2020年6月2日火曜日

近未来の日本を猛毒ウィルスが襲う!

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださいまして、ありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

あなたは今、おうちでゆっくりなさっていらっしゃることでしょうか。
一日の終わりに、ほっとできるくつろぎタイムを迎えるのは幸せを感じますねえ。(^o^)

新型コロナウィルスの影響による緊急自粛宣言が解除されて、これまでの暮らしを取りもどしながら、新しい生活様式を迎えることになりました。
この自粛期間に、あなたの周りには様々なことが起きませんでしたか。
第2波や第3波の襲来が懸念されていることもあり、凛も新しい生活様式をどのようにするのかを自身に問いながら暮らしているこの頃です。

今回の新型コロナウィルスは世界中の人々に脅威を示しました。
基本の第一は、衛生に気をつけることのようです。
まだ終息したわけではありませんし、これからもまた新しいウィルスが出てくるかもしれません。
人間はウィルスとうまく共存してゆかなければならないことを再認識せざるをえません。

このような時期だからこそ、新型コロナウィルスが終息した後の世界はどう変わるのかと、不安に思うのは凛だけでしょうか。
既にいろいろな憶測もあるようです。
ウィルスが蔓延する前と後ではどのような違いが起こるのでしょう。

そのようなことを考えつつ、凛が時折通っている書店であなたにご紹介する本を見つけました。
このようなふとした出合いがリアル書店にはあります。(^-^)

福田和代氏の小説『バベル』(文春文庫、2019年)です。
この作品の初出は、『別冊文藝春秋』2012年11月号~2013年11月号となっています。
2014年に、文藝春秋から単行本として発刊されました。
強毒性のウィルス蔓延前後の世界が交互に描かれている作品です。

作品の舞台は、近未来の日本です。
新型の最強ウィルス「バベル」が日本を襲います。
原因不明で、感染が瞬く間に爆発し、日本は行き場を失います。
「バベル」は、外国では弱毒性のウィルスでしたが、何故か日本では強毒性のウィルスとなり、猛威を奮うのです。
ワクチンも薬もない事態で、次々と日本国内在住の人々が感染していきます。

出血して亡くなる感染者が増えます。
生存している感染者の中で、さらに二つに分かれるのが「バベル」の特徴です。
それは、感染の後遺症として、言語能力を失う人たちと、そうでない人たちです。
すなわち、言語のコミュニケーションがとれるか、否か。
わかりやすく言えば、会話ができるか、できないかに二分されます。

人間にとって、言葉を失うというのはどういう状況になるでしょうか。
理解を示しているようでも、言葉を発することができません。
数字の概念がわからない人もいます。

このような状況が日本を襲うのです。
そこで、日本政府はある重大な決断をします。
それは、全世界の人々を驚かせるような究極の判断でした。

小説では、最強ウィルス「バベル」が日本を襲ったときのことを「あのこと」と称します。
「あのこと」の「前」と「後」を交互に描いていく構造になっています。

読者は、「バベル」ウィルスが人々を襲っていく様子を「あのこと」の「前」で知り、「後」では全く様相が変わってしまった日本を知ることになります。
凛は、この「前」と「後」との対比に、背筋が凍るような恐怖を感じつつ、頁をめくる手が早くなりました。

「前」では、如月悠希という女性が、恋人の渉の突然の感染によって、生活に大きく変化が生じます。
「後」で、アメリカ人ジャーナリストのウィリアムが来日して、ユウキという女性に会います。
「後」では、パンサーという怪しげな集団が登場します。

ウィルスの「バベル」という名前が示す意味は。
悠希と渉の運命は如何に。
この小説には構造だけでなく、さまざまな工夫がなされています。

作者の福田和代氏は、2007年、ハイジャック犯の航空謀略を描いた小説『ウィズ・ゼロ』(青心社、2007年)でデビューしました。
2011年、東京をテロリストが襲う小説『ハイ・アラート』(徳間書店、2010年、のち徳間文庫、2013年)では大藪春彦賞候補☆彡となりました。
以後、多くの作品が発表されています。
元金融機関のシステム・エンジニアの視点を活かし、ご活躍が期待される作家です。

人と言葉を交わすのは、口から発するものだけではないことを、凛はこの小説で納得しました。
もちろん、ウィルス感染予防に注意することは根底にあります。

凛は、この作品が予言書にならないことを願います。
しかし、絶対にこのようなことが起こらないとは断言できません。
人類に対するひとつの警告として、読んでみられてはいかがでしょうか。
強毒な新型ウィルスの猛威を描いた小説として、あなたにお勧めの一冊です。(^-^)

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(日本語)文庫-2019/3/8福田和代(著)
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