機会となりました。
凛は帯は大事な情報であると考えます。

文庫本上巻(第1刷)の帯の表紙側には、「業界騒然!日本経済の栄枯盛衰とファッション業界の裏側を活写!」と紹介されています。
その横には実在する服飾産業「ユニクロ、ZOZO、青山商事、三越……」(同帯)の実名が掲載されているではありませんか!
さらに「アパレル業界の栄枯盛衰を八十年以上にわたる長尺で描いた大作である。」と。

同じく上巻(第1刷)の帯の裏表紙側には、「私たちが毎日着ている服。その産業はどんな歴史をへて今の姿になったのか。」「どんな人間が作り上げてきたのか。」(同帯)と掲載されています。

下巻(第1刷)の帯の表表紙側には、「圧倒的なリアリティ!!」「巨大産業一大絵巻!」「一気読み必至長編小説」(同帯)の文字が目立っています。
上下巻まとめて読みたくなりますね~ (^.^)

二番目は、裏表紙の説明文について。
文庫本(第1刷)上巻の説明文では、「俺、東京に行きてえんだ!」(同書)という言葉から始まります。
昭和28年の山梨県在住の田谷穀一(たや きいち)は上京を志願します。
彼は東京・神田の婦人服メーカーのオリエント・レディに入社しますが……。

下巻(第1刷)の裏表紙側の説明文では、ファッション文化が栄えた時代の波に乗り「非凡な才能で婦人服メーカーオリエント・レディの社長に上り詰めた田谷穀一。」(同書)
ところが村上という「〝物言う株主〟」(同書)の出現により、「状況は一変」(同)してゆくのです。
そして「会社は誰のものか」(同書)と問われる時代に突入しますので、経済小説でもあることが読者には伝わります。

三番目は、表紙について。
上巻の表紙は、黒い服をまとったモデルたちが一列に並んで歩いている後ろ姿の写真になっています。
恐らくファッションショーでしょう。
彼女たちが着ている服のデザインはそれぞれ異なり、ハイヒールを履いて歩いています。

下巻の表紙は、やはりモデルたちが一列に並んで白いステージを読者側に向かって歩いている写真です。
カラフルな服を着たモデルを先頭に、次のモデルは白っぽい服を着ています。
彼女たちの顔はわかりませんが、綺麗な足元が見られます。
やはりファッションショーでしょう。

カバーデザインは、森デザイン室の森 裕昌(もり ひろまさ)氏です。
写真は、Catwalkphotos/Shutterstock.comです。

それでは、内容に入ります。
上巻では、プロローグから始まり、第五章までです。
上巻の主な登場人物が出ていますのでわかりやすいです。

プロローグでは、2010年(平成22年)の5月、中国上海でユニクロの上海南京西路店が開店する日から始まります。
中国では北京オリンピックに続いて、上海万博が二週間前に開幕した非常に華やかな時でした。
世界中のハイブランドが路面店に軒を連ねている市内随一の繁華街、南京西路に日本のユニクロが開店するということで、開店前から多くの若者たちや家族連れの行列で賑わっていました。
ユニクロの世界進出は四店舗目となり、海外市場の目標額は3兆5千億円から4兆億円を狙った戦略でした。

日本では、国内で最大といわれるアパレルの通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する会社の会議の模様が描かれています。

他方、オリエント・レディでは、31年もの長い間、社長の座に座っていた田谷穀一の体調に異変が生じたところでプロローグは終わります。
このわずか9頁から20頁のプロローグを読んだだけでも、アパレル業界の変遷と販売形態の多様性などがわかりますね。(^O^)

第一章では、昭和5年の春に時代が戻ります。
山梨県在住の15歳の少年、池田定六(いけだ ていろく)の出自と、池田家の裏手に在住する田谷家の人たちとの関係から物語は始まります。
池田定六は後のオリエント・レディの創業者となる人物です。

戦後の時代は和装から洋装に移ります。
三越などのデパートや、洋裁学校、ファッション誌や女性誌の台頭など、ファッションをめぐる動きが活発になります。

昭和28年の3月に田谷穀一は上京してオリエント・レディに就職し、池田の部下として働きます。
後にイトーヨーカ堂の社長となる伊藤雅俊(いとう まさとし)との出会いや服地の織物会社との交渉など田谷の着眼点は鋭いものがあり、彼の実力に磨きがかかっていきます。

第二章では、「イージー・オーダー」(同書、97頁)という言葉が出てきます。
「マネキンに服を着せた服は、目立つのでよく売れる。」(同書、97頁)
夢を売るための服という概念は時代を超えて今も変わらないようですね。
マネキンと凛のスタイルは大きく隔たっておりますが……。(^^;

第三章の「百貨店黄金時代」というタイトル(同書、102頁)からもわかるように、小田急百貨店、松坂屋銀座店、伊勢丹などデパートが婦人服販売を席巻します。
時代はさらに進み、有名デザイナーたちが脚光を浴びるようになるとファッションショーも賑やかになります。
雑誌やテレビCMで次々に各メーカーが新しい提案をして消費者の購買欲を強く刺激します。

第五章のタイトル「社長交代」(同書、220頁)で漸く田谷はオリエント・レディの社長の座を射止めます。

下巻では、第六章から第十章まで物語が続きます。
上巻で大きく押し寄せた時代の波に乗って業績を伸ばしたオリエント・レディですが、下巻では一転、次々と眼下に押し迫る深刻な問題に、社長の田谷はどのような考え方や行動を周囲に示したのでしょうか。
何故に田谷は31年間も社長の座に居座ることができたのでしょうか。

そして、下巻のエピローグの305頁から316頁で、読者は何を感じることができるでしょう。
あとはあなたが読まれてからのお楽しみに!(^-^)

上巻の巻末には「アパレル用語集」(276頁~286頁)が収録されていますので、業界に詳しくない方でも大変わかりやすくなっています。

この小説にはユニクロやオンワード樫山などの会社や経営者などの実名が多く登場していますので、ルポルタージュを読んでいるような感覚の読者がいらっしゃるかもしれません。

では「オリエント・レディとは実在している会社なの?」
「田谷穀一って実在の人物?」
という疑問が生じる方も多いことでしょう。
アパレル業界に詳しい方は「この会社だ!」「この人だ!」とすぐにわかるかもしれません。

疑問の答えは、下巻の巻末の「主要参考文献」(317頁~319頁)からわかるでしょう。
また、同じく下巻の巻末、林 芳樹(はやし よしき)氏の「解説」から詳しい情報が得られますので、是非とも最後までお読みくださりますように。(^O^)

作者の紹介です。
黒木 亮氏は、都市銀行、証券会社、総合商社など海外勤務も含めたビジネスマンを経て退職されました。
2000年に長編国際経済小説『トップ・レフト ウォール街の鷲を撃て』で作家デビューされました。
この作品は、2000年に祥伝社から単行本刊行されたのち、2005年に角川文庫で刊行されています。
専業作家として多くの作品が刊行されています。
「1988年より英国在住」であると文庫本上下巻の著者紹介に掲載されています。

最後に。
アパレル業界をとりまく時代は、小説のエピローグからさらに進んでいます。
Z世代が社会人となる今から未来に向けて、新たな考え方でアパレル産業を成長させてくれることに凛は期待します。\(^o^)/

かつては季節の変わり目のセール品に群がっていた凛です。
あれもこれもと激しい物欲とのせめぎあいの結果、着られなくなった服の整理に追われることになっていました……。(-_-;)

現在では「今の凛にとって何が必要か」「それは本当に欲しいものなのか」「似合っているか」「疲れないか」「ご縁があれば」という視点で購入したいなと考える凛です。
それはファッションだけでなく、モノの購入にもあてはめているこの頃ですねえ。(^-^)

あなたにとってファッションとはどのような位置付けとなっていますか。

今夜もあなたにおすすめの一冊でした。(^O^)/

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黒木亮著(集英社文庫、2024/05発売)
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黒木亮著(集英社文庫、2024/05発売)
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