2020年5月12日火曜日

話題の予言書を読みました

こんばんは。
南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださりありがとうございます。
どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

あなたはお家でどのようにお過ごしされていますか。
今年は新型コロナウィルスの影響で、世界中が困難な状況に追い込まれました。
凛も自粛要請の中、極力家の中で過ごしています。
凛は元々インドア派で、屋内での過ごし方には大きな変化はありませんが、やはり不安のない暮らしを望むのは人々の共通の願いでありましょう。

新型コロナウィルスに関する様々な情報が錯綜して、世界中の人々を巻き込んでいます。
感染症に対する異様な状況を伝えるマスコミやメディアに触れて恐れおののくばかりでは、ウィルスに負けてしまいそうです。
よく言われているのが「正しく、恐れる」という言葉。
人類が生きていく上で、ウィルスと絶縁することは不可能なことかもしれません。

今回の新型コロナウィルスは人々に様々な変化をもたらしています。
”STAY HOME”のスローガンのもとで、家の中で過ごすことの新たな取り組みに、これまでとは違った価値感を抱いた方もいらっしゃるでしょう。
「三密」「ソーシャル・ディスタンス」「手洗い・うがい」「消毒」など、これらのキーワードによって、日常の暮らしに取りいれることの大切さをあらためて認識させられました。

また、マスク不足に陥り、手作りマスクを創り出す人々の創意工夫には感心させられます。
それから、デマ情報による紙類などの物資不足に、新たな不安感を抱かなければならない時代を迎えました。

今度の新型コロナウィルス感染の状況に酷似しており、予言書とまで言われている作品があります。
高嶋哲夫氏の小説『首都感染』(講談社、2010年、のち講談社文庫、2013年)です。
致死率60%の恐ろしいウィルスが中国の雲南省で発生して、世界中の人々に感染し、ワクチンも薬もなく死に至らしめて拡大していく様相を、今から10年前の2010年12月に小説として発表されました。
講談社創業100周年の書き下ろし作品です。

20××年の6月、中国の北京市で開催されたサッカーのワールドカップの大歓声から物語は始まります。
しかし、この華やかなスポーツイベントの蔭では、恐ろしいことが起きていました。
中国の村がいくつもなくなるほどの強い毒性のあるウィルスが拡大していっているのです。
H5N1新型インフルエンザが世界中に猛威をふるいます。

日本人の元WHOのメディカル・オフィサー、感染症対策の専門家で、医師の瀬戸崎優司が主人公となって、日本のウィルス対策に取り組みます。
この小説は単なるウィルスに関するテーマだけではなく、瀬戸崎医師の人生の物語でもあります。
彼の周辺を取り巻く人物たちとの交流も描かれており、ウィルスを封じ込める対策の物語であると同時に、様々な出会いと別れを体験している主人公を魅力的に中心におき、読者を最後まで引きつけます。
そして、恋愛小説でもあります。

日本の首都東京にも強毒性のウィルス感染者が発生して、いよいよ東京を封鎖するという現実が突きつけられます。
官邸、官僚、WHO、ワクチン開発者、医療従事者、製薬会社などが抱える問題が整理されています。
瀬戸崎医師は彼らの間を往来して、自己の抱える過去に苦しみ、悩みながらも前に進むのです。
国民レベルでは、活動の自粛の要請を受け、個々人でウィルスを体内に入れないための努力をしなければなりません。

凛は、この作品と向き合っている時間は、まるで現実社会を活字で再認識しているのかと錯覚するほど、フィクションとノンフィクションが交錯するという独特な気分に陥りました。
ウィルスの基本的な勉強にもなりますので、是非お勧めしたい一冊です。

ところで、高嶋哲夫氏は預言者なのでしょうか?
この作品を10年前に発表するとは、なんて先見の明がある作家なのでしょう!

文庫本の解説の成毛眞氏(書評サイト・HONZ代表)によると、高嶋氏の作品の年表と実際に起きた自然災害が掲載されています。
そこには成毛氏を「未来のノンフィクション」(同書、580頁)として読ませたことが明記されています。

高嶋氏は、1979年に、日本原子力学会技術賞☆彡を受賞されています。
1994年に、小説『メルトダウン』(講談社、2003年、のち講談社文庫、2008年)で、第1回小説現代推理新人賞☆彡を受賞されています。
1999年には小説『イントゥルーダー』(文藝春秋、1999年、のち文春文庫、2002年)で、第16回サントリーミステリー大賞☆彡・読者賞☆彡のダブル受賞に輝いていらっしゃいます。
他にも受賞歴があり、大変ご活躍されています。

世界中が新型コロナウィルスの終息を願ってやみません。
このような現実の社会に、瀬戸崎医師のようなヒーローが出現して欲しいと願うのは、凛だけではないでしょう。

まずは手洗いとうがいの励行、マスクの着用、人混みを避けること、飛沫感染、接触感染などに気をつけること、コップやタオルなどの使い回しは避けること。
つまり、感染症にかかりにくするための衛生の基本を一人一人が守ることが大切であると、この作品を読んで再認識した凛です。
あなたと共に気をつけていきましょう。

次は一体、この日本や世界で、何が起こるのだろうかと、高嶋氏の近著の作品が大変気になる凛でした。(^o^)

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(日本語)文庫-2013/11/15高嶋哲夫(著)
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