こんばんは。南城 凛(みじょう りん)です。
今宵も凛のりんりんらいぶらり~にようこそお越しくださり、ありがとうございます。
お休み前のひとときに、本の話題でごゆっくりとおくつろぎくださいませ。(^-^)
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2025年も早くも一か月が過ぎます。
あっという間の12分の1ヵ月……まさしく光陰矢の如しですね。
あなたはいかがお過ごしですか。
凛は今のところ風邪もひかずに過ごしています。
日本では春夏秋冬の四季があります。
冬の真っただ中ですが、ファッションの世界では明るい色の春服が中心となっています。
ファッションは常に季節感を先取りしますね。
現実の寒さとは裏腹に、ココロは既に一歩先に向かわせてくれる──それがファッションの役割なのでしょうか。
冬のかさばる服装から装いを新たにして、気分は春!
ウキウキと楽しく軽やかに~♪ \(^o^)/
「何を着たっていいじゃない。別に裸でなければね~」
と仰る方もいらっしゃるでしょう。
或いは「ブランドの主張する考え方に共鳴して自己実現として表現したい!」
とお考えの方もいらっしゃいます。
ファッションの世界もなかなか奥が深いものですね。(^-^)
今夜ご紹介いたします本は、凛のように着て楽しむだけの消費者をはじめ、これまでの服飾や流通業界の歴史や奥を知りたい方におすすめしたい小説です。
勿論、アパレル産業や流通業界の方々には周知の事実でしょうが、ファッション雑誌やメディア、デパート、スーパー、衣料品店から得る情報だけでなく、知識の幅が広がることでしょう。
黒木 亮(くろき りょう)氏の長編小説『アパレル興亡〈上・下〉』(集英社文庫、2024年)です。
単行本は、2020年2月に岩波書店より『アパレル興亡』のタイトルで刊行されています。
上下巻として再編集、昨年、集英社より文庫化されました。
上下巻なので長い!と読むことに躊躇される方へ。
いえいえ、そのようなご心配などありませんよ~
会話文を織り交ぜながら登場人物たちがイキイキとしていて描かれています。
読者に映像が想像できるように仕立てられています。
まるで映画かドラマを観ているかのごとく大変読みやすくなっていますので、ご興味のある方には一気読み間違いありませんよ。(^O^)
はじめに、凛がこの文庫本を入手したのは、市内中心部の書店の文庫本新刊本の棚で出合ったことによります。
凛の持っている文庫本は、上下巻とも2024年5月30日付の第1刷、初版本です。
次に、帯や表紙についてです。
一番目は、帯について。
文庫本上下巻の帯の紹介がとても印象強いもので、購入する機会となりました。
凛は帯は大事な情報であると考えます。
文庫本上巻(第1刷)の帯の表紙側には、「業界騒然!日本経済の栄枯盛衰とファッション業界の裏側を活写!」と紹介されています。
その横には実在する服飾産業「ユニクロ、ZOZO、青山商事、三越……」(同帯)の実名が掲載されているではありませんか!
さらに「アパレル業界の栄枯盛衰を八十年以上にわたる長尺で描いた大作である。」と。
同じく上巻(第1刷)の帯の裏表紙側には、「私たちが毎日着ている服。その産業はどんな歴史をへて今の姿になったのか。」「どんな人間が作り上げてきたのか。」(同帯)と掲載されています。
下巻(第1刷)の帯の表表紙側には、「圧倒的なリアリティ!!」「巨大産業一大絵巻!」「一気読み必至長編小説」(同帯)の文字が目立っています。
上下巻まとめて読みたくなりますね~ (^.^)
二番目は、裏表紙の説明文について。
文庫本(第1刷)上巻の説明文では、「俺、東京に行きてえんだ!」(同書)という言葉から始まります。
昭和28年の山梨県在住の田谷穀一(たや きいち)は上京を志願します。
彼は東京・神田の婦人服メーカーのオリエント・レディに入社しますが……。
下巻(第1刷)の裏表紙側の説明文では、ファッション文化が栄えた時代の波に乗り「非凡な才能で婦人服メーカーオリエント・レディの社長に上り詰めた田谷穀一。」(同書)
ところが村上という「〝物言う株主〟」(同書)の出現により、「状況は一変」(同)してゆくのです。
そして「会社は誰のものか」(同書)と問われる時代に突入しますので、経済小説でもあることが読者には伝わります。
三番目は、表紙について。
上巻の表紙は、黒い服をまとったモデルたちが一列に並んで歩いている後ろ姿の写真になっています。
恐らくファッションショーでしょう。
彼女たちが着ている服のデザインはそれぞれ異なり、ハイヒールを履いて歩いています。
下巻の表紙は、やはりモデルたちが一列に並んで白いステージを読者側に向かって歩いている写真です。
カラフルな服を着たモデルを先頭に、次のモデルは白っぽい服を着ています。
彼女たちの顔はわかりませんが、綺麗な足元が見られます。
やはりファッションショーでしょう。
カバーデザインは、森デザイン室の森 裕昌(もり ひろまさ)氏です。
写真は、Catwalkphotos/Shutterstock.comです。
それでは、内容に入ります。
上巻では、プロローグから始まり、第五章までです。
上巻の主な登場人物が出ていますのでわかりやすいです。
プロローグでは、2010年(平成22年)の5月、中国上海でユニクロの上海南京西路店が開店する日から始まります。
中国では北京オリンピックに続いて、上海万博が二週間前に開幕した非常に華やかな時でした。
世界中のハイブランドが路面店に軒を連ねている市内随一の繁華街、南京西路に日本のユニクロが開店するということで、開店前から多くの若者たちや家族連れの行列で賑わっていました。
ユニクロの世界進出は四店舗目となり、海外市場の目標額は3兆5千億円から4兆億円を狙った戦略でした。
日本では、国内で最大といわれるアパレルの通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する会社の会議の模様が描かれています。
他方、オリエント・レディでは、31年もの長い間、社長の座に座っていた田谷穀一の体調に異変が生じたところでプロローグは終わります。
このわずか9頁から20頁のプロローグを読んだだけでも、アパレル業界の変遷と販売形態の多様性などがわかりますね。(^O^)
第一章では、昭和5年の春に時代が戻ります。
山梨県在住の15歳の少年、池田定六(いけだ ていろく)の出自と、池田家の裏手に在住する田谷家の人たちとの関係から物語は始まります。
池田定六は後のオリエント・レディの創業者となる人物です。
戦後の時代は和装から洋装に移ります。
三越などのデパートや、洋裁学校、ファッション誌や女性誌の台頭など、ファッションをめぐる動きが活発になります。
昭和28年の3月に田谷穀一は上京してオリエント・レディに就職し、池田の部下として働きます。
後にイトーヨーカ堂の社長となる伊藤雅俊(いとう まさとし)との出会いや服地の織物会社との交渉など田谷の着眼点は鋭いものがあり、彼の実力に磨きがかかっていきます。
第二章では、「イージー・オーダー」(同書、97頁)という言葉が出てきます。
「マネキンに服を着せた服は、目立つのでよく売れる。」(同書、97頁)
夢を売るための服という概念は時代を超えて今も変わらないようですね。
マネキンと凛のスタイルは大きく隔たっておりますが……。(^^;
第三章の「百貨店黄金時代」というタイトル(同書、102頁)からもわかるように、小田急百貨店、松坂屋銀座店、伊勢丹などデパートが婦人服販売を席巻します。
時代はさらに進み、有名デザイナーたちが脚光を浴びるようになるとファッションショーも賑やかになります。
雑誌やテレビCMで次々に各メーカーが新しい提案をして消費者の購買欲を強く刺激します。
第五章のタイトル「社長交代」(同書、220頁)で漸く田谷はオリエント・レディの社長の座を射止めます。
下巻では、第六章から第十章まで物語が続きます。
上巻で大きく押し寄せた時代の波に乗って業績を伸ばしたオリエント・レディですが、下巻では一転、次々と眼下に押し迫る深刻な問題に、社長の田谷はどのような考え方や行動を周囲に示したのでしょうか。
何故に田谷は31年間も社長の座に居座ることができたのでしょうか。
そして、下巻のエピローグの305頁から316頁で、読者は何を感じることができるでしょう。
あとはあなたが読まれてからのお楽しみに!(^-^)
上巻の巻末には「アパレル用語集」(276頁~286頁)が収録されていますので、業界に詳しくない方でも大変わかりやすくなっています。
この小説にはユニクロやオンワード樫山などの会社や経営者などの実名が多く登場していますので、ルポルタージュを読んでいるような感覚の読者がいらっしゃるかもしれません。
では「オリエント・レディとは実在している会社なの?」
「田谷穀一って実在の人物?」
という疑問が生じる方も多いことでしょう。
アパレル業界に詳しい方は「この会社だ!」「この人だ!」とすぐにわかるかもしれません。
疑問の答えは、下巻の巻末の「主要参考文献」(317頁~319頁)からわかるでしょう。
また、同じく下巻の巻末、林 芳樹(はやし よしき)氏の「解説」から詳しい情報が得られますので、是非とも最後までお読みくださりますように。(^O^)
作者の紹介です。
黒木 亮氏は、都市銀行、証券会社、総合商社など海外勤務も含めたビジネスマンを経て退職されました。
2000年に長編国際経済小説『トップ・レフト ウォール街の鷲を撃て』で作家デビューされました。
この作品は、2000年に祥伝社から単行本刊行されたのち、2005年に角川文庫で刊行されています。
専業作家として多くの作品が刊行されています。
「1988年より英国在住」であると文庫本上下巻の著者紹介に掲載されています。
最後に。
アパレル業界をとりまく時代は、小説のエピローグからさらに進んでいます。
Z世代が社会人となる今から未来に向けて、新たな考え方でアパレル産業を成長させてくれることに凛は期待します。\(^o^)/
かつては季節の変わり目のセール品に群がっていた凛です。
あれもこれもと激しい物欲とのせめぎあいの結果、着られなくなった服の整理に追われることになっていました……。(-_-;)
現在では「今の凛にとって何が必要か」「それは本当に欲しいものなのか」「似合っているか」「疲れないか」「ご縁があれば」という視点で購入したいなと考える凛です。
それはファッションだけでなく、モノの購入にもあてはめているこの頃ですねえ。(^-^)
あなたにとってファッションとはどのような位置付けとなっていますか。
今夜もあなたにおすすめの一冊でした。(^O^)/