2023年1月9日月曜日

ホテルマンと薬剤師が大活躍しますよ! ~塔山 郁『薬も過ぎれば毒となる 薬剤師・毒島花織の名推理』(宝島社文庫、2019年)~

こんばんは。南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださりまして、ありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

新年おめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
2023年がスタートしました。
新たな気持ちで臨みますので、今年も凛のりんりんらいぶらり~をよろしくお願いいたしますね。m(_ _)m

あなたはどのような新年を迎えていらっしゃいますか。
凛は特に体調の変化などもなく、変わりなく過ごしています。

この世界には様々な病気が存在しますね。
極力病気とは関わらずにいたいものですが、なかなかそうも言っていられません。
うがい、手洗いなどで予防しているつもりでも、気づかないうちに病に侵されていることもあります。
病気や怪我などは「ある日、突然に」身の周りに起こるということがほとんどではないでしょうか。

あなたは調剤薬局にお世話になったことがおありでしょうか。
調剤薬局には薬剤師の方が働いていらっしゃいます。
或いは、市販薬を販売している薬局にも薬剤師の方がいらっしゃいますね。
中には、生まれてこのかた一度も薬剤師からお薬をいただいたことがありません、という方もいらっしゃるかもしれませんが、そのような方は凛の周囲には皆無ですねえ。(^-^;

日本では、基本的に医薬分業というシステムになっています。
診察後に医者から処方箋をいただき、調剤薬局に処方箋を提出してお薬を受け取ることになっています。
その際、薬剤師から丁寧な説明を受けますよね。
帰り道では安堵感が広がると共に、健康の大切さを痛感することが多い凛です。

あなたは調剤薬局や薬剤師にまつわる話に関心がありますか。
凛が今回おすすめする小説は、主人公のホテルマンの男性が、調剤薬局勤務の薬剤師の女性と共に身近に起きた事件に挑んでいきながら、薬や薬剤師に関する情報も得ていくというミステリー小説です。
日常に起こりそうな事件を通して、ホテルマンの職場の実情と合わせて、薬剤師の活躍を知ることができます。
思わず二人を応援したくなる4篇の謎解きに夢中になれますよ~

塔山 郁(とうやま かおる)氏のミステリー小説『薬も過ぎれば毒となる 薬剤師・毒島花織の名推理』(宝島社文庫、2019年)です。
毒島花織には、「ぶすじま かおり」とルビが書かれています。
この作品は、4篇の中で、第1話と第2話は宝島社から刊行されている雑誌『『このミステリーがすごい!』大賞作家書き下ろしBOOK Vol.21』と同誌のVol.23、2誌とも2018年の初出で、のち改題、第3話と第4話は文庫本書き下ろしとなっています。

凛が持っている文庫本は、2019年8月刊行の第3刷です。
初版が同年5月ですから、ファンが多いことがわかりますね。(^-^)

まずは、文庫本の帯と表紙の紹介からいたします。
第3刷では、オレンジ色の帯の表表紙側に「その薬にはウラがある」と大きな文字で描かれています。
右上の丸い枠の中に、「病院・薬剤師・薬との付き合い方もわかります」なるほど、まるで健康雑誌の棚が合いそうなメッセージですね。
「「このミス」大賞シリーズ累計3100万部突破!」ということは、現在ではさらに増えていることが予想できます。

文庫本の裏表紙の説明文には、ホテルマンの水尾は薬剤師の毒島とともに、「薬にまつわる様々な事件に挑む!」と書かれています。

文庫本の表紙には、毒島花織と思われる白衣姿で、長い髪をひとつにまとめ、黒縁の眼鏡をかけた女性が両手を組んで、とても真剣な顔で立っています。
手には錠剤を包んだPTP包装シートを持っています。
彼女の後ろには、薬品が入っている茶色や灰色の瓶がたくさん並んでいます。

表紙のカバーイラストは、遠藤拓人(えんどう たくと)氏です。
カバーデザインは、鈴木大輔(すずき だいすけ、ソウルデザイン)氏です。

次に、内容に入ります。
第1話に入る前に、短いストーリーがあります。
神楽坂にあるホテル・ミネルヴァに勤務する水尾爽太(みずお そうた)は、昼休みにナポリタンを食べに入った喫茶店「〈風花〉(かぜはな)」(文庫本、7頁)で黒縁眼鏡の女性を初めて見ます。
二人の女性が会話していますが、黒縁眼鏡の女性が突然会話に割り込んできて……。

第一話は、「笑わない薬剤師の健康診断」(同、17頁)です。
水尾爽太は足の痒みに襲われて我慢できなかったため、勤務先のホテルの休み時間を利用してクリニックに行きます。
彼はクリニックから出された処方箋を持って、「〈どうめき薬局・どちらの処方箋でも受け付けます〉」(26頁)の看板を見つけて、薬を受け取ることにしました。
クリニックの院長の診断に疑問をもった薬剤師の毒島さんの説明が大変にお見事でして、そこから思わぬ展開があります。

第二話は、「お節介な薬剤師の受診勧奨」(同、71頁)です。
フロント係を担当している水尾は、娘と二人で宿泊している母親のほうからクレームを受けました。
二人で外出している間に、部屋に置いていたアトピー性皮膚炎の塗り薬が紛失しているということです。
外出から戻ったのが土曜日の午後3時過ぎだったので、病院や調剤薬局はほとんど閉まっているところが多いので、さてどうしたらよいでしょう。

第三話は、「不安な薬剤師の処方解析」(同、133頁)です。
水尾は、喫茶店風花でどうめき薬局に勤務する薬剤師の刑部(おさかべ)さんから毒島さんの私的な部分を聞きます。
刑部さんは薬局のご常連さんの70代の女性から「薬が足りないのですぐに来て欲しい」という緊急の電話を受けたので、その方の自宅まで説明しに行くことになったというのです。
水尾は刑部さんと一緒に電話の主の女性の自宅まで行くことにしました。
玄関のインターホンを鳴らして、やっと出てきたのは電話した女性ではなく、こわもての男性でした。

第四話は、「怒れる薬剤師の疑義照会」(同、177頁)です。
水尾が第一話で受診したクリニックには或る疑惑があり、水尾と毒島さんは銀座まで行くことになりますが……。

ミステリー小説なのでこのくらいにします。
うーん、もっと先が読みたい!(^-^;
と思われたあなたは是非文庫本でお読みくださいね。

作者の塔山 郁氏は、ミステリー小説『毒殺魔の教室』(宝島社、2009年、のち宝島社文庫、上下巻、2010年)で、第7回『このミステリーがすごい!』大賞・優秀賞☆彡を受賞されています。
第3刷の帯の裏表紙側には、受賞作の『毒殺魔の教室』が大きな文字で描いてあります。
ミステリー作家としてご活躍されています。

今回の作品は「薬剤師・毒島花織の名推理」シリーズ化されていて、全5巻中の第1巻目です。
5巻とも全て文庫本です。
最新刊は、同社から2022年12月に刊行されたばかりの『薬は毒ほど効かぬ 薬剤師・毒島花織の名推理』です。
第1巻で水尾は毒島さんと友人となりましたが、この後の展開が気になりますね。

一般的に意外と知られていない薬剤師の担う役割の多いことに凛は驚きました。
お薬を受け取る待ち時間ばかり気にせずに、調剤薬局の見方が少し変わるかもしれませんよ。
「あら、そうだったのかぁ」と薬に関する基礎的な知識も得られます。

また、薬剤師と並行して、主人公水尾のホテルマンとしての責務の大変さに彼を応援したくなります。
ホテルに勤務する他のスタッフとの人間関係も描かれています。
つまり、この作品は調剤薬局に勤務する薬剤師と、ホテルに勤務するホテルマンのお仕事小説ともいえますね。(^○^)

水尾と毒島さんとの関係も気になるところです。
シリーズ化されているので、凛も続きを読みたいです。

今夜も凛からあなたへおすすめの一冊でした。(^-^)

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