2025年7月31日木曜日

本当に遺したいモノやコトは何か?と自身に問うてみる ~森永卓郎『身辺整理 死ぬまでにやること』(興陽館、2024年)~

こんばんは。南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
お休み前のひとときに、本の話題でごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

暑中お見舞い申し上げます。

毎日暑い日々が続いている日本の夏です。
あなたはいかがお過ごしですか。
毎年夏の暑さが厳しくなってきていますね。
凛は夏に生まれたということもあって夏は好きなのですが、こんなにも気温が上昇すると一日を無事に乗り切るだけで精一杯になりそう……。

暑さはこれからが本番。 (^^;
夏バテしないように気をつけていきたいですね。

情報が手軽に入手できる昨今。
ところが、世の中が便利になればなるほど「時間がない!」と常に何かに追われているかのような切羽詰まった感覚におののく凛です。
あなたはこのような感覚にみまわれたことはありませんか?

シンプルに暮らしたい。
モノを減らしたい。
コトも減らして「ねばならぬ」義務感から解放されたい。
幾度も繰り返して自問自答してきたことですが、一時的に整理して安心してしまいがちです。
気がつけば、モノやコトは増えている凛ですねえ。(^▽^;)

世の中には整理や片付けに関する情報や本などが多くあります。
それらは元気な方々からの発信が多いかと思います。
もちろん、体力があるうちに整えていくのが理想です。

突然病気やケガなどで時間的にも体力的にも片付けの余裕がなくなるかもしれません。
余命いくばくもない方がご執筆された本には、心から読者に伝えたい情報が詰まっているのではないか、と凛は思いました。

今回ご紹介いたします本は、森永卓郎(もりなが  たくろう)氏の『身辺整理 死ぬまでにやること』(興陽館、2024年)です。

森永卓郎氏は、2025年1月28日にご逝去されました。
心からお悔やみ申し上げます。

著者の森永卓郎氏はご自分の命と向き合い、限られた時間の中で、どのように身辺の整理に向き合えばよいのか、本当に必要なモノやコトとは何か、などとこの本で読者にわかりやすく伝えていらっしゃいます。
経済アナリストで、メディアにもよく出演されていた方です。
「モリタクさん」と呼ばれて、CMにも出演されていらっしゃたので、ご存知の方も多いでしょう。

森永氏はがんを宣告されましたが、治療と同時進行で精力的にご活動され、多くの本をご執筆されました。
YouTubeで晩年の森永氏の「伝えたい」という姿勢に驚いた凛です。
経済についての詳しいことは凛にはよくわかりませんので、ここではこの本についてのみご紹介いたしますね。

はじめに、この本の入手についてです。
限られた時間の中で、森永氏が本当に伝えたいことがこの本に込められていると思い、凛はネット書店で購入いたしました。

この本の初版は、2024年10月15日付です。
凛が持っている本は、同年10月17日付の第2刷です。
初版からわずか二日後に既に第2刷ですよ!
いかに注目された本であるかがよくわかりますね。

次に、帯や表紙についてです。
一番目の帯について。
帯の表表紙側には、「いきなり、ステージ4のがん告知を受けた、森永卓郎の『遺言』。」
「迷惑をかけずに、跡形もなく消え去りたい。」
「渾身の『死に支度』ドキュメント」(以上、第2刷帯)
ここだけでも凛のココロにずしりと響くんですよねえ。(T_T)

帯の裏表紙側には、「問題は生きているあいだをどう生きるのかなのだ。」(同帯)
モノの整理だけでなく、人の生き方について、真剣に向き合わないといけないのだ、ということが伝わりますね。

二番目の表紙について。
表表紙側には、森永氏が段ボールに本を詰めている姿が真ん中に描かれています。
左上では、氏が梱包した段ボールを積み上げている姿。
右下では、氏が壁らしきものを押している姿が描かれています。
表紙全体に白地が基調となって柔らかい印象の中、黄色い服を着た森永氏に意識の高さを感じます。

裏表紙側には、森永氏が机上で原稿をご執筆されている姿があり、左上にはたくさんの本が積み重なっている絵、右上にはロングヘアの女性のフィギュアが描かれています。

ブックデザインは、原田恵都子(はらだ えつこ)氏です。
イラストは、大嶋奈都子(おおしま なつこ)氏です。

同書には、森永氏が「モリオのペンネームで創作された童話「クラゲとペンギンが編入されています。(同書、189頁)
この童話のイラストは、前島花音(まえじま かのん)氏です。

それでは、内容に入ります。
表紙をめくると、森永氏からのメッセージが書いてあります。

「もしあなたが
いきなり余命を宣告されたら、
何をするだろうか?
限られた時間の中で
死ぬまでにやらなければならないこととは

何だろうか?」(同書、4頁)

これが本書のテーマでしょう。
高齢者の多い日本でも、明日も今日と同じで元気でいられるのか、ましてや寿命など誰にも予測できません。

序章は、「私が身辺整理を進める理由」(同書、5頁)
序章の長さからわかるように、この序章に森永氏が伝えたいことがまとめてあります。

序章の中の「いきなりの余命宣告」(同書、8頁)
森永氏は2023年11月7日に、がんステージⅣという末期がんの告知を受けたことが明記されています。
自覚症状がなかったそうで、告知を受けたご本人の内面、葛藤やご家族との関係、医療機関、仕事のことなど本音で書いてあると思います。

「あなたは明日死ぬとしたら、今日何をするだろう?」(同書、27頁)
と序章の終わりに太字で書かれています。
その後に、「本書がみなさんの悔いなき人生を実現するためのヒントになれば嬉しい。」(同書、27頁)
と序章が締めくくってあります。

内容は、帯の裏表紙側にも掲載されています。
以下は、目次です。(同書、28頁~35頁)

第1章 モノは捨てる
第2章 コレクターのケジメ
第3章 資産整理
第4章 仕事の終活
第5章 人間関係を片付ける
第6章 好きなように自由にやる
第7章 人は死んだらどうなるのか

「あとがき」として197頁から「遺言」の項が掲載されています。

どの章も気になるテーマばかりです。
重要なことは太字で書いてありますので、後から再読する場合も確認しやすい工夫がなされています。

全体的に文章に優しさがあり、読者に話しかけているような感覚がいたします。
文字も大きいので大変読みやすいです。(^O^)
読者を目覚めさせてくれるヒントが随所に込められています。

凛が参考にしたい具体的な例として、第1章の「モノは捨てる」
その最初の項は、「数千冊の本を処分する」(同書、38頁から)
愛読書を処分するという行為は、自身の執着心との闘いでもあるんですよね。(-_-;)

「こうしたコストを考えれば、モノはどんどん捨てるに限る。」
「もしも必要が生じれば、その時はまた買えばいいと考えるのが得策だ。」(以上、同書、49頁)
太字でしっかり目に入ってきたこの2行は当たり前のことなのですが、なかなか実行にうつすのは至難。
もし凛が命の限界を告知されたら、いえ、告知などされていなくても、命には誰にも限界がありますから、やはり実行することが賢明ですね。

凛が最も気になった頁があります。
「遺言」の1頁前、第7章の最後の頁、196頁あたる頁に太字ではないですが、他の頁よりもフォントを大きくして書いてあるメッセージです。
このメッセージは恐らく森永氏の死生観でしょう。
また、ご家族に最も伝えたいメッセージでありましょう。
是非、あなたも読まれてください。

また、写真もたくさん掲載されています。
実際にたくさんの本を片づけている写真はリアルです。

本書の最も最後に掲載されている森永氏の顔を拝見すると、とても切なくなり、こみ上げてくるものがあります。(T_T)
それと同時に、命を大切にして、モノの整理をしようと思う凛でありました。(^^)v

最後に。
誰にも命の限界は訪れます。
限られた時間の中で、人はモノやコトを整理していかなければなりません。
その行為は、どう生きていくのかにつながります。
何が大切か、何を遺したいのかが明らかに見えてくるでしょう。

森永卓郎氏によれば、家族や他人に迷惑をかけないためには、生ある今、考えて行動することが大事だということです。
頭の中で理解はしていても、いざ実践することは案外と難しいものです。
コスパ、タイパを意識するならばなおさらのこと、不要なモノや面倒なコトはさっさと片づけましょう。
後悔しないために。

凛も不要なモノから片づけていきま~す! (^-^)

今夜もあなたにおすすめの一冊でした。(^O^)/

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森永卓郎(著)興陽館(2024/10発売)
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